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ギャグSS投稿スレ
14.名無しの天狗 - 18/03/28 01:40:24 - ID:RDSFIzoSpA
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変化は一瞬であった。モンエナに触れたミルクティーはすぐさま分離してしまう。
そして、
炭酸に反応したのか表面に泡が漂い始める。誰がこんな変化を予想しただろうか、いや
わかっていただろう。まず炭酸を温めている時点で疑念を抱くべきであった。のら様は
アンドロイドとして一般人より確実に優秀ではあるが、ポンコツ具合がそれを相殺して
いるのだ。私たちが意見を出すべきであっただろう。
だがもう遅い。背後に、ここ最近屋根裏に頻出するスースーウォーターの気配がするが、
それは無視する。もう同類の存在を感知したのか…!
のら様は無表情にそれをかき混ぜている。これは思考停止しているときの顔だ。あんぐり
する時もあるが、此方も可愛い。かき混ぜられたそれは、まるでホイップのように存在感を
主張している。たまに見え隠れする内部は玉子スープのような異物が流れている。
例えだが、卵スープが苦手になるぞ、これ。
これは、もう改善することもないだろう。だから―――
私が行きます。
ざわめき。意識を飛ばしていたのら様も、ねずみさん達も私の顔を凝視する。これは、
最初にのら様の言葉を聞いた私の責任だ。それに、飲食物を無駄にするわけにはいかない。
屍は拾ってください。なに、すぐにリスポーンしますから。
意を決し、それを口にする。まず感じるのは泡だ。紅茶の香りもミルクの風味もない、
ただの泡だ。ビールの泡などがあるが、これは生暖かい。辛い。
直後、液体が口内に流れ込む。不思議と異物感はない。そして味は、気の抜けた
モンエナだ。炭酸で誤魔化されていた味が直に感じられる。それを、私は嚥下した。
(ただ、微妙だ!!)
不味いわけでもない。決死の覚悟を絶妙に躱されたような、反応に困る味だ。なので、
私はこう告げるしかなかった。
微妙です。
その後、各地のねずみさん達が紅茶花伝とモンエナか、それに類似するものを買って
いってはあの飲み物を錬成し、その味を報告することが続いた。売り切れに膝をつく報告
も笑いの一コマになった。私の勇気は飲んでも安全だ、という確認の糧になったと思おう。
スースーウォーターの時とは違った連帯感がそこにはあった。
そうして、のら様はその飲み物に名前を付けた。
のらショット、と。
→実体験報告エンド
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