真の科学辞事典

第3章 帝国議会
第33条

帝国議会ハ貴族院衆議院ノ両院ヲ以(もっ)テ成立ス

第34条

貴族院ハ貴族院令ノ定ムル所ニ依リ皇族(こうぞく)華族(かぞく)及勅任(ちょくにん)セラレタル議員ヲ以(もっ)テ組織ス

備考;皇族=天皇を除く天皇家一族。皇后(こうごう=天皇・皇帝の配偶者。天皇の正妃。きさき)・太皇太后(たいこうたいごう=天皇の祖母。先々代の皇后の地位にあった人をいうが,実際には皇后にならなかった人にも用いられた)・皇太后(こうたいごう=先代の天皇のきさき。天皇の母で,皇后であった人)・親王(しんのう=皇族男子の身位の一。明治の皇室典範では,皇子から皇玄孫にわたる皇族男子をいった。現制度では,嫡出の皇男子および嫡男系嫡出の皇孫の男子をいう)・親王妃・内親王(ないしんのう=嫡出の皇女および嫡男系嫡出の皇孫である女子)・王(おう=皇族の男子の中で,親王宣下〔せんげ=天皇が言葉をのべ下すこと〕がなかった者)・王妃・女王(じょおう=内親王の宣下がない皇族の女子。明治の皇室典範では,5世以下の皇族女子をいい,現制度では,3世以下の嫡男系嫡出の皇族女子をいう)。華族=皇族の下,士族の上に置かれ貴族として遇せられた特権的身分。1869(明治2)年旧公卿(くぎょう=公は太政大臣,左・右大臣,卿は大・中納言,三位以上の朝官および参議)・大名の称としたのに始まり(旧華族),84(明治17)年の華族令により,公(こう)・侯(こう)・伯(はく)・子(し)・男(だん)の爵位(しゃくい)が授けられ,国家に貢献した政治家・軍人・官吏などにも適用されるに至った。勅任=天皇の命令によって官職に任ずること。

第35条

衆議院ハ選挙法ノ定ムル所ニ依リ公選セラレタル議員ヲ以テ組織ス

第36条

何人(なんぴと)モ同時ニ両議院ノ議員タルコトヲ得ス

第37条

凡(すべて)テ法律ハ帝国議会ノ協賛(きょうさん)ヲ経(へ)ルヲ要ス

備考;協賛=帝国議会が,予算・法律などの成立に同意すること。

第38条

両議院ハ政府ノ提出スル法律案ヲ議決シ及各々法律案ヲ提出スルコトヲ得

第39条

両議院ノ一(いつ)ニ於(おい)テ否決シタル法律案ハ同会期中ニ於(おい)テ再ヒ提出スルコトヲ得(え)ス

第40条

両議院ハ法律又ハ其(そ)ノ他ノ事件ニ付各々(おのおの)其(そ)ノ意見ヲ政府ニ建議(けんぎ)スルコトヲ得(う) 但(ただ)シ其(そ)ノ採納(さいのう)ヲ得(え)サルモノハ同会期中ニ於テ再(ふたたび)ヒ建議スルコトヲ得(え)ス

備考;建議=議院が意思を政府に示すこと。採納=とりあげて用いること。取り入れること。

第41条

帝国議会ハ毎年之ヲ召集ス

第42条

帝国議会ハ3箇月ヲ以テ会期トス必要アル場合ニ於テハ勅命(ちょくめい)ヲ以(もっ)テ之(これ)ヲ延長スルコトアルヘシ

備考;勅命=天皇の命令。法律・勅令の形式によらず天皇が大権に基づいて議会などに直接下した命令。

第43条

 [彁緊急ノ必要アル場合ニ於テ常会(じょうかい)ノ外臨時会ヲ召集スヘシ

◆[彁会ノ会期ヲ定ムルハ勅命(ちょくめい)ニ依(よ)ル

備考;常会=定期的に開かれる会合で通常国会のこと。

第44条

 …觜餤腸颯粒会閉会会期ノ延長及停会ハ両院同時ニ之ヲ行フヘシ

◆―圧脹_鮖競鯡織札薀譽織襯肇ハ貴族院ハ同時ニ停会セラルヘシ

第45条

衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ勅命(ちょくめい)ヲ以テ新ニ議員ヲ選挙セシメ解散ノ日ヨリ5箇月以内ニ之ヲ召集スヘシ

備考;勅命=天皇の命令。法律・勅令の形式によらず天皇が大権に基づいて議会などに直接下した命令。

第46条

両議院ハ各々其ノ総議員3分ノ1以上出席スルニ非(あら)サレハ議事ヲ開キ議決ヲ為スコトヲ得(え)ス

第47条

両議院ノ議事ハ過半数ヲ以テ決ス可否同数ナルトキハ議長ノ決スル所ニ依(よ)ル

第48条

両議院ノ会議ハ公開ス 但(ただ)シ政府ノ要求又ハ其(そ)ノ院ノ決議ニ依(よ)リ秘密会ト為(な)スコトヲ得(う)

第49条

両議院ハ各々(おのおの)天皇ニ上奏(じょうそう)スルコトヲ得(う)

備考;上奏=天皇に意見・事情などを申し上げること。奏上。

第50条

両議院ハ臣民(しんみん)ヨリ呈出(ていしゅつ)スル請願書ヲ受クルコトヲ得(う)

備考;呈出=差し出すこと。提出。請願=国民(臣民)が国または地方公共団体の機関に対して,文書により希望を述べること。

第51条

両議院ハ此(こ)ノ憲法及議院法ニ掲(かか)クルモノヽ外内部ノ整理ニ必要ナル諸規則ヲ定ムルコトヲ得(う)

第52条

両議院ノ議員ハ議院ニ於(おい)テ発言シタル意見及表決ニ付(つき)院外ニ於(おい)テ責(せめ)ヲ負フコトナシ 但(ただ)シ議員自(みずか)ラ其(そ)ノ言論ヲ演説刊行(かんこう)筆記又ハ其(そ)ノ他ノ方法ヲ以(もっ)テ公布シタルトキハ一般ノ法律ニ依(よ)リ処分セラルヘシ

第53条

両議院ノ議員ハ現行犯罪又ハ内乱(ないらん)外患(がいかん)ニ関(かか)ル罪ヲ除ク外(ほか)会期中其(そ)ノ院ノ許諾(きょだく)ナクシテ逮捕セラルヽコトナシ

備考;内乱=政府転覆を目的とする反政府勢力と,それを鎮圧しようとする政府側との国内武力抗争。外患=外部から圧迫を受ける心配。外国から攻められる心配。

第54条

国務大臣及政府委員ハ何時(なんどき)タリトモ各議院ニ出席シ及発言スルコトヲ得

第4章 国務大臣及枢密顧問
第55条

 々駝崖涜膺奪賄傾張鯤緝(ほひつ)シ其ノ責(せめ)ニ任ス

◆)沺覆垢戞縫橡[勅令(ちょくれい)其(そ)ノ他国務ニ関(かかわ)ル詔勅(しょうちょく)ハ国務大臣ノ副署(ふくしょ)ヲ要(よう)ス

備考;輔弼=天子の政治をたすけること。天皇の権能行使に対し,助言を与えること。勅令=帝国議会の協賛を経ずに,天皇の大権によって制定・公布された命令。詔勅=天皇の発する公式文書の総称。副署=補佐の国務大臣が天皇の署名にそえて署名すること。

第56条

枢密(すうみつ)顧問ハ枢密院官制ノ定ムル所ニ依(よ)リ天皇ノ諮詢(しじゅん)ニ応(こた)ヘ重要ノ国務(こくむ)ヲ審議ス

備考;枢密院=天皇の最高諮問機関。1888(明治21)年設置。重要な国事を審議。議長・副議長・顧問官・書記官長らで組織され,成年以上の親王および国務大臣も参加できた。諮詢=参考として問い尋ねること。意見をきくこと。問い諮かること=詳細は。
第5章 司法
第57条

 〇碧仝▲賄傾張量哨鳳(おい)テ法律ニ依(よ)リ裁判所之ヲ行フ

◆〆枷十螢旅柔ハ法律ヲ以(もっ)テ之(こ)ヲ定ム

第58条

 〆枷輯吋亘[Д膨螢瓮織觧餝淵魘顱覆修福縫侫觴團魄福覆發叩縫毒掘覆海譟縫貿ぁ覆砲鵝縫

◆〆枷輯吋老宰.寮觜靄凜歪┣(ちょうかい)ノ処分ニ由(よ)ルノ外(ほか)其(そ)ノ職ヲ免(めん)セラルヽコトナシ

 懲戒ノ条規(じょうき)ハ法律ヲ以(もっ)テ之(これ)ヲ定(さだ)ム

第59条

裁判ノ対審(たいしん)判決ハ之ヲ公開ス 但(ただ)シ安寧(あんねい)秩序又ハ風俗ヲ害スルノ虞(おそれ)アルトキハ法律ニ依(よ)リ又ハ裁判所ノ決議ヲ以テ対審(たいしん)ノ公開ヲ停(とど)ムルコトヲ得(う)

備考;対審=訴訟において,対立する当事者が裁判官の前で主張を闘わせることによって進められる審理方法。安寧=世の中が平穏無事なこと。

第60条

特別裁判所ノ管轄(かんかつ)ニ属(ぞく)スヘキモノハ別ニ法律ヲ以(もっ)テ之(これ)ヲ定ム

備考;特別裁判所=特殊の人・事件について裁判権を行使する裁判所で,軍法会議や行政裁判所がこれにあたる。管轄=その支配する権限の及ぶ範囲。

第61条

行政官庁ノ違法処分ニ由(よ)リ権利ヲ傷害セラレタリトスルノ訴訟ニシテ別ニ法律ヲ以テ定メタル行政裁判所ノ裁判ニ属スヘキモノハ司法裁判所ニ於(おい)テ受理スルノ限(かぎり)ニ在(あ)ラス

備考;行政裁判所=行政官庁の行為の適法性を争い,その取消・変更を求める訴訟の審理および判決のための裁判所。

第6章 会計
第62条

 /掘覆△蕕拭縫冒点如覆修爾ぁ縫魏櫂卦據覆よび)税率ヲ変更スルハ法律ヲ以(もっ)テ之(これ)ヲ定ムヘシ

◆|◆覆燭澄縫景鷭(ほうしょう)ニ属(ぞく)スル行政上ノ手数料及其(そ)ノ他(た)ノ収納金(しゅうのうきん)ハ前項ノ限ニ在(あ)ラス

 国債ヲ起シ及予算ニ定メタルモノヲ除ク外(ほか)国庫(こっこ)ノ負担トナルヘキ契約ヲ為(な)スハ帝国議会ノ協賛(きょうさん)ヲ経(ふ)ヘシ

備考;租税=国家または地方公共団体が,経費にあてるために国民や住民から強制的に徴収する金銭。税金。報償=与えた損害のつぐないをすること。弁償。収納金=国または地方公共団体の会計で,受領する租税その他の現金。国債=国が資金の不足をまかなうために負う金銭債務。国債証券の発行を伴うものを狭義の国債,伴わないものを借入金という。通常は発行した債券そのものをさす。公債。協賛=帝国議会が,予算・法律などの成立に同意すること。

第63条

現行ノ租税(そぜい)ハ更(さら)ニ法律ヲ以(もっ)テ之(これ)ヲ改(あらた)メサル限(かぎり)ハ旧(きゅう)ニ依(よ)リ之(これ)ヲ徴収(ちょうしゅう)ス

第64条

 々餡肇虜仆弌覆気い靴紊帖忘估(さいにゅう)ハ毎年予算ヲ以(もっ)テ帝国議会ノ協賛(きょうさん)ヲ経(ふ)ヘシ

◆〕住札隆捷燹覆んこう)ニ超過シ又ハ予算ノ外(ほか)ニ生(しょう)シタル支出アルトキハ後日帝国議会ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス

備考;歳出=国または地方公共団体の一会計年度中の一切の支出。款項=款と項。予算・決算のまとめの単位。協賛=帝国議会が,予算・法律などの成立に同意すること。

第65条

予算ハ前(さき)ニ衆議院ニ提出スヘシ

第66条

皇室経費ハ現在ノ定額ニ依リ毎年国庫ヨリ之(これ)ヲ支出シ将来増額ヲ要スル場合ヲ除ク外(ほか)帝国議会ノ協賛(きょうさん)ヲ要セス

備考;協賛=帝国議会が,予算・法律などの成立に同意すること。

第67条

憲法上ノ大権(たいけん)ニ基(もと)ツケル既定(きてい)ノ歳出及法律ノ結果ニ由(よ)リ又ハ法律上政府ノ義務ニ属スル歳出ハ政府ノ同意ナクシテ帝国議会之(これ)ヲ廃除(はいじょ)シ又ハ削減スルコトヲ得(え)ス

備考;大権=旧憲法に定める天皇の権能の中で,帝国議会の参与を経ずに行使されるもの。広く,天皇の国土・国民に対する統治権をもさすこともある。

第68条

特別ノ須要(すよう)ニ因(よ)リ政府ハ予(あらかじ)メ年限(ねんげん)ヲ定メ継続費トシテ帝国議会ノ協賛(きょうさん)ヲ求(もと)ムルコトヲ得(う)

備考;須要=ぜひとも必要なこと。必須。協賛=帝国議会が,予算・法律などの成立に同意すること。

第69条

避(さ)クヘカラサル予算ノ不足ヲ補フ為(ため)ニ又ハ予算ノ外(ほか)ニ生(しょう)シタル必要ノ経費ニ充(あ)ツル為(ため)ニ予備費ヲ設(もう)クヘシ

第70条

 仝共ノ安全ヲ保持スル為(ため)緊急ノ需用アル場合ニ於(おい)テ内外ノ情形(じょうけい)ニ因(よ)リ政府ハ帝国議会ヲ召集スルコト能(あた)ハサルトキハ勅令(ちょくれい)ニ依(よ)リ財政上必要ノ処分ヲ為(な)スコトヲ得(う)

◆〜姐爛両豺腑鳳(おい)テハ次ノ会期ニ於(おい)テ帝国議会ニ提出シ其(そ)ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス

備考;情形=物事のありさま・状態。勅令=帝国議会の協賛を経ずに,天皇の大権によって制定・公布された命令。

第71条

帝国議会ニ於(おい)テ予算ヲ議定(ぎてい)セス又ハ予算成立ニ至(いた)ラサルトキハ政府ハ前年度ノ予算ヲ施行スヘシ

備考;議定=合議により事を定めること。

第72条

 々餡肇虜仆从估ノ決算ハ会計検査院之ヲ検査確定シ政府ハ其(そ)ノ検査報告ト倶(とも)ニ之(これ)ヲ帝国議会ニ提出スヘシ

◆_餬弩〆艮.料反サ據覆よび)職権ハ法律ヲ以(もっ)テ之(これ)ヲ定ム

第7章 補則
第73条

 ‐来此(こ)ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命(ちょくめい)ヲ以(もっ)テ議案ヲ帝国議会ノ議(ぎ)ニ付スヘシ

◆〆 覆魁縫両豺腑鳳(おい)テ両議院ハ各々(おのおの)其(そ)ノ総員3分ノ2以上出席スルニ非(あら)サレハ議事ヲ開クコトヲ得(え)ス出席議員3分ノ2以上ノ多数ヲ得(う)ルニ非(あら)サレハ改正ノ議決ヲ為(な)スコトヲ得(え)ス

備考;勅命=法律・勅令の形式によらず天皇が大権に基づいて議会などに直接下した命令。

第74条

 々勅偲吉魯硫正ハ帝国議会ノ議ヲ経ルヲ要セス

◆々勅偲吉魯魄福覆發叩縫萄 覆魁縫侶法ノ条規(じょうき)ヲ変更スルコトヲ得(え)ス

備考;条規=きまり。

第75条

憲法及皇室典範ハ摂政(せっしょう)ヲ置(お)クノ間之(これ)ヲ変更スルコトヲ得(え)ス

備考;摂政=君主に代わって政務を執り行うこと。

第76条

 )[У則命令又ハ何等(なんら)ノ名称ヲ用(もち)ヰ(い)タルニ拘(かかわ)ラス此(こ)ノ憲法ニ矛盾(むじゅん)セサル現行ノ法令ハ総(すべ)テ遵由(じゅんゆう)ノ効力ヲ有ス

◆〆仆仂綫府ノ義務ニ係(かかる)ル現在ノ契約又ハ命令ハ総(すべ)テ第67条ノ例ニ依(よ)ル

備考;遵由=よりしたがうこと

備考は,三省堂『大辞林』および旺文社『漢和辞典』による。

このページへのコメント

障腦吟潟<潟紊援ぜ障 若若若 http://www.fetang.com/

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Posted by 若若若 2013年08月02日(金) 10:30:06 返信

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