Bahnsim PRO

鉄道模型シミュレーターバージョン3のドイツ語版。一般にBSPと略称される。開発はI.MAGiCだが、販売はドイツbhv社が担当した。現時点では、既に製品展開を断念したような状況に見えるが真相は不明。
なお、本稿は、リンク先がI.MAGiC社/bhv社のオフィシャルリリースである場合を除き、すべてユーザーによる調査の結果であり、その内容は保障されない。特に、VRMシステムに対する操作については、仮に問題が発生しても開発販売元の保障の範囲外であることをお忘れなきよう。

製品概要

パッケージ

化粧箱にCD-ROMケースが封入された二重包装となっている(写真)。
パッケージ写真は収録車両と一部一致しておらず、特に中央で目立つEF66には意図不明のコラージュが施されている(解説)。
価格は19.99ユーロ(bhv Webサイト価格)。

ドイツ語対応

ビュワー・レイアウター・パーツ名・マニュアルすべてがドイツ語訳されている。
特にマニュアルには、オリジナルのVRM3には存在しないが、日本の鉄道文化を紹介すべく書き下ろされたと思われるコンテンツが数点含まれている(例1例2)。

収録部品と車両

VRM3第0号に、ドイツ国鉄型車両数点を加えたものになっている。VRM3第0号パッケージ限定レイアウトとして日本語版VRM3で作成したレイアウトファイルは、Bahnsim PRO環境においてそのまま利用することが出来る。逆もまた然りであるが、Bahnsim PROのみに収録されているドイツ型車両が編成に割り当てられている場合、手直しが必要となる場合がある。

収録車両

VRM3第0号収録の車両に加え、以下のドイツ型車両が含まれる。
収録車両名一覧
収録車両画像

収録部品

VRM3第0号収録の部品に準じる。下記URLに部品名の日独対照表がある。
http://silver.ap.teacup.com/ghost/659.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/660.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/661.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/662.html

未解明の謎

Bahnsim PROについては、いくつかの未解明の謎がある。

国際版第n号の謎

I.MAGiC VRM News紙上において「国際版第n号」(nには日本版VRM同様に0〜の数字が入り、同紙上は7まで表記された)という表現が幾度が用いられたが、対応する製品が存在するのか、そもそもそれが本稿で述べるBahnsim PROを指しているのか、が不明なままとなっている。

消えた部品の謎

スーパーバイザーであるfox氏のWebサイトにおいて「VRMヨーロピアンバージョンに収録予定のストラクチャ」と称して数点の欧風ストラクチャのスクリーンショットが公開された(現時点でこのページは削除されており存在しない)。Bahnsim PROにはこれらの部品が収録されておらず、後日、EuroExpress DBステーションとして国内で発売されたものを除けば、その後それらの部品がどうなったのか不明なままとなっている。

仲介商社の謎

I.MAGiC VRM News紙上の記述、およびbhvのBBSにおいてヨーロッパのBahnsim PROユーザーとbhv社のraziela氏の間で交わされた議論から、I.MAGiC社とbhv社の間に仲介をおこなった商社が存在することが想定されるが、それが何処の何者なのか、また、本当に存在するのか(実はユーザーの不満を逸らすための方便ではないか)が、不明なままとなっている。
http://silver.ap.teacup.com/ghost/768.html , http://silver.ap.teacup.com/ghost/770.html を参照されたし。

表記ゆれの謎

bhvが発売したものは一環して“Bahnsim PRO”と表記されているが、これに対し、I.MAGiCの発表資料上は“VRM3国際版”が多く(Bahnsim PROの名称も一部使用されている)、さらにfox氏は「ヨーロピアンバージョン」という表記を用いていた。この他、I.MAGiC VRM News上では激しい表記揺れが見られる。これらが、本当に同じもの=Bahnsim PROを指し続けていたのか、あるいは、複数の海外展開プロジェクトが併走していた(うちのBahnsim PROだけが市販に漕ぎ着けた)ことを反映しているのか、が不明なままとなっている。

経緯

Bahnsim PROに関する出来事を、時系列に沿って整理する。

発売まで

2005/10/29 WPC EXPO 2005にて発表

WPC EXPO 2005にて、I.MAGiCが“鉄道模型シミュレーター3 ヨーロピアンバージョン”について公式発表。下記URLはこれを報じる4Gamer.netの記事。余談ながら「欧州圏ではこれまで鉄道模型のシミュレータソフトは存在しなかった」との不見識な記述が面白い。
http://www.4gamer.net/news/history/2005.10/2005102...

2005/12/04 I.MAGiC HOBBY WORLDでの初出

I.MAGiC HOBBY WORLDにおいて“Bahnsim PRO”の名称が初出。下記URLに全文のコピー。この時点での記述では“ヨーロピアンバージョン”と“Bahnsim PRO”は同一のものではなく、後者が前者のドイツ市場向け一亜種であるように読める。
http://silver.ap.teacup.com/ghost/369.html

2005年末(日付未特定)非公式情報公開

fox-hobby-gardenにて、ヨーロピアンバージョンのスクリーンショットが公開される。

2006/02/20 非公式続報

fox-hobby-gardenにて、ヨーロピアンバージョンの詳報が紹介される。
http://www7a.biglobe.ne.jp/~foxhound/report/vrm3_e...
http://www7a.biglobe.ne.jp/~foxhound/report/vrm3_e... (いずれも削除済み)

2006/04/16 EuroExpressシリーズ発売開始

国内にてEuroExpressシリーズ第一弾となるICE-Tが発売される。
http://silver.ap.teacup.com/ghost/585.html

発売後

2006/05頃 Bahnsim PRO欧州にて発売開始

国内ではEuroEpxress第二段としてBR101、IC客車がリリース。

2006/05末 bhv BBSにてユーザーの困惑が表明される

http://silver.ap.teacup.com/ghost/657.html

2006/06/11 欧州BSPユーザー(?)から日本のVRMユーザーへの初コンタクト

ghostをVRM→BSPの翻訳をおこなった人間だと勘違いしたオーストリアのゲーム情報ライターJohannes Tschida氏がVRM入道のコメント欄に来訪。
http://silver.ap.teacup.com/ghost/661.html

2006/06/12 Bahnsim PRO/VRM news from Japan立ち上げ

ghostがhttp://bahnsimpro.blogspot.com/を公開。
最初の記事はこちら

2006/06/22 Gamers.atにBSPレビュー記事掲載

オーストリアのゲーム情報サイトGamers.atにJohannes Tschida氏の手になるレビュー記事が掲載。現在確認されている中では最も詳細なBSPのレビューであり、氏によるghostに対するインタビューが収録されている。下記URLに抄訳あり。
http://silver.ap.teacup.com/ghost/675.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/679.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/680.html

2006/07/29 Willi Leopold氏登場

bhv BBSにスイス人BSPユーザーWilli Leopold氏登場。以降、同BBSは氏とドイツ人ユーザーDocOc氏はbhvの不手際を責める論調で占められていった。下記URLに抄訳あり。
http://silver.ap.teacup.com/ghost/718.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/725.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/759.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/768.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/770.html

2006/08/05 仮想鉄道模型における日欧交流を考えるオフ会開催

ghostの実弟が経営するお好み焼き屋にて。参加者は、ghost、Caldia氏と、TRAINZユーザーとしてtrs2004jp氏
http://silver.ap.teacup.com/ghost/729.html

2006/08/07 Bahnsim PRO@Leopold's hobby page立ち上げ

Willi Leopold氏の手になる、独英併記のBahnsim PRO専門Webサイト。後にも先にも、欧州ユーザーの手になる唯一のBSP系Webとなった。
http://www.wleopold.ch/bsp/bspindexger.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/720.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/721.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/739.html
http://silver.ap.teacup.com/ghost/746.html

2006/09/07 EuroExpressシリーズtalent644国内発売

http://www.imagic.co.jp/hobby/products/EURO/4804Ta...

2006/09/24 DocOc氏による「BSPは死んでしまった」宣言

下記URLに邦訳版。
http://silver.ap.teacup.com/ghost/781.html

BSPは死んでしまった宣言後

2006/12/23 EuroExpressシリーズTalys PBKA & DBステーション国内発売

http://www.imagic.co.jp/hobby/products/EURO/4805Th...
http://www.imagic.co.jp/hobby/products/EURO/4806DB...

2007/01/23 Bahnsim PRO/VRM news from Japan更新終了

最終記事はhttp://bahnsimpro.blogspot.com/2007/01/junichis-vr...

2007/09 EuroExpressシリーズRe460 & IC2000国内発売

http://www.imagic.co.jp/hobby/products/EURO/4807SB...
http://www.imagic.co.jp/hobby/products/EURO/4808SB...

Tips

Bahnsim PROの国内での入手方法

紀伊国屋書店にて洋書扱いにて取り寄せ実績がある。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/book...
本稿執筆時点で取り寄せ可能かは未確認。

VRM3との相互運用

インストール

VRM3がインストール済みのPCに対してBSPをインストールすることは可能である。ただし、レジストリキーが共有され、VRM3/BSPを起動する毎に環境が切り替わる動作をおこなう(同一PC内にパッケージ組み合わせの異なるVRM環境を複数作成する場合と同じ挙動)。

部品導入

BSP→VRM3環境、VRM3システムパッケージ→BSP環境の部品・車両の追加インストールは不可能。
VRM3追加パッケージ、EuroExpressはBSP環境に対して追加インストールすることが出来る。この場合、直前にBSPレイアウターを一旦起動、終了し、レジストリをVRM3環境に切り替えてからインストールをおこなう。ただし、オリジナルが日本語表記の車両名は、BSP環境では文字化けして読めない。
EuroExpressをインストールした場合、ドイツ語版レイアウター/ビュワーが日本語国際版レイアウター/ビュワーで上書きされるので、ドイツ語環境を維持したい人は注意が必要。
http://silver.ap.teacup.com/ghost/714.html参照。

レイアウト互換性

BSPはVRM3第0号相当であり、VRM3第0号パッケージ限定レイアウトについては完全な互換性を有する。
http://silver.ap.teacup.com/ghost/743.htmlも合わせて参照されたい。

VRM4との相互運用

BSP車両のVRM4への移行

以下の手順を踏むことでVRM4環境へBSP収録車両を移行することが出来る。
移行された車両はVRM3規格のそれに準じ、EuroExpressシリーズのようなスクリプトによる灯火/パンタグラフ制御機能はない。
  1. BSP環境に対し、VRM3追加キット車両を少なくとも1つインストールする。
  2. BSPレイアウターを一旦起動し、終了させる。
  3. VRM4への車両移行ツール(VRM4TrainSetup.exe)を起動する。
  4. ダイアログに表示されるBSP収録車両をチェックし、移行を実施する。
下記URLにスクリーンショット付き作業ログがある。
http://silver.ap.teacup.com/ghost/1127.html

I.MAGiC VRM News

Bahnsim PROおよびVRM3国際版に言及のあるI.MAGiC VRM Newsの一覧。EuroExpressのみに対する言及は除いた。保全のため、関連する部分を抜粋引用している。

2005年

WPC EXPO 2005における“ヨーロッパ版”リリース発表に関連して。
イベントでの大きなニュースとしてVRM3のヨーロッパ版リリースがあげられます。新規に開発されたインターナショナルバージョンのVRM3システムにヨーロッパ形車両を収録した新シリーズです。ドイツ鉄道、フランス国鉄など、ヨーロッパファンにおなじみの車両が多数登場します。このヨーロッパ版、日本国内でのリリースは未定です。アンケートでいくつかヨーロッパ形車両のリクエストをいただきましたが、パッケージ化のコストを吸収できほどの販売数が得られるかといえば微妙です。国内向けに製品化を行った場合、少数のユーザーによってコストを分担する形になり多少高額な設定にならざる得ない状況です。
Bahnsim PRO収録のABpybdzf 464のスクリーンショット掲載。
現在開発中のヨーロピアンバージョン(欧州向けVRM)には、ドイツ鉄道をはじめとする様々な車輌が登場します。写真は、アルミニウム構造のドイツ鉄道近郊型客車ABpybdzf 464です。近年、ヨーロッパ各国では新しい車体の導入を積極的にすすめており、写真のような洗練されたデザインの車輌が登場しています。車体のデザインひとつとっても、国ごとに様々な表情があり、日本とは違ったスタイルが楽しめます。

2006年

コラム“ヨーロッパトレイン”掲載。
国際版VRM3は、従来の日本型VRM3をベースにフォントなどの国際対応とヨーロッパでよくみられるガラスドームを再現したストラクチャーなど機能を拡張したシステムになっています。この国際版を「日本語化」したシステムを今回の日本市場向け製品に収録します。(中略)リリース形式は、「DB145形電気機関車」「DB101形電気機関車」「ICE-T」「ICE-V」「IC/EC客車新旧」「modus」「貨車各種」「SBB460電気機関車」「SBB IC-2000客車」「タリス」「Talent」を予定しています。1形式1パッケージです。この他にヨーロッパ形のストラクチャーを予定します。4月後半より順次製品化する予定です。
アップデータに関連して国際版対応に言及。
VRM4アップデータは、VRMシリーズの海外輸出バージョンである国際版との互換性の追加と若干のバグフィックスが変更点です。
“閑話休題”と題して以下のコラム。
海外向けVRMがドイツなどでそろそろ登場しそうです。といっても海外のソフトウェア流通の仕組みは日本と大きく異なり、開発と流通が完全に分かれています。開発側が販売までタッチすることはあまりありません。発売日など販売情報を開発担当のアイマジックは実は知らなかったりします。VRM4は、海外向けVRMの影響も若干ありますが、想定より全体のスケジュールに遅れが生じています。
EuroExpressシリーズ発売に絡めて、この時点では“輸出バージョン”と表現。
VRMの輸出バージョンに収録されているヨーロッパ型車両などをリリースするEuroExpressシリーズの第1弾「ICE-T 411」のお取り扱いを開始しました。 EuroExpressシリーズは、毎月1本程度のペースで車両、建物をリリースしていきます「。(ママ)
“海外版製品について”が掲載。
海外版製品については現地ディストリビューターにお問い合わせください。日本ではゲームの発売をゲームメーカーが行っていますが、海外では「開発」と「発売」が別の会社に分かれています。販売に関する事項については「開発」メーカーの弊社ではお答えすることができません。
疑問を解決するどこかさらに深めてしまった“海外バージョンFAQ”が登場。
海外版製品のご質問をいくつかいただいたのでまとめてみました。海外市場向けの製品は、一般的に輸入メーカーが販売に関するすべての権利を購入後、翻訳して発売しています。これは日本への輸入の場合も同様です。通常はゲームの中身については、輸出前後でかわりません。ただし、鉄道という地域性の強い題材のため、VRMでは海外車両、建物をマスターROMに追加しています。(日本ではEuroExpressシリーズとして製品化しています。)海外版製品の具体的な内容、発売日などは、現地メーカーの業務範囲になるため、輸出側ではお答えすることができません。(これに関連して、海外製品のサポートは輸入側にお問い合わせください。)海外版製品の内容については上記のような理由でお答えできませんが、VRMカタログに記載されているEuroExpressシリーズのリストがヒントになります。リストに記載されている車両は、海外向けデータとして作成されています。それぞれ、海外版製品のマスターROMに収録されています。EuroExpressシリーズをすべてそろえると、海外版製品で用意されたデータをすべて日本国内で入手できます。
「国際版第7号」なる迷言の登場。
EuroExpressシリーズは、待望のストラクチャーセット第1弾(国際版では第1号収録)とタリス(国際版では第7号収録)を同時リリースする予定です。
DBステーション、Thalysリリースの案内。前回に続いての意味不明発言。
前回のメールニュースでDBステーションは、国際版第1号と書いていましたが、正しくは国際版2号でした。第3号にはライン川周辺にみられる一般住宅(ぽいもの)が収録されています。これも将来日本語版を制作する予定です。

2007年

Re460、IC2000リリースの案内。
国際版については、各地域のライセンス先にお問い合わせください。弊社ではお答えできません。
にて知らぬ顔の半兵衛。

関連リンク

bhv関連

Bahnsim PRO製品レビュー

→抄訳:http://silver.ap.teacup.com/ghost/672.html
→抄訳:http://silver.ap.teacup.com/ghost/675.html , http://silver.ap.teacup.com/ghost/679.html , http://silver.ap.teacup.com/ghost/680.html
→抄訳:http://silver.ap.teacup.com/ghost/689.html

個人Web

2008年08月08日(金) 06:25:46 Modified by ID:piPdBQNzEw




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