黒糖いなり寿司
黒糖いなり寿司
オリジナルレシピ：黒糖いなり＠「あれこれ、惣菜」（平野寿将）
料理のポイント
味は濃いめに！
油揚げも、すし飯も、味を濃いめに作ったほうがおいしい。特に外側となる油揚げは、ややもするとパサパサしがちで、味が薄めだとそれが気になりやすい。薬味は侮れない！
すし飯に入れる「ショウガのみじん切り」「白ごま（いりゴマ）」は、入れるだけでひと味もふた味も違う。味を濃いめに作っても、これらの薬味がアクセントとなって、たくさん食べて味に飽きにくい。ぜひ入れるようにしたい。用意するもの
おあげ（味付け油揚げ）の材料：
○油揚げ：8枚〜10枚- 開きやすいものを選ぶ！ 油揚げには、袋状に開きやすいものと、そうでないものとがある。私の経験では、変に高級なものよりも、安く売られている通常品のほうが、いなり寿司には向いているような気がする。近所で入手しやすいものをいろいろ試した結果、私は、近所のスーパーがプライベートブランドで売っている"５枚105円"のものを愛用している。いろいろ試してみて「銘柄」を決めるようにすると良い。私も、いなり寿司をやるときは、わざわざ油揚げだけでも、このスーパーで買うようにしているぐらいだ。
- うまく開けなくても気にしない！：「開きやすさ」で油揚げを選んでも、５枚に１枚ぐらいは、きれいに開けないものもある。そこで「うまく開けない！」とイライラするよりも、最終的に作りたい「いなり寿司の個数」よりも多めに油揚げを買って煮てしまうのが、精神衛生的には良いと思う。うまく開けなかった油揚げは、「おあげ」としてそのまま食べてもうまいし、きつねうどんに使ってもいい。なお、当たり前のことだが、油揚げは２等分して使うので、８枚の油揚げからは16個分ができることになる。最初のころ、これで失敗したことがある（笑）。
○黒砂糖：250g〜300g
- １袋丸ごと使う！ オリジナルレシピでは、300gとなっている。250g〜300gというのは、要するに「入手しやすい１袋分」ということ。250gでも300gでも試してみたが、（醤油の量を変えずとも）できあがりは大差ない。ウチでは、黒砂糖なんて黒糖いなり寿司でしか使うことはないので、買ってきたら１袋をそのまま使い切るようにしている。
- 溶けやすいものを！：黒砂糖は、顆粒状にサラサラに加工されたものと、ブロック状のものが売られている。油揚げを煮るときに黒砂糖が溶けやすいように、できるだけ顆粒状になったものを選びたい。運悪くブロック状のものしか手に入らない場合は、煮汁を作るときに、すりこぎ棒を使って砕いたり、あらかじめ少し煮るなどして、十分に溶かすようにする。
○醤油：100cc〜150cc
- 「しょっぱさ」は控えめに！ オリジナルレシピでは、たまり醤油を１カップ（200cc）使うことになっている。しかし、たまり醤油なんて常備していないので、私は普通の濃口醤油を少なめに使っている。たまり醤油をそのつもりで味見したことがないので確かなことは分からないが、たまり醤油は普通の醤油よりもうまみ成分が多く「しょっぱさ」を感じにくいような気がしているので、濃口醤油を少なめにしてみたわけ。醤油の量は、もはや自分の舌と相談して好みのように決めるしかない。私としては、醤油は少なめで、従って黒糖の甘さが強いほうが、いなり寿司の「あげ」としては好みなので、その意味でも少なめにしている。ご飯と一緒に食べるものは、しょっぱすぎるよりは、甘すぎるほうが許容できると何となく感じているからでもある。まぁ、やっぱり人それぞれの好みだとしかいいようがないが。いずれにせよ、醤油での味付けは控えめのほうが良いだろう。煮上がった後でも、食べるときでも（！）醤油味を追加することは、甘みを追加したり塩辛さを軽減したりするより簡単なのだから。
○だし汁：500cc〜
- 油揚げが浸かるように！ 全部の油揚げが煮汁に浸かるようにする。鍋の表面積が大きくて「水かさ」が足りないようなら、だし汁を少し多めにしたほうが良いだろう。ちなみに私は、10枚の油揚げ（いなり寿司20個分）をビタクラフト21cm内径の鍋で煮るので500ccで足りているので、たいていの場合は500ccで大丈夫ではないかと思う。
○酒：大さじ２
すし飯に入れる薬味
○しょうが- 隠し味的に使う！：甘辛く作った「あげ」に、隠し味的なショウガが絶妙にマッチする。ショウガの甘酢漬けや紅生姜を付け合わせとして添えるよりも、寿司飯にショウガのみじん切りを入れたほうが（＝いなり寿司と一緒に口に入るようにしたほうが）圧倒的においしいと思う。ぜひ試してみて欲しい。
○白ごま
- いりゴマで十分！：これも、できるだけ入れるようにしたい。市販の白いりゴマで十分。ショウガのみじん切りと、この白ごまを入れるだけで、「普通じゃない」と思わせるいなり寿司に感じられること請け合い。
すし酢の材料
○酢：120cc○砂糖：60g
○塩：小さじ1
- すし酢は自家製で！：「すし飯のもと」が市販されているが、酢と砂糖で簡単に作れるのだから、ぜひ「自家製」にしたい。酢と砂糖の割合を変えたり、酢の種類を変えることで、簡単に好みに合わせられるという利点もある。塩は、なければ入れなくても気づかれることはほとんどないが、ほんの少しでもいいから入れると、味が締まるような気がする。
- やっぱり米酢！：と言いつつ、私は普通の米酢を使っている。穀物系の酢であれば何でも良いと思う。果実系の酢は、脇役的な寿司飯という観点からは、ちょっと違うような気がする。もちろんお好み次第だが。
- 砂糖を溶かす！：普通の砂糖でよい。私は「てんさい糖」を使っているが。この分量比ではなかなか溶けないので、電子レンジで少し温めるなどして十分に溶かすようにする。
調理の手順
�，竿咾鮨罎�：- 20個でも3合で十分！：水の量、炊き方は普通の通りで構わない。むしろ、しっとりねっとりしていなくても構わないので、ご飯の全量をいなり寿司に使うつもりなら、浸水時間をとらずに炊いてもいい。私は、いつも３合炊いて、炊きあがったご飯の半分から３分の２ぐらいを使っているので普通に炊いているが。オリジナルレシピでは、８枚16個分の油揚げに対して、３合を使うように書かかれているが、やってみるとそんなに詰められない（笑）。それに、１つのいなり寿司に、あまりたくさんのご飯を詰めないほうが良いと思うので（個数を食べるようにしたほうが、甘辛く煮た油揚げを堪能できる）、私の場合は、使うご飯の量が少なめになっている。とはいえ「ご飯が足りない！」という事態は避けたいので（笑）、３合は炊くようにしている。
�¬�揚げを煮る：
(1) 油揚げの湯通し
- 余裕があればやりたい！：油揚げに熱湯をかけて湯通ししたり、あるいは、沸騰したお湯の中をさっと煮るのは、余分な油分を落として、油揚げに煮汁の味を染みこませやすくするため。オリジナルレシピでも、湯通ししろとは書いていないので、余裕がなければやらなくても良い。ただし、やらない場合は、油揚げを煮るときに、しっかりとした落としぶたを使うなど、油揚げを十分に煮汁の中に漬けた状態で煮るように気を配る必要がある。そうしないと、下敷きになった油揚げと上のほうにある油揚げとで、煮汁のしみこみ方に差が出てしまうことがある。黒糖の煮汁なので、その黒さによって違いが歴然と分かってしまうので（笑）、気をつけたい。そういうのが不安なら、手間を惜しまず、湯通しするべし。
(2) 油揚げを２等分し、袋状に開く。
- 麺棒で圧延加工！：油揚げをまな板の上にのせ、それを麺棒で延ばすようにすれば、簡単に袋状にすることができる。ただし、たまにうまく袋状に開けないものもあるので、気にすることはない。私が選んで使っている油揚げでも、５枚に１枚か２枚（＝１袋に１枚か２枚）は、開きづらいものや、まったく開けないものに当たる。なので、開きにくいものは、そういう油揚げなんだと思って、あまり気にしないようにするのが吉だ。
(3) なべに、だし汁、醤油、黒砂糖を入れて火にかける。黒砂糖が煮汁に十分に溶けたら油揚げを入れ、落としぶたをして、沸騰させないように弱火で10分ほど煮る。
- 黒砂糖を十分に溶かす！：黒砂糖が煮汁に十分に溶けるようにする。溶けていない黒砂糖は、決して煮汁の味に加わることがなく、もったいないから（笑）。
- 油揚げが柔らかくなるまで！：煮る時間の「10分」というのは、油揚げがクタクタに柔らかくなるまでということなので、湯通しなどの前処理をしているのであれば5分ぐらいでもいい。あるいは、保温性の高い鍋（ステンレス多層鍋など）を用いるなら、余熱が使えるのでもっと短くてもよい。油揚げが煮汁にちゃんと浸かるようになっていれば、意外に早く油揚げは柔らかくなる。
(4) 火を止めたら、冷めるまで放置する。
- 冷まして味を染みこませる！：火を止めたら、油揚げの全体が煮汁に浸かっていることを確認して、そのまま冷めるまで放置。冷める過程で味を染みこませるので、油揚げの全体が煮汁に浸かっているようにするのが大切。このとき、煮汁からはみ出している部分があると、味の染み込み方にムラができてしまう。
- 前夜に煮ておく！：私は、これを行楽などのお弁当として作るときは、前の晩に油揚げを煮ておくようにしている。そうすれば、ご飯が炊きあがる朝には、味が染みこんで十分に冷めた状態の「味付き油揚げ」ができていることになる。すし飯を詰めるという後工程を考えると、この「冷めた」という状態は意外に重要。油揚げは、温度が低いほうが固く締まって破れにくいので、すし飯を詰める作業がしやすい（油揚げが破れにくい）のだ。なので、時間がないときでも「冷ます」時間はできるだけ確保するようにしたい。
「ご飯」と「冷めた味付き油揚げ」が準備できたら
�� ショウガをみじん切りにする。
- みじん切りは、できるだけ小さく！ ショウガのみじん切りは、できるだけ小さく刻んだほうが隠し味っぽくなる。また、子供用に作るときもショウガは外せないが、その場合も、できるだけ細かいみじん切りにするようにしている。ウチでは、今のところ愚息にショウガが入っていることを気づかれたことはない（笑）。
�タ櫃忘重�と塩を入れてよく溶かし、すし酢を作る。
- しっかり溶かす！ この酢と砂糖の分量比では、そのまま入れても砂糖が溶けずに残ってしまう。そこで、このすし酢を電子レンジで少し温めるといい（たとえば、仕上がり温度を40度に設定して加熱）。すると、砂糖の全量が溶けやすくなるとともに、酢酸臭さが少し緩和され、まろやかな感じになる。
�Δ垢携咾砲靴撞佑瓩詈�量だけ、ご飯をボウルなどに取り分け、しゃもじで「切り」ながらすし酢を回しかける。
- すし酢は少しずつ！ 混ぜるというよりは、しゃもじでご飯に切り目を入れるようにしながら、少しずつ、すし酢を加えていく。すし酢を少し入れて、それが全体に行き渡るようにしゃもじでご飯を「切り」、それでも（すし酢が行き渡らず）ご飯が白い部分が見えるようなら、また少しだけすし酢を追加する……という感じ。このとき、あら熱を取るようにしたほうが良いのだろうから（熱すぎると、油揚げに詰めるときにヤケドする）、もし助太刀してくれる人がいれば、このときにウチワなどであおいでもらうといいだろう（私は特にしていないが）。
- 少なめよりは、少し多め 上の分量で作ったすし酢は３合分のご飯に対応するものなので、ご飯の量がそれ以下のときは、すし酢が少し余るぐらいでちょうどいい。とはいえ、すし酢が少なすぎて部分的にでも味が付いていない白いご飯があると、食べてもその部分だけ「物足りない感」があって、すぐ分かってしまう。また、すし酢を少し多めに入れてしまってすし飯がビチャビチャになってしまっても、実は、少し時間をおくとご飯がすし酢を吸ってビチャビチャとはしなくなる。なので、少なすぎるよりは、少し多めぐらいのほうが良い。もちろん限度はあるし、何より、全体にすし酢が行き渡っていなければ話にならないのだが。
�Ъ兔舛某擦�った油揚げを１枚取り出し、煮汁を軽く絞ってから袋の口を開き、すし飯をそっと詰めていく。
- 絞りすぎない！ 油揚げを絞るときは、絞りすぎてパサパサにならないように注意する。強く絞るというよりは、油揚げだけをつまんで持ち上げても垂れて落ちてこない程度に煮汁を切る、という感じ。それからもう１つ。油揚げを不用意に片手で絞ると、煮汁が四方八方に飛び散るので気をつけるべし（笑）。私は、両方の手の平で油揚げを挟むようにし、シンクの内側で絞るようにしている。
- 詰めすぎない！ すし飯は、小さいスプーンなどですくうと入れやすい（私はシリコンベラを使っている）。油揚げを破らないようにするには、根気よく、少しずつ詰めていくしかない。また、詰める分量は少なめがお勧め。私は、油揚げの半分か３分の２弱ぐらいまでしか、すし飯を詰めないようにしている（必然的に、折りしろがやや大きくなる）。というのも、この黒糖いなり寿司は油揚げの味付けが１つのポイントで、これを堪能してもらうためには、個数をたくさん食べてもらったほうが良いからだ。薬味のショウガと白ごまの効果もあってか、数をたくさん食べても飽きにくく、ついついペロッと食べてしまう。
2008年05月08日(木) 07:40:39 Modified by fullpath