sw2.0のコミュ希望亭wikiです。

プロローグ 9:54

これは彼女が、子供たちのために何かをしてあげたいと思った そんなある日の物語

どうしてこうなったのだろうか
暇つぶしの研究で2日目の徹夜明けの朝ご飯を食べていただけなのに

「あなたに決闘を申し込みます!」

目の前に居るやつは何を考えているのだろうか
確か腕が立つが、私達よりはレベルが低いポーラというバジリスクウィークリングだったか
前々から、遠くで私を睨んでいる姿は見かけていたが、私の何が気に食わないのやら

「逃げるなんて言わないですよね 私よりずっと強いんですから」
「はぁ?」
「今日の14時 トレーニングルームで待っています」
そう、言うだけ言って去っていく
取り残されたのはスプーンを持っている私だけ
もっとも、周りは騒ぎ立てている

「めんどくさいことになったな」
普段の私だったら、どんなに噂になっても、どんなに卑怯と言われても絶対に行かないのだが…
どうしても、彼女の目は冗談で戦いを挑んできたように思えない
私が逃げることが、彼女を傷つけてしまうような気がした
「めんどくさいなぁ こっちは寝てないんだけど」

戦いの前 13:44 

開始時間、大体15分前
ギリギリまで寝てやったが、なんだこの人の集まりは
がやがやと寝起きの頭に周りの喧騒が響く
そんな中に見知った「広報部」の奴を見つける
「随分とにぎやかになってるね サボってていいのかフリューゲル?」
「ははは 寝起きって顔ですね 太陽がまぶしいからって睨まなくてもいいんですよ」
こいつ…悪びれもなく…

「で、よく来ましたね あなたの方こそサボると思ってたのですが」
「気まぐれだよ」
余計なことに気がつくこいつのことは、実はそこまで得意じゃない うるさいし
「有名な話ですが、彼女は妖精嫌いです その辺で喧嘩を売られたんですか?」
「知らないよ 向こうに直接聞いてよ」
実際問題、彼女が妖精嫌いなのは有名だ
特に、私の主軸となる属性「水・氷」は、彼女が最も嫌い、種族的にも最も苦手とする属性だ
だからこそ睨んできていたと思っていたが、彼女のあの時の目は、それとはもっと違う何かを感じた

「ふふ、予想ではラパンさんの圧勝が有力ですが、自信はどのくらいですか?」
「さっきから思ってたけど、これインタビュー? まあ負ける相手じゃないと思うけどさ」
そう、相手からすれば敵うような相手ではないということだ
なのに彼女は、私と戦うと言う まともな思考だとは思えない
もしくは、そこに後に引けぬ強い覚悟があるのか――
私にはそれがわからないからこそ、この戦いにやってきたのだ

向こうを見れば、ポーラは入念に準備運動をしているようだ
最初からトップギアで戦うつもりなのか、随分と激しい組手を彼女の兄貴分とやっているようだ
あの兄貴分のドレイクは、彼女を止めなかったのだろうか
聞く話によれば、彼女の兄貴分アルファはかなり賢く優しいドレイクだ
こんなつまらない模擬戦で怪我なんてして欲しくはないはずだ
「それだけ、彼女には引けないってことなのかな」

「さあ!両者出そろいました! これより模擬戦の開幕です!」
「実況はわたくし、フリューゲルがお送りします!」
――ま、戦えばわかるか

問答 14:00

――と、軽い気持ちだったわけだが
「…諦めなよ 私の土の檻は簡単には壊れない そっちの負けだよ」
機先を制し、初手で相手の行動を奪う私に勝つには、それ以上の速度が必要だ
よく考えなくとも、彼女との実力差ならこうなるわけだ
なのに、彼女の目から戦う意思は消えない
抜け出すことが目的ではない、ただ、まだ負けたくないと叫んでいるようだ
「なんで、止まらないかだけ聞いてあげよう」
「…弱虫の自分のままで居たくないから…」
土の腕に押し付けられた彼女は振り絞るように声を出す
「いつまでも逃げていたくない…もう、過去の自分じゃないって胸を張りたい…」
「もう、一人で歩いて行けるよって、弱い私の檻を壊したいからっ…」
正直に思えば馬鹿だと思った
それだけなら、同格の相手と戦うべきだからだ
「何で、私だったのさ」
「最初にあなたに負けたから…あの日、殺されることもなかった有象無象の私があなたに負けた」
これは、おそらく私の知らない物語だ おそらく、私がすべてを持っていた時の話だ
「たとえあなたが覚えていなくとも、私は覚えている」
「今でも身体が振るえるほど恐ろしいあの日の出来事を」
「それは私じゃない私だろ? 今の私とどっちが強いとかわからないけど―」
「いや、今のあなたのが強いですよ だからこそ挑まなきゃいけなかった」
「そっか ならこれでおしまいだ」
こいつは、きっと勝ち負けだけを見ていない
…馬鹿だけど、こいつは芯だけは通っているらしい
彼女は、やはり怖いのか目をつぶる
それでも、逃げるためではなく、挑むために檻を壊そうと力を入れている
それを私は――

「えい」
「鈍器!?」
杖で思いっきり殴った
「疲れた 徹夜続きで眠いから寝に行くね」
「え!?ちょっと!勝負は!?」
「私の負けでいいよ 今日のところは」
やってられない こんな馬鹿には付き合いきれないね
「少しは強くなったんじゃないの?」
そう言うだけ言って私は場を去る 朝の仕返しだ

場を去るときに、静かになったなと思いチラリとだけ後ろを見た
その時の彼女の顔には、安堵の表情が浮かんでいた
私より年上なのに、まだまだ子供だね

エピローグ ??:??

後日、私はとある計画を思いつく
彼女の過去を(平和的交渉で)広報部に聞いたところ、彼女はろくに教育を受けていない時期があったそうだ
私自身、知恵が力になるという場面に多く出会ってきた
それは戦士でも変わらない それを教え広める場所を私は作ることにした
そして、私は今その場になろうとしている場所に立っている
「何とかなるもんだね 私の手腕のおかげかな」
「これ以上、馬鹿には付き合ってられないし、一応生徒のお誘いだけしておくか…」
ポラリス専門学校 そう名付けられたこの学び舎が私の新たなる戦場だ
―end.

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