及川雫データベース - アイドルバラエティ みんなで大きく!冬の雪像コンテスト

概要

2018年2月15日から22日にかけて開催された6度目の「アイドルバラエティ」イベント。今回の雫はイベント最終上位報酬の「[ひんやり超大作]及川雫」であり、上位報酬となるのは1年半ほど前の第24回ドリームLIVEフェスティバル以来である。一緒に参加するアイドルは吉岡沙紀([雪像バラエティ]吉岡沙紀)に冴島清美([雪像バラエティ]冴島清美)、そして江上椿([はりきり雪椿]江上椿)の3人となっており、3人とも雫との共演は今回が初。
「バラエティ番組の仕事にアイドルが取り組む」というのがアイドルバラエティの基本コンセプトとなっており、今回は自分たちでデザイン・制作した雪像で雪像コンテストに参加するという体でイベントが進行していく。決められたテーマを仲間と協力してこなすという点ではアイドルチャレンジと似通っているが、ゲームシステムはもちろん両者で大きく異なり、個々のシチュエーションから難易度を選択して「応援」を行い、それをクリアした回数によってポイントを得るだけでなくシナリオが進行していくというのが大まかな流れになっている(詳細な説明は省略)。アイチャレ以上に「1つの物語としてのシナリオ」を重視しており、特定回数クリアするごとにシナリオが解放されていくスタイルはスターライトステージ(デレステ)における期間限定イベントのそれを踏襲していると言えなくもない。ちなみに今回のこのアイバライベント、同時期のデレステで行われていたイベント「Frost」と開催期間が重なっている(2018年2月19日〜25日)のみならず、Frostの方に登場している上条春菜と荒木比奈が「雪像コンテストの審査員を務める」旨の発言をしており、こちらのイベントを意識していることが窺える内容となっているので、機会があればそちらのコミュも参照のほどを。
この種のイベントの場合、最終上位報酬となっているアイドルがリーダー格となって他のアイドルを引っ張っていくのが常であるが、今回もその例に漏れず雫が参加アイドルたちの中心となって話が進行していく。これまで参加してきた海の家アイプロバレンタインアイチャレ、またセクシーギルティを始めとする各種ライバルユニットでも二番手ないし三番手となることがほとんどであった雫が本格的にリーダー的立場、即ち「一番手」に立つというのはもちろん初めてのことであり、それについてだけでも格別の感慨を抱いたPは少なからずいたことだろう。尤もシナリオを一読すればわかるとおり明確に他メンバーを引っ張っていくほどの強烈なリーダーシップを発揮しているわけではなく、まだまだ成長途上といった感ではあるが、雫のアイドル人生の中でこのような立場に事実上初めて就いたということ自体が特別な事柄と言える。本イベントは雫の新たな可能性の萌芽を表した画期的なものとして位置づけられるところであろう。

セリフ集

ミーティング班

フェーズ3
イベント発生パーフェクトグッドノーマル
(椿)見てくれた人が、朗らかな気持ちになれる雪像にしたいですね!
(雫)みんながひと目でわかって、楽しくなる雪像を目指しましょー!
私たちも楽しみましょうー完成をイメージして…うーん、悩んじゃいますー
雪像の写真、面白いですー牛乳で、休憩しましょー雪かきとは違いますかねー
結果セリフ
応援継続(雫)考えすぎで、頭が痛くてー
(椿)わわ、冷たい牛乳をどうぞ!
アンコールもう少し、頑張りましょー
応援成功(雫)うん、いけそうですー!
(椿)あたたまってきましたね!

技術講習班

フェーズ3
イベント発生パーフェクトグッドノーマル
(雫)座った牛さんは、落ち着いてますー。どーんと構えてますねー
(沙紀)実際の大きさになったら、かなりの迫力になりそうっすね!
牛さん、大きくなぁーれ♪雪で作るのも楽しみですー少し、元気がないですねー
こんな感じでしょうかー?他の模型もすごいですねー尻尾までしっかりとー
結果セリフ
応援継続(雫)あれ?大きさが違いますー
(沙紀)バランスも見なきゃっすね
アンコールまだ良くなりそうですー
応援成功(雫)上手にできましたねー♪
(沙紀)うん、魅力が出てるっすね!

雪像制作班

フェーズ3
イベント発生パーフェクトグッドノーマル
(雫)完成が見えてきましたねー。みんなに喜んでもらいたいですねー
(清美)いい出来栄えになりそうですね!私にとっても、自信作です!
順調に進んでますかー?ホットミルクで、休憩しましょー少し、相談したくてー
お披露目が楽しみですー牛さん、リラックスしてますーもう少しですねー
結果セリフ
応援継続(雫)焦りすぎちゃいましたー
(清美)ペースを整えましょう!
アンコールどんどん進めましょー♪
応援成功(雫)完成が近いですよー!
(清美)どの角度からも完璧です!
最終上位報酬アイドルはそれぞれのフェーズ3に登場するのが定番ということで雫もフェーズ3(ラストフェーズ)で登場、他フェーズと違い仲間のアイドルとの短いやり取りも含まれるようになる。それぞれ2話、5話、8話を終えた時点でのやり取りになるので、それを踏まえて見ると模型のバランス面を気にしている沙紀のセリフなどにも説得力が感じられるだろう。

ラウンドログインボーナス

ラウンド数セリフ
1ラウンド目張り切って、進めましょうー
7ラウンド目みんなをあったかくしますよー

イベント会話

イベントOP演出(事務所)
セリフ
(椿)わぁ、すごい作品……!写真からも、大きさが伝わってきますね。お城に……怪獣に……。
(雫)動物さんも、たくさんいますねー。どれも迫力満点で可愛いですー♪
(清美)確かに、すごい迫力です。しかも、細かく作り込まれた造形……これは、芸術的なセンスも必要そうですね。
(椿)そうですね!
(椿)でも、どうしよう……。私、写真は好きなんですけど……彫刻はあまり自信がなくて。
(雫)そう言われると、私もですー。雪や力仕事には慣れてるんですけど……細かいこととか、芸術的なことは……。
(沙紀)お疲れ様っす……
(沙紀)あ、もうみんな集まってたんっすね。お待たせしました!
(雫)沙紀さん、お疲れ様ですー。いえいえ、まだ時間前ですしー。私たちも、少し前に来たところなんですー。
(清美)少し早いですが、予習をしていました!次のお仕事は雪像を作ってコンテストに参加ということで……初めての挑戦ですから。
(沙紀)おお、雪像っすか!いいっすね。雪国ならではのアートって感じで。挑戦しがいがあるっす!
(雫)わぁ、心強いですねー!芸術的なことは、沙紀さんに聞いちゃいましょー♪
(椿)沙紀ちゃん、さすが……目がキラキラしてますね♪もしかして沙紀ちゃんなら、雪像づくりの経験があったり……?
(沙紀)あはは、雪像はさすがに作ったことないっす。家の方は雪もそんなに降らないし、たまに雪だるまを作るくらいっすね。
(沙紀)でも、雪だるまならともかく……大きい雪像を作るとなると、それなりに準備が必要っすよね?アタシら、素人なワケだし……。
(清美)そこはご安心ください!現地の市民の方々と同じ一般の部ですから、指導員の方がしっかりとサポートしてくださるそうです!
(椿)まずは自分たちで、作りたい雪像を考えて、講習会に参加して……初めてのことばかりですね。ドキドキするなぁ……。
(雫)はいー。でも、ワクワクもしてきませんかー?私たちだけの、オリジナルの雪像を作れるなんて……それも、こーんなビッグサイズで♪
(椿)確かに……。コンテストの周りではお祭りも開催されて、毎年かなりの人手らしいです。たくさんの人に、見てもらえますね!
(沙紀)それはワクワクするっすね!それにそれだけの雪が積もってるところ、普段はめったに見られないっすから。
(清美)そ、そうですね……。私はその、とっても寒そうで……別の意味でドキドキしてますが!
(椿)あはは……そういえば清美ちゃん、沖縄出身ですもんね。私も雪国育ちなのに、寒いの苦手で……着込んで行かなくちゃっ!
(雫)大丈夫ですよー。寒くても、体を動かせばあったかくなりますからー♪みんなで力を合わせて、立派な雪像を作りましょー!
雪像制作というミッションに向けて各々が抱く期待や不安が会話劇の中で描かれている。沖縄出身故に雪国の寒さを不安視する清美やアート的な側面からやる気を見せる芸術家肌の沙紀など、それぞれの個性は会話の中で十分に発揮されており、それでも初めての作業に向けてどうしても不安視してしまう一同を自分の個人的な期待感で前向きな思考に変えていく雫のポジティブさは、リーダーシップと言うよりはむしろムードメーカー的であり、参加メンバー内では唯一の雪国育ちということで若干の心境的余裕もあったのかもしれないが、いずれにしてもメンバーの中心的立場として申し分ない振る舞いだったと言える。
ミーティング班(多目的ルーム)
第1話
セリフ
(雫)ふぅー!荷物はこれで全部ですねー♪みなさん、お疲れ様でしたー。
(椿)お疲れ様です!コンテストの歴史に、雪像の作り方に……結構、資料も集まりましたね!よし、机に置いて……っと。
(清美)……ふぅ。外が寒くて、どうなることかと思いましたが……荷物を運んだら、温まりましたね。
(清美)ともかく、これで準備は万端!雪像制作会議を始められます!お借りした部屋ですから、みなさん規律を守って……。
(沙紀)椿さん、こっちこっち!窓からの景色もすごいっすよ、一面の銀世界!テンション上がってきたあ!
(椿)わぁ、本当ですね!視点が変わると、また雰囲気が違って……。あ、沙紀ちゃんそのまま!いいショットが撮れそうです♪
(清美)ああっさっそく!みなさん、部屋の中を走ってはいけません!危ないですよ!
(雫)写真ですかー?私も混ぜてくださいー!清美ちゃんもほら、一緒に入りましょー♪
(清美)い、いきなり記念写真ですか……?まだ何も出来上がっていませんが……。
(沙紀)まぁまぁ。ここからスタートする記念の一枚ってことで!
(雫)そうですよー。お仕事に向けて、私たちもぎゅぅーっと、一致団結しましょー♪あ、椿さんも一緒に入ってくださいー。
(椿)はいっ!それじゃあ、タイマーをセットして……みんな一緒に、ピース♪……うん、いい写真になってますよ!
(雫)えへへー、ありがとうございますー。雪像が完成したら、また椿さんに記念写真を撮ってもらいましょうー♪
(沙紀)それ、いいっすね。芸術的な画が撮れるように、写真映りのいけてる雪像にしてやるっす!
(椿)ふふっ、写真はまかせてくださいね♪もちろん、雪像づくりも力を合わせてやり遂げますよ!
(清美)そうです!雪像づくりを超☆成功させることが私たちの使命ですから。念入りに準備をしていきましょう!
(雫)はいー。まずは、どんな雪像を作るかですねー。アイディアを出し合って、決めていきましょー。
第2話
セリフ
(雫)うーん……。
(清美)むむむ……。
(沙紀)うーむ……。
(雫)はぁーー。なかなか、思いつきませんねー……。さっそく行き詰まってしまいましたー。
(沙紀)何かこう、コンセプトが決まりきらない感じっすね。どうしたいかがハッキリしないと、方向性が定まらないっす。
(雫)考えすぎて、頭がぐるぐるしてきましたー…。気分転換に、窓を開けてもいいですかー?
(清美)えっ!?ちょ、ちょっと待ってください!まだ寒さへの覚悟が……!
(椿)お待たせしました。追加の写真や設計図、お願いして色々と集めてきました!何か参考になればいいんですが……。
(清美)あ、ありがとうございます!……コホン。さっそく、見てみましょう。ヒントは多い方がいいですからね!
(雫)うーん……やっぱり、テーマがばらばらで……自由というかー。
(清美)なかなか、共通点らしい共通点も見つかりませんね。悩ましいです。
(椿)本当に、いい意味で自由ですよね。でも、熱意が伝わってくるというか……。沙紀ちゃんは、何か気づいたこと、ありますか?
(沙紀)これを見てて思ったのは……ぱっと見のインパクトっすかね。雪像が大きいから、ひと目でわかるのが大事というか。
(雫)言われてみると確かにそうですねー。わかりやすさってことでしょうかー。
(椿)なるほど……題材がわかりやすい方が、見てもらう方に伝わりやすいですよね。写真と同じかもしれません。
(沙紀)いくらすごいものを作っても、伝わらなかったら寂しいっすから。どうせなら、みんなに楽しんでもらいたいですしね!
(清美)伝わりやすさ……そうですね、私たちに足りていなかったのは、その視点かもしれません!
(雫)見てくれた人が楽しんでくれるのが、何よりですからー。えへへ、アイドルとも同じですねー。
(椿)はいっ!それじゃあ、視点を変えて、もう一度考えてみましょう!
第3話
セリフ
(清美)見てくれる人の気持ちを想像する……そこまでは、なんとか辿り着けました。ですが……。
(椿)お城や乗り物は、初心者の私たちには難しいですし……みんながわかりやすいものって、なかなか思いつかないですね。
(沙紀)うむむ……行き詰まったら、やっぱり外の空気を吸うのが一番っすよね!雪を見たら、イメージも湧いてきそうですし。
(清美)わっ、窓を開けるのは……!いえ、仕方ありませんね……待ってください、今、上着を……。
(椿)はーっ、息が真っ白です♪景色も、見事なまでに一面真っ白ですね。あんなに遠くまで……。
(雫)はいー。見渡す限りの真っ白……。うーん、白……。
(清美)とても綺麗な景色ですが、やはり外は寒いですね……!自然の雄大さが身に沁みます。
(椿)そうですね……ずっと外にいたら、あったかいものが恋しくなりそうです。
(雫)自然……あったかい……。そうだ、わかりました!
(雫)真っ白で、あったかくて、みんなが知っていて……わかりました!どうして今まで思いつかなかったんでしょうー。
(清美)その様子だと雫さん、いいアイディアを思いついたんですか?
(雫)はいー。白と言えば、幸せの色……牛乳ですー!
(3人)……。……え?
(椿)牛乳の、雪像ですか……?
(雫)いえいえー、牛乳も、いいですけどー。その源……つまり、牛さんですよー!牛さんなら、みんなも知ってますからー。
(沙紀)おお、確かに……。子どもから大人まで、ひと目でわかってもらえそうっすね。
(椿)大きい牛さんなら、インパクトもありますもんね!牛さんと過ごしてきた雫ちゃんなら、たくさん魅力を知っていますし。
(清美)その魅力を、雪像で表すということですか……。そう言われると、理にかなっている気がしてきますね。
(雫)はいー。雪国だからこそ、心があったかくなる雪像にしたいって思って。みんなに、ほのぼのしてもらいたいですー♪
(沙紀)心あたたまる雪像かぁ……うん、いいっすね。コンセプトとしてもバッチリっすよ!
(清美)決まりですね。ではこの勢いで、雪像のデザインを作り込みましょう!雫さん、牛さんについてのレクチャーをお願いします!
(雫)はいー!牛さんの魅力なら、たくさん教えられますー。任せてくださいー♪
1〜3話はまずどんな雪像を作るか、それを決めるためのミーティングが主な内容になっている。と言っても1話の時点では現地に到着した4人が雪国の情景を見てはしゃいだり写真を撮ったりするだけに終始しており、本格的なミーティングが始まるのは2話からと結構のんびりしたペースで進行していく。これには雫ののんびりした性格だけでなく椿や沙紀と言った他のメンバーもまた比較的マイペースな性格の持ち主と言うのも影響しているのかもしれない。雫の「牛乳」というアイディアに他の3人が一瞬戸惑って「牛乳の雪像?」と聞き返すくだりは、テキストを読んでいるこちら側の戸惑いをそのまま作中に反映させたかのようで面白い。温かい心やほのぼのと言った感情の象徴として牛を想起するのはいかにも雫らしく、そこに3人がそれぞれ「雪像の題材に牛を選択する理由」を肉付けしていく描写は、ミーティングとしてあるべき理想の流れでもあった。
技術講習班(多目的ルーム)
第4話
セリフ
(清美)ご覧ください、みなさん!こちらが、沙紀さんが清書してくださったイメージ画です!
(雫&椿)おおーっ……!
(雫)すごいですー♪凛々しい立ち姿に、牛さんの持つ力強さが表れてますよー。
(椿)はい、生命力というか……雫ちゃんの言っていた、牛さんのいきいきとした魅力が詰まっていますね♪
(沙紀)あはは……ありがたいけど、なんか照れるっすね。でも、みんなのイメージに近い絵になってたなら、安心したっす。
(清美)はい。私も、芸術的で素晴らしい出来映えだと思います!ありがとうございます。
(椿)こうして絵になると、前よりはっきりイメージできるようになりましたね。えへへ、私たちの雪像かぁ……♪
(雫)なんだか、もぉーっとワクワクしてきましたー。きっと素敵な牛さんになりますー♪
(清美)もちろんです。ここまでくれば、もはや雪像は完成したも同然です!
(沙紀)みんな、燃えてるっすね。アタシも、描きながらインスピレーションがたくさん湧いてきたっす。早く作り出したいくらいっすよ!
(雫)熱くなってきましたねー♪私も早く作りたいですー!えっと、イメージ画の次は……。
(清美)次は、粘土での模型づくりですね!模型を作ることで、立体になった時のバランスや、強度をよりイメージできますから。
(椿)模型ができたら指導員の方に見てもらって、安全性のチェックやアドバイスをしてもらう……という流れですね!
(雫)なるほどー。それじゃあまずは、模型づくりスタートですねー!粘土をこねこねしていきましょうー♪
第5話
セリフ
(雫)こねこね、こねこね……。よーし、これに脚の部分をくっつけて……名付けて、模型牛さん第1号!完成ですー♪
(椿)こちらも台座部分、完成しました!さっそく組み合わせて、立ててみましょう!
(雫&椿)ドキドキ……。
(清美&沙紀)ドキドキ……。
コテン…………。
(雫&椿)……。
(清美&沙紀)……。
(雫)あれー?立たないですねー……。よーし、もぉ〜少し、足元を粘土で固めて……。
コテン…………。
(雫&椿)1号ーーーっ!!!
(清美&沙紀)1号ーーーっ!!!
(沙紀)これは……残念だけど、ダメっすね。牛さんの造形を再現することに気を取られて、読みが甘かったっす。
(椿)沙紀ちゃん……?
(沙紀)この模型、自重を支えられてないうえに、重心が安定してないっす。胴体の長さと重さに対して、脚が細すぎたっすよ……。
(雫)現実の牛さんは、あんなに細い脚でしっかり立っているのに……不思議ですねー。
(清美)本物の牛さんと違って、筋肉がありませんからね。なるほど……これは確かに、模型を作らなければ気づけませんでした。
(雫)牛さんに立ってもらうには、どうすればいいんでしょうかー?牛さん、頑張ってくださーい!
(椿)雫ちゃん、気持ちはわかるけど……。他の方法を考えてみましょう……!
(沙紀)そうっすね……重さを均等に分散すれば、片方に倒れてしまうことは防げそうっすけど……。
(椿)カメラの三脚と同じですね。それなら、脚の長さと太さを、正確に合わせないと……でも、雪で作って上手くいくでしょうか?
(雫)うーん、削っていくうちに、どんどん細くなっていきそうですー。それに、倒れてきちゃったら、危ないですし……。
(沙紀)確かに……。なんとか、視点を変えて解決できればいいんっすけど……。
(椿)……とりあえず、座って考えましょうか。盛り上がって、つい立っちゃいましたけど……。
(清美)そうですね。一回座って……。……あ、そうか!それです!
(雫)わわっ……清美ちゃん、どうしたんですかー?
(清美)はっ……いきなり失礼しました!立ってダメなら座ればいい、そういうことです!
(椿)えっと……私たちが、座るんですか?
(清美)いえ、座ってもらうのは牛さんです!、こうして、脚をたたんで……座ってる牛さんにすれば、倒れずにすみます!
(三人)な……なるほどーっ!!
(雫)座る模型牛さん……名付けて牛さん2号ですねー♪えへへ、模型完成が近づいてきましたよー!
第6話
セリフ
(椿)雫ちゃんっ♪模型づくり、とっても上手になってきましたね!
(雫)えへへ、ありがとうございますー。立派な牛さんにしてあげたくて、一生懸命やってたら楽しくなっちゃってー。
(沙紀)作る楽しさって、作れば作るほどハマっていくんすよね。でもほんと、だいぶ形になってきたっすね!
(清美)はい。座った形なら安定性も問題ないと、指導員の方も言っていましたから。本番もきっと、立派な雪像になりますよ!
(雫)ひと安心ですねー。ただ、ひとつだけ悩んでることがあって……。
(清美)どうしたんですか?問題があるようには見えませんが……。
(雫)うまく言えないんですけど……この牛さん、何かが足りないと思いませんかー?
(椿)そうでしょうか……?清美ちゃんの言うように、私にも立派な牛さんに見えますが……。
(雫)うーん……なぜでしょうか……。牛さんらしさが足りないような、そんな気がするんですー。
(清美)ふむ、牛さんらしさ……。それはズバリ、模様ではないでしょうか!やはり白と黒の模様が、牛さんのイメージかと思いますが。
(沙紀)雪像って色をつけられるんっすかね……?過去の写真でも、白一色が基本だったような……。
(牛)でもなんとなく、色じゃない気がするんですー。牛さんらしさ……牛さんのあたたかさが、表現できてない気がしてー……。
(椿)あたたかさかぁ……。確かにこの牛さんも周りも、雪ですからね。牛さんひとりじゃ、寒いかもしれません。
(清美)そう言われると、そうかもしれませんね……。牛さんも、雪の中にひとりは心細いでしょうし。
(椿)……そうだ!それなら、隣に子牛さんを作るのはどうでしょう!きっと心温まる、素敵な構図になりますよ♪
(雫)わぁ、いいアイディアだと思いますー!雪の親子牛さんですねー♪
(沙紀)OK、決まりっすね!模型牛さん第3号、残りの時間で一気に作っていくっすよ!
4〜6話は牛の雪像作成に向けて模型を用意し問題点を洗い出していく流れになっている。パッと見ではまず5話での模型牛さん第1号が計画どおりに立ってくれず倒れてしまった際、4人が一様に「1号ーーーっ!!!」と叫ぶノリの良さが目を引くだろうか。生真面目な性格の清美や穏やかな性格の椿も一緒に叫んでいるあたりが何ともユニークであるが、その点以外は牛のデザインから模型作り、実物制作にあたっての問題点の解消と言った工程が真摯に行われている。バランスの悪さの解消と言った物理的な面はそれぞれ知恵を出し合って解決しているが最後の最後、漠然とした物足りなさを覚えた雫の違和感はともすれば抽象的でわかりにくいものであったかもしれない。それでもみんながきちんと雫の気持ちに向き合ったくれたのは、アイディア出しにデザインや模型の作成と言ったそれぞれの作業の根幹に牛を提案した雫の気持ちや価値観が根付いていることをみんながきちんと理解しているからであろう。3人もまた雫同様に牛のことを「牛さん」と呼んでいるのはその証であり、強烈なリーダーシップはないものの全体の方向性をきちんと指し示しているという点で、今回のメンバーの中心的立場としての役割を十分に果たしていたと言えるだろう。
雪像制作班(雪像広場)
第7話
セリフ
(清美)オーライ、オーライ……はい、OKです!
(沙紀)よし、いっちょ上がりっすね!
(雫)なるほどー。削る前に目印をつけておけば、削りすぎなくていいですねー。沙紀さんのスプレーさばき、さすがですー♪
(椿)本当に、あっという間に描けちゃいましたね!スプレーで絵が描けるなんて、すごいなぁ……。
(沙紀)へへっ、意外なところで役に立つもんっすね。清美ちゃんも合図してくれて、助かったっすよ!
(清美)いえ、そんな……。スプレーアートは、馴染みのない手法でしたが……間近で見ると、見事の一言ですね!
(清美)おかげで設計図通り、正確な目印が描けました。ありがとうございます!
(椿)でも、その設計図はほとんど清美ちゃんが作ってくれましたし♪清美ちゃんも、ありがとうございました!
(清美)い、いえ!私もその、絵心があるとは言えませんが……以前、砂のお城の設計図を作ったこともありますからね。
(沙紀)助かったっすよ!アタシは逆に、方眼に合わせてキッチリ描くのは苦手なんで。
(雫)おふたりの力を合わせた力作ですねー♪牛さんみたいに頼もしいですー!
(清美)ううっ、あまり褒められると、顔が熱く……!寒いはずなんですが……。わっ、椿さん!今の顔は撮ってはダメです!
(椿)ふふっ!清美ちゃん、とってもいい表情でしたよ♪でも、今の表情は……私たちだけのヒミツにしておきますね♪
(沙紀)これもお仕事の思い出っすね!……さて、あとはいよいよ、削っていくだけっす!
(雫)はいー。目印でとってもわかりやすくなりましたし、これなら私も、迷わずに作っていけそうですー!
(雫)みんなでどんどん、削っていきましょー♪
(三人)おーっ!!!
第8話
セリフ
(雫)ザク、ザク……。よいしょーっ!
(椿)雫ちゃん、豪快ですね!どんどん雪が削れていきます!
(雫)えへへ、雪かきとは少し違いますけど、これも楽しいですー♪
(沙紀)頼もしい限りっすね。雫ちゃんが大きく削って、細かい部分をアタシら3人で……結構、いいコンビネーションになってるっす。
(椿)設計図通りに進んでいるかは、清美ちゃんがこまめにチェックしてくれますからね。
(清美)はいっ!力仕事は自信がありませんが、正確な進行に関してはお任せください!
(清美)……と、そろそろ休憩にしましょう。疲労度にも気を配りますよ!あまり連続して作業すると、あとあと響きますからね!
(雫)ふぅー!確かに、動いてたら暑くなっちゃいましたー。冷たい牛乳が飲みたいですねー♪
(椿)そう言うと思って、冷たい牛乳を用意しておきましたよ!他のみなさんはホットミルクで♪
(沙紀)あはは、さすが!いただくっす!雫ちゃんの元気は、やっぱり牛乳からくるんっすかね?こっちまで力が湧いてくるっす。
(椿)結構体力を使ってるはずなのに、笑顔を絶やさないですもんね。私も、まだまだ頑張らなきゃ!
(雫)えへへー。大好きな牛さんの像を作れるなんて、新鮮で嬉しくてー。つい、笑顔になっちゃうんですー。
(雫)それに、みなさんとお話ししながら体を動かして、ほんとに楽しいですからー♪
(清美)そうですね。最初は慣れないことばかりで、不安もありましたが。こうして雪の中で動いていると、清々しい気分です!
(椿)私も、寒いのは苦手でしたけど……みんなでおしゃべりしながら過ごすと、あったかい気持ちになって。不思議ですね♪
(沙紀)寒さの中の温かさってところっすかね。うん、このほのぼのした気持ち、しっかり雪像に込めていきたいっす!
(雫)はいー♪牛乳を飲んだら、みんなでもうひと頑張りしましょうー!
第9話
セリフ
(椿)うん、もう少しですね!あとは、細かい部分を削って……。
(清美)沙紀さん、そちら側は親牛さんの鼻の部分、もう3センチほどお願いします!
(沙紀)OKっす!よっと……!
(雫)あとは、綺麗にならして……。……よーし、親子牛さんのできあがりですー♪
(三人)やったーっ!!
(椿)えへへ…やりましたね!私たちの雪像ですっ♪
(清美)はい……初めての雪像づくり、無事コンプリートですね!
(沙紀)なんか、改めて見ると感無量っすね……!みんなで作り上げた、アタシたちだけの作品かぁ……。
(雫)とっても立派な親子牛さんですー!牛さんが立派に育った時みたいに……胸のあたりが、あったかくなってますー♪
(椿)私は、牛さんを育てた経験はないですけど……雫ちゃんの気持ち、ちょっぴりわかる気がします。
(沙紀)うん、アタシも。最初は、あんな簡単に倒れてた牛さんっすけど……。今はずっしり構えてますしね!
(清美)そうですね。この立派に佇む姿……私にも、親心と言うものがわかった気がします。実に誇らしい気持ちですね!
(椿)あ、親と言えば……作品の名前をつけてくださいと、主催者さんからお願いされてたんでした!どうしましょうか?
(雫)あのー、実はもう、考えてあるんですけど……言ってもいいですかー?
(沙紀)もちろんっすよ。雫ちゃんあっての牛さんっすから、名付け親になっても罰は当たらないっす!
(雫)えへへ、ありがとうございますー!この雪像の名前は……「しあわせの親子牛」さんです♪
7〜9話はいよいよ大詰め、模型を元に実際の雪像を作るところが描かれている。自慢の体力を惜しみなく披露して雪を削っていく雫だけでなく、写真と絵の違いはあれど「アート」に造詣の深い沙紀と椿が細かい修正を行い、清美は図面どおりかを逐一チェックしたりと、それぞれの個性や性格に準じた役割をきちんとこなして雪像作りに取り組んでおり、これはこれまでの話の中でお互いに対する理解を深め合った結果でもあるのだろう。その辺の様子が各挿話の中で詳細に描かれているわけではないが、屋外作業中の差し入れとして椿が雫にだけ「冷たい」牛乳を差し入れるあたりにも関係性の深化は描かれており、それほど長くない挿話の中で積み上げて来たものが確かに存在することを暗に示しているところにシナリオ上の妙味があると言える。そして雫が名づけた雪像の名前。漢字ではなく平仮名で表現しているところは後の新緑のめぐみにも通じるところがあり、さしずめこの雪像における画竜点睛であろうか。
雪像コンテスト(雪像広場)
セリフ
(椿)雫ちゃん、お疲れ様です!ホットミルク、持ってきましたよ♪
(雫)わぁ、ありがとうございますー!ごく、ごく……ぷはーっ!牛さんの像を見ながら飲む牛乳は、格別ですー♪
(沙紀)相変わらず、いい飲みっぷりっすね!アタシもこのお仕事で、ホットミルクがすっかり定番になっちゃったっすよ。
(清美)雪の中でのホットミルクも、なかなか乙なものですね。雪像を見に来てくれた方々の笑顔を見ながらだと、なお美味しいです!
(雫)本当に、そうですねー♪牛乳はもともと美味しいですけど、ここで飲むと、もぉーっと美味しく感じますー!
(椿)親子牛さんを見てくれる人、みんな笑顔になってくれますもんね。ぜーんぶ、写真に残したいくらいです!
(沙紀)ホント、こっちもほのぼのした気持ちになってくるっすよ。いやー、作って良かったっす!
(清美)「しあわせの親子牛」……その名の通り、たくさんの人にしあわせを届ける存在になりましたね!
(雫)はいー。大人にも子どもにも、喜んでもらってますしー。名付け親としても、胸を張りたいですねー♪
(清美)目標は、みんながひと目でわかる、心温まる雪像でしたからね。私たちの雪像づくり、超☆大成功です!
(椿)はいっ!……そうだ。お祭りが始まってからの記念写真が、まだでしたね!
(雫)そうでしたー♪今ならホットミルクであたたまった、しあわせな笑顔で撮れそうですー!
(沙紀)確かに!それじゃ、みんなで撮るっすよ!ほら、くっついて!
(清美)わ、わかってます……!さぁ、いつでもどうぞ!
(椿)うん、みんないい笑顔ですっ!タイマーをセットして……よしっ♪
(雫)みんなでぎゅーっと!はい、チーズ♪
すべてが完成してから見られるエピソード。8話と違い椿が雫にもホットミルクを差し入れているのは、今回がイベントの真っ最中で雪像作成時のように体を動かしていなかったからだろうか。雪像に込めた4人の気持ちそのままに、親子牛の雪像は見物に来た多くの人たちに温かい気持ちを抱かせているようで、まさに「超☆大成功」である。正確にはイベントEDが別に存在しているものの、最後に記念撮影をする4人を象徴として今回の物語はとりあえずの終幕を迎えたと言ってもいいのかもしれない。
イベントED演出(多目的ルーム)
セリフ
(雫)みなさん、雪像コンテスト、お疲れ様でしたー♪
(みんな)お疲れ様でしたっ!
(椿)表彰式も無事終わって、ようやくひと区切りといったところでしょうか。あっという間の日々でしたね。
(清美)惜しくも優勝は逃しましたが、「あったかいで賞」という、私たちにピッタリの賞をいただけましたからね!誇らしいです!
(沙紀)いろいろ悩んだりもしたっすけど……アタシたちの伝えたかったあったかさ、ちゃんと届いてたってことっすね。
(雫)はいー。私も、親子牛さんがたくさん褒めてもらえて、嬉しかったですー♪みなさん、ありがとうございましたー。
(椿)こちらこそっ♪今回のお仕事を通して、私もたくさんの笑顔を見られましたし。
(沙紀)そうっすね。知らなかった牛さんの魅力にも、気づけたし……悩んだのも含めて、結果ぜんぶ楽しかったっすよ!
(清美)寒さの中で味わうあたたかさも、また違った良さがあるんですね。少しだけですが、雪とも心の距離が近づいた気がします!
(雫)よかったですー♪それじゃあ明日の朝帰る前に、雪合戦とかしてみますー?
(沙紀)お、いいっすね!雪だるまとかも作ってみたいっす!
(清美)みなさん、元気ですね……!私ももちろん、負けるわけにはいきません。風紀を守って、楽しみますよ!
(椿)ふふっ。お仕事のあとの、楽しみが増えましたね♪でも、その前にもうひと仕事です!
(雫)最終日のライトアップが始まったら、私たちで案内したい人がいるんですよねー♪
(沙紀)このお仕事の締めくくりっすね。大事なお客さんに、しっかり楽しんでもらわないと。
(清美)はい。雪像を見て回る順番や、おもてなしのホットミルク……プランは完璧に組み立ててあります!
(椿)いつも私たちに、しあわせなあたたかさをくれる人……♪
(みんな)プロデューサーさん!ようこそっ♪
(雫)ライトアップ雪像ツアー、ご案内しますー♪
さすがにコンテストでの優勝は取れなかったようだが「あったかいで賞」なる、まことに今回作った雪像にふさわしい名前の賞を受賞しており、これには概要で触れた春菜や比奈が関与しているのかもと考えてみるのも一興だろう。中心的立場であったものの明確なリーダー的存在ではなかったという今回の雫の立ち位置は結局EDまで変わることはなかったが、すべてを終えたそのすぐ後でともに頑張った仲間に「ありがとうございました」を伝えられる雫のその姿勢こそ、今回のイベントでのコンセプトであった「温かさ」そのものなのかもしれない。その意味で雫はまぎれもなくみんなを導く存在=leaderであったのだろう。そしていつか雫がその役目を自発的に担う時、彼女の新たな可能性が本格的に花開くに違いない。