SS投稿スレッド

  • 57名無し - 18/03/21 09:24:18 - ID:P3LwpPUQ9A

    ※下の続きです

    私は、目を薄く開け、口を柔らかい笑みに変える。男性にとって、この表情は「効く」だろう。ハニートラップ専門の同僚の記憶を、見よう見まねで再現してみる。アンドロイドの愛と、人間の愛が等しいものであるなら、これがただのエラーではなく、何か大きなものの一歩だと確信出来る。これは、私にとっての、私の為の、感情への答えを出すチャンスのはずだ。賭けに成功すれば、私の存在が間違いではなかったと、そう思えるのだから。

    こういう時、人は愛情の発露として子を結ぶのだろうか。私にはそれが出来ない。今はまだ、誰かと子を結ぶ機能などなく、感情故のデータ上の異常と、子を生む事の出来る機能とは、根本的に別の物なのだから。彼が、戸惑ったようにこちらを見る。咄嗟に言葉を発しようとした口を、私は、私自身の唇で塞いだ。こんな事をするのは初めてだ。かつての同僚に、こんな風に感謝する事になるとは思わなかった。私は唇を、ゆっくりと離した。

    先程のキスで、私がどうしたいか、どうして欲しいか察したのだろう。私の出自を詳しく知るが故に、彼も私の願いを断れないはずだ。私は狡い女だろうか。小賢しい女だろうか。彼の同情心につけ込むような形で、私個人の賭けに彼を巻き込むのだから。それとも、これが人間臭さの…感情の、裏という者だろうか。やはり複雑だ。機械すら処理できない「エラー」として扱われる程に、感情とは目まぐるしいものだ。そっと、彼に触れる…。

    つい先程まで、私が寝ていたベッドに、彼と共に戻る。「こういう時、人間なら子を作ろうとするものでしょう」私が語るも、彼は無言のままだった。続きを促しているのだろう、私は話を続ける。「私には、生理現象はありません。子を生むことも出来ません。私にとって出来る最大限の事をしても、今はまだ、人と同じようにはなれないのです」「分かっている。」私の語りに、彼はそっと言葉を返す。次の言葉への反応で、賭けが決まる。

スレッド一覧に戻る
このスレッドに投稿する(は入力必須)

全角1000文字以内

※それぞれ5MB以下のJPG,PNG,GIF形式のファイルを3枚までアップロードできます。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

 

メニュー

(SS専用スレもあります)
右メニュー
(スマホ向け)

アンケート

第3回:諸事情により集計中止
(回答募集期間:2019/8/11 22:00-2019/9/13 23:59)
結果(簡易版)

第3回アンケートデータについて


過去分

公式グッズ

公式リンク集

のらきゃっと

(初代モデルでの動画)

ハッシュタグ集

ノラネコP

フリーエリア

どなたでも編集できます

メンバー募集!