夜闇を静かに照らす焚火のような、悠然とした雰囲気の内に凛々しさを感じさせる青年。
薄く焼けた肌に、視界を遮らない程度に切られた赤髪、獲物を睨み付ける獣の如き鋭い眼差し。簡素な腰巻以外は何も身に着けていない恰好はまるで野生児。
しかし誰彼構わず噛みつく獰猛さではなく、泰然と構える獅子のような気高さを帯びている。着飾らない自然体の威厳、ゼウスの血を引くが故の天性の王者の相の持ち主。
皮膚に刻まれた赤い紋様もまた彼の神性を表すものであり、心臓が脈打ち血液が循環するように絶えず模様が変化している。神性に由来するもののため魔術回路などの神秘を認識する力を持たない一般人には視えない他、意識することで一時的に消すことは可能。
体つきはしっかりと筋肉がつきながらも引き締まっており、強さとしなやかさを兼ね備えている。半神半人のため人の形をしながらも生物学的な人間ではあり得ない異様に発達した部分もあるが、それが却って現実離れした肉体美を醸し出している。
本人曰く「これでもまだ成長途上」らしく、最終的には
背丈も体格も人並外れた状態になるとのこと。
今回の聖杯戦争においてはオレンジ色のノースリーブパーカーにベージュ色のズボンの裾を捲くって短くしたラフな格好が普段着。動きやすさは勿論、暑い地域なので熱を吸収しにくい明るい色の服を選ぶなど合理的な服装選びをしている。
ただし靴と靴下に関しては「窮屈に感じる」「歩きにくい」「そもそも並大抵のことでは傷つかないから邪魔」の三重の理由で必要性を否定している。日常時には仕方なく靴下のいらないサンダルで妥協しているが戦闘となると即脱いで裸足で戦場を駆ける。
やや険のある顔立ちや無骨な態度のせいで人付き合いを好まない一匹狼のような印象を抱かれることが多いが、実際には闊達で好奇心旺盛。
目新しい物に目がなく、異国の文化や環境への適応力が高い。未知のものに対して恐怖より先に関心を抱き、それについて知ろうと率先して行動する。
持ち物無しで無人島に流されても(そもそも泳いで本州に帰還できるだろうが)問題なく生活を送れるし、パソコンやスマートフォンといった最新鋭の機器を渡せば一日かからずに大体の利用法をマスターするなど高い習熟度を発揮する。
食の好みに関しても特に嫌いなものはない。マスターが外食するならそれに付き合い、家で食べるなら自分で作ってみたいと希望し、マスターや他者が作ってくれる場合はその好意に甘える。
アルケイデスにとって外食や誰かの作る食事とは「現代の食文化の調査」であり、家での食事は「調べた料理を再現し、調理技術を身に着ける実習」である。
自分の欲求には素直だが、それ以上に他者を尊重し、また他人に真摯に向き合う性格。
「十二の試練に挑む直前のアルケイデス/ヘラクレス」であったのならまだしも、今の彼は十二の試練を受けるキッカケとなった「愛する息子たちを手にかけた罪悪感」すら記録としてしか知らず実感のない状態であり、生きていく上での方針、生涯を通しての行動理念という物に欠けている。
そのためまずは学習することに専念しており、自分で機会を探すのは勿論、他人がどう生きよう・どう在ろうとするかを見ることで「自分もそう在りたいと思うか、そうでないならどう在りたいと思ったか」と自分自身に投げかけているのである。
その一環として他者とのお話も好み、真面目な対話もたわいない会話も喜んで付き合う。
良くも悪くも遠慮がないため、時として相手が気付いてほしくない・言及してほしくないところを正面から突き付け逆鱗に触れてしまうこともあるが、同時に相手自身も気付いていない美徳を見出し、主観的に偏っているとしても相手の在り方を善いものだと臆せず評価してみせることもある。
そういった時のアルケイデスに、相手は成長途上の青年ではなく先達たる大人の姿を見るかもしれない。
それもそのはず、前述した通り彼には記録とはいえ「将来、自分が辿ることになる
未来の人生」のことを知っている。
あくまでもそれは記録に過ぎず、自分の体験談ではない、自分自身の意見ではないとしっかり線引きしたうえで、自分が最も良く知る他人はこう思い、こう悔い、これを尊んでいたと相手に教え諭すこともある。
このように、彼はマスターや他人から多くを学ぼうとする少年でありながら同時にマスターや他人を導く大人としての面影を見せることがあるが、彼自身は他者と対等な関係であると考え、そうあることを相手に求める。
生まれの差、貧富の差、経験の差がある以上、誰しも平等ではない。それでも自分は自分、他人は他人であり、どちらが強く優れているかを比べることはできない、故に対等。
時として対立し衝突することがあり、勝敗を決したとしても、勝者となった自分を強く優れている、敗者となった相手を弱く劣っていると驕らず、勝利を卑下して戦いそのものや敗者となった相手を貶めることもしない。逆も同じ。
何とも比べられない、何にも代えられるはずのない相手の輝きを確と見つめ、自分の在り方を模索する求道者。それが今ここに召喚されたアルケイデスの本質である。
人間性がそうであるように、戦士としても若くして優れた素質を開花させつつも未熟。
恐れ知らずの若獅子。良く言えば勇猛果敢、悪く言えば大雑把。
「何はともあれ、当たって砕く」をモットーに出たとこ勝負を挑みがち。それでいて地力の高さ故に大体はそれで何とかしてしまうなど窮地を打破する胆力はあるが、それは同時に窮地に陥らないようにする細やかさ・思慮深さに欠けているということでもある。
正面からの戦いであれば勝てずとも負けることはまずない猛者だが搦め手への対応はまだまだ苦手で、罠にかかり相手の思惑を読み切れないことも多い。
窮地に強いと言えば聞こえはいいが裏を返せば窮地には陥ってしまうということ。如何なる困難も踏破するのは勿論、並大抵の困難は笑って受け流してしまう本物の天下無双には程遠い。
とは言え、彼は既にして
アルケイデス。相応の経験を積めば大英雄になるのは必然、運命といっても過言ではなく、聖杯戦争という過酷な環境を乗り越えていくことで逞しく成長していくこととなる。
聖杯にかける願いではないが、彼は聖杯戦争を通して“自分はどうあるべきか”という空白を埋めたいと思っている。
「自分は自分、他人は他人であり、どちらが強く優れているかを比べることはできない、故に対等である」────正確には、そうあろうと努めている。
その考え方の根底にあるのは、自分が異常であることの自覚と、そこから生じた疎外感への恐怖である。
アルケイデスは、身を以て経験している。自分はあまりにも他者とはかけ離れた存在であることを。
アルケイデスは、未来の記録だが知っている。一時の間だけ肩を並べることはあっても、終ぞ本当の意味で並び立つ存在はいなかったことを。
彼がただの少年であったのなら、単純に他者と一線を引いていたか、もしくはそんなのは成長していけばどうとでもなる、今はまだ井の中の蛙でしかないと一蹴していたかもしれない。
彼が生涯を駆け抜け切った英雄であったのなら、今の自分では思いつかない、彼なりの答えを出しているのだろう。
だが、若い心のままに、生涯の記録を知ってしまった彼の心の内には、彼自身も自覚していない恐怖が芽生えてしまった。
楽観的になり切れず、しかし諦めきることもできず。拭い難い恐ろしさを振り切りたいという無自覚の想いが、彼を他者と向き合わせ、相手のそれは異常性ではなく個性であり他人との絶対的な隔絶を生むものではないことを証明させようと追い立てている。
その志は単なる現実逃避ではなく、他者と向き合うことは人として善い在り方であることは間違いない。だがそれはある種、他者を鏡としている行いであり、そのままでは彼は終ぞ答えを見つけることはできない。
鏡は悟りの具ならず、迷いの具なり。
彼に必要なのは、他者という鏡面の向こう側から見つめ返す自分自身ではなく、垣根なく偏見なくはっきりとこちらと向き合い見てくれる他者である。
もしもそんな、夜闇を優しく照らす月光と出会えたのなら────焔は全ての翳りを振り払い、一切の不純無き煌々たる輝きを見せるだろう。
イメージカラー:
ファイヤーレッド
特技:動物の生け捕り、魚の活〆、運動全般
好きなもの:人間、冒険、未知
嫌いなもの:孤独、
異常
天敵:
願い:無し。マスターの願い優先/
自分が誰かと共に在っていいと証明したい
CV:寺島拓篤
【一人称】俺 【二人称】お前 【三人称】あいつ