小説家万城目学


偉大なる、しゅららぼん


万城目学によって書かれた小説。

「父さん、母さん―これまで十五年間、本当に御世話になりました。

明日から卒業までの三年間、湖の向こう側での暮らしになりますが、どうぞお身体大切に。

湖西日出の名に恥じぬよう、不肖涼介がんばって参ります」

と改めて旅立ちのあいさつを伝えた。

「本家のみなさんに、くれぐれも失礼のないようにね」

と母は一礼を返したのち、湯飲みに茶を注いだ。

「選ばれた日出家の人間だけが授かる栄誉だ。存分にやってこい」

と意外に真面目な顔で告げ、父は皿の花見団子を手に取った。

翌日、朝食を終え、役場へ出勤する父を見送ってから、僕はボストンバッグを担ぎ家を出た。

玄関で母に別れを告げ、バス停に向かった。

庭の桜の木が生け垣を乗り越え、はらはらと歩道に花吹雪を散らしていた。

少しだけ感傷的な気持ちになりながら、僕は長年住み慣れた湖西を離れ石走へと出発した。

登場人物
日出家
日出本家
日出淡八郎:淡九郎の父。すでに亡くなっている。
日出淡九郎:日出家当主。
日出幸恵:淡九郎の妻。韓流ドラマファン。湖の民ではない。
日出清子:淡十郎の姉。
日出淡十郎:淡九郎の息子。
藤宮濤子:お手伝いさん。
師匠:力の使い方を指導する師範。
源治郎:使用人。

湖西日出家
日出涼介:主人公。高校一年生。
日出洋介:涼介の父。
日出浩介:涼介の兄。

棗家
棗永海:棗家当主。
広海の母:湖の民ではない。
棗広海:高校一年生。
棗潮音:中学三年生。

葛西:淡十郎らのクラスメート。ガラが悪く、眉毛がやたら細い。
速瀬義治:市立石走高校校長。
速瀬(娘):淡十郎らのクラスメート。
倉知:高校一年生。以前読者モデルをしていたことがある。棗広海に気がある。

その他用語
湖の民:湖の力を借りて特殊な能力をあやつる一族。
石走:架空の地名。読み方は「いわばしり」。
不念堂:力の修行場所。
竹生島:琵琶湖の島。
マキノ:竹生島を中心として、石走と対角線上に位置する湖西の町。日出グループの別荘兼研修施設がある。
カロム:ビリヤードに似たゲーム。彦根カロムのことだと思われる。
二度付け:名前に関するルール。

本家の食事

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