妖説太閤記

■講談社 
百姓のせがれから関白にまで登りつめる。日本最高のサクセスストーリー、『太閤記』の主人公豊臣秀吉を、ねじくれた、女にもてたい一心のコンプレックス丸出しの人間として強烈に描く。
  • 歴史小説を読んでいて初めて、主人公の死を祈った作品であります。他の『太閤記』が受け付けなくなりますよ。
  • 生涯ひとりの女性を恋し、追い求める男という点では光源氏などに通じている。そうした語り口によってはいくらでも小綺麗にできそうな要素をあくまでも変態でアクティブな狂気として表現するのが山風のいいところ。もてる男への嫉妬や美少女を侍らせ犯すことへの執着、「この日本にちゃちゃと息子と自分の三人だけがいさえすればよかった」なんて心理描写は鳥肌立ちます。「MEGALOMANIA」のタイトルで本格時代スペクタクルとして映像化してくれんものかと。
2005年09月11日(日) 15:22:51 Modified by nepon1




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