高橋維新のページ - アサシン クリード オデッセイ
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アサシン クリード オデッセイ

 やりましたよ。クオリティの高いオープンワールドゲームだと聞いていたので。

 アサクリをちゃんとやるのは初めてです。

 今作は、ペロポネソス戦争真っ最中の古代ギリシアを舞台に、主人公が過去に自分の家族を引き裂いた謎の集団と戦う内容になっています。途中、ごくたまに現代パートが挟まれます。設定上、古代ギリシアの世界は現代パートの主人公のレイラが巨大なVR装置みたいなものでシミュレートしているだけ、ということのようなのですが、正直現代パート絡みの設定やストーリーはよく理解できませんでした。アサクリの過去作をやっているともっとよく分かるのかもしれません。
 ジャンルはアクションRPGになるんでしょうか。敵を倒したりクエストを攻略したりすると経験値がもらえて、主人公がレベルアップしていきます。ただ、主人公のレベルをどこまで上げても敵のレベルもそれに追い縋ってくるので、戦闘が劇的に楽になることは最後までありません。また、敵から奪ったりワールド内で拾ったりした武器・防具を厳選していくというハクスラ要素もあります。
 古代ギリシアの再現度は高く、地形や島の配置はほぼ現実に即しています。オープンワールドも広いです(20km四方ぐらいはあるんじゃないでしょうか)が、ギリシアなので大部分は海です。その中を自分の船で移動していくゲームなので、「風タク」っぽいなと私は思いました。ゲームの中にはアテネだとかスパルタだとかクレタ島だとかいった実在の場所があり、ソクラテスやアリストファネスといった実在の人物もたくさん登場するので、詳しい人であれば「自分が知ってるもの」に出会う快感も何度も味わえると思います。
 ただ、このゲームでオープンワールドとして用意されている現実のギリシアは、実際のところ300km四方ぐらいはありそうですけどね。グーグルマップを見ましたが、クレタ島の東西の幅だけで200kmぐらいはあります。そのギリシアをこのゲームでは20km四方ぐらいにギュッと縮めてしまっているのですが、ゲームをやる限りでは特に違和感を覚えずに済んでいるのがいつも不思議です。現実世界にあのオープンワールドを実寸大で再現したらどうなるんだろうかというのは常々疑問に思っています。すごく小さく感じると思うんですよ。

 「"アサシン"クリード」というタイトルの通り主人公の得意技は暗殺(ステルスキル)のはずなのですが、ゲームが進んでいくと背後からのステルス攻撃一回では倒せない敵がワンサカ出てくるようになるので、最終的に無双っぽい立ち回りを何度もやらされることになります。シリーズの過去作がどこまでアサシンっぽかったかは知りませんが、これでいいのかなあという気はします。
 お話は、主人公がオープンワールド内の人物から受けたクエスト(依頼)をこなしていく形で進んでいきます。メインストーリーのクエストも脇道的なサイドクエストも量だけは膨大にあるのですが、やる内容は移動・探索・戦闘の3つに集約されるため、各クエスト間の違いはほとんどありません。そして「移動」と「探索」はさほど楽しいものではないので、結果的に無双的な一対多の戦闘をずうっとやっているゲームになってしまいがちです。どこまで進めてもやることが徹頭徹尾変わらないのです。先述のように、「アサシン」と銘打っておきながら、メタギアみたいにずっと見つかっていない状態を維持したまま攻略するのは難しいゲームバランスになっている(かつ見つかった状態で大立ち回りをしても特別難しいわけではない)ので、あんまり考えずに突っ込むプレイになりがちです。そのあたりのバランスがもうちょっとちゃんとしていれば、敵拠点を攻略する際の戦略といった楽しさを見出せたと思うのです。
 そのうえサイドクエストになると依頼される内容も極めて単純で、龍が如くシリーズのサブストーリーのような「お話」としてのおもしろさもほとんどありません。主人公は一介の傭兵なのでゲーム中の行動について様々な選択を迫られますし、アテネ側に味方して戦うこともスパルタ側に味方して戦うこともできます。ただ、そこが強みになるほど深みのあるストーリーだとは思えませんでした(メインストーリーは全体的に一本道です。アテネ側につくかスパルタ側につくかというのもあくまで寄り道要素の一つに過ぎないので、どちらにつくかで結末が劇的に変わるということもあんまりありません)。

 だから、私は早めに飽きが来てしまいました。ロードもかなり長くて待ち時間が多くなりますしね。
 でもまあ、オープンワールドの「ガワ」に当たる部分の作り込みは流石です。「やってることがずうっと同じ」というのはこの手の洋オープンワールドゲームに共通の問題点なので、メインストーリーだけサッと追いかけていけば飽きが来る前に終わらせられるかと思います。

<その他>
・洞窟内の地形は似たようなものが多く、手抜き感が強かったです。DLCとして追加された新エリアは多少マシになってます。
・アサクリの伝統的な仕様かと思いますが、BotWみたいにどんな壁でもよじ登っていくことができます。そのため、直感的に進んでいけばどんな場所にもいずれ辿りつくことが可能であり、「移動」のストレスが軽減されているかと思います。たまに登れない壁もあるんですが、見た目で区別をつけるのは困難であり、そこで少しイライラします。


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