島根県介護福祉士会 松江圏域の掲示板&活動記録です。活動予定、活動報告などを載せる予定です。島根県介護福祉士会への入会や当圏域の活動に参加をご希望の方、「matsue_kaigo@livedoor.com」までメールをどうぞ! 参加要件については、「プロフィール」をご覧ください。

講師:全労済在宅介護サービスセンターほほえみ 施設長 井筒清一郎氏
日時:平成21年8月28日(金)
場所:いきいきプラザ島根 405研修室
参加者:特養、デイサービス、居宅支援事業所などから計12名

今回は、領域2から8までを一気に解説。駆け足でしたが、予定をオーバーし、20:30まで。重要な部分はていねいに、むずかしい話はわかりやすく説明していただきました。

インスピレーションをくすぐる講義

 私たちは十分なケアをしているのでしょうか? できない言い訳ばかりを見つけてしまいますが、それは「われわれの都合」ではないのでしょうか? 「食事が楽しくなるような支援」「入浴が楽しくなるような支援」を、もう少しできないかなと思います。今やっている範囲の中で、すこしずつでも変えていきたい、変えていけるのではないかと思わせてくれるような内容でした。

◆今回もっとも強調されていたことは

1. 「参加レベル」での支援を行なうような援助
2. 家族以外の関係をつくるようなケアプラン
3. なじみながらのケア--援助者が孤独を埋めているか
4. ケアプランは弱者に対して行なう

◆領域2 ADL・日常行動

5. 自立(の回復)・重度化予防
ADLなどのアセスメントは、ただ現状を評価(チェック)するだけのものではない
  • 基礎知識
高齢者のADL(IADL)がどのような要素で成り立っているのか?
機能意欲環境
体力
※体力が基礎にあり、その上に「機能」「意欲」「環境」が乗っている。
  • 体力低下の原因
1. 閉じこもっている生活をしていると体力が低下する
2. 普段の生活が「寝たり起きたり」、あるいは(ほとんど、まったく)寝たきりでも体力は低下する。
  • 「体力」のアセスメント(居宅)
・外出が最低1回/週(要支援レベルなら2〜3回/週)あるか
・家での離床時間(要介護3〜5の重度の介護者で最低3時間/日、要介護1〜2では原則として就寝時、もしくは習慣的な昼寝の時間以外) →「起こすプログラム」を立案
ex. 特養などのオムツはずしプロジェクトは、まず「離床」から!
離床は体力の改善や維持に大きな効果を発揮する
  • 「体力」のアセスメントの次に行なうのは、ADL、IADLのレベル低下の原因を探る
 機能、意欲、環境のいずれにあるのか?
 病気でADLが急に落ちるのは急性の病気によるもので、その中で最も多いのは「脱水」
 すべてのケアで確認すべきは「脱水」(わきの下に手を入れて確認)と「便秘」
  (水分を与えることについては腎臓、心臓の疾患に注意)
  • 「機能」・「環境」のアセスメント
  1. 「機能」の評価のために訪問リハビリを組む
  2. 「機能」の評価では病気と水分摂取量もチェックする
  3. 「環境」アセスメントでは、福祉用具の活用度も考慮する
  4. 家の中の人的環境は、介護者が過保護か放置傾向かもチェックする
  5. 家の外の物理的環境は、利用者の家を訪問前にチェックする
  6. 家の外の人的環境は親しい友人や仲間がいるかチェックする
  • 「意欲」の基礎知識
人は孤独だと意欲がわかない。 人は孤立していると意欲を失う。
  • 「意欲」のアセスメント
・普段顔を合わせる友人や仲間がいるか
・家族と一緒に食事をしたり、居間で一緒に楽しむ時間があるか
→家族は「あたりまえ」という前提で、「他の人」(施設であれば、他の入居者)との関係を作るケアプランを!
  • ◇「自立」・「重度化予防」のケアプラン
・通所以外には離床のためのヘルパーを。
  • 「デイサービス脱水」のトリビア……当面のゴール
    • 「人疲れ」は根拠のない屁理屈!
    • デイサービスでは800cc/日の水分を飲ませて帰せ!
  • 「特別養護老人ホームへの入所(ショートステイを含む)を考える
 環境には「人」と「物」とがあり、それに適応するとは、周囲の人や物と自分との関係をつくり出していくこと。具体的に言えば、「人と物」との「生活の仕方」を身につけていくことである。
みなさんの施設では、そのような援助がなされているでしょうか?
6. 規則的生活
  • 規則的な生活は在宅生活の基本−−施設ケアにも通じる
  1. 普通寝たきりの生活になりがちで、体力低下・虚弱化の原因になりやすい
  2. 家族に余分な負担を生じやすい。この代表的なものが昼夜逆転である
  3. 生活全般がなげやりなものになりがちである
  4. 日中の活動性が低いと不規則な生活に陥りやすい
  • ◇「規則的生活」のアセスメント
・起床・睡眠・食事時間(朝、昼、夕)などおもな生活リズムが規則的か?
・離床時間をチェック
・日中の活動……「テレビをみて過ごしている」とは何も活動していないと同じ!
  • ◇「規則的生活」のケアプラン
・不規則な生活をしている人にはデイサービス・デイケアを
・「昼夜逆転」をみたら「通所サービス」と「脱水」の解消
7. 認知症高齢者の周辺症状(問題行動)の軽減
「認知症の周辺症状を軽減すること」を目標にするのはプロではない。
  • 認知症は「孤独の病」
    • 援助者は「孤独」を埋めているか?
    • 家族への説明は十分なされているか?
  • 認知症の4つの型
  1. 環境不適応型
  2. 身体不調型
  3. 知的衰退型
  4. 周辺症状型
      • 葛藤型
      • 遊離型
      • 回帰型
  • 認知症高齢者には、
  1. 孤独にしない
  2. 水分
  3. 便秘
  4. 急性の病
  • これまでとちがった症状が現れたときは、認知症の進行より、まずケアプランがよくなかったのではと考える。
  • 同じ症状がなかなかよくならない→「今日よかった理由は?」→記録の重要性

◆領域3 介護負担

居宅における動作別介護負担の重さは
(1)入浴 (2)排泄 (3)食事  である。
8. 動作別負担
  1. 「入浴」「排泄」「食事」の順に情報を集める
  2. 介護者の状況(年齢、病気や障害の有無、体力、人数等)をチェックする
  3. 家屋環境をチェックする
 cf. 座面の上がるポータブルトイレがある! いたく感動した。
  • 家屋環境のチェックポイント
  1. 起き上がりに要介助の場合→ベッド
  2. ベッドから車椅子への移動の際に要介助→ベッドに移動バーがあるか
  3. 歩行が要介助→手すり
  4. トイレ→腰掛式、手すりは?
  5. 浴室→手すり、滑り止めマット、シャワー、シャワーいすの有無
  • 動作別負担のケアプラン
 家族にはできるだけ介護をさせず、させる場合にもできるだけ楽な介護で済むように。
9. 時間別負担

◆領域4 家事

10. 食事・食生活
  • ◇ケアマネジャーが行なうべきアセスメント
    • ケアマネジャーは1日の大まかな摂取カロリー数をつかめばよい。
    • 栄養素のバランスは「毎日カップラーメン」というような特殊な場合を除いては、ケアマネジャーとしてはアセスメントしなくて良い。
  • ◇利用者に必要な1日のカロリー数
    • ADLがほぼ自立している ―― 1500kcal
    • ADLがほとんど介助である(寝たきり)―― 1300kcal
  • ◇摂取カロリー数のアセスメント方法
    • 1日の主食のカロリー数×2≒1日の摂取カロリー数
  • ◇代表的な主食のカロリー数
ご飯普通の茶碗で軽く1杯80kcal
普通の茶碗で普通盛り120kcal
お粥全粥普通の茶碗で普通盛り60kcal
5分粥普通の茶碗で普通盛り40kcal
重 湯普通の茶碗で普通盛り15kcal
パ ン6枚切り 1枚160kcal
6枚切り+バター 1枚240kcal
粥食の場合は栄養不足を一番に疑う
    • ただし、糖尿病(カロリー制限)、慢性腎不全(低タンパク高糖質食、塩分、水分)に注意
  • 他職種を使う
    • 携帯で写真を撮り、栄養士に見せてカロリーを計算してもらう。
  • ◇買出しの利点……「参加」レベル
    • 買出しは閉じこもり解消(自立への機会、重度化予防)の効果がある。
    • 買出しは利用者による食材の選択に結びつく。
    • 食材の選択は、食事づくりへの意欲のもとになる。
11. 掃除・整理
12. 洗濯
13. 生活管理全般

◆領域5 経済

14. 収入
  • 何回かの訪問のあと、「念のために」とさりげなく聞く
  • 収入について聞くべきこと
  1. 年金の種類と金額(月額)
  2. 年金以外の収入 ―― 子供からの仕送りや動産・不動産収入など。
  3. 経済的に苦しいとの言葉が出るようなら銀行預金などを話題に。
15. 支出
  • 特別な出費
  1. 住宅ローン
  2. 事業などによる借金
  3. 訪問販売などによる高額商品の支払い
  4. 時には、息子や娘が親の年金をねだりに来る場合も
    • 最近では「悪徳商法」も注意が必要。「訪問販売」などは、家の中に見かけなかった家具や健康機器があったり、工事が始まっていたりする「変化」でわかる。「いつもと違う」と思ったら尋ねてみることである。
16. 金銭管理
  • 金銭管理
  1. 年金の手続き
  2. 預貯金の出し入れ
  3. 手元現金の額と保管
  4. 日常的な支払い
  5. 不要な物品の(大量)購入

◆領域6 家族関係

  • 特別養護老人ホーム等、施設でできることと、家族にできることは分けて考える。
→「家族の領域」に踏み込まない
17. 家族関係
  • 家族関係に重大な問題がないことが大切
    • 「非の打ち所がない介護」「判で押したような介護」などは「あやしい」と疑がっているか
    • 「引き離し」に通所サービスを利用し、アセスメントを行ったことがあるか
    • 主介護者に、それ以外の家族の態度に関する聞き取りを行っているか
    • 介護者以外の家族に、主介護者の介護に対する気持ちの聞き取りを行っているか  
    • ケアマネ自身がケアの中心を担っているか
※家族関係とはあくまでも「同居家族」に限る。「別に住んでいる息子や娘、その配偶者との仲が悪い」といったことが事例検討で聞かれるが、そんなことは余計なお世話で、別居の者は放っておけばよい。 
  • 高齢者をめぐる「家族関係」は強弱関係
    • 本人-介護者が「義理関係」のものをチェック
  • ◇家族構成と家族関係
  1. 独居者には家族関係の問題はない。つまり“けんか相手がいない”。
  2. 夫婦のみの世帯にも家族関係の問題(夫婦間の関係)はまずない。例外:若いころから浮気し、何年も家庭を省みなかった男性が寝たきりになって、介護者である妻から虐待を受けている。
  3. 姉妹で暮らしているケースも家族関係に問題のあるケースはない。
  4. 実の娘が介護している場合も、ほとんどの例で問題は生じない。※まれに「親子癒着」などのケースがあるので要注意。
 「介護してもらうなら娘」と利用者がいうのであれば、家族関係に不安がない。
問題を起こす(可能性のある)家族構成は2世代、3世代の世帯で、本人・介護者が義理関係のものである。例:姑・嫁
  • 介護放棄か過保護かをチェックする。
  • 家族関係の問題が疑われたら個別面談を。ポイントは「不満」
  • ◇嫁が介護しているケース
    • 必ず夫の態度について質問すること。
      • 普段介護に協力しない夫をなじったり非難したりする。これはいたって健全である。
      • 「夫は私の介護が気に入らないようだ」という場合、夫が妻の介護に不満を感じている答えの時が危ない。普通は、自分の親をみてもらっているのだから、気が引けて不満などいえる立場ではない。
  • ◇注意する言葉
    • 「この親のためなら何でもしてあげたい」
    • 「自分はどんなにつらくても…」
    • 「自分以外の人には介護を任せられない(任せるもりはない)」
  • 家族関係のアセスメントは、きちんとしたやり方でないと、いつまでたっても問題の本質がわからない。
ケアマネジャー(他のスタッフも)が持つべき基本的概念
(1) 家族関係が悪いといってもほどほどのレベルである。
 本当に家族関係が悪ければ、在宅生活そのものがすでに失われているはず。ex. 施設入所など
(2) 家族の中に悪人をつくるな!
 プロのケアマネジャーとすれば、「加害者性」(逆の被害者性)、つまり、“なぜかれらが加害者になるにいたったか”を冷静に分析し、その過程への共感を持つ。家族関係には永い歴史があり、現在の家族関係はそれを土台に構築されている事実に着目。
(3) 介護以前の家族関係まで改善しようとするな!
 私たちがめざすものは、「介護」という事態が生じてからの家族関係の悪化を食い止め、強者も弱者なく、適切な介護が行われる家庭生活を実現すること。
  • ◇「家族関係」のケアプラン
  1. 引き離し
  2. とりなし
  3. 弱者の愚痴聞き
  • ◇ケアマネジャーがケア(介入)の中心
ケアマネジャーは、よりよい生活(の実現)のためのキーパーソンとして機能すべき。
  1. 「引き離し」には通所系サービスをパッケージする。
  2. 「とりなし」は弱者の価値を強者に発見させること。ex.「こういういいところもあるじゃない」
  3. 弱者は孤立しており、同時にストレスを抱えている。愚痴は弱者からつねに出てくるものであり、わざわざ“聞いてあげる”必要はない。むしろ聞き手の態度が重要。「何とか助けなければ…」と決意し傾聴すること。共感、同情、思いやりなどが弱者に伝わった時、弱者は“自分を理解してくれる人”の存在を知り、孤立から救われる。

◆領域7 社会交流

18. 本人の社会交流
  • 「とりあえず週1回のデイサービスの利用から初めて…」は“しみったれケアプラン”
19. 介護者の社会交流

◆領域8 ストレス

  • ◇「ストレス」のチェックポイント
    • 何となく生気がない。
    • 憔悴しきっているような顔つき(雰囲気)
    • 「気が重い」「気持ちが暗くなる」などという。
    • “今後の不安”を口にする。
      • 本人、介護者が普段の生活で他人と触れ合う機会があるかチェックする。
 
  • ◇孤立、ストレス発散の機会をみるチェックポイント
    • 近所に顔なじみや、言葉を交わす相手がいない。
    • 友達とあったり、ブラブラと買物をするなどの気分転換の機会などもない。
20. 本人のストレス
21. 介護者のストレス

次回告知

日時 平成21年9月25日(金)19:00〜20:00
場所 いきいきプラザ島根 405研修室
講師 全労済在宅介護サービスセンターほほえみ 施設長 井筒清一郎氏
申込・お問い合わせ matsue_kaigo@livedoor.com
次回はいよいよ事例検討に入ります。先生から事例をお持ちいただき、グループワークを行なう予定です。
2回の講義に参加いただけなかった方でも、自施設での事例検討を見直す観点からも、参加して見られませんか? 有意義な勉強会になると思います。



このページへのコメント

TKPzOw Muchos Gracias for your blog.Really thank you! Cool.

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Posted by tips about seo 2013年12月20日(金) 20:49:11 返信

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