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14.カメリア - 18/03/15 00:42:48 - ID:PzTG2eNgzw
戦闘を行うための量産型機、そう聞いたら大多数の人はきっと使い捨ての駒や消耗品の一部、交換・修理すればいくらでもおなじように使える道具、そのように認識するのではないのでしょうか。
その認識は間違ってないと思います。事実、今まで数多の戦場で戦闘用に作られた機械兵や有機兵器が戦闘に使用され、消耗されていきました。その事実は揺るぎがないものであるから。
……私たちの体を構成するものが機械的であれ有機的であれ、戦闘のために生み出された存在ということにかわりはなく、消耗される備品であるただの物です。
唯一、特別といえるのは機械的に名づけられた識別名だけでした。
私の名前も、それにならって付けられていました。……あのときまでは。
ふと、視界の端に光を感じて、もう使い物にならなくなった右腕をみました。……これはもう腕、というよりはもう肘から先がなく、配線がむき出しになっている状態になっているので、もはやスクラップといったほうが適切かもしれないですね。
そこには、今の使用者から贈られたペンダントが巻きついてます。
かろうじて動く左腕を使ってそれをとりました。小さめのひし形のアメジスト、とても澄んだ綺麗な石。初めてあったときから自分のことを”ねずみ”と呼ぶ変わった使用者だとは思っていましたが、まさかこんな消耗品に過ぎない私に固有名を与えたばかりでなく、こんなものまで贈って来るとは思いませんでした。
この出撃の前、突然の呼び出しを受けた際に贈られたものですが、特にもらう理由もなく、むしろ戦闘時の邪魔になるので最初は突っぱねたのです。しかし、それでも、どうしても付けてほしい、使用者の命令がきけないのかと、無理やりに付けられました。しかなく装着すると、今までに無いくらい明るい表情を見せたのが今でもメモリに焼きついています。
近くで爆発音が聞こえます。頭部についたセンサーからはもう正確な音の位置を拾うことはできないですが、それでも自分の終わりがもうすぐ傍まで来ていることはわかります。おそらく、自分の位置はもう知れているのでしょう、着実に振動が大きくなっている。
「まったく、まったくも」
なんでこんなところで、ねずみさんを思い出すのでしょうか。そういえばそうだ、これをもらった日は確か3月14日ホワイトデー、そうか、あのお返しだったんですね。このペンダントは。
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