『Ceonsoyclopedlia』は、Censor(検閲)にまつわるEncyclopedlia(百科事典)です。旧称『表現規制用語集』。民主主義社会の根幹をなす最重要の「人権」である表現の自由――その規制・弾圧・バッシングにまつわる事例や用語について、あらゆる知識を保存伝達するためのサイトです。

【取材源秘匿の自由】が争われた著名判例。最判昭和27・8・6。
 もともとの事件は税務署員の収賄事件なのだが、その事件に対する逮捕状の内容が朝日新聞に漏洩し、翌日の朝刊紙面に掲載されたことで、その情報漏洩そのものも国家公務員違反被疑事件として捜査対象となったというものである。犯人はあくまで「情報を漏洩した何者か」であるが、その情報の受領者である石井記者が証人として召喚され、情報漏洩者について証言を求められた。
 石井記者は証人としての宣誓及び証言をすべて拒否したため、刑事訴訟法161条の証言拒絶罪に問われた。
刑事訴訟法161条 正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだ者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 石井記者側は憲法21条の言論および【表現の自由】を盾とし、また記事の出所を秘匿することは新聞倫理の遵守でもあることから、同上の「正当な理由」に該当すると述べたが、三審とも有罪となっている。
 最高裁は、
第百四十九条 医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けたため知り得た事実で他人の秘密に関するものについては、証言を拒むことができる。但し、本人が承諾した場合、証言の拒絶が被告人のためのみにする権利の濫用と認められる場合(被告人が本人である場合を除く。)その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない。
 の条文があくまで「限定的列挙であつて、これを他の場合に類推適用すべきものでないことは勿論である」ことを述べ、また憲法21条の言論表現の自由は国民一般の自由を認めているものであり、新聞記者に特権を与えるものと解することはできないとした。
 そして、
憲法の右規定の保障は、公の福祉に反しない限り、いいたいことはいわせなければならないということである。未だいいたいことの内容も定まらず、これからその内容を作り出すための取材に関しその取材源について、公の福祉のため最も重大な司法権の公正な発動につき必要欠くべからざる証言の義務をも犠牲にして、証言拒絶の権利までも保障したものとは到底解することができない。
 と判示し、新聞記者の証言拒絶権を否定した。

 ただしこれは刑事裁判に関するもので、民事裁判においては証言拒絶権を認めた条文・判例が存在している。

参考リンク・資料:
石井記者証言拒否事件 上告審判決
【憲法判例】石井記者事件の概要と判例の趣旨をわかりやすく解説
 

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