日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼2012年5月に北京で開催された第六回中国国際警用装備博覧会で展示された「虎士」装輪装甲車(当初は虎式装輪装甲車として紹介された)


▼トランスポーターから下ろされる「虎士」装輪装甲車


性能緒元
車体重量6.5トン
全長5.36m
全幅2.32m
車高2.30m
エンジンカミンズISDE200-30ディーゼルエンジン(200馬力)
最高速度110km/h(路上)
航続距離600km
武装7.62mm機関銃/12.7mm重機関銃/35mm自動擲弾発射機×1
装甲圧延溶接装甲(7.62mm機銃弾・弾片防御)
乗員乗員2+搭乗歩兵8〜9名

「虎士」装輪装甲車は、2012年5月に北京で開催された第六回中国国際警用装備博覧会や同年6月にパリで開催されたユーロサトリ2012兵器博覧会で公開された4×4式装輪装甲車[1][2][3]。開発は、05式装輪装甲車「新星」(ZFB-05/新星2002)を開発した陝西宝鶏専用汽車有限公司(以下「宝鶏」と略。)によって行われた[2]。当初の名称は、虎式装輪装甲車(中国語では虎式2065輪式装甲車/装甲防暴車。輸出名称はタイガー装輪装甲車)であったが、のちに名称変更がなされた模様で、同車の公式サイトでは「虎士」装輪装甲車(中国語だと「“虎士”装甲运兵车」)の名称が掲載されている[5]。参考資料[6]だと、ZBF-05Aという同車の型式名が紹介されているが、これはもともと05式装輪装甲車「新星」(ZFB-05/新星2002)の派生型の一つの名称だったので、何らかの命名変更があったと思われる。

宝鶏が開発したZFB-05装輪装甲車は、PKO活動や治安維持任務など低脅度紛争での運用を前提として自主開発された車輌で、中国軍や治安機関で運用されているだけではなく、手ごろな性能と低価格が評価され世界各国への輸出に成功した。「虎士」装輪装甲車はZFB-05の発展型として、海外市場をターゲットとして宝鶏のプライヴェート・ベンチャーとして開発された車両であり、主に軍や治安機関向けの暴動鎮圧車輌としての採用を狙っているとされる[2][3][3]。その性能はロシアのGAZ-2975「ティグル」装輪装甲車に相当するとされるが、価格では「虎士」装甲車のほうが4割以上安いのが国際市場への売込みでは有利な点になるとされる[3]。(なお、GAZ-2975も中国の北京燕京汽車廠でライセンス生産され、その名称として「燕京虎式」もしくは「燕京猛虎」と命名された[6]。どちらも虎をモチーフとした名称を採用したことが、「宝鶏」が自社の新型装甲車の名称を「虎式」から「虎士」に変更した要因ではないかと推測される。なお、名称変更は中国語名のみで輸出名称には変更はない。

【概要】
「虎士」装輪装甲車は公安や武装警察での治安任務、対テロ作戦での運用のほか、軍における装甲救護車、コマンドポストなど各種任務に適合しているとされる[2]。メーカーによるとZFB-05よりも搭載能力・防御性能が改善されているとの事[3]。

「虎士」装輪装甲車は、フォードF550ピックアップトラックのシャーシを元にして開発が行われている[3]。外国の定評あるシャーシを転用する開発手法は、ZFB-05でも行われた宝鶏の得意とする方法で、一から開発するよりも開発期間やコストを削減することが可能で、さらに既に各国に存在するフォードの整備ネットワークを利用出来るという輸出向け車輌としては見逃せないメリットが得られる。

「虎士」装輪装甲車の車体は、圧延防弾装甲を使用して製造されたモノコック構造[2][4]。同車の装甲板は中国公安部GA668-2006B級/C級規格に適合するもので、100mの距離から発射された56式自動小銃の7.62mm小銃弾や95式自動小銃の5.8mm小銃弾に対する抗堪性を有する[3]。タイガー装甲車の対弾能力を証明するための実弾を使用した射撃試験の際には、王宝和社長自ら車内に乗車した状態で射撃を受けて安全性をアピールしたが、これはZFB-05の開発の際にも実施されたパフォーマンス[2]。

同車のサイズは、戦闘重量6.5トン、全長5.36m、全幅2.32m、車高2.30mとZFB-05よりもややコンパクトな車輌となっている[2]。車内配置は、最前部にエンジンと変速機が配置され、その後方が操縦席で、操縦手が左側、車長が右側に位置する。車体後部は完全武装の兵員8〜9名を搭乗させることが可能[2]。乗降は車体側面に計4基配置されている側面ドアか車体後部の大型ハッチから行う[1]。車体上部には銃座を含めて合計5つのハッチが用意されている[2]。車両前面にはウインチが装備されており他車の牽引、スタック時の自力脱出用に使用することが可能[2]。

エンジンは米カミンズ社製ISDE200-30ディーゼルエンジン(200馬力)を搭載し、路上での最高速度は110km/hで、最高600kmの航続距離を有する[2]。渡河深度は、事前の準備なしで80cm、水密確保の作業を行った場合は1.2m[2]。

車体上部中央には防盾付銃架が設置されており、12.7mm重機関銃、7.62mm機関銃、35mm自動擲弾発射機などの小火器を任務に応じて搭載する[2]。銃架のハッチは両開き式で、展開時には銃手を守る防弾板の役割も果たす。車体後部側面には各2箇所の射撃ポートが配置されており、乗車戦闘が可能。オプションとして、データ転送システム、サーチライト、TVカメラ、暗視装置、各種通信機器などをユーザーの要望に応じて搭載可能[2]。

【派生型】
「虎士」装輪装甲車には、オープントップ型の「虎士」装甲野戦無蓋車(中国語だと“虎士”装甲野战敞篷车)が存在する[5]。こちらはキャビン上部を撤去して、乗員席には転倒時の安全確保のためにバーフレームを配置。そこに12.7mm重機関銃、7.62mm機関銃、35mm擲弾発射機などを装備したもので、武装バギーとしての運用が想定されていると思われる。

【販売実績】
「虎士」装輪装甲車は2012年以降、積極的な海外セールスが開始された[6]。実績のある海外民生品のコンポーネントを多用することで導入先での維持・整備が有利となり、価格と性能のバランスがとれており、実戦においても相応の防御力を示したことも相まって順調に販路を拡大した[6]。2022年1月現在で、アフガニスタン(2017年に10輌)、マリ(2017年に3輌)、ネパール(2016〜19年に161輌)、ソマリア(2017年に12輌)、タジキスタン(2018年に10輌)、バハマ(2017年に2輌)、ボリビア(2016〜18年に41輌)、カンボジア(2018〜19年に20輌)、カザフスタン(2019年に6輌)、ラオス(2017〜19年に16輌)、ニジェール(2017年に20輌)、タンザニア(2017年に12輌)と、明らかになっているだけで12か国に313輌が輸出されている[7]。なお、中国では「虎士」装輪装甲車を採用しているのは、公安特警のみで、武装警察ではWZ551シリーズを、解放軍では「猛士」シリーズの装輪装甲車を主に用いており、「虎士」は未採用[7]。

民間企業が会社主導で自主開発し、本国でそれほど用いられていない装甲車がこれだけの国に採用されたのは、同車の開発コンセプトが的を射たものであった事の証左となろう。

【参考資料】
[1]铁血网「细看中国虎式装甲车有多威猛」
[2]Army Recognition「Tiger 4x4 armoured vehicle personnel carrier Shaanxi Baoji Special Vehicles」
[3]西部法制报「王宝和的“野狼”“虎”和“猎鹰”」(2012年7月12日)
[4]中华网「护盾超科幻!虎式装甲车大武力」
[5]陕西宝鸡专用汽车有限公司公式サイト「“虎士”装甲运兵车和“虎士”装甲野战敞篷车-“虎士”装甲运兵车-」http://www.bhfwkj.com/content/?235.html (2022年1月21日閲覧)
[6]大婷电子车展会「国产“虎”式装甲车,已装备多个东南亚国家,美洲国家也有装备广州疫情防控取得阶段性胜利」(展会资讯/2022年1月1日)https://www.smmpcn.com/index.php?m=home&c=View&a=i...年1月21日閲覧)
[7]SIPRI公式サイト「SIPRI Arms Transfers Database -Trade Registers」https://armstrade.sipri.org/armstrade/page/trade_r... (2022年1月21日閲覧)

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