リリカルsts×ギルティギア4話

それからしばらくして、ソルはこちらで賞金稼ぎを始めた。
指定された時間には帰ってくるようだが、かなり上から目を付けられていた。
死者はまだ出てない。

一方カイは、郊外の方で一人訓練。
いくら此方に居るとは言え、いざ奴と戦闘になった時今の自分では倒せない。
アイツなら何とかなるが自分には出来ない。
せっかくなのでアイツも誘ってはみたのだが
「そんな面倒なこと一人でやれ。俺は坊やみたいに暇じゃない。」
そう突っぱねられ、今に至る。

「此の程度では・・・」

実際、法力・身体能力・技術、それら全てを見てもカイは高い。
並みの相手では話にならない。
それどころか比較対象にもなりえない。
組織の頭を張るには十分すぎる強さだ。

しかし、奴は容易にそれを上回る。
今の自分では勝てない。

だから自分に言い聞かせる。
“クリフ団長はもっと強かった。今の私よりもずっと前から奴と渡りあってきた!”
私に団長の座を明け渡したクリフ団長。
その期待や、希望を裏切らないためにも私は強くならなければ。
そう思いながら一振り一振りに思いを込める。
此の歳で出来すぎた人間である。

その夜

「此方の世界には慣れたか?」
食事の後にシグナムさんに出会った。
聞けばいままで呼び出されていたらしい。
「ええ、だいぶ馴染んで来ました。それも皆さんのおかげです。」
「そうか、それは何よりだ。ところでもう一人は?」
「アイツは、今出てます。」
「どこかに出ているのか?」
「ええ・・・出ているというより・・・」
「どういうことだ?」
「アイツは・・・・・賞金稼ぎに出ています。」
「賞金稼ぎ?何でまたそのようなことを?」
食事の手当て等は出ている筈である、その様な事をする必要は無いはずだが・・・
「おそらく、体が鈍らない様にするためだと。」
「なるほど。戦場を忘れないためか。」
そういえば最近、手配犯が急激に減っていたなと、一人頷く。
「結構な事ではないか。」
アイツを知っている者ならけしてそう思わないのだが、此処は笑って濁す。

「所で、お主の方はどうだ、訓練等は?」
「郊外の方で一人で行っています。それが?」
突然の振りに若干戸惑いながらも答える。
「それなら今度うちの訓練に付き合ってくれないか?何分人手が足りなくてな。」
「良いのですか?私でよければ何時でも手伝いますが・・・」
「そうか、なら頼む。出来ればもう一人の方も頼みたいのだが・・・」
「判りました。何とか言ってみます。」
「スマンな、それではまた。」
「ええ、失礼します。」

「というわけで今度の訓練に付き合ってくれないか?」
「断る。」
ソルはこの上なくめんどくさそうに言う。
「頼む、お前も此処の技術に興味が無いわけではないだろう。」
「知らん、坊や一人で行け。」
「お前はいつもそうやって・・・」
「てめぇの面倒見るので忙しいんだよ。」
「どうせ体が鈍っているでしょう。だから此の機会はちょうど良い。」
確かにアレ以来ろくな奴と出会っておらず、体は鈍る一方であるのも確か。
「じゃあなにか?そこに行けばそれなりの相手が居ると。そういうのか?」
「そうです。」
「いいだろう。」
「そうですか。所で貴方武器は?」
「此の前拾った鉄塊を加工・細工してある、それで十分だ。」
「そうですか、私はこれを持って行きます。」
聖騎士団から授かった宝剣「封雷剣」
数々の戦場を供にして来た剣。
手入れは欠かさない。

「そういえば此処のアイツの対策は如何してる?」
突然ソルがアイツの話をする。珍しい事もあるものだ。
「アイツの対策ですか?正直に言えば軽く見すぎていますね。」
「だろうな・・・」
正直この世界はアイツを知らない。
アイツの危険性が判らないのは仕方が無いかもしれない。
しかし気付いてからでは手遅れになりかねない。
何とかしなくては・・・・

訓練の日

指定された場所に行くとなのはと訓練生はすでに集まっていた。
「今回はこの二人にも参加してもらいます。」
「此の人たちってあの時の・・・」
スバルとティアはあの時現れた男に少し驚いた。
エリオとキャロについては初対面である。
頭に?が浮いている。が
「はじめまして。カイ=キスクといいます、どうぞよろしく。」
「「ああっ、はい。よろしくお願いします。」」
騎士の様なカイの姿に直に見ほれた。
「子守はごめんだぜ・・・」
ソルは“やれやれ・・・”といった風である。

「この人たちも体が鈍ったらいけないという事で今回参加してくれることになりました。」
シャリオは“拍手拍手”などと言い手を叩いている。
「ところで、訓練とはいっても一体何をすればよいのでしょうか?」
カイは此の何もない所で訓練をするとは聞いたが、何をするのか聞かされてはいない。
「今回はターゲットの破壊です。」
「ターゲットはこれ。」
そこには宙に浮いた機械が数十と待ち構えている。
「これは・・・」
「今回はこれを破壊してもらいます。機械だからって舐めてかかると
危ないから油断しちゃだめだよ。」
そういってスバルたちは訓練を開始した。

「すごい技術力だな。」
「よく見ておけ。」
「ん?」
「これが俺達が捨てた文明だ。」
「ソル?」
ソルはただ黙ってそれらを見つめる。

スバル達が訓練を開始して数十分後、訓練場から出てきた。
なかなかに苦戦したようだ。
それぞれ疲労や傷跡が見える。
「なかなかいいデータが取れました。」
シャリオは彼らとは対照的に楽しそうだ。

「それじゃあ次はお二人です。」
「一人で十分だ。」
ソルがそう言うと、あたりが静まる。
「アレを一人で相手するって言うんですか!?」
「そうだ。」
「いくらなんでも無理ですよ。あたし達の時見てないんですか。」
「ちょっとティア!?」
ティアはソルの突然の申し出に、そう切り替えしたが
「そうですね。1対多が、私たちの基本ですし。」
カイも同じことを言う。
此処は黙って引き下がる。

「じゃ、じゃあ先にカイさん、準備はいいですか?」
「はい、何時でもどうぞ。」
「じゃあいきます、気を付けて。」

「いきます。」

開始早々カイを中心に広がっていくガジェット達。
「スピードはなかなかですね・・・そこだ!!」
一体のガジェットは突然の電撃を浴び、火を噴く。
「はあぁぁぁ!」
一体のガジェットは雷を纏った剣によって二つになり地に落ちる。
AMFを先ほど見ていたので、対策案は立ててある。

「凄いですね・・・ほんとに一人で相手をしてる。」
「そうだね、あれだけのスピードでかなり威力を持ってる。」
「凄いですよ・・・あっ、また一体。」
ティアは「スタンエッジ」の精度・パワー・スピードを。
エリオはカイの太刀筋を。
食い入るように見つめる。

しばらくすると向うもこちらに対して対策を始めてきた。
「凄い学習能力だ・・・もうこちらの動きについてくる。でも・・・」
カイはここで、突如動かず力をため始める。
ガジェットはその隙を逃すまいと詰め寄る。

「危ないですよ!いくら設定してあってもあれだけの数を喰らっちゃ!!」
カイの突然の行動に全員が慌てだす。
ソルはそもそも見てすらない。
「此処までかな・・・」

対象の距離は・・・あと少し
法力は・・・一定量を維持

「いまだ!!」
突如、ガジェットの上空から全機に対して雷が落ちる。
何体かは直撃。
残りはAMFを展開。
「もらった!」
AMFの展開された機体を、かまいたちの様に次々に切り裂いていく。
一瞬のうちに全機落ちた。

スバルたちは驚きで声が出ない。
自分たちがあれだけ苦労して倒したものを意図も簡単に打ち落とし
切り裂いたのだ。

「久々に体を動かすことが出来ました。」
帰ってきたカイの顔はすっきりしていた。
「凄いです・・・あれだけの数を一人で・・・それもあんな時間で・・・」
「ほんと・・・あんなに動けるなんて・・・」
「このデータは記録物ですよ。」
“術式の形態が違うからデータが少し取りにくくかったですけどね”と付け加える。
「ところでカイさん、その剣は?」
「これですか、これは私の宝です。」
エリオはカイの剣に興味がわいたようだ。
あれだけ見せられればそうなるだろう。

「次は俺だ、やらないのなら帰る。」
「あっ、ごめんなさい。今準備します。」
急ピッチで作業を進める。

「準備はいいですか?」
「適当にはじめろ・・・」
「じゃあはじめ!」

今度は解散せず全機いっせいにソルを狙う。
“確かこいつら術を打ち消すんだったな”
ソルめがけて飛び掛るガジェット。
それが襲いかかる瞬間ソルはニヤリと笑い、身を屈めて低姿勢で駆け抜ける。

「ああ・・・またそんな危ないことを・・・」
シャリオがそう呟いた時、
突如データを記録していたコンソールがアラートを鳴らし始めた。
「如何したの?」
「それがいきなり・・・何この魔力!?」
「魔力?」
「そうです、常軌を逸した数値です!!」
「それってどういう・・・」

ガジェットはすべて灰になった。
なのは達が振り返った時、そこにあったのは一つの火柱。
まるで天を引き裂くかのような巨大な火柱。
「終わったぞ。」
ソルが帰ってきたがそこに居た者はただ呆然とするだけだった。
カイは溜息をついた。

「AMFが在ったのにどうやって・・・」
シャリオがもっともな事を言ってくる。
「単純なことだ。それが無力化できないレベルをぶつけりゃ良い。」
「そんな方法で・・・」
“加減を間違えちまったがな”などと言って何処かへ行こうとする。
「ちょっと、何処行くんですか!?」
「今日の依頼だ。」
「ええっ!?」
「これからはそこの坊やに頼め、俺は仕事だ。」
じゃあなと言って何処かえ消える。
カイ以外は呆然と、本人に至っては頭を抱えていた。

[前へ][目次へ][次へ?
2007年08月07日(火) 08:36:16 Modified by beast0916




スマートフォン版で見る