法科大学院とは


法科大学院とは



 法科大学院とは「多様なバックグランドを有する法曹、専門分野に通じた法曹」を養成することを目的として設立された専門職大学院の一つ。アメリカのロースクールを参考に作られた。
 2004年4月に全国で68校(国立20校・公立2校・私立46校)総定員5590人、2005年4月に6校(国立3校・私立3校)が定員計235名で開校している。法科大学院は文部科学省の諮問機関である「大学設置・学校法人審議会」の審査を経た上で、文部科学省の許可のもと設置される。そのため、開校当時は教員不足などで設置不許可や留保、審議会への虚偽報告による開校後の募集停止措置が行われるなど、様々な問題が見られた。
 法科大学院の標準修業年限は3年だが、各校ごとに既修者認定を受ければ2 年で修了することができ、また社会人向けの長期履修コースや夜間履修コースなどで4年以上の修業年限を設ける大学院もある。
 年間の学費は国立で約80万円、私立で約110万円から200万円と幅広い。
 カリキュラムは各校ごとに特色があり様々であるが、法律基礎科目の他、法曹倫理や要件事実論など従来であれば司法修習所で学ぶ内容もカリキュラムに含まれる。そのため、教員は従来の法学部教員(研究者教員)だけでなく、法曹三者や企業関係者等の実務経験を有する者(実務家教員)が配置されており、その内容は各校によって異なっている。「プロセス教育」の理念から、試験のみならず、出席やレポートなども重視される。
 法科大学院を卒業することで「法務博士」の学位と新司法試験の受験資格を得ることができる。法科大学院を経ないものは予備試験の合格で新司法試験の受験資格を得ることができる。

 

法科大学院設置の背景



 国民生活の中での法曹需要の高まりを予想して、法曹人口の増加を図ることが一連の司法制度改革の中で求められ、その中で登場した。現行司法試験下での学生の受験予備校への依存傾向が問題視されて、司法試験という「点」のみによる選抜ではなく、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度として、設立されることになった。法科大学院は、法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナル・スクールと考えられている。

 

法科大学院入試について



 法科大学院の入学者選抜では、志願者全員が「適性試験」を受験しなければならない。現在の適性試験は、大学入試センター及び日弁連法務研究財団により実施されているが、どちらを採用するかは大学ごとに異なる。
 適性試験の後、各校の個別試験を受験することになるが、一般的に未修コースであれば、面接と小論文、既修コースであれば法律科目試験が課されることが多い。いずれのコースも通常、志望理由書(ステートメント)や資格の提出を求められ、配点が割り振られていたり、加点事由になることが多い。
 大学入試とは異なり、国立私立を問わず日程に特に定めはなく、複数校受験することが可能である。また、「多様なバックグランドを有する法曹」「専門分野に通じた法曹」を養成するという目的から、入学者の3割以上を、非法学部出身者や社会人経験を有する者にしなければならないことになっている。


新司法試験について



 平成18年度から行われる。内容は短答式と論述式で、短答式試験は、公法系科目(憲法及び行政法に関する分野の科目)・民事系科目(民法,商法及び民事訴訟法に関する分野の科目)・刑事系科目(刑法及び刑事訴訟法に関する分野の科目)の3科目が、論述式試験は公法系科目・民事系科目・刑事系科目の他、選択科目(専門的な法律の分野に関する科目として法務省令で定める科目のうち受験者のあらかじめ選択する1科目)を受験しなければならない。試験は5月頃、合格発表は8月末から9月と予定されている。
 なお、新司法試験には法科大学院修了後(又は予備試験合格後)5年以内に3回しか受験できないという「三振制度」が設定されている。
    • 新司法試験とは?

 

参照


2005年07月10日(日) 14:19:28 Modified by i_box




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