魔剣物語 - 十二英傑
【正史】

――――――この時代、大陸は《十二英傑》と讃えられる屈指の英雄達に彩られた時代でもあった。

一介の村娘でありながら国の危難を救うために立ち上がり、その神懸かった軍才によって
滅びつつある国を支えた“救国の聖女”ジャンヌ・ダルク

その財力に物を言わせて疲弊した小国を丸ごと「買い取り」、
独自に開発した兵器によって軍の近代化に成功した武田観柳斎

国一番の剣士であり、才知溢れる魔術師であり、最も優れた名将であり、
大陸でも有数の名君でもあった“赤バラ”ローズレッド・ストラウス

大貴族の子息でありながら冒険者としてその名声を轟かせ、戦場においても英雄的な活躍を見せた
ファブレ公爵家の嫡男、ルーク・フォン・ファブレ

無能であった父王を廃し、王室の資産の大半を傾いた国を立て直すために投じると共に、
自身も優れた将として前線で幾つもの勝利を重ねた“ロード”ディアーチェ

大陸一番の弓の名手であり、無数に在るエルフの諸部族が
一つの国家として纏まるきっかけを作ったウィリアム・マサチューセッツ

大陸最高峰の大剣士と謳われ、何人もの名の知られた武将を尽く一騎駆けで
討ち取ってきた“純潔の剣王”鬼龍院 皐月

「この時代で最も優れた人物は誰か?」―――後世の歴史学者達が
論ずる最大の命題において、必ずその名が上がる英傑トレーズ・クシュリナーダ

現代に続く錬金術の基礎、その全てをたった一人で完成させ、自身もまた
不老不死であったとされる大陸最強の魔術師、“開闢の錬金術師”カリオストロ

ナザリック大地下墳墓の主にして、魔物と不死者達の王国を築き上げた闇の帝王。
“守護者”と呼ばれる人外の将達の力で大陸を席巻したアインズ・ウール・ゴウン

特別な才も生まれもなく、ただ努力と研鑽によって大国の武力、
その頂点に立った稀代の英雄“完全者”ペルフェクティ

そして“人類最強”の武力を保有する“個人”。
誰もが例外なく最大最強の英雄と認めるアリーシャ・ディフダ

まさに英雄達による豪華絢爛。
何十年と終わりなく続く“乾いた戦争”は結果として英雄達の輝きを強め、彼らの力の拮抗により
さらに戦を出口のない迷路へと変えていった。この時代は英雄の時代であり、そして終わりのない戦争の時代でもあった。
――――故に、“十二英傑”に数えられぬその名が現れたのも、あるいは時代の必然だったのかもしれない。

《復讐騎》の行いは、確かに歴史の流れという観点から見れば一つの“偉業”であったかもしれない。
――――だが、如何に“偉業”を成し遂げたとしても、《復讐騎》は決して英雄と呼ばれるべき者ではなかった」
                                   ―――とある歴史家による《復讐騎》に関する記述

(ダイスで剣と魔法の修羅の国 その4)

【リプレイ】