高橋維新のページ - ルイージマンション3
作評トップ

ルイージマンション3

 ルイージが主人公のホラーアクションです。ゴーストバスターズみたいに、オバキュームという掃除機のような機械で敵のオバケを吸い込みながら暗いところを探索するゲームです。

 1も2もやりましたが内容をあんまり覚えていません。
 前作2は3DSで、広大な屋敷を舞台に与えられるミッションを順番に攻略していく仕様でしたかね。

 今作では、ミッション制は大分稀薄になっています。地下2階地上15階のホテルを探索して捕らわれたマリオやピーチ姫を救出するのがルイージの最終目標ですが、各階にボスがいて、そのボスを倒すと次の階に行けるようになるという仕様なので、1フロアがちょうど2Dマリオの1ステージになっているというような恰好でしょうか。他方で、たまに一度訪れたフロアで仲間や奪われたアイテムを探すといったミッション制のような展開も入ります(この展開を水増しだと見る人もいるんでしょうね)。
 とはいえ、ボリュームは薄いです。前述の通り1フロア1ステージのゲームですが、ホテルは全部で17フロアしかありません。本編だけであれば15時間もかからずにクリアできると思います(ちゃっちゃとやれば初周でも10時間を切れるでしょう)。
 やりこみ要素として各フロアに宝石やテレサといった探し物が散りばめられています。謎解きの難易度は高く、ノーヒントでコンプリートするのは至難の技でしょう。とはいえルイージのアクションは単純で、できることは「吸気・排気・ストロボ・ダークライト・バースト(回転しながらのその場ジャンプ)・キューバンショット・グーイージという分身の召喚」の7通りしかないので、どれかをやれば解ける謎しか基本的にありません。限られたアクションを、その効果を考えながら使っていくおもしろさはジョジョにも似たところがあり、個人的には結構好きです。

 子供向けゲームだからなのか、ホラー要素はそんなに濃密ではありません。ステージ構成にバリエーションを持たせるためなのかあんまりホラーっぽくない舞台のフロアも結構あります。
 ルイージはその場ジャンプしかできず、走る際も動き出しが遅いので、マリオみたいな飛んだり跳ねたりはできません。カメラも基本的に手前側から奥を撮る視点に固定されており、戦闘時には状況を視認しづらい局面も結構あります。フロアを移動する際はエレベーターに乗るのですが、エレベーター内にいる時間(=ロード時間)が結構長いです。長いといっても10秒〜20秒ぐらいですが、こちらに見せられるのはエレベーター内の映像でしかないので、戸惑ってしまうのです。あれならせめてロード時間というのが分かるような演出があった方が良かったのではないかと思いました。それと、スキップできないムービーが結構あるのも何とかした方がいいと思います。強いボスと何度も戦う際は何度も見せられるので。

 まあ、任天堂のアクションゲームなので手堅くまとまってはいます。1や2をやっていなくても特に問題はないので手を出してみてはいかが。

<追記>
 ゲーム内部の実績をコンプリートするためにテラータワーというオンラインモードをやってしまいました。人とのつながりが嫌いだったはずなのに手を出してしまうとは、まだまだ修行が足りません。
 テラータワーは、一応ソロプレイもできますが、一人だとものすごい難易度になります。5階までのモードと10階までのモードがありますが、ソロだと1階をクリアできるかできないか、ぐらいのレベルです。なので、テラータワー関係の実績をコンプリートしようと思ったらオンラインプレイがほぼ必須になります。

 私がオンラインプレイをしたのは2019年の11月30日と12月1日だけですが、まだまだたくさん人はいました。プレイヤーの年齢層や国籍は全然想像がつきません。お子さんも結構いるのでしょうか。プレイヤー間のコミュニケーションは方向ボタンで出せる3つのメッセージ(「ありがとう」「たすけて」「こっちだよ」)にほぼ限定されるため、すごく平和な世界です。助けてやったらみんなちゃんと「ありがとう」というメッセージをくれます。サンキューハザードより高い頻度でもらえます。なので、こちらもちゃんと「ありがとう」と出してやる気になるというものです。悪口は言えませんし、それに代わるような攻撃的なメッセージ(死体蹴りやPKみたいなこと)を操作で出すこともほとんどできません(これは、先述のとおりルイージができるアクションがものすごく単純なことにも起因しているかと思います)。
 ただまあ、単純なだけに複雑な指示や要請は出せません。たまにプレイヤー全員が揃わないと開けられない扉が出現するのですが、よく分かっていない人をそこまで誘導するのは至難の業です。他の3人全員で「こっちだよ」のメッセージを出しても、よく分かっていない人にはなかなか通じません。一応その扉は特殊なアイコンでミニマップに表示されるのですが、肝心のミニマップが小さくて見づらく、その部屋に3人ひしめくと3人分のプレイヤーのアイコンで扉のアイコンが全然見えなくなるのもこの傾向に拍車をかけていると思います。

 分かったことは、コミュニケーションの手段を単純化していくと、もどかしくなる反面殺伐さがかなり取り払われるということでしょうか。他のオンラインゲームも範とすることができる一例ではないかと思います。私がプレイしたのは前述のとおり2日間だけですが、この2日だけでテラータワーの実績がコンプリートできてしまいました(「のべ100フロアクリア」という実績があるので、失敗したフロアも含めればのべ150フロアはやっていると思います)。人嫌いの私が、文字通り延々やっていました。攻撃的なメッセージをもらう危険性がほとんどないものさることながら、人から「ありがとう」と言われるのがうれしかったのです。まだまだ修行が足りませんね。

 でもまあ、人が普段やらないことに乗り出すから生まれるのがドラマというものです。ぼっちがずっと一人ぼっちだとお話が始まりません。ぼっちが他人と関わるから、何かが動き出すのです。でも、やりすぎるとぼっちじゃなくなります。ぼっちや非モテの日常を描いた表現作品には、そういうジレンマがあります。わたモテですか。そうですか。

 ちなみにオンラインプレイをやるにはNintendo Switch Onlineへの加入が必要で、かつ料金がかかります。私は1週間の無料体験期間中に何としても終わらせようと頑張りました。思い返せば、PSNの方も有料化されてましたねえ。オンラインプレイをできるようにするためだけにお金をとるのは、妥当なんでしょうか。まあ、人間もとがタダだったものが有料になると必要以上に(=増加する負担の程度に見合わないほど大きな)反発を感じる認知バイアスがある(気がする)ので、金額の妥当性について結論を出すには冷静な検証が必要かと思います。

作評トップ