フィロン

フィロン

まず、フィロンは、中世哲学のはしりとなった教父哲学の代
表的存在だったといえるでしょう。
 ここでいうで言う教父哲学の教父は、古代キリスト教会の代
表的神学者のことだということです。
 カトリック教会では、その中でも正統信仰をもち、模範的な
生涯を送ったとして特にみとめられた人のことをさします。
 フィロンは、古代アレクサンドリア、今のエジプトで活躍した
ユダヤ人哲学者です。
 アレクサンドリアのフィロンとも呼ばれています。
 フィロンの著作はほとんどが残っていて、大部分が、創世記を
始めとしていわゆるモーセ5書の解釈と注釈だそうです。
 フィロンは、モーセに関する著書が多いことから、モーセの
哲学とも呼ばれています。
 フィロンは、豊かなギリシア哲学の知識をユダヤ教思想の解釈
に初めて適用した哲学者だともいえるでしょう。
 また、フィロンの哲学は、初期キリスト教徒に受け入れられ、
キリスト教思想のルーツの1つとなりました。
 中世哲学は、ギリシア哲学を継承し、自然を出発点として、ロ
ゴスないしラティオ(理性)によって、変化する世界にある存在
者の中に、普遍的な本質を見出すことを目指しました。
 必然的な本質を見出すこと、そして、その知を通して永遠なも
のの獲得を目指したのが、ギリシア哲学だったといえるでしょう。
 その一方で、ユダヤ教から生まれたキリスト教は、旧約聖書に
しるされた救いの約束を成就すること、そして、イエス・キリス
トという救済者の到来により、普遍的で、最終的な救済がもたら
せるという教えでした。
 キリスト教の教父たちは、ギリシア哲学の知とキリスト教の信
仰の認識原理を調和させることで、キリスト教的な価値観の確立
しようとしました。
 キリスト教の布教に、ギリシア哲学を利用したといえでしょう
が、多くの人がキリスト教に哲学を見出したともいえますので、
一概にはいえないところです。
、アレクサンドレイアのフィロンは、旧約聖書を注解するのに比
喩的解釈を多用します。
 旧約聖書んい記されたモーセやアブラハムの生涯をアレゴリー
的解釈を活用することで、現象界からイデアへといたるプラトン
主義的な神概念を一致させようとしたのです。
 アレゴリーとは、まぁ、旧約聖書の中に描かれているモーセや
アブラハムの生涯を、例え話にして、実際、今、生きている人々
に、キリスト教の教えを伝えるという方法ですね。
 ギリシア哲学は、主体的に哲学を学ぼうとする人が対象となっ
ていましたが、中世哲学において、キリスト教との融合により、
布教の一つとして、哲学が組み込まれたといえます。
 その哲学と宗教の融合こそが、中世哲学の最大の特徴だともい
えるでしょう。
 そして、アレゴリーにより、ギリシア思想に由来するロゴスや
イデア論の概念をユダヤ教思想の理解に初めて取り込んだのです。
 さて、そんなフィロンの思想は、フィロンはプラトンの著作と
くにティマイオスに影響を受けたといわれています。
 これは、フィロンが旧約聖書とプラトン哲学が調和的であると
考えました。
 フィロンは、 プラトンを”ギリシアのモーセと呼んで、プラ
トンの思想にモーセが影響を与えたと考えたのですプラトンの思
想の中のイデアは、イデアそれ自体としてあるものですが、フィ
ロンのいうイデアは、イデアそれ自体としてあるものではなく、
あくまでも、イデアとは、神の精神であり、人間のロゴスの中に
存在しているものだったとしています。
 とはいいつつも、フィロンは、永遠のロゴスは、神の像である
とともに世界の現像でもあり、神と人間界を媒介するものである
と考えたのです。
 そして、フィロンは、ロゴスが神の言葉である、という思想は、
後にキリスト教において、イエスが天地の創造に先立って存在し
たという先在のイエスの思想と結びつき、イエスがロゴスである
という思想にいたったわけです。
 それだけでなくフィロンの著作は、初期キリスト教と教父たち
の思想、いわゆるアレクサンドリア学派に大きな影響を与えまし
た。

WRITER:呟き尾形
(注:呟き尾形の解釈です)
2009年06月23日(火) 22:30:30 Modified by tubuyaki1




スマートフォン版で見る