全く意味が通じない酷い翻訳である。

猫族の戦士たちは、ジェディットの顔は理解できたが、彼のエフラヴァに対する熱烈な忠誠心は理解できなかった。

公式日本語版は、そもそも日本語として奇怪である上に、誤訳によってますます意味が分からなくなっている。
「recognized」を「理解」と翻訳しているのがそもそも問題で、これではジェディットが自分たちのリーダーであることは理解したが、彼の忠誠心に対する理解がないような意味にとれてしまう。さらに「熱烈な忠誠心」というのも奇妙な日本語であり、正確な意味を伝えることを邪魔している。
そんなにＭＴＧの世界を日本人に伝えたくないのだろうか。

The cat warriors recognized this Jedit’s face, but not his fierce loyalty to Efrava.

原文はこちら。
このフレーバーテキストは、そもそもこのカードの収録シリーズである「次元の混乱」についての背景ストーリーを理解しなければ、まず意味が分からない。
これを説明しているサイトは「mtg-story」さんくらいしか見当たらなかった。

このカードは、正史では故郷を旅立った「Jedit Ojanen / ジェディット・オジャネン」が、もしも故郷に留まったら？というＩＦを示したものだが、それだけではなく、次元の混乱によって「異なる歴史を辿ったジェディットが、現代にタイムスリップしてきた」という背景ストーリーを持ったカードなのである。
つまりこのジェディットの脇にいる猫族の戦士たちは、このジェディットと同じ時間軸のものではなく、（ジェディットから見て）未来の者たちである。

このフレーバーテキストは、彼らは歴史で学んだ英雄ジェディットの顔を覚えており、このジェディットが全く同じ顔をしている・・・つまり過去の英雄その人であるということはわかったが、このジェディットは彼らが知る歴史とは別の運命を辿っているため、本来のジェディットにはなかった異常なまでの故郷への忠誠心を持つため、その忠誠心に覚えがなかった、という意味なのである。