「
星めぐりの歌」はオペラ「
双子の星」でも使われた宮沢賢治作曲のメロディー。
1995年の合唱名曲シリーズNo24のF4として、第48回全日本合唱コンクール課題曲となった。
混声五部版もあり、1998年に宇都宮大学混声合唱団が仙台で開催したサマーコンサートの合同演奏で初演された。
あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の つばさ
あをいめだまの 小いぬ、
ひかりのへびの とぐろ。
オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす、
アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち。
大ぐまのあしを きたに
五つのばした ところ。
小熊のひたいの うへは
そらのめぐりの めあて。
カシオピイア、
もう水仙が咲き出すぞ
おまえのガラスの水車
きっきとまわせ。
アンドロメダ、
あぜみの花がもう咲くぞ、
おまえのラムプのアルコホル、
しゅうしゅと噴かせ。
どっどど どどうど どどうど どどう
青いくるみも吹きとばせ
すっぱいかりんも吹きとばせ
どっどど どどうど どどうど どどう
雨はざっこざっこ雨三郎、
風はどっこどっこ又三郎。
ポッシャリ、ポッシャリ、ツイツイ、トン。
はやしのなかにふる霧は、
蟻のお手玉、三角帽子の、一寸法師の
ちいさなけまり。
ポッシャリ、ポッシャリ、ツイツイ、トン。
はやしのなかにふる霧は、
くぬぎのくろい実、柏の、かたい実の、
つめたいおちち。
ポッシャリ、ポッシャリ、ツイツイ、トン。
はやしのなかにふるきりの、
つぶはだんだん大きくなり、
いまはしずくがポタリ。
ポッシャリ、ポッシャリ、ツイツイ、トン。
はやしのなかにふるきりは、
いまはこあめにかぁはるぞ、
木はぁみんな、青外套。
ポッシャン、ポッシャン、ポッシャン、シャン。
きらめきのゆきき
ひかりのめぐり
にじはゆらぎ
陽は織れど
かなし。
青ぞらはふるい
ひかりはくだけ
風のきしり
陽は織れど
かなし。
にじはなみだち
きらめきは織る
ひかりのおかの
このさびしさ。
こおりのそこの
めくらのさかな
ひかりのおかの
このさびしさ。
たそがれぐもの
さすらいの鳥
ひかりのおかの
このさびしさ。
ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、
さそりの赤眼が 見えたころ、
四時から今朝も やって来た。
遠野の盆地は まっくらで、
つめたい水の 声ばかり。
ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、
凍えた砂利に 湯げを吐き、
火花を闇に まきながら、
蛇紋岩の 崖に来て、
やっと東が 燃えだした。
ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、
鳥がなきだし 木は光り、
青々川は ながれたが、
丘もはざまも いちめんに、
まぶしい霜を 載せていた。
ガタンコガタンコ、シュウフッフッ、
やっぱりかけると あったかだ、
僕はほうほう 汗が出る。
もう七、八里 はせたいな、
今日も一日 霜ぐもり。
ガタンガタン、ギー、シュウシュウ
つめくさの花の 咲く晩に
ポランの広場の 夏まつり
ポランの広場の 夏のまつり
酒を呑まずに 水を呑む
そんなやつらが でかけて来ると
ポランの広場も 朝になる
ポランの広場も 白ぱっくれる。
つめくさの花の かおる夜は
ポランの広場の 夏まつり
ポランの広場の 夏のまつり
酒くせのわるい 山猫が
黄いろのシャツで 出かけてくると
ポランの広場に 雨がふる
ポランの広場に 雨が落ちる。
つめくさのはなの 終る夜は
ポランの広場の 秋まつり
ポランの広場の 秋のまつり
水を呑まずに 酒を呑む
そんなやつらが 威張っていると
ポランの広場の 夜が明けぬ
ポランの広場も 朝にならぬ。
つめくさの花の しぼむ夜は
ポランの広場の 秋まつり
ポランの広場の 秋のまつり
酒くせの悪い 山猫は
黄いろのシャツで 遠くへ遁げて
ポランの広場は 朝になる
ポランの広場は 夜が明ける。
(ポラーノの広場のうた)
つめくさ灯ともす 夜のひろば
むかしのラルゴを うたいかわし
雲をもどよもし 夜風にわすれて
とりいれまぢかに 年ようれぬ
まさしきねがいに いさかうとも
銀河のかなたに ともにわらい
なべてのなやみを たきぎともしつつ
はえある世界を ともにつくらん
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