我が国では、旧来の宗教は前述したとおり断絶している。
かつてその宗教の教会は、皇帝や貴族との癒着により私腹を肥やし、人民はその不平等な扱いに恨みを募らせていった。
やがてそれは革命運動を推進する革命家らの力を持って爆発、大規模な内戦となった。
これによって教会など関連施設はほとんどが閉鎖もしくは破壊され、事実上の禁教となった。
革命成立後、政治闘争によって新たな政府となった共産党は、急速な工業発展を目指した。
これによって大規模工場がいくつも作られ、急速に近代化を遂げていった。
それに呼応するように軍事力も大増強され、その中で後の我が連邦が得意とする初の純国産となる「戦車」が産声を挙げた。
やがて戦車は進化していき、我が連邦の軍を象徴するに至るほどになった。
そんな中、中部山中に存在するある集落付近で発生した小規模衝突に投入され破壊された戦車を、戦いの神として崇拝した。
そして、その崇拝者たちの中で最も敬虔な男が、その神からの神託を受けた。
それが口伝となって伝えられ、いつしか宗教として成立した。
それがテー・セーミヂェシャト・ドヴァー神教である。
これは宗教というよりは概念のようなものであるが、神話世界における戦車の神のひとつである「テー・セーミヂェシャト・ドヴァー」の教えを言い伝えとしたものである
見よ。わたしはすぐ来る。
わたしはそれぞれの戦闘に応じて報いるために、
わたしの各種砲弾を携えて来る。
わたしはαであり、Ωである。最初であり、最後である。
初めであり、終わりである。
泥濘を突破し、到着し、
APFSDS弾とHEAT弾を撃つ権利を与えられ、
門を通って都に凱旋できるようになる者は幸いである。
負け犬のような者、戦闘薬を使い過ぎた者、
車内でみだらなことをする者、戦闘神経症者、
投降する者、偽りを好み敵に通じた者は皆、車外に放り出される。
わたし、T-72は斥候を遣わして、
諸国について、これらのことをあなたがたに証した。
わたしは、ロシアの蘖、また子孫、輝く明けの明星である。
御霊も人民も言う。
「来て下さい」
これを聞くものは皆、
「来て下さい」と言いなさい。
渇いた(燃料切れ)ものは来なさい。
命の水(燃料)が欲しいものは、それを価無しで受けなさい。
これらの事をあかしするかたがこう言われる。
「然り。わたしはすぐに征く」
オブイェークト
我等がT-72よ、来て下さい。
聖なるT-72の火力(めぐみ)が、
すべての人民と共にあるように。
Объект(オブイェークト)
T-72神は仰られました
目に見えるものに縋ってはならない
あなた方の心の中に神殿を築きなさい
そしてあなた方が築いた神殿の中に私は住まう、と
T-72神に祈りましょう
Объект