ウィキペディア Wikipedia は、第一位のインターネット百科事典と世間から認知されていますが……。                                                                          ウィキペディアに掲載できない原稿や、真面目な批判的見地からの記事、そのためのウィキペおたく百科事典です。



ぞうきのいしょくにかんするほうりつ、俗に「臓器移植法」ともいわれる。

概要

「脳死」を「人の死」として、脳死の患者から臓器を摘出する脳死移植が、南アフリカやアメリカ合衆国で行われ、世界中で公然と行われるようになった。日本では、1968年に、札幌医科大学の和田寿郎らにより心臓移植が実施されたが、後に殺人罪で告訴され、検察の任意捜査の後に嫌疑不十分の不起訴処分となった。脳死移植を受けなくては助からない患者の強い希望もあり、日本において、「臓器の移植に関する法律」により、臓器移植時に限って脳死を人の死として、脳死移植を行うことが合法化された。

議会での討論過程

「脳死は人の死か」というところに、論争が繰り広げられていた。情動の中枢や食欲と密着している視床下部が生き残っている状態を脳死といえるかどうか、というような話はでてこなかった。「脳死を人の死とする」中山案について修正がなされ、「臓器移植に関してのみ脳死を死とする」こととなり、1997年7月16日に成立した。

条文

臓器の移植に関する法律
(平成九年七月十六日法律第百四号)
最終改正:平成一一年一二月二二日法律第一六〇号

第一条 (目的)

この法律は、臓器の移植についての基本的理念を定めるとともに、臓器の機能に障害がある者に対し臓器の機能の回復又は付与を目的として行われる臓器の移植術(以下単に「移植術」という。)に使用されるための臓器を死体から摘出すること、臓器売買等を禁止すること等につき必要な事項を規定することにより、移植医療の適正な実施に資することを目的とする。

第二条 (基本的理念)  

死亡した者が生存中に有していた自己の臓器の移植術に使用されるための提供に関する意思は、尊重されなければならない。
2  移植術に使用されるための臓器の提供は、任意にされたものでなければならない。
3  臓器の移植は、移植術に使用されるための臓器が人道的精神に基づいて提供されるものであることにかんがみ、移植術を必要とする者に対して適切に行われなければならない。
4  移植術を必要とする者に係る移植術を受ける機会は、公平に与えられるよう配慮されなければならない。

第三条(国及び地方公共団体の責務)

国及び地方公共団体は、移植医療について国民の理解を深めるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

第四条(医師の責務)

医師は、臓器の移植を行うに当たっては、診療上必要な注意を払うとともに、移植術を受ける者又はその家族に対し必要な説明を行い、その理解を得るよう努めなければならない。

第五条(定義)

第五条  この法律において「臓器」とは、人の心臓、肺、肝臓、腎臓その他厚生労働省令で定める内臓及び眼球をいう。

第六条(臓器の摘出)

医師は、死亡した者が生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないときは、この法律に基づき、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。
2  前項に規定する「脳死した者の身体」とは、その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたものの身体をいう。
3  臓器の摘出に係る前項の判定は、当該者が第一項に規定する意思の表示に併せて前項による判定に従う意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けたその者の家族が当該判定を拒まないとき又は家族がないときに限り、行うことができる。
4  臓器の摘出に係る第二項の判定は、これを的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師(当該判定がなされた場合に当該脳死した者の身体から臓器を摘出し、又は当該臓器を使用した移植術を行うこととなる医師を除く。)の一般に認められている医学的知見に基づき厚生労働省令で定めるところにより行う判断の一致によって、行われるものとする。
5  前項の規定により第二項の判定を行った医師は、厚生労働省令で定めるところにより、直ちに、当該判定が的確に行われたことを証する書面を作成しなければならない。
6  臓器の摘出に係る第二項の判定に基づいて脳死した者の身体から臓器を摘出しようとする医師は、あらかじめ、当該脳死した者の身体に係る前項の書面の交付を受けなければならない。

第七条(臓器の摘出の制限)

医師は、前条の規定により死体から臓器を摘出しようとする場合において、当該死体について刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十九条第一項 の検視その他の犯罪捜査に関する手続が行われるときは、当該手続が終了した後でなければ、当該死体から臓器を摘出してはならない。

第八条(礼意の保持)

第六条の規定により死体から臓器を摘出するに当たっては、礼意を失わないよう特に注意しなければならない。

第九条(使用されなかった部分の臓器の処理)

病院又は診療所の管理者は、第六条の規定により死体から摘出された臓器であって、移植術に使用されなかった部分の臓器を、厚生労働省令で定めるところにより処理しなければならない。

第十条(記録の作成、保存及び閲覧)

医師は、第六条第二項の判定、同条の規定による臓器の摘出又は当該臓器を使用した移植術(以下この項において「判定等」という。)を行った場合には、厚生労働省令で定めるところにより、判定等に関する記録を作成しなければならない。
2  前項の記録は、病院又は診療所に勤務する医師が作成した場合にあっては当該病院又は診療所の管理者が、病院又は診療所に勤務する医師以外の医師が作成した場合にあっては当該医師が、五年間保存しなければならない。
3  前項の規定により第一項の記録を保存する者は、移植術に使用されるための臓器を提供した遺族その他の厚生労働省令で定める者から当該記録の閲覧の請求があった場合には、厚生労働省令で定めるところにより、閲覧を拒むことについて正当な理由がある場合を除き、当該記録のうち個人の権利利益を不当に侵害するおそれがないものとして厚生労働省令で定めるものを閲覧に供するものとする。

第十一条(臓器売買等の禁止)

何人も、移植術に使用されるための臓器を提供すること若しくは提供したことの対価として財産上の利益の供与を受け、又はその要求若しくは約束をしてはならない。
2  何人も、移植術に使用されるための臓器の提供を受けること若しくは受けたことの対価として財産上の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
3  何人も、移植術に使用されるための臓器を提供すること若しくはその提供を受けることのあっせんをすること若しくはあっせんをしたことの対価として財産上の利益の供与を受け、又はその要求若しくは約束をしてはならない。
4  何人も、移植術に使用されるための臓器を提供すること若しくはその提供を受けることのあっせんを受けること若しくはあっせんを受けたことの対価として財産上の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をしてはならない。
5  何人も、臓器が前各項の規定のいずれかに違反する行為に係るものであることを知って、当該臓器を摘出し、又は移植術に使用してはならない。
6  第一項から第四項までの対価には、交通、通信、移植術に使用されるための臓器の摘出、保存若しくは移送又は移植術等に要する費用であって、移植術に使用されるための臓器を提供すること若しくはその提供を受けること又はそれらのあっせんをすることに関して通常必要であると認められるものは、含まれない。

第十二条(業として行う臓器のあっせんの許可)

業として移植術に使用されるための臓器(死体から摘出されるもの又は摘出されたものに限る。)を提供すること又はその提供を受けることのあっせん(以下「業として行う臓器のあっせん」という。)をしようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、臓器の別ごとに、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
2  厚生労働大臣は、前項の許可の申請をした者が次の各号のいずれかに該当する場合には、同項の許可をしてはならない。
一  営利を目的とするおそれがあると認められる者
二  業として行う臓器のあっせんに当たって当該臓器を使用した移植術を受ける者の選択を公平かつ適正に行わないおそれがあると認められる者

第十三条(秘密保持義務)

前条第一項の許可を受けた者(以下「臓器あっせん機関」という。)若しくはその役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、業として行う臓器のあっせんに関して職務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。

第十四条(帳簿の備付け等)

臓器あっせん機関は、厚生労働省令で定めるところにより、帳簿を備え、その業務に関する事項を記載しなければならない。
2  臓器あっせん機関は、前項の帳簿を、最終の記載の日から五年間保存しなければならない。

第十五条(報告の徴収等)

厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、臓器あっせん機関に対し、その業務に関し報告をさせ、又はその職員に、臓器あっせん機関の事務所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2  前項の規定により立入検査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3  第一項の規定による立入検査及び質問をする権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第十六条(指示)

厚生労働大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、臓器あっせん機関に対し、その業務に関し必要な指示を行うことができる。

第十七条(許可の取消し)

厚生労働大臣は、臓器あっせん機関が前条の規定による指示に従わないときは、第十二条第一項の許可を取り消すことができる。

第十八条(経過措置)

この法律の規定に基づき厚生労働省令を制定し、又は改廃する場合においては、その厚生労働省令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第十九条(厚生労働省令への委任)

この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

第二十条(罰則)

第十一条第一項から第五項までの規定に違反した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2  前項の罪は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三条 の例に従う。

第二十一条  

第六条第五項の書面に虚偽の記載をした者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2  第六条第六項の規定に違反して同条第五項の書面の交付を受けないで臓器の摘出をした者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

第二十二条  

第十二条第一項の許可を受けないで、業として行う臓器のあっせんをした者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第二十三条  

次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一  第九条の規定に違反した者
二  第十条第一項の規定に違反して、記録を作成せず、若しくは虚偽の記録を作成し、又は同条第二項の規定に違反して記録を保存しなかった者
三  第十三条の規定に違反した者
四  第十四条第一項の規定に違反して、帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は同条第二項の規定に違反して帳簿を保存しなかった者
五  第十五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
2  前項第三号の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

第二十四条  

法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第二十条、第二十二条及び前条(同条第一項第三号を除く。)の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。
2  前項の規定により法人でない団体を処罰する場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

第二十五条  

第二十条第一項の場合において供与を受けた財産上の利益は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

条文附則

 

第一条(施行期日)

この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。

第二条(検討等)

この法律による臓器の移植については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、その全般について検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるべきものとする。
2  政府は、ドナーカードの普及及び臓器移植ネットワークの整備のための方策に関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
3  関係行政機関は、第七条に規定する場合において同条の死体が第六条第二項の脳死した者の身体であるときは、当該脳死した者の身体に対する刑事訴訟法第二百二十九条第一項の検視その他の犯罪捜査に関する手続と第六条の規定による当該脳死した者の身体からの臓器の摘出との調整を図り、犯罪捜査に関する活動に支障を生ずることなく臓器の移植が円滑に実施されるよう努めるものとする。

第三条(角膜及び腎臓の移植に関する法律の廃止)

角膜及び腎臓の移植に関する法律(昭和五十四年法律第六十三号)は、廃止する。

第四条(経過措置)

医師は、当分の間、第六条第一項に規定する場合のほか、死亡した者が生存中に眼球又は腎臓を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合及び当該意思がないことを表示している場合以外の場合であって、遺族が当該眼球又は腎臓の摘出について書面により承諾しているときにおいても、移植術に使用されるための眼球又は腎臓を、同条第二項の脳死した者の身体以外の死体から摘出することができる。
2  前項の規定により死体から眼球又は腎臓を摘出する場合においては、第七条中「前条」とあるのは「附則第四条第一項」と、第八条及び第九条中「第六条」とあるのは「附則第四条第一項」と、第十条第一項中「同条の規定による」とあるのは「附則第四条第一項の規定による」と読み替えて、これらの規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。

第五条  

この法律の施行前に附則第三条の規定による廃止前の角膜及び腎臓の移植に関する法律(以下「旧法」という。)第三条第三項の規定による遺族の書面による承諾を受けている場合(死亡した者が生存中にその眼球又は腎臓を移植術に使用されるために提供する意思がないことを表示している場合であって、この法律の施行前に角膜又は腎臓の摘出に着手していなかったときを除く。)又は同項ただし書の場合に該当していた場合の眼球又は腎臓の摘出については、なお従前の例による。

第六条  

旧法第三条の規定(前条の規定によりなお従前の例によることとされる眼球又は腎臓の摘出に係る旧法第三条の規定を含む。次条及び附則第八条において同じ。)により摘出された眼球又は腎臓の取扱いについては、なお従前の例による。

第七条  

旧法第三条の規定により摘出された眼球又は腎臓であって、角膜移植術又は腎臓移植術に使用されなかった部分の眼球又は腎臓のこの法律の施行後における処理については、当該摘出された眼球又は腎臓を第六条の規定により死体から摘出された臓器とみなし、第九条の規定(これに係る罰則を含む。)を適用する。

第八条  

旧法第三条の規定により摘出された眼球又は腎臓を使用した移植術がこの法律の施行後に行われた場合における当該移植術に関する記録の作成、保存及び閲覧については、当該眼球又は腎臓を第六条の規定により死体から摘出された臓器とみなし、第十条の規定(これに係る罰則を含む。)を適用する。

第九条  

この法律の施行の際現に旧法第八条の規定により業として行う眼球又は腎臓の提供のあっせんの許可を受けている者は、第十二条第一項の規定により当該臓器について業として行う臓器のあっせんの許可を受けた者とみなす。

第十条  

この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

第十一条  

健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)その他政令で定める法律(以下「医療給付関係各法」という。)の規定に基づく医療(医療に要する費用の支給に係る当該医療を含む。以下同じ。)の給付(医療給付関係各法に基づく命令の規定に基づくものを含む。以下同じ。)に継続して、第六条第二項の脳死した者の身体への処置がされた場合には、当分の間、当該処置は当該医療給付関係各法の規定に基づく医療の給付としてされたものとみなす。
2  前項の処置に要する費用の算定は、医療給付関係各法の規定に基づく医療の給付に係る費用の算定方法の例による。
3  前項の規定によることを適当としないときの費用の算定は、同項の費用の算定方法を定める者が別に定めるところによる。
4  前二項に掲げるもののほか、第一項の処置に関しては、医療給付関係各法の規定に基づく医療の給付に準じて取り扱うものとする。
   

附 則 (平成一一年一二月二二日法律第一六〇号) 抄

第一条(施行期日)
この法律(第二条及び第三条を除く。)は、平成十三年一月六日から施行する。

問題点

第6条2項では、「前項に規定する「脳死した者の身体」とは、その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたものの身体をいう。」とあるが、「脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定された状態」が、果たして「脳死」とすることに対して、医学者から真摯な異論が出されたが、無視されている。脳死判定基準は厚生労働省に委ねられている。

2009年4月に討議中の改正案

2009年4月に討議中の改正案は、今のところ三案である。これから、採択を目指して調整し新改正案が提出される模様である。

2006年3月31日第164国会衆法第14号

年齢を問わず、脳死を一律に人の死とし、本人の書面による意思表示を必要とせず家族の同意で提供できるようにすること。
提出者 中山太郎 他5名
解説 脳死移植をより積極的に推進する案
2006年3月31日第164国会衆法第14号提出時法律案
2006年3月31日第164国会衆法第14号要綱
2006年3月31日第164国会衆法第14号概要

2006年3月31日第164国会衆法第15号

年齢制限を現在の15歳以上から12歳以上に引き下げる。
提出者 斉藤鉄夫 他3名
解説 脳死移植を、もっと普及させる方向の案
2006年3月31日第164国会衆法第15号提出時法律案
2006年3月31日第164国会衆法第15号要綱
2006年3月31日第164国会衆法第15号概要

2007年12月11日第168国会衆法第18号

脳死判定基準を厳格化するともに、検証機関を設置する。
提出者 金田誠一 阿部知子 他1名
解説 脳死移植を認めつつも、脳死とされる可能性のある患者の利益を尊重した案
2007年12月11日第168国会衆法第18号提出時法律案
2007年12月11日第168国会衆法第18号要綱
2007年12月11日第168国会衆法第18号概要

2009年5月15日第171国会衆法第30号

年齢は問わない。臓器移植の際のみ、脳死を人の死とする。15歳未満については、拒否権を認めた上で、親の判断で臓器摘出されることとなる
提出者 根本匠 他6名解説 年少者の臓器移植を推進しつつ、脳死を原則人の死としない案
2009年5月15日第171国会衆法第30号法律案
2009年5月15日第171国会衆法第30号要綱

2009年7月13日改定

「臓器の移植に関する法律」改定成立

臓器の移植に関する法律の改定案のうち、2006年3月31日第164国会衆法第14号が、衆議院で2009年6月17日に賛成263票反対167票で可決、2009年7月13日の参議院で賛成138票反対82票で成立となった。施行は、1年後となる。
「年齢を問わず、脳死を一律に人の死とし、本人の書面による意思表示を必要とせず家族の同意で提供できるようにすること。」が内容である。

第六条(臓器の摘出)改定前

医師は、死亡した者が生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないときは、この法律に基づき、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。
2  前項に規定する「脳死した者の身体」とは、その身体から移植術に使用されるための臓器が摘出されることとなる者であって脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定されたものの身体をいう。
3  臓器の摘出に係る前項の判定は、当該者が第一項に規定する意思の表示に併せて前項による判定に従う意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けたその者の家族が当該判定を拒まないとき又は家族がないときに限り、行うことができる。
4  臓器の摘出に係る第二項の判定は、これを的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師(当該判定がなされた場合に当該脳死した者の身体から臓器を摘出し、又は当該臓器を使用した移植術を行うこととなる医師を除く。)の一般に認められている医学的知見に基づき厚生労働省令で定めるところにより行う判断の一致によって、行われるものとする。
5  前項の規定により第二項の判定を行った医師は、厚生労働省令で定めるところにより、直ちに、当該判定が的確に行われたことを証する書面を作成しなければならない。
6  臓器の摘出に係る第二項の判定に基づいて脳死した者の身体から臓器を摘出しようとする医師は、あらかじめ、当該脳死した者の身体に係る前項の書面の交付を受けなければならない。

第六条(臓器の摘出)改定後

医師は、次の各号のいずれかに該当する場合には、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。
一 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないとき。
二 死亡した者が生存中に当該臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合及び当該意思がないことを表示している場合以外の場合であって、遺族が当該臓器の摘出について書面により承諾しているとき。
医師は、死亡した者が生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないときは、この法律に基づき、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む。以下同じ。)から摘出することができる。
2  前項に規定する「脳死した者の身体」とは、脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至ったと判定された者の身体をいう。
3 臓器の摘出に係る前項の判定は、次の各号のいずれかに該当する場合に限り、行うことができる。
一 当該者が第一項第一号に規定する意思を書面により表示している場合であり、かつ、当該者が前項の判定に従う意思がないことを表示している場合以外の場合であって、その旨の告知を受けたその者の家族が当該判定を拒まないとき又は家族がないとき。
二 当該者が第一項第一号に規定する意思を書面により表示している場合及び当該意思がないことを表示している場合以外の場合であり、かつ、当該者が前項の判定に従う意思がないことを表示している場合以外の場合であって、その者の家族が当該判定を行うことを書面により承諾しているとき。
4  臓器の摘出に係る第二項の判定は、これを的確に行うために必要な知識及び経験を有する二人以上の医師(当該判定がなされた場合に当該脳死した者の身体から臓器を摘出し、又は当該臓器を使用した移植術を行うこととなる医師を除く。)の一般に認められている医学的知見に基づき厚生労働省令で定めるところにより行う判断の一致によって、行われるものとする。
5  前項の規定により第二項の判定を行った医師は、厚生労働省令で定めるところにより、直ちに、当該判定が的確に行われたことを証する書面を作成しなければならない。
6  臓器の摘出に係る第二項の判定に基づいて脳死した者の身体から臓器を摘出しようとする医師は、あらかじめ、当該脳死した者の身体に係る前項の書面の交付を受けなければならない

第六条の二 追加 

移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思を書面により表示している者又は表示しようとする者は、その意思の表示に併せて、親族に対し当該臓器を優先的に提供する意思を書面により表示することができる。

第七条(臓器の摘出の制限) 改定前

医師は、前条の規定により死体から臓器を摘出しようとする場合において、当該死体について刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十九条第一項 の検視その他の犯罪捜査に関する手続が行われるときは、当該手続が終了した後でなければ、当該死体から臓器を摘出してはならない。

第七条(臓器の摘出の制限) 改定後

医師は、第六条の規定により死体から臓器を摘出しようとする場合において、当該死体について刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)第二百二十九条第一項 の検視その他の犯罪捜査に関する手続が行われるときは、当該手続が終了した後でなければ、当該死体から臓器を摘出してはならない。

第十七条の二 追加

国及び地方公共団体は、国民があらゆる機会を通じて移植医療に対する理解を深めることができるよう、移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思の有無を運転免許証及び医療保険の被保険者証等に記載することができることとする等、移植医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする

附則第四条 削除

附則

(施行期日)
1 この法律は、公布の日から起算して一年を経過した日から施行する。ただし、第六条の次に一条を加える改正規定及び第七条の改正規定並びに次項の規定は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。
(経過措置)
2 前項ただし書に規定する日からこの法律の施行の日の前日までの間における臓器の移植に関する法律附則第四条第二項の規定の適用については、同項中「前条」とあるのは、「第六条」とする。
3 この法律の施行前にこの法律による改正前の臓器の移植に関する法律附則第四条第一項に規定する場合に該当していた場合の眼球又は腎臓の摘出、移植術に使用されなかった部分の眼球又は腎臓の処理並びに眼球又は腎臓の摘出及び摘出された眼球又は腎臓を使用した移植術に関する記録の作成、保存及び閲覧については、なお従前の例による。
4 この法律の施行前にした行為及び前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(検討)
5 政府は、虐待を受けた児童が死亡した場合に当該児童から臓器(臓器の移植に関する法律第五条に規定する臓器をいう。)が提供されることのないよう、移植医療に係る業務に従事する者がその業務に係る児童について虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認し、及びその疑いがある場合に適切に対応するための方策に関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

メニューバーA

必要であれば何か書いてください。

どなたでも編集できます