ゆらぎの神話百科事典

現象 生き物

前ぶれなく現れる、自分とそっくりな姿をした何者か。

うつろびと。きょじん。ドッペルゲンガー。

ただし本体と全く同じということは少なく、大抵の場合はどこかに相違がある。たとえば髪の毛が短い、肌の色が違う、マフラーの色が違う、性別が違う、相似形ではあるが大きすぎたり小さすぎたりする、右腕だけやたら長い、服に「偽」とデザインされている(それなのに誰も気付かない)、性格が悪い、肌がきめ細かい、鼻の下が長い、貧乏性である、そもそも犬である、背骨がない、携帯電話の料金を滞納していて遂に止められた、中二病が治らない、芸能人である、ぱっとしない、親父がリストラされて家族一同途方にくれている、実は腕が四本ある、アニメは一切観ないのに深夜の声優ラジオ番組はどうしても聴いてしまう、風呂に入るとまず肩から洗う、卒業単位が足りない、ルサンチマンが創作の邪魔をする、携帯メールを打つのが遅いと同僚に笑われた、自分がチャットで発言すると会話が止まる、一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる、相手は死ぬ。……など。

これらの現象は、ときに本人にとって社会的に重大な損失をもたらすこともある。虚人を封じるためには思い人の前でネギを尻に突っ込んで前屈みの姿勢で過去の恥ずかしい経験を告白するのが有効であるとされ、虚人の大量発生した第一次時空融合事件の際には世界各地でこのような光景が目撃されたが、ただの迷信である。