高校最後の一年…
私の周りではいろんなことがありました
春に吹奏楽部で出会った二人の新入生の女の子、雛子ちゃんと音色ちゃん‥・
そして、その場にいたクラスメイトの孝太郎くんと真奈ちゃん、新聞部の永治くん
音色ちゃんの為に頑張っていた時に知り合った夢水さん‥・
私たちはたった数ヶ月ですが、多分一生忘れない‥・いえ、忘れられない出来事に出会いました。
言葉にはしづらくて、文章では伝えきれないような、
そんな素敵で大変で辛くて、苦しかったけど、それでも大切でやっぱり最後は幸せになったそんな在り来りででも、普通じゃないそんな出来事です。
春に出会った音色ちゃんは声が出せなくてでも歌うこと、音楽が好きなそんな子でした‥・
私の歌を聴いて辛そうにしているところも何度か見ましたし‥・
彼女は昔、施設で育って、そして施設で虐待を受け、声を出せなくなりました。
私は、音色ちゃんの心の傷を癒してあげたくて図々しくも音色ちゃんの心に踏み込もうとしました。
そのおかげかはわかりませんが音色ちゃんはちょっとずつですが声を出せるようになり、心の傷も癒えていきました。
これは、音色ちゃんの親友、雛子ちゃんの存在が大きいと思います。
私はただ、自分から過去の傷と向き合ってそして、克服して欲しいその思いでいっぱいでしたし‥・
私の周りの人はどうしてだか心に傷を持った人が集まってきます。私の親友、真奈ちゃんもその一人です。
真奈ちゃんは心を閉ざして誰にも開いてくれませんでしたが、この出来事があったおかげで私は本当の意味で真奈ちゃんの親友に近づけた気がします。
といっても、真奈ちゃんはまだ心の傷のことを教えてはくれませんけど‥・
そして、図書館であった夢水さん、彼女は少しは吹っ切れたみたいですけどまだ心の傷‥・いや、心の闇かな?に、囚われたままなんだと思います。
私はこれからも卒業するまでこの三人と関わっていきたいと思います。三人の手を引いて、心を闇から光へと導いてあげたいんです。
あなたのいるこの世界は辛いこともあるけどそれ以上にこんなにも素敵なことのある世界なんだよって‥・
私は、メンタルセラピストじゃないから一人で歩いていけるようになるまで手を引いて上げることしかできないけど‥・
それと、あの発表会の日、私は大怪我をしてしまいましたがあの時の音色ちゃんの最後の演奏は今でもまるで昨日の事のように思い出すことができます。
音楽が大好きだった少女の最後の演奏会、その演奏会で歌えたことを私は誇りに思います。
お祭りの日にみんなで撮った写真は私の机の上にお姉ちゃんとの記念写真と家族写真のとなりに飾ってます。あの夜に見た流れ星‥・みんなはどんな願い事をしたのかな?
私は‥・ふふ、秘密です♪
あの日、図書館で決めたこと『みんなで共通の幸せを見つけましょう!!』あの言葉を実現できますようになんて人には恥ずかしくて言えませんよね?
これからも辛いこと、苦しいこと、逃げ出したくなることがいっぱいあると思いますけどみんなで立ち向かっていけばきっと最後には幸せが来るって私は信じてます。
真奈ちゃん的に言えばこれが私の『答え』です。
と、そろそろ音色ちゃんが来る時間ですね、
この私の関わった、
一人の少女が心の闇から光へと踏み出し
一人の少女が音楽の道を歩み始め
一人の少女が心の闇と戦う決心をし
一人の少女が過去との決別を決め
一人の少年が過去の罪を繰り返さない決意をし
一人の少年が人の痛みを知ったお話はこれでおしまいです。もしかしたら続くかもしれませんがそれはまたの機会に‥・
そう書き残した私は机の上の写真を眺め、玄関で待っているであろう可愛い後輩の元へとかけていった
[いらっしゃい、音色ちゃん♪ようこそ我が家へ‥・なんてね♪」