三崎のうた・第二 | ミサキノウタ・ダイニ | 指示 | 速度 | 調性 | 拍子 | |
1 | 後朝 三曲 | ゴチョウ(キヌギヌ)サンキョク | やや、おそく | 4分音符=約76 | ト短調 | 4/4 |
2 | 片浦千鳥 | カタウラチドリ | 中庸の速度で | 4分音符=約96 | ニ短調 | 3/4 |
3 | 遠樹 | エンジュ | おそく | 4分音符=約66 | イ短調 | 4/4 |
4 | 遠い岬 | トオイミサキ | かなりおそく | 付点4分音符=約48 | ヘ長調 | 6/8 |
5 | 墓 | ハカ | やや おそく | 4分音符=約76 | ト短調 | 3/4 |
6 | 鰤網 | ブリアミ | 中庸の速度で | 4分音符=約92 | ニ短調 | 2/4 |
出版譜の作曲者ライナーノーツによると「『富士山』のような、男性的でめりはりのきいた組曲を」という委嘱者の要望にこたえたものとのこと。「三崎」は神奈川県三浦市の地名。
沖は晴かよ
沖は晴かよ、
早や朝凪か、
浜は満潮、
法螺の呼び。
法螺が鳴つたとて、
どうかかえさりよか、
こんど、綱解きや、
よその舟。
沖は雪かよ
沖は雪かよ、
ふぢ紫か、
浜はしら波、
むら千鳥。
明けの千鳥の
数飛ぶよりも、
はぐれ鴉が
わしや憎い。
沖は遥かよ
沖は遥かよ、
また風虹か。
浜は引潮、
やらず雨。
やらず雨さへ
後追うものを、
末はしら波、
帆かけ舟。
沖は晴かよ、
早や朝凪か、
浜は満潮、
法螺の呼び。
法螺が鳴つたとて、
どうかかえさりよか、
こんど、綱解きや、
よその舟。
沖は雪かよ
沖は雪かよ、
ふぢ紫か、
浜はしら波、
むら千鳥。
明けの千鳥の
数飛ぶよりも、
はぐれ鴉が
わしや憎い。
沖は遥かよ
沖は遥かよ、
また風虹か。
浜は引潮、
やらず雨。
やらず雨さへ
後追うものを、
末はしら波、
帆かけ舟。
1
何処ぞ、祭か、
月夜の囃子、
浜は松風。
浦千鳥。
わたしや、迷子の
片浦千鳥、
啼けど、遠音の
里囃子。
2
何処ぞ、祭か、
ちらちら燈。
浜は松風。
里囃子。
近いやうでも
あの里囃子。
なまじ、月夜の
遠燈。
何処ぞ、祭か、
月夜の囃子、
浜は松風。
浦千鳥。
わたしや、迷子の
片浦千鳥、
啼けど、遠音の
里囃子。
2
何処ぞ、祭か、
ちらちら燈。
浜は松風。
里囃子。
近いやうでも
あの里囃子。
なまじ、月夜の
遠燈。
遠樹は金の甲なり、
明るけれども影ふかく
高きにゐれども眼に低し、
ただ秋風ぞ彼を吹く。
遠樹にかゝる三日の月、
遠樹にのこる昼の雨、
遠樹の暮れてかゞやくは、
かうかうとしてかつ寂し。
遠樹のかげをゆく人は、
身も金色に光るらん、
遠樹の雨を眺むれば
幽けき煙、野にぞ沁む。
遠樹の上にちらばるは、
これ釣舟の銀の櫂、
消ゆかにしてはまたいくつ、
光りて鳥も飛びゆけり。
遠樹にかかる三日の月、
遠樹にのこる昼の雨、
遠樹の空にわだつみの、
波かぎりなくうちつゞく。
遠樹の赤さ、野の暗さ、
かうかうと吹く秋の風。
遠望の中、かげゆれて、
祈るがごとし、いつくしく。
遠樹は遂に遠樹なり、
明るけれどもゆめふかく、
高きに動げどなほ重し、
遠樹の背にぞ虹かかる。
明るけれども影ふかく
高きにゐれども眼に低し、
ただ秋風ぞ彼を吹く。
遠樹にかゝる三日の月、
遠樹にのこる昼の雨、
遠樹の暮れてかゞやくは、
かうかうとしてかつ寂し。
遠樹のかげをゆく人は、
身も金色に光るらん、
遠樹の雨を眺むれば
幽けき煙、野にぞ沁む。
遠樹の上にちらばるは、
これ釣舟の銀の櫂、
消ゆかにしてはまたいくつ、
光りて鳥も飛びゆけり。
遠樹にかかる三日の月、
遠樹にのこる昼の雨、
遠樹の空にわだつみの、
波かぎりなくうちつゞく。
遠樹の赤さ、野の暗さ、
かうかうと吹く秋の風。
遠望の中、かげゆれて、
祈るがごとし、いつくしく。
遠樹は遂に遠樹なり、
明るけれどもゆめふかく、
高きに動げどなほ重し、
遠樹の背にぞ虹かかる。
墓場は輝く、何かを感ず。
墓場は銀光燦爛たり。
秋なり、絶えず微風はきたる、
麗はしき息の如く。
墓場は銀光燦爛たり。
冷やかに、よろこばしく。
草は光り、跳ねあがる、
一心の弾機。
墓場は銀光燦爛たり。
驚きは拡がる。
そが中にただひとつ、飛び跳ぬるもの、
そは誰が愛せし白猫ぞや。
虔ましき一時、墓場は何かを感ず、
墓場は銀光燦爛たり。
墓場は銀光燦爛たり。
秋なり、絶えず微風はきたる、
麗はしき息の如く。
墓場は銀光燦爛たり。
冷やかに、よろこばしく。
草は光り、跳ねあがる、
一心の弾機。
墓場は銀光燦爛たり。
驚きは拡がる。
そが中にただひとつ、飛び跳ぬるもの、
そは誰が愛せし白猫ぞや。
虔ましき一時、墓場は何かを感ず、
墓場は銀光燦爛たり。
1
明日は大漁か、
夕焼ござる、
伊豆の大嶋
えんやら、茜雲。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
舟なら四挺櫓、八挺櫓、
腕なら男の若盛り、
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
2
またも時化かよ、
あの風雲は、
なまじ天城の
えんやら、朝の虹。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
どうでもこいつは命がけ、
板子は一枚、底奈落、
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
3
惚れりゃ、ねこそぎ
西浜がよひ、
失敗りや、鰤網、
えんやら、東沖。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
網主大事か、こちとらか、
どうでも食はれにや同心棒。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
4
鰤か、鰆か、
あの潮先は、
虹の七色、
えんやら、大漁いろ。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
網主一人が神さまか、
こちとら裸か、網雑魚か。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
5
北は大山、
南は嶋よ、
東、房州、
えんやら、西、天城。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
大漁だ、大漁だ、また大漁、
舟主、網主、網の雑魚。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
明日は大漁か、
夕焼ござる、
伊豆の大嶋
えんやら、茜雲。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
舟なら四挺櫓、八挺櫓、
腕なら男の若盛り、
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
2
またも時化かよ、
あの風雲は、
なまじ天城の
えんやら、朝の虹。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
どうでもこいつは命がけ、
板子は一枚、底奈落、
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
3
惚れりゃ、ねこそぎ
西浜がよひ、
失敗りや、鰤網、
えんやら、東沖。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
網主大事か、こちとらか、
どうでも食はれにや同心棒。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
4
鰤か、鰆か、
あの潮先は、
虹の七色、
えんやら、大漁いろ。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
網主一人が神さまか、
こちとら裸か、網雑魚か。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
5
北は大山、
南は嶋よ、
東、房州、
えんやら、西、天城。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
大漁だ、大漁だ、また大漁、
舟主、網主、網の雑魚。
えんやらえんやら、えんやらほ、
えんやらえんやら、えんやらほ。
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