蓋の画像
正面の画像
フランクス・キャスケット(フランクスの小箱)は、学芸員のオーガスタス・ウォラストン・フランクス氏が大英博物館へ寄贈した骨董品。
鯨骨製で、図像とルーン文字が刻印されている。
エッダ・サガなどの文献伝承が基本的に1000年代以降(アイスランド入植後)の編纂なのに対し、この骨董品は800年頃の製作とされている。
エギルに関係する図像は蓋と正面左。
蓋の図像は巨人の群勢へ矢を射る射手と、その後ろの女性。
刻まれたルーン文字はᚨᚷᛚᛁ[Agli]
*9。
明らかに射手エギルの表記揺れで、図像も射手なためエギルの可能性が高いと推測されている。
後ろの女性はエルルーンと推測される。
異説ではAgliとはアキレウスを指しトロイア戦争の図像であるという説や、
危難のような意味を指す失われた単語なのではないかという説などがある。
正面左はヴェルンド伝承の一場面を指すと考えられる。(正面右は東方の三博士)
左側に鍛冶道具を持ったヴェルンド、その足元にニズング王の息子の死体。
その右方にはヴェルンドから製作品を受け取るニズング王の娘と侍女。
右端で多数の鳥を捕まえている男が、羽衣の材料を集めるエギルと思われる。
あるいは失われた昔の伝承では材料を集めるのは三兄弟の残り1人のスラグヴィズで、蓋のエギルと合わせて3人が揃う、という構成の可能性もなくはない。