クソミソIYH

「う〜〜夏物夏物」
今夏物服を求めて全力疾走している僕は
予備校に通うごく一般的な男の子
強いて違うところをあげるとすれば
服に興味があるってとこかナー
名前は道下正樹

そんなわけで帰り道にある渋谷のショップにやって来たのだ

ふと見るとラックに一枚の高そうな服がかかっていた

ウホッ!いいコート・・・

ハッ

そう思ってると
突然店員は僕の見ている目の前で
コートのボタンを
はずしはじめたのだ・・・!

買わないか

そういえばこのショップは
粘着店員がいることで有名なところだった
いい服に弱い僕は誘われるままホイホイと
試着室に連れてかれちゃったのだ

よかったのかホイホイついてきて
これは5月だってかまわないで売っちまうコートなんだぜ

こんなこと初めてだけどいいんです・・・
僕・・・ディオールみたいな服好きですから・・・

うれしいこと言ってくれるじゃないの
それじゃあ
とことんよろこばせてやるからな

言葉どおりに
それはすばらしいシルエットだった
僕はというと
全身に与えられる快感の波に
身をふるわせてもだえていた

しかしその時予期せぬでき事が・・・

うっ・・・!な、夏物・・・

ん?もうかい?意外に早いんだな

ち、ちがう・・・実はさっきから夏物が欲しかったんです
このショップに来たのもそのためで・・・

そうか・・・いいこと思いついた
お前このコートの中にポロシャツ着ろ

えーっ!?コートの中にですかァ?

男は度胸!何でもためしてみるのさ
きっといい着心地だぜ

ほら遠慮しないで試着してみろよ

彼はそういうとハンガーにまとったカバーを取り捨て
新しいポロを僕の前につきだした

それじゃ着ます・・・
くうっ!気持ち良い・・・!

この初めての体験は
choki厨では知ることのなかった絶頂感を
僕にもたらした

あまりに激しい快感に
試着をしきると同時に
僕の財布の中身は ショップのレジの前で
あっけなく果ててしまった

ああ――っ!!

ガチャッ
チャーン
アリガトウゴザイマシター

このぶんだと
そうとう奮発していた
みたいだな
財布ン中がスカスカだぜ

はっはっ

どうしたい

あんまり気持ちよくて…
こんなことしたの初めてだから…

はあ…

だろうな
俺も初めてだよ

ところでこのジーンズを見てくれ
こいつをどう思う?

すごく・・・細いです・・・

細いのはいいからさ
このままじゃおさまりがつかないんだよな
こんどはボトムの番だろ

ああっ!!

いいぞ…
よくしまって吸いついてきやがる…!

買・・・買う…

なんだァ?
今買ったばかりなのにまた買うってのか?
現金持ちなんだな

ちっ ちがう…!!

なにイ? こんどはカードォ?

お前ここをユナイテッドアローズと間違えてんじゃねえのか!?

しーましェーン!!

しょうがねえなあ
いいよ、いいよ
俺がレジしといてやるからこのまま買っちまえ
借金まみれで買いまくるのも
いいかもしれないしな!

え―――っ!?

――と
こんなわけで
僕の初めてのIYH体験は
クソミソな結果に終わったのでした…
2007年05月23日(水) 12:04:14 Modified by ID:UyjpDoCz8A




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