11/04/16(土)00:17:40

1

「ごちそうさまでした。」
マヨヒガの奥深くに建つ古びた家。 この家の持ち主は幻想郷の大妖怪、八雲 紫。
であるのだが、その紫は秋の終わり頃になると冬眠してしまい春まで目覚めない。
なので、紫の式である藍と、そのまた式である橙が留守を任されているのだった。
「すごくおいしかったです。 藍さま」
「そうか、橙にそう言ってもらえると嬉しいよ。」
その家の居間では、藍と橙が夕餉を終えたところだった。
一息つき、藍がいくつかの食器を手に取り台所へ運ぶ。 それを見て橙も立ち上がった。
「私も手伝います!」
そう言い、両手に食器をかかえ運んでくる。 藍は笑顔でそれらを受け取った。
「手伝ってくれるのか。 ありがとう橙」
「えへへ…」
照れたように笑う橙を見て藍は思う。
子供の成長の早さには、本当に驚かされる… この子を自分の式として、家族として受け入れたのはいつのことだったか

2

最初は本当に大変だった。 本来、式というのは主の指示や要求に応えられなければならない。
そのため、普通なら心身共に未熟で命令も聞くことのできない者を式にしたりはしない。
だが藍は、当時まだ赤ん坊だった橙を自分の式としたのだ。
普通なら考えられない事だったが、藍はそれを望んだのだった。 紫も何も言わなかった。
紫の式として雑務をこなす一方で、藍は必死になって育児に勤しんだ。
紫に頼み、母乳が出るようにしてもらったりもした。
橙は一度泣き出すとなかなか泣き止んでくれなかったが、藍の乳房を口に含ませてやり、豊かな金色の尻尾で包んでやるとさも気持ち良さそうに眠った。
大変だったが、毎日が充実していた。 橙もすくすくと成長し、本当に素直で良い子に育ってくれた。
ふと橙の方に目をやると、橙がこちらを見つめていた。
藍は微笑みながら、橙の頭をやさしく撫でた。

3

「今、橙が小さかった時のことを思い出してな。 こんなに大きくなって…… もうすぐ私と背が同じくらいになるんじゃないか?」
「まだまだ藍様には追いつけませんよ〜 …あ、はい。 お皿洗い終わりましたっ」
照れくささを隠すためか、洗い終えた皿をぐいっと藍に差し出す。
「ふふ、ありがとうな。 橙」
橙から皿を受け取り、食器棚に片付けると藍は大きく伸びをした。
「さて、片付けも終わったし、私はお風呂に入らせてもらうよ。」
「ご飯食べたばかりなのに、もう入るんですか?」
「あぁ、明日は朝早くから結界の見回りをしないといけないから、今日は早めに寝ておきたいんだ。」
そう言い、藍は台所を出て風呂場へと足を向けた。

4

脱衣所に着くと、藍はすぐに服を脱ごうとするが、これがなかなか難儀であった。
藍には九本の大きな尻尾があり、これが服を着たり脱いだりする時に少々邪魔になるのだ。
誰かに手伝ってもらえれば楽なのだが…
そんなことを考えながら、なんとか服を脱ごうと四苦八苦していると、橙が脱衣所に姿を現した。
藍が言葉を発する前に、橙は黙って服を脱ぐ手伝いをしてくれた。
「ありがとう橙。 助かったよ」
ようやく服を脱ぎ去り、藍は橙に感謝の言葉を掛けながら胸に巻いてあるサラシを手早く解く。
穿いている下着も脱ぎ、洗濯用のかごに入れる。 そして風呂場へ入ろうとして振り返ると、橙がこちらをぼぉっと見つめていた。
「? どうした? 橙」
藍の言葉に橙はハッと我に返り、何故か顔を赤くしてうつむいた。 そして、小さな声で言った。
「私も一緒に入って良いですか?」

5

藍は笑顔で答えた。
「もちろんだとも。 一緒に入ろう。」
その言葉を聞いて橙は急いで服を脱ぎ始める。 橙にも尻尾はあるが、藍ほど邪魔にはならないようだ。
すぐに裸になり、藍と共に浴室へと入る。
「湯船に入る前に、尻尾についた汚れを落とさなきゃだめだぞ… って、橙はもう昔みたいに泥だらけになったりしてないか。」
「そうですよ。 私だって、いつまでも子供じゃないんですから。」
「そうだな… 本当に…」
身体を軽く流してから二人で湯につかり、浴槽の中で手足を伸ばす。
目を閉じて、しばらくじっとしていると、冬の寒さと仕事の疲れが和らいでいった。

6

ふーっと大きく息をつき、ゆっくり目を開けていくと、またも橙がこちらをじっと見つめていた。
自分の顔に何か付いているのだろうか、思わず藍は橙に尋ねた。
「どうした? 橙。 さっきから私の顔を見つめているようだが、なにか付いてるかな?」
だが、藍が問いかけても橙は反応しない。 藍は少々訝しみながら橙をじっと見る。
具合が悪そうな様子は無いが、顔が紅潮して、目が少し潤んでいる。 のぼせたのだろうか。
橙は元々猫だ。 猫はあまり水や湯が得意ではないので、少しばかり気を抜くとのぼせてしまうことも珍しくは無い。
「橙? 大丈夫か?」
藍は橙の顔を覗き込みながら再び尋ねる。
橙はようやく藍の呼びかけに気づき、慌てて口を開いた。
「あ、な、なんでもないです!」
「本当に大丈夫か…?」
「はい。 本当になんでもないです。 ただちょっと湯にのぼせただけで…」
「そうか、それなら良いが…」
「心配かけてすいません。 あ、私、もう出ますねっ」
橙はそれだけ言うと、逃げるように浴槽から出て、風呂場の戸をぴしゃりと閉めてしまった。

7

風呂場に一人取り残された藍。

そういえば、二ヶ月程前から、橙の様子が少し変わったように思える。
どう変わった、と具体的には言えないが、自分に対しての接し方が少し変わったような感じがする。
もしかして何か悩みでもあるのだろうか。
先程からこちらを見つめていたのも、相談したい事があるけれど言い出せない、そういう類の物ではないだろうか

藍は風呂から上がり、髪や尻尾を乾かした後、橙の部屋へ向かった。
悩みがあるなら聞いてやらねばなるまい。 悩みを相談して、すぐに問題が解決できなくとも話すだけで少し楽になるだろう。
ただの自分の取り越し苦労で、何も無いかもしれないが、それならそれで良い。 とにかく、橙と話をしよう。
そう考えながら、藍は橙の部屋の前まで歩いてきた。

8

「 橙、入っても良いかな?」
藍が襖越しから声をかける。 ややあって、橙が答えた
「…どうぞ」
藍は襖を引き、橙の部屋へと入った。
部屋の窓からは月明かりが差し、部屋全体を薄く照らしていた。
橙は寝巻き姿で、布団の上に座っていた。

「起こしてしまったかな?」
「いいえ、まだ眠たくありませんから…」
「そうか」
藍は橙の元へ歩み寄り、隣に腰掛けた。
「橙、最近おまえの様子が少し変わったような気がするんだが… 何かあったのかな?」

9

その言葉に橙はビクンと体を硬直させた。 藍が目をやると、橙はこちらをおずおずと見つめていた。
そして、小さい声で言った
「なんにも… ないです…」
「橙」
藍は橙の顔を覗き込む。 顔が少し紅い。
「…本当に何も無いか?」
「…はい」
橙は藍から目を逸らし、うつむきながら答える。
やはり様子がおかしい。 だが、橙が何も無いと言っているのだ。
橙にも、言いたくない事の一つや二つもあるだろう。 これ以上詮索しても仕方が無い。

10

「そうか」
そう言い、藍は立ち上がる。
「いや、何も無いなら良いんだ。 何かあったのではと心配だったんでな。」
藍は襖の所まで行き、部屋から出ようと襖に手をかけた。
「邪魔したな。 おやすみ、橙…」
と言いかけたその時、

「藍さま」
と橙が声を上げた。
藍はその場で動きを止め、橙に向き直った。

11

「聞いて欲しい事が…… いえ、お願いがあるんです」
藍は開けかけた襖を閉め、再び橙の元へ腰掛ける。
「言ってごらん。 私にできることなら、協力するよ。」

橙は藍の顔を見つめ、こくりと唾を飲み込んだ。
「藍さま…… 私は… 私は…」
言おうとする橙は少し震えていた。相変わらず顔が紅く、目も潤んでいる。
「私は…」
橙はそう言って、藍に顔を近づけた。
「藍さま…」
橙は藍の目をじっと見つめる。 藍も、橙の真っ直ぐで綺麗な目を見つめ返した。
「どうした。 聞いてあげるから、言ってご───」
言いかけて、藍の口は塞がれた。
橙の口付けによって。

12

藍は硬直してしまった。
一体何が起こったのか、何が起きているのか───  橙の紅潮した顔が目の前にある。 自分の唇に、やわらかい橙の唇が重なっている。
橙の息遣いが、温もりが、直に伝わってくる。 おやすみのキスなどではない、熱のこもった口付けだった。
橙は、藍の唇の形を味わうかのように長い長いキスをする。
あまりの事に藍は完全に面食らい、思考が完全に停止してしまった。
「は… ぁ… 藍さま… 藍さま…」
今までに一度も聞いたことの無い、橙のとけるような甘い声が藍の耳に入り込んでくる。
「ちぇ…ん… んん……っ!」
橙の唇が厚く重なっているので喋る事もままならない。 身をよじって抵抗しても全く効果は無く、あっという間に橙に押し倒されるような姿勢になってしまった。
後頭部に布団が触れている。 もはや藍に逃げ場は無かった。

13

「らんさま… ようやく… あぁ… らんさま… らんさま…」
うわ言のように、橙が目の前で藍の名を呼ぶ。
「橙… おまえは…… どうして…」
藍が震えた声で尋ねると、橙は優しく微笑んだ。
「藍さま… これが私です。 私は藍さまが好き。 好きです… これ以上無いくらいに… 大好きです… 愛しています…」
そういうと橙は藍の首筋に舌を這わせた。 そして、妖しく、甘い声で囁いた。
「これが私です。 藍さま…… もう、ずっと前から… 藍さまを…… あぁ…愛しています…藍さま…」
橙は藍の耳を優しく噛み、そこにも舌を這わせた。

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「私はいけない子です…… 藍さまが笑いかけてくれる度に… 藍さまが頭を撫でてくれる度に、藍さまが私を叱ってくれる度に、一緒にお風呂に入る度に… 体が…」
藍には橙の言っている事が良く分からなかった。
「ちぇん……っ!」
どうにか口を開いても、相手の名前を呼ぶことしか出来ない。 それが今、藍ができる全てだった。
藍が口を開くと、橙はそこへ唇を落とす。 ちゅぷちゅぷと口を優しく愛撫され、橙の唾液が藍の唾液と混ざり合う。
橙はゆっくりと藍の後頭部へと手を回し、藍の頭を抱え込んだ。
そして、藍が気づくと、橙の舌がゆっくりと口内に侵入してきた。
橙の舌が藍の舌に触れる。 されるがままの藍は、橙の舌が自分の舌に絡み付いてくるのを受け入れるしかなかった。

15

「藍さまはやさしくて、キレイで、頭が良くて、かっこよくて、頼りになって… もう、他の誰も好きになれるわけが無いです…」
混乱している藍の頭の中では橙の一言一言がぐるぐると渦を巻いてうねっていた。
「さっきもお風呂での藍さま…すごくキレイでした…水にぬれて、キラキラ光って…」
「ちぇん…! 私は…、そんな…」
「藍さま…もういちどお風呂での姿を見せてください…」
藍も弱々しく抵抗を試みるが、橙は藍の衣服をするすると脱がせてしまった。
「藍さま…キレイです…本当に…」
完全に露わになった藍の裸体を見て橙はうっとりと目を潤ませる。
「橙……やめ、てくれ…っ…こんな…」
あまりの非現実感に涙が零れ落ちる。
その涙さえも橙がゆっくりと舐めとった。
「藍さま…お願いというのは…」
言いながら、橙も自ら衣服を脱ぎ去った。

16

「私に、藍さまの赤ちゃんを産ませてください」
─── 何を言っているのか、何が起きているのか、藍は今にも手放してしまいそうな意識を繋ぎ止めるだけで精一杯だった。
藍が面喰っている間に橙は何かを口に含み、藍に覆いかぶさって口づけをし、液体を藍の口の中に流し込んだ。
口を完全に覆われている藍はそれを飲み下すしかなかった。
「ぷぁ…ん…藍さま…お願いしますね…」
橙は口を離すと、今度は手をゆっくりと藍の恥丘に這わせた。
その途端、藍の体に異変が起こった。
「ひ…!? い…んぅ…ぁ…ぁ…!」
もうこれ以上何が起こるというのか。 藍は強烈な違和感を下腹部におぼえ、思わず身をよじった。
「ちぇ…ん…? 何を飲ませ… うあああぁぁぁっ!」
耐えがたい違和感と快感と共に、藍の本来陰核があるはずの場所から男性器が凄まじい勢いで飛び出してきた。

17

「これが…藍さまの…」
ヒクヒクと脈打つそれに、橙はうっとりと視線を注ぐ。
「ちぇん… ちぇん…っ…ひっ…く…こわ…いよ…ぉ…どうして…こんな…」
なきじゃくる藍に橙は再び長い長いキスをし、口を開いた。
「紫様に相談したんです。 藍さまが好きで好きで好きで好きで好きで好きで…藍さまの子供が欲しい…って…そうしたらお薬をくれたんです」
橙は立ち上がり、自らの性器を指で広げた。 そこは既に透明な液体が泉のごとく湧き出ていて、自らのの太ももまで濡らしていた。

18

橙はゆっくりと腰を下ろし、藍から突き出た男性器に自らの濡れそぼった性器をあてがった。 そして、藍の耳元で囁いた。
「このおくすりで生えたおちんちんは、一切ガマンが出来ないそうです。 だから刺激があったらすぐに射精しちゃうらしいですよ。
ただし、刺激を与え続ければ何度でも射精できるそうです… えへへ…橙は藍さまの精子が欲しいですからちょうどいいですね。」
藍は一切の身動きが取れなかった。 自分から生えた男性器と橙の性器が触れ合っているので、少しでも動けば射精してしまいそうだった。
「少しも無駄にしたくないですから、一気に行きますね」
橙は囁くと、藍の体に腕を回し、口づけをし、そして、あてがった性器ごと腰を打ち付けた。

19

「いや…!あ…!ああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!」
藍は悲鳴と共に橙の膣内になみなみと精子を注ぎ込む。 止められない、あまりの快感に何も考えることができない。
橙の性器の感触が直に伝わってくる。 狭くて、あつくて、ヒダが絡み付いて、やわらかくて、気持ち良くて…
とめどなく精子が溢れてくる。いつ止まるのか、いつ終わるのか…
「はぁ…っ! んうううぅぅぅあぁぁぁ……は…ぁ…いっぱい…もっとぉ…」
聞くだけで達してしまいそうな、橙の嬌声。 さらに橙は一切腰を上げようとせず、膣壁を動かして藍の男性器を扱きあげる。
「藍さま…きもちいいですか…?きもちいいですよね……こんなにいっぱい出してくれて……橙もきもちいいです……」
凄まじい量の射精に、橙の小さな膣内、子宮内はもはや限界量を超え、藍との接合部からも真っ白な精液が溢れだしてきた。

20

「あ…はっ……もう一杯になっちゃいましたね……」
そう言い、橙が名残惜しそうに腰を上げると、ビシャビシャっとまるで蛇口をひねったかのような量の精液が橙の性器から溢れ出た。
やっと終わってくれるのか、この悪夢から抜け出せるのか…
そう思った矢先、橙が藍の男性器の前にしゃがみ込む。その際にも橙の性器から精液が溢れ出る音が聞こえた。
「元気な赤ちゃん産みますから…おっぱいが一杯出るように飲ませてくださいね…」
そう言うと橙は、精子と愛液まみれになっている藍の男性器を口にくわえ込んだ。
藍の意識はそこで途絶えた。

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