法華文句(仮名遣及仮名字体沿革史料)

全部元二十巻あるべし。書体は天平時代を少しく降れる程のものにして、首より半過ぐるまでは、行草稍謹厳なりと雖も、末尾に近くに随ひ、漸く麁略となりて、暗に根気已に竭きて、書写他巻に及ばざりしを示せり。今其首中尾の一二行を摸し出したれば、其大体を覗ふ可し。
○全巻、白墨赭墨及び朱の三次の訓点あり。赭墨、白墨の上に重り、朱点、間々赭点を避けて記入せるところあり。以て、白墨は最も先に、赭点之に次ぎ、朱点は最も後に施せるものなること明かなり。而して、仮名の体の、三者相類似せるより推せば、略々同時代の人の手になれる事、疑ふ可からず。但し其時代は、真仮名の多きと、テの仮名に弖を用ゐたるなどより考ふるときは略々推測することを得べし。

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2005年11月06日(日) 23:24:23 Modified by bunkengaku




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