弁証法

弁証法というのは(ドイツの有名な哲学者ヘーゲルが命名した)
西洋哲学の代表的な方法です。哲学史では、もともと、
西洋哲学といわれる哲学は、古代ギリシャの都市で生まれました。
当時は訴訟社会で、裁判がたくさんあったんだそうです。
それで、哲学の仕方も、裁判の仕方をお手本にしています。
まず、裁判官は法廷にいる人たちの話の聞いて、
どれが真実かと白黒はっきりつけます。
それが、真理を求める哲学の仕方にも、そのまま当てはまります。
ソクラテスやプラトンは、「対話(哲学の議論)」に、
この方法を持ち込みました。哲学は一人でするものでなくて、
二人以上のみんなでつくり上げていくものなんです。
(モノローグ(一人語り)に対して、「対話」はディアローグ(二人語り))
欧米で議論とは、弁証法的対話のことを指します。

ヘーゲルは、西洋哲学に伝統的なこの哲学の仕方を、
方法・論理として取り上げて、哲学の基礎としました。
(弁証法論理の方は、現代哲学の基礎の一つとなりました。
ここでは、方法としての弁証法だけを取り上げます。)

ある意見・主張・考え
(哲学の中では、こーゆーの(言いたいこと)をテーゼ、または「命題」と呼びま
す)
があると、それに対立する意見が反論として出されます。
(反論とされるテーゼは、アンチテーゼ(反-命題)と呼ばれます)
二つの命題を比べながら、いろいろ考えていくと、
両方の命題のいいところと悪いところがわかってきます。
そこから、二つの命題よりももっと優れた命題(ジンテーゼ)
を出だすことができるようになります。
(ほかに、対置されているどっちかの命題のうちの片方が、
もう片方の命題を駆逐して、ジンテーゼになるというパターンもあります)
そして、そのジンテーゼに対するアンチテーゼが、また対置されます。
このように、
対立(テーゼとアンチテーゼ)→発展(ジンテーゼ)→対立→発展→・・・
というトーナメントのようなパターンを繰り返し、よりよい考えを求めて、
真理を追究していく方法が、弁証法です。
(下記の概念図参照)
弁証法は、こんな感じでルールがあってトーナメント方式なので(笑)、
言葉によるスポーツだと思った方がいいかもしれないです。


弁証法のポイントは、命題を「対立させる」というところにあると思います。
反論というのは、自分の意見に同意してくれないで、
文句をつけてくるという感じがして、むっとするものですけど(笑)、
弁証法の「反論」とは、対立する命題を掲げるということです。
この「対立する」とは、ただの反対意見を挙げるということではなくて、
最初に出された命題を相対化する、ということです。
あるテーゼを理論(真理)とするには、
あるテーゼを完全無欠(絶対)だと判断しなければならないのですが、
そのテーゼに欠点がないかないかどうかを調べるために、
(このことを「吟味する」とか「検証する」とか言ったりします。)
そのテーゼの欠点を指摘するアンチテーゼが出されます。
(つまり、そのテーゼを絶対とするのではなくて、
欠点のあるものとして相対化するということです。)
アンチテーゼとは「反論」ではなくて、あるテーゼの欠点を埋めるために出されま
す。
つまり、テーゼを相補する関係になるテーゼが、アンチテーゼとなります。
ですので、テーゼに反対して逆のことを言う(たんに反対意見を挙げる)
のでなくて、論理的に違う(つまり、「対立する」)という点で、
“アンチ”テーゼとなってるんです。


〈弁証法の概念図〉

              ジンテーゼ←→・・・
                  ↑
ジンテーゼ(←また、テーゼとなります)←→アンチテーゼ
   ↑
  テーゼ←→アンチテーゼ
2005年08月25日(木) 19:31:50 Modified by tubuyaki1




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