ゆらぎの神話百科事典

魔法
異界災害

「魔法なら誰でも、少女を使って素敵になりたい」これが少女魔法『きゆら』という異界災害の本質である。

魔法とは異界の法であり、その帰結が魔術である。異界の法が世界において一時的にでも通用するには、世界からの承認が必要となる。
手に触れたものが黄金となったなら、人が死ななくなったなら、万有引力の法則により大地をひとつにまとめられたなら、どんなにかいいだろう。世界自体が外法たる魔法を望むことにより、魔法は世界に現界する。奇跡として。

それ故一般的には、世界を魔法によって破滅させることは難しい。外世界法則である魔法の通用を許可しているのが世界である以上、世界を崩壊させるような魔法にはストッパーがかかるのだ。

そのストッパーを解除させてしまうのが【少女魔法『きゆら』】である。その魔法は以下の規則だ。「魔法には対応する魔法少女が存在する」
【少女魔法『きゆら』】はかくして、危険極まりない諸々の魔法を「魔法少女」という形式で様々な世界に送り込む。魔法少女は常に魅力的だ。青春の苦悩を抱えていたり、瑞々しい無敵感にみちていたり。
少女の魅力は世界にとって麻薬だ。ソリッドな世界にとって、壊れやすい少女のゆらぎは心を焼くほどまばゆい。この魅力によって、魔法少女は世界からのストッパーを解除する。破壊的な魔法は、魔法少女の物語のささやかなスパイスとして世界に侵入する。

つまり魔法少女は魔法が世界を籠絡する手段なのだ。
故に、魔法から魔法少女を生成する魔法、【少女魔法『きゆら』】は第一級異界災害に指定されている。