鈴木輝昭と、千原英喜の合唱作品を掘り下げるWiki。

男声合唱組曲「松の針

曲データ

編成TTBB
妹は哭き
松の針(第二稿)
林と思想

初演データ

表題曲のみ組曲初演
初演日2019年12月20日2021年12月26日
初演演奏会関西大学グリークラブ創部70周年記念第61回定期演奏会関西大学グリークラブ第62回定期演奏会
初演会場川西市みつなかホール川西市みつなかホール
初演指揮西岡茂樹飯沼京子
初演合唱関西大学グリークラブ関西大学グリークラブ

作品について

宮沢賢治作詩。

妹は哭き

妹は哭き
兄は小松の梢を見き

松の針

  さつきのみぞれをとつてきた
  あのきれいな松のえだだよ
おお おまへはまるでとびつくやうに
そのみどりの葉にあつい頬をあてる
そんな植物性の青い針のなかに
はげしく頬を刺させることは
むさぼるやうにさへすることは
どんなにわたくしたちをおどろかすことか
そんなにまでもおまへは林へ行きたかつたのだ
おまへがあんなにねつに燃され
あせやいたみでもだえてゐるとき
わたくしは日のてるとこでたのしくはたらいたり
ほかのひとのことをかんがへながら森をあるいてゐた
   《ああいい さつぱりした
   まるで林のながさ来たよだ》
鳥のやうに栗鼠のやうに
おまへは林をしたつてゐた
どんなにわたくしがうらやましかつたらう
ああけふのうちにとほくへさらうとするいもうとよ
ほんたうにおまへはひとりでいかうとするか
わたくしにいつしよに行けとたのんでくれ
泣いてわたくしにさう言つてくれ
  おまへの頬の けれども
  なんといふけふのうつくしさよ
  わたくしは緑のかやのうへにも
  この新鮮な松のえだをおかう
  いまに雫もおちるだらうし
  そら
  さわやかな
  terpentineの匂もするだらう

           註
            ※ああいい さつぱりした
             まるではやしのなかにきたやうだ

林と思想

そら、ね、ごらん
むかふに霧にぬれてゐる
蕈(きのこ)のかたちのちいさな林があるだらう
あすこのとこへ
わたしのかんがへが
ずゐぶんはやく流れて行つて
みんな
溶け込んでゐるのだよ
 こゝいらはふきの花でいつぱいだ

楽譜・音源


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