その他14

時空管理局が解散した。いきなり何を言うんだ? と言われても困るが、とにかく解散したのである。
時空管理局に所属する魔導師達は揃って職を失う事となったが、それでも皆新たな職を見付けて
第二の人生を歩んでいた。八神はやてとヴォルケンリッター達はお好み焼き屋を始め、
ハラオウン家はクリーニング屋を始めた。そんなある日の事…

「それではシャツ3枚とジャケットですね。仕上がりは明日の3時になりますので。」
「よろしくね。」
「ありがとうございました。」
クリーニング屋を始めてしばらく経つが、そのかいあってクロノも仕事に随分慣れて来た。
すると買い物に出かけていたフェイトが帰って来た。
「買い物帰りで済まないけど手伝ってくれないかな? 今日は少し忙しいんだ。」
「ハァ…ハァ…そ…そんな事より…。」
「ん?」
その時のフェイトの顔はまるでとんでもない物を見てしまったかのように真っ青になっていた。
「どうしたんだ? そんな血相変えて。」
「お…落ち着いて聞いて…。な…なのはが…なのはが見付かった…。」
「な…なんだって!? 本当か!? 何処で何をやってるんだあいつは!」
「それが…。」
フェイトは目から大粒の涙を流し始めた。
「お…落ちぶれて…ホームレスに…。」
「な…なにぃ…。」
フェイトはついには泣き出し、クロノも愕然とする他無かった。

一方ハラオウン家の経営しているクリーニング屋の近くの公園でボロボロのコートに身を包み、
目をサングラスで隠したなのはが物陰に隠れて双眼鏡で何かを覗いていた。
そして覗いた先に映っている一人の男の姿を追い、今度はコートの中からカメラを取り出し、
木の陰に隠れて盗撮を始めた。そして男が近所のマンションの中へ入って行く所まで撮った時、
それを遮るかのようにクロノとフェイトの二人が号泣しながら走って来たのである。
「なのは!」
「あ…。」
「何をやってるんだお前は!」
「あ…あ…し〜っ。」
クロノとフェイトに迫られたなのはは戸惑うが、この二人とて戸惑いを隠せない。
「職が無いんならどうして言ってくれなかったんだよ! こんな落ちぶれた姿見たく無かったよ!」
二人はひたすらに号泣するしか無かった。時空管理局解散以後行方不明となっていたなのはが
まさかこんな落ちぶれた姿で発見されるなど…誰だって泣きたくなる。
「とにかくすぐウチに来い!」
「そうだよ! ウチの仕事もやっとどうにか軌道に乗って来て、今ちょうど自給600円の
バイト探してたところなんだよ!」
「あ…ま…まって…今仕事中なの! じゃましないで!」
「な…なにぃ!?」
「仕事って何!?」
「浮気調査なの!」
なのはは不機嫌そうに走り出した。
「今、依頼人の旦那さんが浮気相手のマンションに入る所だったの! 決定的瞬間を
撮り損ねちゃったじゃない! もうバカ!」
「…。」
一体なのはは何をやっているのか。まだ状況のつかめない二人は唖然とする他無かったが、
なのははマンションへ向けて走り、階段を幾つも登って行く。
「何処行ったの!? 依頼人の旦那さんは! ん…? 相手の部屋の窓が開いてるの…。」
そして、そ〜っと中を覗いてみると…
「あ…。」
何とまあ依頼人の旦那と浮気相手が物の見事に何かやってますよ。しかも相手からも
見つかってしまい、これは非常に気まずい。
「し…失礼しました! 覗くつもりじゃなかったんです!
物騒ですからこの窓閉めておきましょうか?」
「あ…すみません…お願いします。」
そうしてなのははゆっくりと窓を閉めるが、その瞬間にカメラで二人の浮気現場を映像に収めていた。

「高町探偵事務所!?」
なのはから渡された名刺を見たクロノとフェイトは驚きを隠せない。
「ほ…本当に…本物の探偵になったのか!?」
「どうして探偵なんてやってるの!?」
「そういう話はまだ今度なの…。」

           高町なのは 職業探偵 自称変装の名人
                 おわり

[単発総合目次へ][その他系目次へ][TOPページへ]
2007年05月31日(木) 22:32:01 Modified by beast0916




スマートフォン版で見る