kagemiya@ふたば - 白雪姫(讐)
「わたくしとご一曲、踊ってくださらない?」

「嫉妬にはご用心なさってね? 緑色の目をした怪物ジェラシーはひとの心をなぶって餌食にするのだと、シェイクスピアも書いてらっしゃるでしょう」


基本情報

【元ネタ】史実(+グリム童話)
【CLASS】アヴェンジャー
【マスター】
【真名】マリア・ゾフィア・マルガレータ・カタリナ・フォン・エルテル
【異名・別名・表記揺れ】白雪姫シュネーヴィッツェン
【性別】女
【身長・体重】167cm・57kg(棺除く)
【肌色】雪のような白 【髪色】漆のごとき黒 【瞳色】翠
【スリーサイズ】85-61-90
【外見・容姿】黒髪のゆるふわウェーブ
【地域】欧州、バイエルン王国(ドイツ)
【年代】18世期
【属性】混沌・善
【天地人属性】人
【その他属性】人型
【ステータス】筋力:C 耐久:B 敏捷:C 魔力:A 幸運:E 宝具: B+

【クラス別スキル】

復讐者:A

 美し過ぎたが故に多くの女性の嫉妬と男性の劣情を一身に集めた在り方がスキルとなったもの。
 周囲の女性からの敵意と男性からの劣情を向けられやすくなるが、向けられたその感情は直ちにアヴェンジャーの力へと変化する。

忘却補正:D

 人は多くを忘れる生き物だが、復讐者は決して忘れない。
 彼女に負の感情を向けた者の顔は、たとえ本人が忘れたとしても、彼女だけは決して忘れない。

自己回復(魔力):C

 彼女に負の感情を向ける者への復讐が果たされるまで、その魔力と執念は延々と湧き続ける。
 劣情と嫉妬を向ける人間を、自ら再生産し続ける彼女に復讐の果ては訪れるのだろうか。

【保有スキル】

対魔力:A

 ランクA以下の魔術は全てキャンセルされる。
 事実上、現代の魔術師ではアヴェンジャーに傷をつけられない。
 幻想種である七人の妖精の加護であり、高レベルの対魔力を保持する。

神の恩寵(歪):A

 生まれながらの最高の美貌と、完璧な黄金比を持った肉体の顕現を示すスキル。
 男性を惹き付ける魔性のカリスマであり、女性に対しては嫉妬を含んだ、羨望を湧かせる感情を誘引する。
 ただ存在するだけで、自分を守る騎士たる異性を引き寄せる。彼女のそれは既に呪いの類である。
 同ランクの対魔力スキルで回避可能。
 アヴェンジャークラスでの現界のため、彼女を見た際にもたらされる感情が、一元的に限定されるよう歪められている。
 劣情と嫉妬の感情が力となるアヴェンジャーにとって、非常に相性が良いスキルとなっている。

加虐体質:B

 戦闘において、自己の攻撃性にプラス補正がかかるスキル。
 プラススキルのように思われがちだが、これを持つ者は戦闘が長引けば長引くほど加虐性を増し、普段の冷静さを失ってしまう。
 バーサーカー一歩手前の暴走スキルと言えるだろう。
 復讐対象の継母に灼けた鉄の靴を履かせ、死ぬまで踊る様を見て愉しんだ逸話から獲得したスキル。

【宝具】

不滅を謳う硝子の白棺ディ・シュネーヴィトヒェン・アウス・グラザーン・ザルク

ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
 戦闘中、自身の霊核に深刻なダメージを受けて死亡した場合に発動。死亡しても自動的に蘇生(レイズ)がかかる。
 白棺に納められた蘇生のストック数は三回。つまり、アヴェンジャーは四回殺されなければ消滅しない。
 一応命のストックは魔力供給で回復できるが、一つの命につき、魔術師一生涯分の魔力量が必要となるため現実的ではない。
 これは生前アヴェンジャーが一度目に絶命した際、七人の妖精がその死を嘆いて、美貌が永遠に損なわれることのないように作り上げた棺である。
 本来自然界から少しずつマナを吸い上げ、身体を美しいままに保つ程度のものであったが、彼女の際限ない復讐心と執念により変容し、膨大な魔力を吸い上げ肉体を三度復活させるまでに至った。
(一度目は、腰ひもで締め上げられて。二度目は毒の櫛に刺されて。そして三度目は毒リンゴを食べさせられて絶命したという)
 その後、魔力を際限なく吸い上げる彼女に危機感を覚えた精霊たちにより取り上げられる(が、ロアー・アム・マインから出土したこの棺を触媒に召喚されるとこの宝具が復活する。)

鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰かしらダス・グリュンオイジーズ・メッチェン/メルヒェン

ランク:B+ 種別:対軍宝具 レンジ:30、60 最大捕捉:100人、500人

「ごきげんよう……ここは魔鏡の舞踏会城。わたくし付きの怨嗟と嫉妬の楽団員たちみのほどしらずが、皆さま方をいざないましてよ! 妬いた罪には、灼けた靴での輪舞曲がお似合いですわーーー鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰かしらダス・グリュンオイジーズ・メッチェン/メルヒェン!」

 その身に受けた嫉妬の具現化であり象徴である、緑色の炎に包まれた鏡貼りの宮廷舞踏会場を生み出す固有結界。継母殺しの再演。
 この領域内にいる全ての人物には、精神汚染にも似た嫉妬、劣情と好奇の視線や声が脳内に蔓延り続ける。
 結界内にいる限りは足元から燃え続け、アヴェンジャーが宝具を止めない限りは、殺すか死ぬまで踊(たたか)い続けることとなる。
 加虐体質による補正がかかるほど、その力は増すことだろう。

Das grünäugige Mädchen/Märchen
緑色の目をした少女/幻想物語

『我が身の安寧、つゆ白雪の如く儚く』

ランク:C 種別:対自宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
 グリム童話『白雪姫』中での、狩人との一幕「城に帰らない代わりに猪の心臓を渡し、自分のことを見逃して貰う」という約束を交わし、絶大な探知能力の魔境を持つ継母のしつこい追求をひと時は逃れえたことに端を発する宝具。
 自身の姿と正体を隠蔽することができるが、代わりに第二宝具・一部スキルなどの能力も使えなくなる。

【Weapon】

『緑色の炎』

魔力放出(炎)。
 緑色=嫉妬というのは西欧で昔から広く使われた表現であり、嫉妬で破滅を迎えた彼女は意趣返しとばかりに、その身に向けられた感情を魔力で編んだ緑炎として全てを焼きつくす。

『棺』

 けっこう丈夫。なので鈍器としても使える。

【解説】

 雪のように白い肌、黒檀の髪、吸い込まれそうな翠色の瞳、血潮のように紅いくちびるにドレスを纏った麗しいただの美少女であるように見える―――背中に自分の体格以上に大きな棺を背負っていること以外は。
 通称「白雪姫(シュネーヴィトヒェン)」。真名はマリア・ゾフィア・マルガレータ・カタリナ・フォン・エルテル。
 バイエルンのロアー・アム・マインで幸せに暮らしていた美しい王女のマリアは、実母の死と継母が王城へやってきたことを転機に人生の坂道を転がり落ちることとなる。
 父や王子、他の貴族の男たちから愛された彼女(純粋なものよりも劣情が多いが)。
 それが面白くない宮廷の女たちによる、仄暗い嫉妬の炎は、ついに凶行を決意させるまでになる。
 その後の顛末はほとんど童話に語られるものと同じだが、継母へ復讐を遂げたのちも父の後妻たちからの嫉妬と嫌がらせは凄まじく、彼女は父の意向により僻地の領地に送られた。
 しかしながら、呪いとも呼ぶべき美貌のためか、そこでもめでたしめでたしとは行かず、同地で恋に落ちたスペインから来ていた王子との仲をよく思わない人々の手によりまたもや毒を盛られ失明。そのままバンベルクの修道院に入ったのち21歳でその若い生涯を終える。
 女の嫉妬の感情と男の情欲に狂わされた彼女は、再び復讐者(アヴェンジャー)となり、復讐劇を始める。
 元の髪色はブロンドであったが、一度目にリンゴで毒殺された際に抜け落ちたため妖精たちに頼んで、憧れだった黒い綺麗な髪に変えて貰ったという。

【人物・性格】

 継母が来る以前の幼少〜少女期の性格としては「貧者と苦しみに対して慈悲深い、非常にかわいらしい少女」と地元の公文書館に記されていたほど、貴族にあって清廉で慎み深く心の優しい人物であったという。
 だが、アヴェンジャーとして呼ばれた彼女は継母が来た以後の時代からさらに歪んでおり、嫉妬の象徴である緑色の炎を魔力で編み上げ、女性の髪や顔を燃やし尽くすことを至上の喜びとする。
 それは自分ーーマリアのように嫉妬に歪められずに生きることのできる他の女性ーー彼女たちへの、これもまた嫉妬の感情であることをマリア姫はまだわかっていない。
 男性に対しても家畜以上の認識をすることは少なく、特に隠しもせず劣情をぶつけてくる相手には、たとえマスターであっても容赦なく仕置きするだろう。
 また、顔を焼くことで目を開けないようにするのはダンテの『神曲』煉獄編で描写された、嫉妬の第二冠での罪人たちが同じ誤ちを繰り返さないために、両眼を針金で縫って開かないようにしたという話を参考にしているようだ。
 関連する話としては、第二冠でダンテの会話した嫉妬で煉獄へ来たサピアという女と関連させられることを嫌う。
(サピア(伊語)→ソフィア(英語)→ゾフィア(独語)となるので)

イメージカラー:深い緑
特技:燃やし尽くして人物相応の風貌にメイクしてあげること
好きなもの:肌と髪が燃える時の不快な臭い
嫌いなもの:持たざる者の嫉妬
天敵:毒

【一人称】わたくし 【二人称】あなた 【三人称】

【因縁キャラ】

マリー・アントワネット(原作):自己と同じく神の恩寵の如き美貌を持ちながら、博愛的な精神性を見せているのが気に食わない。
また、英霊という存在の醜悪さを直視せざるを得なくなるのでマリアには珍しく、刺々しく突っかかる。心の奥底ではマリアにはもう、到底手の届かぬ崇高な精神的美しさ(裏切られたものへの赦しなど)に対して嫉妬を持っているのかもしれない。

『真に美しいものは、何かを少しも付け加えたり減らしたいとは思わない完全性*1とは誰が仰った言葉だったかしら。わたくしたちのようなものは、傅かれるままにそこにあるだけで良いのよ』
『それにしても、英霊という存在はたいそう美しくないものだと思いませんこと? 誰も彼もが人生の影法師、そのまた影法師を一側面として切り取られてしまうんですもの。人目を憚る関係のお方あいじんを拐かし、国を見捨てて逃げようとした王妃ですら、博愛の女神をお気取りになるなんて……マリー様も、お気をつけ下さいませね?』

ちなみにマリアはヴァレンヌ逃亡事件を、アントワネットが亡命しようとしたのではないとちゃんとわかっている。その上で煽っている。
ただ、計画の杜撰さや無計画にはいささか嘲笑が絶えないようだが。

グリム姉妹:童話の元になることは有名税と仕方なく思いながらも、書かれ方が一部気に入らないらしい。具体的には白雪姫が学習能力もなく幾度と継母の計略に騙されること。
『わたくし、それほどおつむがいまいち優れないようにお見えになったのかしら? 「美しい女はきっと学習能力に難がある」という空想と偏見によるものであるなら、少々お痛をご覚悟された方がよろしくてよ』

ダンテ・アリギエーリ:生前読んだ『神曲』に感銘を受けており、表現の細やかさや描写の一つをとっても筆舌に尽くしがたい、天に祝福されし者の手腕だと思っている。しかし……
『「嫉妬」自体は地獄へ墜ちるほどの罪業ではないというところが、わたくし納得いきませんでしたの。あなたに舌を尽しても仕様がございませんけれど、嫉妬で起こった破滅には枚挙に暇がありませんもの』

【台詞】


「ごきげんよう。わたくしは正当な報復をなす者アヴェンジャー。お名前を申し上げるよりは『白雪姫』という方が、お耳の通りがよろしいかしら。あなたには、身の程を弁えた関わり方知的なお振舞いを期待させていただきますわね」

「あら、滑稽こせいてきな装いの方々ね」

「ドレスコードはお気になさらないで。わたくしが洒脱にお仕立てさしあげますわ……」

【コメント】

白雪姫の元となった女性。童話であったことも一部史実であったと解釈して構成した。
基本的にお嬢様言葉で話、人をけなすときは婉曲的に表現する……けど、この縛りがけっこう面倒臭い……
参考
・お嬢様言葉
http://www.din.or.jp/~rukumo/stone/ojousama.htm
・貴族のめんどくさい実態
明日は舞踏会 (中公文庫) 鹿島 茂

【FGO風ステータス】