プリンセスティアーズ第2禁書庫 - 迷宮と奇蟲5

迷宮と奇蟲5

作者:rima

プロット元に依頼して書いていただきました。




【生体実験区画を探索。】
【端末の中に研究内容があった】



 端末をチェックすると、ある研究内容が記されていた。

(新種の生命体…培養実験プログラム…。この装置で新しい生命を生み出そうとしていたということ?)

 断片的には理解できる内容だった。しかし、肝心の部分で特殊な専門用語が並び、実験の詳細は不明瞭だ。

(適合する特殊な母胎が不足…。はぁ、また異常な実験には違いなさそう)

この施設で発見してきた危険な実験内容の数々を脳裏に浮かべてしまい、また下腹部に異常な熱がこもり始める。
分かる範囲で見ても、生命の倫理を無視したとんでもない実験を行っていたのは明白だった。
 
(こっちにあるのは、モジュールチップの書き換え装置ね)

 傍にある別の装置では命令を下すモジュールチップが書き換えられるようになっていた。そこでふと、あたしは端末を操作する手を止める。

(実行前の実験命令が入ったままね…。つまりブランクのチップに書き換える前に何らかの出来事があって、そのまま放置されていることになって…)

 経緯は不明だけど、今見た研究内容に関連する実験命令だと分かる。それは、新種の生命体を生み出すというかなり危険な実験なのだろう。

(もう少し調べた方が良さそうね)

 あたしは実験命令の内容を詳しく解読することにした。
 しかし、またしても数多くの専門用語に阻まれ、詳細は不明瞭だった。

(どちらにせよ、最悪の生体実験を行おうとしていたことに違いはないじゃない…!)

 手詰まりになると同時に、怒りと恐怖が込み上げてくる。
 
(母胎ってつまり…女性の身体を使うってことよね…?)

 ふと、気づけばあたしは自分のお腹を押さえていた。ビキニアーマーを着用させられ、無防備に露出した素肌。この小さな身体の中にあの巨大幼虫のような怪物が宿って…

(い、いや…そんなの孕んじゃったら…産まなくちゃいけなくなっちゃう…!)

 ジンジンと疼く股間部からいやらしい愛液が太腿へと垂れ落ちる。同様にぴったりとビキニアーマーが吸着した乳房の先端が痛いほど張り詰めていた。

(あぁ…だめっ。今、妊娠したら…絶対に出産することになるの…しかも撮影までされて…!)

 今のあたしの子宮は被検体として登録済みだ。万が一、強制的に実験が実行されることがあったとしたら、逃れられる自信がない。

 端末を操作する。なんと、ブランクのチップは以前のものが刺さったままのようだ。
あたしは実行前の実験命令が表示された画面で一度手を止めた。

(これを書き換えてしまえば、おぞましい生体実験が始まってしまうのね)

 絶対にそれだけは許してはいけない。
 少女の本能的な部分が危機を訴え、嫌悪感で胸が締め付けられる。

“ブランクのチップを書き換える”

(あんな化物を妊娠するなんて…あり得ないから!)

 頭の中に残る理性で必死に否定しながらも、あたしは端末を操作していた。もちろん、この実験を止めるため、最善の行動をするつもりだったのだけれど…。

ブランクのチップの書き換えが始まりました。現在の進行度18%。進行度が30%を超えるとキャンセルできません。

(ちょ、ちょっと待って!なんで開始しちゃったのよ!)

あたしは驚きを隠せず、慌ててキャンセルをしようとする。
しかし、書き換えプログラムを開始したのは、紛れもなくあたしの意思で…。

キャンセル不可。キャンセルコードが間違っています。

(お、落ち着いてあたし…どこかにヒントが…)

現在の進行度32% 進行度が30%を超えました。キャンセルの受付を終了し、書き換え速度を最適化します。

(そんな…!あたしの手で…おぞましい実験に手を貸しちゃったってこと…?)

 目の前の端末は青白い光を放ち、進行度だけが目まぐるしく増加している。装置にとってはただのプログラムに過ぎない。あたしにとっては絶望でしかなかった。

女性の一番大事な部分を理不尽に利用する生体実験。あたしの身体を母胎として装置に認識させるためのプログラムを自らの手で実行に移してしまった。

(…実験の証拠品として書き換えたチップが必要だから…仕方なくあたしは…)

 最悪の想像が頭を巡り、お腹の奥底からどぷりと愛液が溢れ出す。

(んく…はぁぁ…そう、情報収集のためにするべきだったの!)

 その事実をかき消すように、脳裏で言い訳を並べ、あたしは自らの行動を必死に正当化した。




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