一話

1

「あ、影狼さんじゃんっこんにちはー♪」
それは或る氷精の肌も灼けるような夏の昼下がり、今泉影狼という名の狼少女は家の近くをぐるぐると散歩していた。普段の彼女ならこのうだるような暑さの中で散歩など考えられないことだが、この日は特別だった。
「こんなところで会うなんてラッキー♡」
因幡てゐ、影狼の住む集合住宅の大家で、背丈は彼女のへそ辺りまでしかないが実際には年上だ。影狼はいつからか自分より幼い見た目の彼女に劣情を覚えるようになってしまった。それは彼女が兎の妖怪という狼女にとって「襲いやすそう」な恰好をしている中で、幼い外見が条件付けられたのであろう。実際影狼は彼女を思って幾度となくオナニーをしているが、大家の彼女に追い出されるのを危惧して手を出せずにいた。だからてゐが外から帰ってくる時間を見計らい、彼女と偶然を装って逢い会話をし、家に帰ってから記憶が鮮明なうちにさっきまでの出来事を思い出しオナニーをする、という行為を繰り返していた。

2

「そっ、それっ…持ちましょうか?」
「えっ、いいの?ありがと〜…影狼さんは私みたいな年寄りにも優しいね♡」
こうしててゐから褒められることが、彼女にとって何よりの愉悦であった。賢明な読者の皆様ならお気づきかもしれないが、彼女は未だ、童貞である。

二話

1

(ああ…てゐさん今日もかわいいなあ…うう…早く帰ってオナニーしたい…)
影狼の顔は赤く上気していたが、この暑さでは誰も彼女の真意を読み取ることはできないだろう。
「影狼さん力もちだね〜でも暑いから無理しちゃダメよ?」
「ハイ…気を付けますね(本当にケッコー重いなぁ…何入ってんだろ)」
このような何気ない会話でも人付き合いは苦手な影狼にとって心の支えとなっていた。ましてその相手がてゐなら尚更だ。
ピチャッ。
不意に影狼の鼻先に水滴がかかる。
「てゐさん…雨降ってません?」
「ん?ホントだ さっきまですごい晴れてたのに…どうしよう…傘持ってないや…」
「ちょっと急ぎましょう」
そう言い終わるか言い終わらないかの頃―

2

ドザアアァァァァァァァァァァッ……
「わああぁっ!?」「きゃー!?」
今まで薄着で出歩いていた人々をあざ笑うように、水の弾幕が風に乗り、二人もアッという間にその餌食になってしまった。
「わーっ影狼さんどうしよーっ!?」「…とりあえず屋根のある所まで行きますよっ!」
「えっ!?ちょっ、ちょっと影狼さん無理しないで…」
てゐが狼狽えはじめたのは、影狼が突然彼女の手をつかみ、全身を胸に抱えて走り始めたからだ。
狼は濡れるのが大の苦手だ。そのため影狼はここまで大胆なことをしても、そのことを実感する余裕はなかった。
そしてたいていの場合、生き物がとっさに帰ろうとする場所は

3

「…ありがとうね、助かったよ いままで年下扱いしてごめんね…あの時の影狼さん…すごい頼もしかった」
―どうしてこんなことに…
影狼は焦っていた。
―こんなつもりじゃ…急に人をお家に入れちゃうなんて…それに…ああもう、なんでよりにもよって…
理由はふたつあった。ひとつはさっきまで家に帰ってズリネタにしようとしていた本人を招き入れてしまったこと。もうひとつは…
―満月の日にこんなドジ踏んじゃうなんて…
彼女は月に一度、満月の夜にだけ、雌と交尾するための器官、平たく言えば男根が生えてしまうということ。

4

幻想郷において狼の妖怪は個体数が少なく、そのため雌であろうと生殖機能を備えていることが多い。影狼もその例に漏れず、生える日は何も手がつかなくなってしまうほど性欲が強まってしまう。一度寝るまで我慢したこともあったが、翌朝には下半身が毛布に張り付いてしまうほどの夢精をし、その日は一日中体毛に絡まった精液を洗い流すだけで終わってしまった。なのである意味オナニーで発散しようとするのはアタリマエ、健全といえば健全なのだが、それでも翌朝大量のオナティッシュをゴミ捨て場に持っていくときは泣きそうなキモチになるそうだ。一度医者に相談したこともあったが、こればっかりはクスリで全て解決できるものではないと言われてしまった。

5

「かげろーさん?」「はっ、はいっ!?」「よかった…返事がないからどうしたかと思っちゃたよ…」
狭い玄関で寄り添うようにして立っていたふたり。てゐは丈の短いパンツを両手でめくるように絞り、内ももから水滴が滴り落ちるのが見えた。それを見た影狼は股間から雨水ではない液体が通るのを感じた。
(お、おぉっ、おちっ、落ち着いて…落ち着くのよ私…ふぅ…むこうは私が生えちゃう日なの知らないはずだし…それに日が落ちるまではまだ生えないし大丈夫だから…それまでに帰って…)
「ねぇ…このままじゃカゼひいちゃうよ…いっしょにおフロはいろ?」
「えっ…ええっ!?」
「う…ゴメンやっぱはずかしいよね…でも一人ズブ濡れのまま外にいさせちゃ悪いし…ダメかな?」

6

(そっ…そんなことしたら…私…てゐさんをメチャメチャに襲っちゃうかもしれない…そしたらここにいられなくなっちゃう…それだけはゼッタイにダメッ…!でもどうすれば…うぅ…どうしようどうしようっ……あっ…!)
「きっ、着替えっ!」「えっ!?」「その…着替えはどうするんですか?」
「あぁ…う〜ん…そっかぁ…影狼さんの借りてもいい?」「私とあなたじゃサイズが全然あわないでしょう…?」「う〜ん…」
「私ならカラダを拭いて新しい服に着替えればいいだけだから心配しないでくださいっ…」
(よし…!このままなんとか送って…)
「はい」「へっ!?」いきなり何かを渡され、影狼は素っ頓狂な声をあげてしまった。
「私の部屋の合い鍵。影狼さん着替えたら私先に入ってるからそれ使って着替え、とってきてくれない?お願い…!」
(え、えええええぇ〜〜〜っ!?)◆永い夜が始まる…

三話

1

(「入って右手の部屋のタンスの2、3段目にあるから、この袋に入れて持ってきてね じゃあたのんだよっ」)
―うぅ…そんなこと言われたって…
影狼は焦っていた。理由はふたつ。ひとつは今から片思い相手の家に入らなければならないこと。
―もうすぐ夜が来ちゃうよ…
もうひとつは、彼女は満月の夜、もっとも子作りに適したカラダになってしまうこと。
いま彼女は雨の中、傘を差しながら大家のてゐの家に向かっていた。空は夕焼けが雲に反射してとてもきれいで、そのことが彼女の焦りといら立ちをさらにあおった。
―ここだ、てゐさんの部屋…
しばらく立ち止まる。入ろうとしても、この扉の向こうに入るのはイケナイことのように思えて、しばらく部屋の周りをうろうろしていた。

2

(うう〜…早くしなきゃいけないのは、わかってるんだけど…)
きょろきょろと辺りを見回す。今までさんざんオカズにしてきた分、罪悪感に押しつぶされそうになる。その相手の家に入るなんて、まるで懺悔をしにいくかのようで、彼女の身もココロも鉛のようにズッシリ重くなっていくのを感じる。
「あ、あの〜…こんにちは…」
「わっ!?あ…えと…こんにちは…」
後ろから声をかけられて思わず飛び上がる。同じアパートの住人で、彼女もてゐと同じく兎の恰好をしている。もちろん影狼は彼女のこともオカズにしたことがある。
「何かお困りですか?手伝いましょうか?」
「い…いや…何でもないです…」
―言えるわけがない。今からてゐさんの家に上がりこんで下着と着替えを自分の家に持って帰るなんて…

3

「…そうですか。失礼しました…」
まるでかくれんぼの鬼が去るのを待つような気持ちで、影狼はそこに立っていた。兎の気配が消えるのを確認してから、カギに手をかける。その手は震えていた。
(早く終わらせて、てゐさんに帰ってもらおう…発情期の私に、彼女を巻き込みたくない…)
ガチャッ。
少してこずったが何とか開いたことにひとまずホッとするも、一歩足を踏み入れた瞬間から出所のわからない熱がこみあげてくる。
(わっ…わっ…部屋中から、てゐさんのニオイがする…こんなの…たえられないよぉ…♡)
気づけば彼女は四本の足で、床を這うように移動していた。ケモノの彼女が、もうすぐ顔を出してしまうことを物語っていた。

4

(こ、ここ…)
ようやく目的地にたどり着く。タンスの取っ手に手をかけたまま、しばらく経ったが、ようやく決心してそれを後ろに引いた。
「うっ…うう…♡」
中には上下つながった派手なランジェリーや、ほとんどタダの紐と言っても差し支えないようなマイクロビキニがずらり。しかもみな赤黒紫といった刺激的な色で、今の彼女にはほとんど劇薬だった。
(他っ、他にはないの…?)
必死にすべての棚を開けもっと無難な選択肢はないのかと足掻くも、すべて空だった。そしてこの行動が、彼女にとって命とりとなる。

5

「あ゛っ…♡ふうぅ…♡くっ…」
突然彼女は熱病に侵されたかのようにその場にうずくまり、唸り声をあげた。夜が始まる。
「あ゛っ…♡あおぉん…♡」
ケモノの部分から蕾が芽を出し、みるみる硬く、太く、熱くなってゆく。
その場から動けない程の疼き、渇き、そして熱。これを止めるにはたった一つの方法しかないと、そう悟っていた。
「ふーっ…♡ふうぅぅ゛っ♡」
彼女の手が、一度閉じた棚に伸びた。

四話

1

「あっかげろーさんやっと帰ってきた〜…もうっ、遅いよ〜…のぼせるのを待って食べちゃうつもりだったのかな〜…♥」
てゐはバスタオル一枚だけを身に包み、なぜか嬉しそうに笑っていたが、影狼はそのことに気づかない。
「はい…着替え…もってきましたよ…」影狼は前かがみに腰が引けた奇妙な姿勢で、着替えを渡そうとする。
「ごくろーさん それであの袋の中身は今日の夕食の材料なんだけど…勝手に上がり込んでそのまま帰るのも気が引けるから今日はごちそうさせて?いいかな?」
「えっ!?え〜と…いいですけど…」(てゐさんの手料理…)
「よしっ決まり!着替えたら早速作り始めるからちょっと手伝って…」
「あ…あの…そのことなんですけど…やっぱり私もおフロ入らせてください…」
「ん、いーよ さっぱりしてから一緒にご飯食べよっか」
「ありがとうございます…」

2

慎重な手つきで服の裾をめくっていく。すると不意に床に白く濁った半透明の液体が一雫落ちた。慌ててそれをふき取り、今度はパンツのゴムを引っ張って中の様子を確認する。むわっ、とオスくさいニオイが立ち込め、中は生暖かいネバついた液体でグチャグチャだ。竿にはその射精しっぱなしの液体と陰毛と痴垢とがびっしり付着していた。
(…ちょっとだけイジって、すぐ帰るつもりだったのに……でも、見られなくてよかったぁ…)
今の彼女は、子作りに特化したカラダになっており、その気になれば30秒以内に射精できる。だからちょっとだけイジって寸止めするつもりだったが、一回イジり始めるともう止まらなくなり、ここに来るまでもう3回は射精してしまった。
洗濯籠に入れようとすると、さっきてゐがカラダを拭いていたタオルと下着が目に入って、不覚にもまた股間を甘硬くさせてしまう
浴室内でシャワーを浴びていても、パンツとちんぽをきれいにしていても、つい思いを馳せて悶々としてしまうのだった。
(…また、しちゃおっかな…)

3

「かげろーさーんっ♪ごはん出来たよー♪」「うひゃあっ!?(あっヤバい…射精ちゃうっ…♥)」
「あっゴメン びっくりさせちゃった?」……キュウゥン…♥(あっ♥来ちゃうぅ…♥)
「はっ…」ビュグッ♥ビュッ…ビューッ♥「ぐッ…」ビュルッ…ビュルルッ…♥「フーッ…♥」ビュウッ…♥トクン…「ふぅ…お気になさらず…」ピュ…
(あぁ…またやっちゃった…すいませんてゐさん…)
「冷めないうちに早く上がってきてねー♥」
(今日はもうオナニーするのやめよう…)

4

「あっ来た来た♪早く隣に座って?もうおなかペコペコだよ〜…」
「わあすごい…こんなにたくさん…ありがとうございます…」(てゐさんと一緒にご飯…夢みたいだ…)
「実は今日皆と一緒に集まってその時おすそ分けしてもらったんだけど…こっちがミスティアさんの屋台のヤツメウナギの蒲焼き、それは藍さんから頂いた豆腐のお揚げに秋さん達から頂いた野菜…ニラとか山芋とか、あとちょっとだけすりおろしたニンニクも入れて…あとついでに牡蠣も入れて焼いたものなの。ちょっと自信作なんだ…はい、あ〜ん…♥」
「っ!?…はい…いただきます…あ〜ん…///」…シャク…シャク…
「…おいしいです…外はカリカリで中は汁気タップリで…」「でしょ〜?影狼さんも肉ばっかりじゃなく野菜もしっかり食べないとね〜…どんどん食べていいよ〜♪」
久方ぶりの二人での食事はとても充実したものとなり、影狼は「今日ここまでガマンしてきて(※してない)よかったぁ〜…」と思ったものだ。

5

「これはマミゾウさんから紹介してもらったんだけど…風見花畑牧場でリグルさんが採ったハチミツで作ったハチミツ酒。おつまみにはメーコさんの羊乳チーズもあるよ…」(すごいこの人…友達がたくさんいるんだな〜…)
「影狼さんお酒飲める?」「…あんまり」「じゃあ炭酸水で割って飲もうか」
「んっ…ウッ!?けおほっ…けほっ…」「ああ大丈夫!?ムリしないで…」「い、いや…おいしいです…(よく原液で飲めるなこのヒト…)」

6

「影狼さん…髪きれいだね 私なんかすごい癖っ毛でさ〜…これ以上伸ばせないんだよね〜…職場の周りみんなキレイなロングヘア―だからさ…余計コンプレックスていうか…」「…てゐさんは短い方が似合ってますよ」「う〜ん…」
「影狼さんって、恋人とかいるの?」「へっ!?(お酒がまわってきたのかな…)」脳裏に浮かぶのは、草の根妖怪ネットワークの二人。蛮奇は童貞仲間として、わかさぎ姫は親友として、どちらも大切に思っている。
「いや…特にいませんけど…」「ふ〜ん…」
「影狼さんは美人だし、優しいし、頑張ればきっとすぐにできるよ」「…ありがとうございます…」しばしの沈黙。外はまだ、雨が降り続けている。
「…ねぇ影狼さん」「はい?」「私、帰りたくなくなっちゃったな…」

7

「私の家、寝具は一人分しかありませんけど…」精一杯の冷静な演技。「…いいよ 年頃の娘が年上と一緒に寝るなんて恥ずかしいでしょ だからここで寝る」「…歯ブラシ用意してきますね…」
(どうしよどうしよどうしよ…気づかないうちにまたずるずる行っちゃった…それにさっきから顔が熱い…慣れないお酒なんか飲むから…何とか、このまま穏便にことを済ませなきゃ…)
それから彼女のためにいろいろと用意している間、影狼はあれだけさんざん抜いたのにまた勃起してしまう自分がつくづく情けなく思えた。

8

「…じゃあお休みなさい…」「おやすみ〜」全速力で自室に戻り、ベットにうずくまる。「ふぅ〜…」
(どうしよう…お酒のせいかギンギンになっちゃって全然寝れない…それにずっとムラムラしっぱなしだし…)
(…ダメ!今日はもうしないって決めたでしょ…それに本人が下にいるのにキケンすぎるよ…)
「う゛ぅ〜…」そうはいってもケモノの本能がそうそう簡単に抑えられるわけがない。現に彼女は無意識に股間に手を伸ばしてしまっている。
「ああもうっ…」ドタドタドタドタ…
階段を下りてすぐ右、すぐ近くにそれはあった。それを服の中に隠し入れ、まっすぐ自分の部屋へ持ち帰る。
扉をしめて、安全を確認してから、彼女はそれをベットの上に広げた。てゐのカラダを拭いたタオル、それに黒の下着だ。
「ああ…やっと…オナニーできるっ…」

9

「はあっ♥はあっ♥てゐさん♥てゐさぁぁん…♥はっ、はふっ…はふっ…♥かわいいよぉ…♥くぅぅん…♥」
彼女は今、自分の腰の高さまでしかない程の身長の「てゐさん」を犯す妄想にふけりながら、怒張したペニスを下着に擦りつけている。少しづつ、ヌルヌルした液体がそれを汚していくのがわかった。
(洗って返せば、ダイジョーブ…ダイジョーブだからぁぁ…♥)てゐが使っていたタオルを嗅ぎながら、頬ずりしながら、どんどん深みにはまっていく自分を止められないでいた。
(ゴメンなさいてゐさん…こんなこと…自分でもサイテーだと思う…でもしょうがないの…♥やめられないのぉ…♥だから今日も大人しく犯されててゐさん…♥あっ…そろそろイけそう…♥)
彼女が射精のためのラストスパートをかけ始める。もう自分の意志で射精を止められない…そう思った時、
ガラララ…
寝室の扉が開いた。

五話

1

「…かげろーさん?起きてるんでしょ?」
ザァァァァァァァァァァッ…ガタッ…ガタガタッ…
返事はない。そこには毛布を掛け横になって「眠っている」影狼だけがいた。なぜかスカートとパンツを脱いだ状態で。
てゐがカチ、カチ、カチと部屋の電気の紐を三回引っ張る。沈んでいく太陽のような、小さな明かり。それさえも影狼にはまぶしく感じられた。
―マズいマズいマズいマズい…
影狼は焦っていた。射精の瞬間、いきなりてゐに入られてしまったため、本来ティッシュに放出するつもりが毛布の中を目いっぱい汚してしまった。さらに急いで寝たふりをしたため、てゐの下着は毛布の下に隠せたが、自分のスカートとパンツを外に出したままだ。

2

ひたひたと、足音が近づいてくる。気づけばてゐは、ベットの上で、影狼を見下ろすように立っていた。
「…まぁ、どっちでもいいか」(…え?)
バレないよう恐る恐る薄目を開けて上を見上げると、てゐはおよそサイズの合わない自分の着ていた服を着ている。
ゆっくりと、熱をもったカラダが覆いかぶさってくる。てゐは影狼の胸を枕替わりにして横たえ、そのまま10分ほどが過ぎた。
(もう何なのよ今日は…なんでこんな目に…)心臓が早鐘を打ちながら、自分に覆いかぶさるてゐに対する劣情、性衝動、その他諸々の感情と闘いながら、何とかして自分のパンツとスカートを隠せないか、そう考えていた影狼は、てゐが動かないのを確認して、少しずつ手を毛布の外へ動かす。しかしこれが間違いだった。

3

「ひゃっ!?(しまっ…)」がしっ、と、てゐに手をつかまれてしまい、あまつさえ驚いて声をあげてしまった。
「やっぱ起きてるじゃん影狼さん……はぁっ…♥影狼さんの手、指が細くて、爪が長くて鋭くて…キレイ…♥」
うっとりとした様子で、影狼の手に頬ずりをしている。「ああ…ああぁぁ…」さっきまでずっと性器をいじっていた、ヌルヌルした液のついた手がてゐの柔らかい頬に触れて、影狼の心は大きくグラつく。もはや大きく見開かれたその目に、服の隙間からてゐのきわどい下着が見えてしまい、言い逃れようがないほど凝視してしまっていることに彼女は気づかない。
「フフ…♥ところで影狼さん…コレは何かな?」
バサッ。
急に股間が涼しく感じられた。同時に全身の毛穴から、冷や汗がどっと湧き出るのを、影狼はどうすることもできなかった。

六話

1

「あ…あぁ…」ふたりの間に鼻をつく精液のニオイが立ち込めている。影狼は動けず、まな板の鯉のように口をパクパクさせ、時々弱弱しく啼いた。それをてゐは何も言わず、ただじっと見ていた。
「あっ!?…やめっ…」一瞬にして、二人の間の均衡は崩れる。てゐはマウントの姿勢を崩し、素早く精液にまみれた自分の下着を手に取る。
「はぁ…♥はぁ…♥くっさぁ…♥ スゥー…♥ハァッ…♥」起き上がりかけた姿勢のまま、影狼は硬直していた。だが全身から汗が滲んでいるのが分かる。
「………」パンツを顔に押し当てたまま、ジトーッ…とした目つきで影狼を睨む。てゐが普段あまり見せない、年長者特有の厳しく、でも何もかも洗いざらい吐いてしまいそうになるその目つきを、影狼は3秒と直視できなかった。

2

「ごっ、ごめんなさ…」「何でこんなことしたの?」沈黙。一瞬にして、二人の場が硬直する。
てゐは眉一つ動かさず、影狼をじっと見つめ、逆に影狼は何も言えなくなってしまった。
「あ、あの…私今日…発情期で…お、おちんちん…生えちゃうんです…だから…」「うんうん」「だッ…だから…オナニーで発散しないと…」
「そういうこと聞いてんじゃないの。オナニーするのは構わないけど、なんで洗濯籠に置いてあった私の下着が、こんなベットベトに汚れているのかって話」「そっ…それは…」(あなたをオカズにしていたから…)

3

「…サイテーだね 影狼さん」
サイテー。自分が最も自覚していながら、一番言われたくなかった言葉を言われてしまい、影狼の目に涙が浮かんだ。
「うっ…ううっ…」ついには止めることができず、眼前から溢れてしまう。慣れないお酒のせいか発情期のせいか、感情の歯止めが利かない。
(なんて…ホントはわかってる。)お酒でも、満月のせいでもない。全部自分のせい。てゐさんのココロを蔑ろにして、ただ自分だけ気持ち良ければそれでよくて、(サイテーだな…私…)
「本人がもうすぐ側にいるのに、手を出す勇気もないの?」「…え?」
涙を拭いて、もう一度見上げてみる。先ほどとはうってかわって、うら若き乙女のような、熱っぽい視線を送るてゐと目が合った。

七話

1

雨は夕方からずっと降り続けていた。風が窓を鳴らし、時折外から車輪が水をはじく音が聞こえる。
「えっと…それってどういう意味ですか?よくわかんないです…」嘘、とも言い切れないが、影狼はその意味をなんとなく察している。何度もそのことを想像しながら自慰をしているのに、いまだ童貞の彼女はそこに至るまでの過程を想像できなかった。
「影狼さん…それ本気で言ってる?」てゐがまたさっきの目つきに戻る。
「は、はい…」とりあえずのイエス。そうして穏便に済ませようとしたその時―

2

「わっ!?んんっ…」押し倒されて、そのままスムーズに舌を挿れられた。その幼子のような容姿に似つかわしくない老獪で情熱的なキスに、為す術なくほだされてゆく。
「ぷはぁっ…はぁ…はぁっ…♥ …ここまでしないと分かんない?アナタが悪いんだよ…ここまでされても文句言えないくらいにはさ…」「うっ…うぅ…♥」あまりに衝撃的なキスだったのか、さっきからずうっと呼吸が荒い。
「アナタもホントはわかってるんでしょ?今日も私のことオカズにしまくって、挙句下着まで汚して、今もガッチガチに勃起してるドスケベ狼のくせにっ…ここまでしておいてまだとぼけるの?私の方からこういうことさせるの?ほんっと…サイッテー…」最後の方はもう泣き出しそうな勢いだ。
「な…なんで…?」いろんな感情の混じる、辛うじて絞り出したこの言葉に、自白するように、てゐは話し始めた。

八話

1

「ホントはね…今日無理やりにでもアナタの家に押し入るつもりだったの。雨宿りさせて…とかなんとか言って。
きっかけは…いつだったかな…ゴミ捨て場で、袋に詰められた大量のオナティッシュを見た時…その抑えきれてないニオイを嗅いじゃって、自分のこともうとっくに枯れたババァだと思ってたのに…ウン十年ぶりに思いだしちゃったよ。若い頃のこと。月に一回はソレが置いてあるの見て、こんなにエネルギーが有り余ってるなら、直接会って声かけてもっと思い出させてもらおう…って思って、持ち主のこと探したの。そしたらアナタがそれ持ってるの見ちゃって…ビックリしたね。失礼だけど…影狼さん最初に会った時の印象と違って結構積極的なんだなー…って思って、ともかく影狼さんの男ならしょうがないか…ってあきらめてたんだけど…私、永遠亭で看護師やってて、少しは医学もかじってるから、個体数が少なくてオス化、メス化する妖怪についての研究論文見てて、ピンときちゃったの。」

2

すらすらと、てゐの言葉は続く。「調べていくうちに、アナタ達狼妖怪は月に一度、満月の日が入れ替わりの条件ってことも分かって…一日であんなに出すんだ…ってもっとビックリした。それと同時に期待もした。だから今日がチャンスと思ってたから、鉢合わせた時はどうなるかと思っちゃった。でも…あんな風に”お持ち帰り”されて…ああ…私今日おいしく食べられちゃうんだ…って思ったよ。…ねぇ?”送り狼さん?”それなのに…ずっとお預けなんてヒドい…さっきドタドタッて駆け下りてきたときは、やっと来たって思ったのに…」
「…ごめんなさい…」「それだけじゃない」
「万が一こっちの勘違いだったら恥ずかしいから、下着もアナタに選ばせて反応見たの。…コレのこと。」煽情的な赤の下着がチラリと見えて、影狼の視線を一気に集める。「影狼さんこういうのがいいんだ…でも今は私の話を聞いて。アナタが帰ってきた時確信したよ。あの時と同じ、精液のニオイに、腰だけ引けた妙な姿勢。ああ…オナニーしたんだ…ってね。バレてないと思った?」
「…………」何も言い返せない。

九話

1

「…私の料理、おいしかった?」沈黙の隙をつくように、ポツリと呟かれた。「えっ!?はっ、はい!とっても…」「そう…よかった…ちゃんと食べててくれて…」
(…なんの話?)(これ以上はあまり言いたくない…から自分で気づいてほしいな…)
「…あっ!?」「…気づいた?」ヤツメウナギの蒲焼き、牡蠣とか山芋とかが入った春巻き、おまけに食後の蜂蜜酒に羊乳チーズ。
―全部、精のつくものばっかだ…
何で気づかなかったんだろう。自分が今日猛アプローチを仕掛けられていることに。
「バレちゃあしょうがない…なんてね…♥じゃあ、分かった所で…」「だっ、ダメッ…!!」「…え?」

2

「こっ、これは私の問題ですッ…だから…アナタを巻き込むわけにはいきません…!ただでさえここに住ませてもらってるのに、これ以上は…」
「…ズイブンと優しいね?影狼さん?」「ヒッ…!」今までで一番ドスのきいた威圧的な声に、影狼はすくみ上がった。
「…でもこのままだとかげろーさんのおちんちんの中のせーしさんがかわいそう…1か月もの間、ずーっとかげろーさんのカラダの中でグツグツってタマッてって…早く出たいよぉ…♥出たいよぉ…♥って叫んでるみたい…」今度はとびっきりの甘い声を耳元で囁くので、影狼は再び震えあがる。
「…じゃあどうするの?エッチはしたくないんでしょ?だったら私の目の前でもシコシコする?…ホントにそれでいいの?」「……」答えかねていたその隙を、てゐは見逃さない。

3

「はーい時間切れ♪」「あっ…」影狼の精液にまみれた”使用済みパンツ”が、いきり立ったちんぽをすっぽりと包みこんだ。
「フフフ…じゃあ今日はもう手でおちんちん触るのきーんし♥まぁ、そこまでシたくないならいいけど、せめて性欲処理のお手伝いは、しっかりしてあげる♥というワケでぇ…汚すなら、テッテーテキに汚そっか♥」「はぁっ…♥はぁっ…♥」その目には、もはや期待の表情しか、見てとることはできなかった。「…じゃあいくよ♥」

「はー…♥はー…♥あっ…う゛うっ…!」「はい五回目〜♥もうっ、かげろーさんったら早すぎ…♥もっとドプドプまき散らしてぇっ…♥」するり、と今身に着けている方のパンツを半分脱いで、両足に括り付けたまま、まんぐりがえしの姿勢で、影狼を待つ。
「今度はこっちのパンツに射精して…♥あんっ♥もうっ…ふとももくすぐったいよ〜♥さっき私を巻き込むワケには…とか言ってたのはどうしたのかな〜…♥…ウソつき♥」てゐの的確な言葉責めに、影狼はちんぽで答える。てゐのカラダに初めて直接、精液がかかった。

4

「はぁ…♥はぁ…♥すっごい…♥」ゆっくり、慎重に、精液をこぼさないように、パンツが元の位置に運ばれていく。本来あるべきパンツの姿がナカでぐちゅぐちゅ…♥と淫靡な水音を立てる。再びナカの様子を見せられた時には、ベットリとか、でろでろとか、そんな感じの様子で、それを呆然と影狼は見ていた。
「…舐めて、キレイにして♥」幾呼吸の後、影狼は素早くてゐの腰を鷲づかみ、股間を舐め始めた。
じゅるっ、じゅぷっ…ちゅぽんっ…♥ユッサユッサ…「あっ…♥ひぃんっ…♥鼻息、くすぐったいよぉっ…♥揺らっ…さないで…ぇっ♥」影狼はてゐの言いつけを守り、手でちんぽを刺激することなく、へこへことエアセックスをしている。おちんぽがぶるんぶるんと揺れて、ついには―

5

「んああっ♥イっちゃ―(えっ?あっ…影狼さんもノーハンドでイッてる…♥もう…どんだけ孕ませたがりなのよ…♥)ああっ…♥」
{…よくできました♥」「…くぅ〜ん…」思わぬ労いの言葉に、つい甘えた声を出してしまい、「あっ、いやっ今のは…」と弁明する影狼を見て、ますます疼いてしまうてゐ。
「でも、まだまだイケるよね?」これからが本番、とばかりに、影狼の上に跨るのであった。

十話

1

「…!!だッ…だめぇっ…ソコだけは…かんべんッ…してください…」なんとか抵抗するも、何回も何回も射精したせいか、腰に力が入らない。「フー…まだゆーか…こりゃ今日一日じぃぃぃ〜〜〜っ…くり♥躾が必要だね…♥」ピトリ、と亀頭にぷにぷにの膣肉がくっつく。それだけで、影狼は電撃を浴びたような狼狽えっぷりだ。
「ナッ…ナカはっ…はひっ…ひに…んん…ゆるしてっ…」「ん〜?なんて言いたいのかな〜?よく聞こえないや…♥もし避妊のことだったら…安心して。モチロンゴムなんか用意してないよ♥子作りのためのおちんぽだもんね〜♥…あ〜もう…♥そんな顔しなくてもダイジョーブ♥長らくご無沙汰だったから一発でデキちゃう可能性は低いし…まあでも絶倫ソーロードヘンタイのかげろーさんだからその保証はないけど…♥」

2

「フーッ…フーッ…」必死で抗っている惨めな姿が、すぐ顔に出てしまうトコロが愛おしい、そう思いながらグリグリと秘部を濡らしていく。「今まで一人で寂しかったでしょ…今日はいままで寂しかった分ぜ〜んぶ♥ぶつけてイイから…若いコの精をココにたぁっ…ぷり…♥注いでほしいなぁ…」腰を使って今にもはちきれんばかりのちんぽを刺激する。これが誤算だった。影狼のちんぽが、子作りに特化していることを、てゐはすっかり失念していた。

3

「あっ…あ゛あぁっ♥♥♥」「えっ!?ひっ…んぶっ…ん゛んんんっっ♥♥♥♥」何が起こったのだろうか。てゐの柔らかい膣肉に触れ続け、ついに射精してしまうと悟った影狼は、反射的にてゐの腰をがしっ、と掴み、そのまま一番奥まで挿入した。必然的に、カノジョは一番の至近距離から、おちんぽマグナムをぶっ放した。
―やってしまった…
ゆっくりと、その華奢な腰周りを持ち上げて引き抜いていく。ちんぽの先の方から根本まで、すべて愛液に覆われていた。直ぐ側に寝かせると、てゐはあまりの事態に未だに呼吸が整わず、肩で息をしている。影狼は実感した。妄想でも、夢でもなく、生身の彼女を犯してしまったという実感。

4

「ゴッ…ゴメンなさ…(今すぐ謝んなきゃ…)」そう言いかけて、ぴたりと止まる。月明かりに当てられて、眼が紅く妖しく光る。
―今日はずっとこのヒトに振り回されて、タイヘンだったんだから…少しは反省してもらわないと…
「あっ…」てゐの足が持ち上げられ、股が開かれた。「アナタが悪いんですよ…私の忠告も聞かないで…」ちんぽを目の前に突き付けられて、ようやく気が付いたのか、てゐは先ほどから「ウソつき…♥ウソつきぃっ…♥」とばかり呟いている。
「『汚すならテッテーテキに』…でしたよね?夜が明けるまで、私の性のはけ口になってください…いいですよね?あんなにそっちの方から誘ってきたんだから…それと…狼をなめないで。」
ずにゅっ…♥「「あっ…♥♥」」二人同時に嬌声をあげた。なぜなら影狼が挿れただけでイってしまったからだ…
(うう…カッコわるぅ…)

5

それからは…「もっとガンガン突いてぇっ…♥」てゐがお尻を突き上げ蠱惑的に8の字を描き、その揺れの割れ目から精液がボトリ、ボトリと滴り落ちる。「がううっ…♥」歯を食いしばりながら、尻肉に爪が食い込むほどきつく捕らえ、ゆっくり挿入していく。というのも、挿れてすぐイってしまうのが恥ずかしいからだそうだが―「あ゛ーっ♥♥また射精てるぅっ♥♥♥ナカ、かき回されてスゴイよぉ…♥」
…どうやら耐えきれなかったようだ。しかしそんなこともお構いなしに覆いかぶさり―「あ゛っ♥影狼さん激しい♥そんなんじゃまたすぐ…」再射精!「あ゛っ♥あ゛ッ♥あ゛あ゛ああっっ♥♡♥」再射精!「ひぃぃっ…♡♥かげろーさんゆるひてぇっ…♥」再射精!「ひゃああっ♥♥も…もうからかったりしないからぁ…あ゛あっ♥」再射精!「はー…♥はー…♥」再射精!「…………ア゛ッ…」再射精!「………」さいしゃせい!

6

二人の夜は、その後もずっと続いた。影狼はてゐの全身を味わい尽くし、最後の一滴を搾り終えたとたん、糸が切れたように眠ってしまった。てゐは事後しばらく動けず、15分位経った後、さっきまであんなに荒々しく自分を責め立てていた影狼の静かな寝姿に思わずドキッとしまうのを感じながら、おやすみなさいのキスをした。
「…かげろーさんのおちんぽに、仕留められちゃった…♥」

十一話

1

チュン…チュンチュン… 鳥のさえずる音で目が覚めた。無意識に股間に手を伸ばすと、もうおちんちんは生えていない。辺りを振り返って見ても、てゐの姿は見えなかった。だけど、乱れた髪に乱れた服装、ベットの上に残る精液とてゐの下着。忘れられるはずもなかった。自分があの晩したことを。
兎にも角にも歯を磨き、朝ごはんを作ろうとした時、テーブルにおそらくてゐが作ったであろう肉じゃがが作り置かれていた。その横にメモ書きが一枚置かれている。

「昨日は久しぶりにすっごい楽しかったよ 私が気絶した後もお構いなしにおなかのナカにせーえきいっぱい叩き込んでてすごかったね? さっきまでシャワー貸してもらったけど全部洗い流すのにだいぶ時間かかっちゃった 今日も仕事あるから早めに出るけど、肉じゃが、食べてくれると嬉しい それと玄関にプレゼントも置いておいたから、またね てゐ」

2

思い出すと恥ずかしくなって、誰にも見つけられないように紙をくしゃくしゃに丸めて捨てた。自分でもいまだに信じられない。大家のてゐさんに向かって、あんな大胆なことをしてしまったことが。なんであの夜だけ、カノジョを犯すことに抵抗がなくなったのだろうか。夜が明けてしまった今では分からないし、そのことが消えるわけでもない。普通なら追い出されてもおかしくないのに、嫌がる素振りも見せないどころかそのことを望んでるようにすら見えたのは―いや、都合のいい方に考えるのはやめよう。世の中そこまで甘くないだろうし。あの事は一夜のうちのできごと、ただそれだけ。大分消耗しちゃったし朝ごはんをいただきましょう。その前にプレゼントで何かしら―玄関先に行ってみると、見慣れない銀のカタマリが置いてある。それを見た瞬間、影狼はこれからの生活に大きく不安を覚えるようになった。てゐの部屋の合鍵が、小物入れの一番上で佇んでいた。

3

あれから一か月、影狼は一度もてゐと会っていない。単純に気まずい、それだけの理由だ。しかし今日はいつもなら家賃の催促に来るはずのてゐが来ないので、今影狼は合鍵を持っててゐの部屋の前でウロウロ漂っている。しばらく経って、ようやく覚悟を決めた様子だ。
―もう、どうにでもなれっ… ガチャッ。影狼が心臓をバクバク鳴らしているのと対照的に、てゐは落ち着いた様子で、スタスタ歩いてくる。
「思ったより来るの遅かったね…かげろーさん…?」言葉の意味は考えないようにした。「あ、あの時はすいませんでした…それで、家賃…払いに来ました…」「えっ!?」なぜかてゐの方が驚いている。

4

「あ〜…家賃は、払わなくていいよ」その言葉を聞いて、影狼の背筋が凍った。「そんなっ…私、ここにまだ住みたいですっ…ゆるっ…いや…えーと…」
「あはは、何勘違いしてるの?」「…え?」「今までどーり、影狼さんはここに住んでいいよ」「そっ…それじゃあ…」
「その代わり…」てゐがスカートをたくし上げる。「月に一度は、タップリ愛してねっ?」チラリと、腰に紐が括り付けられているのが見えた。

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