SH-16 155mm装輪自走榴弾砲
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rglc85tj8h 2024年07月03日(水) 01:33:33履歴
▼Asian Defense | Dung Tran Military「Unveiling China's Cutting-Edge SH-16 SPH: A New Era in Artillery Technology」 SH-16の解説動画。
■性能緒元（試製車両：6×6野戦トラックシャーシ）
| 総重量 | 32t |
| 砲塔重量 | 14t |
| 全長 | |
| 車体長 | |
| 全幅 | |
| 全高 | |
| エンジン | |
| 最高速度 | 90km/h |
| 航続距離 | |
| 武装 | 52口径155mm榴弾砲×1（搭載弾数31発） |
| 発射速度 | 最高8発/分、持続3〜4発、バースト3発/15秒 |
| 俯仰角度 | -3〜65度 |
| 方向射界 | 左右30度 |
| 装甲 | 均質圧延鋼装甲 |
| 乗員 | 2名（車長＋操縦手） |
SH-16型モジュール化155mm無人砲塔火砲システム（中国語だとSH16型模块化155毫米无人炮塔火炮）は、輸出向けに開発された155mm無人榴弾砲システムで、NORINCO（中国北方工業集団公司）が輸出事業を担当して国際兵器ショーの宣伝活動を行っている[a]。設計主任は許耀峰技師[b]。SH-16は、砲塔のみで完結するシステムとなっており、ユーザーの要望に応じて自在にプラットフォームを選択し得る特性を有しており、故に「モジュール化」が名称に盛り込まれたと言える[a]。
将来の榴弾砲に求められる国際市場の要求について、�）づ磴量疑猷宗↓⊆幼�の長射程化と命中精度のさらなる改善、��射撃統制システムの自動化、�ち佇�向ネットワーク化、�ゥ廛薀奪肇侫�ームの軽量化、�β人佑扮人冉塾呂悗療�合性、などが求められるとされ、特に将来の戦場の変化の早さに対応し、高い統合作戦能力を有することが重要視された[a]。そして、陸上戦闘において155mm砲は陸軍の火力打撃手段の中核を占めており、予見される将来において広範な市場の需要が存在すると考えられている[a].
この、技術革新と市場の需要の双方に対応すべく開発されたのがSH-16であった。開発は2019年に国家承認を受けて正式なプロジェクトとされ、4年後の2023年に開発作業を完了した[b]。
【SH-16の全体的な特徴】
兵器システムとしてのSH-16は、火力システム（火砲＋弾薬システム）、任務管理＋制御システム、シャーシシステム、補助システムなどで構成されている[a]。
国際市場向けの自主開発兵器であるSH-16は、近年のトレンドを反映して「システムの情報化、プラットフォームの軽量化、ハードウェアの自動化、ソフトウェアのAI化」が開発に反映された。輸出市場における競争力確保のため、SH-16の開発においては中国軍でもまだ採用されていない最新技術がふんだんに盛り込まれた[a]。
SH-16は、全自動照準システムを採用することで、迅速な反応速度、高威力、精密打撃力、長射程を実現し、高い機動性を備えることが目指された[a]。これは対砲レーダー、ドローンなどの偵察手段の高度化により砲撃からほとんど時間を違わず反撃を受けることを前提として、短時間の砲撃と頻繁な陣地転換を繰り返す現代の砲撃戦に適合した能力である。
【砲塔システム】
SH-16はユーザーが求める多様な要望に応えるべく、火砲システムは無人化された砲塔に集約され、プラットフォームを選ばず搭載できる柔軟性が付与された。これにより、不整地走行性に優れた履帯式装甲車、多種多様な車両が存在する装輪装甲車、そして取得コストに優れた6×6野戦トラック、沿岸防衛用の固定砲台と、さまざまなシャーシに搭載できることがうたわれている[a]。砲塔の設計では軽量化が追及され、新素材の採用や構造の工夫により体積と重量の節約が成されたことで、火砲システム全てを砲塔に内蔵しながらも、6×6野戦トラックの荷台にも搭載できるサイズと重量（砲塔重量は14t）に纏められた。トラックの荷台に榴弾砲をむき出しに搭載したガン・ポーディ式の自走砲車載式自走砲に比べ、砲塔システム一式を砲塔内部に収納したSH-16はその生残性を高めることに成功している[a]。
SH-16の砲塔システムは、火砲、自動装填装置、砲操作システム、弾薬庫、レーザー撃発システム、射撃統制システム、任務管理＋制御システム、戦場情報システムなどで構成されている[a]。SH-16の砲塔は無人化のメリットを生かしてコンパクト化が追及されており、砲塔前半部は左右幅が狭く、砲塔バスルのある砲塔後部になると急に横幅が広くなる形状が取り入れられている。これは砲塔内部に乗員スペースを設けずに済む利点を生かした設計手法ということが出来る。
砲塔上部に光学/電子センサーを内蔵したターレットを設けているほかに、車両の周囲および砲塔内の映像を撮影するためのTVカメラが複数設置されており、その映像は車長と操縦手の端末で確認できる[b]。このほか、対空・対地脅威からの攻撃を事前に察知するためのレーザー/ミリ波レーダー波探知警告システムが用意されている[b]。整備用に設けられた砲塔上部のハッチ一箇所と、砲塔後部の給弾ハッチ以外の開口部はなく、高い密閉化を達成することで、外部からの砂塵、塩害、湿気などの影響を抑制することが出来る[a]。砲塔の無人化とシステムの高度な自動化により、SH-16の乗員は車長と操縦手の二名と、通常の自走砲で必要な砲手や装填手を省くことに成功[a]。車長と砲手はシャーシ側の並列座席に着座するので、相互の意思疎通が容易で、良好な居住環境を確保でき、生残性についても有利になるとされる[a]。
主兵装の155mm榴弾砲は、輸出での優位性を得るため、国際的な標準規格である52口径砲を採用しており、中国で生産される各種155mm砲弾に加えて、NATO規格の各種155mm砲弾の発射も可能。そのため、砲の設計段階から、NATO規格の砲弾に適合する薬室・内膛を採用している[b]。閉鎖機は鎖栓式[b]。SH-16の155mm榴弾砲システムは、砲身、駐退複座装置、マズルブレーキ、付仰装置、旋回装置、砲安定装置、自動装填装置、レーザー撃発システムなどで構成されている。
SH-16は装薬にモジュール装薬を採用[b]。これは中国の現役自走砲ではまだ未採用の装薬で、SH-16以外ではこちらも輸出向けのSH-11 155mm装輪自走榴弾砲で初めて導入されている。モジュール装薬は、通常の薬莢と異なり、規格化されたモジュール装薬を任意の個数だけ装填して用いるもので、個数を変化させることで射程の調整が出来る。ただしそのアプローチは単一ではなく�＾貅鑪爐離皀献紂璽襪謀�一、��二種類のモジュールを使用、��射程に合わせた複数種類のモジュールを使用、と三種類が存在する。�，蓮�一種類しかないので搭載モジュールの調達・補給には便利だが、射程や弾道に見合った最適な装薬量にするのが困難。��は�，竜佞如�発揮したい射程や弾道性能を確保するモジュールの組み合わせは容易になるが、複数種類のモジュールを搭載することで余るモジュールが出るのは避けられず、調達性・共通化の面でも不利になる。�△廊´�の中間の性格を有しており、二種類に絞ることで種類増加を最低限に抑制し、一種類のモジュールよりは装薬量の調整が容易になる[b]。SH-16では�△鯀�択し、二種類のモジュール装薬を搭載している[b]。
モジュール装薬の問題点として、複数のモジュール装薬の点火を同時に行うのが従来の装薬より難しいというものがある。これはモジュール化事態に起因する問題であり、従来の撃発装置では解決が難しいとされる。これに対応するためSH-16では、許耀峰設計主任が「世界初の採用」とするレーザー撃発システムを採用[b]。この撃発システムは装薬の点火にレーザー光線を用いたもので、従来型の機械式撃発システムよりも構造を簡易化することが出来、確実な点火を可能するのみならずシステムの信頼性と整備性向上も同時に達成しているとされる[b]。SH-16のレーザー撃発システムは、ルビーレーザーを用いており、薬室内に設置されている[b]。火薬の爆発による衝撃、燃料後の煤の付着など技術的に解決する課題が多かったが、射撃後にレーザー装置部を自動洗浄する装置を組み込むことでこの問題をクリアした。SH-16のレーザー撃発装置は、600発以上の砲弾を発射可能な製品寿命を備えていることが、各種実施試験により確認されている[b]。なお、SH-16は元々機械式撃発装置の利用を前提とする砲弾についても、このモジュール装薬とレーザー撃発装置を使うことで発射可能になるとしている[b]。
SH-16では持続的な高い発射速度を実現し、砲塔のサイズをコンパクト化、省力化の追求などの目標達成を目指して、給弾系統の自動化が成されている。戦車や自走砲といった走行戦闘車両における大口径砲弾の自動装填装置については、�）づ禪緝瑤遼づ礇丱好襪鮹凸�庫として、砲弾・装薬を水平にスライドして装填する手法と、��弾薬庫を砲塔基部に配置して、砲弾・装薬を垂直に移動させて装填する手法が存在する。どちらも一長一短があるが、SH-16の開発ではシステム一式を砲塔内に納めることが優先され、�∧�式では砲塔基部に一定の空間を要するためプラットフォーム選択時の柔軟性低下を招くと判断されて、�（�式の採用が決まった経緯がある[b]。SH-16の砲塔バスルの弾薬庫には、上段に装薬を、下段に砲弾を配置しており、装薬・砲弾共に人間の手を介さず機械装填が行われる。設計段階での性能要求として毎分8〜10発の発射速度求められた[b]。装填速度の早さはシステムの信頼性とトレードの関係にあり、発射速度が速まれば速まるほど信頼性の確保は困難になる[b]。最終的には、実際の射撃テストにおいて毎分8発の発射速度を9セット連続することに成功し、3〜4発/分の持続射撃では15セットに渡って射撃が継続できた成果を得たことで、自動装填装置の信頼性を証明した[b]。SH-16は、短時間のバースト射撃であれば15秒間に3発の砲弾を連続発射する能力を備えている[a][b]。なお、現状のSH-16では、通常砲弾よりも20cm弾長が長く、発射前に携行式端末で必要な諸元を入力しないといけない中国既存の155mm誘導砲弾については自動装填装置が対応しておらず、砲塔内に人間が入っての手動装填も理論上は可能だが、そもそも専用の装填手のいないSH-16では現実的な運用は困難[b]。
SH-16の砲塔後部バスルの弾薬庫には合計31発の155mm砲弾とそれに使用するモジュール装薬が搭載される[a]。これは、同種の車載式155mm装輪自走榴弾砲であるスウェーデン製のアーチャー自走砲の20発よりも搭載数を増やすことに成功している[b]。砲塔後部には給弾ハッチが設けられており、現有の155mm自走榴弾砲用の弾薬給弾車を用いて外部から機械給弾することが出来る[b]。砲塔バスルは装甲隔壁によって他の箇所と隔てられており、被弾時の誘爆による破壊を局限する[b]。SH-16の写真を確認すると、砲塔後部中央のかなりの面積の装甲板がボルト止めで固定されていることから、ここが誘爆時に吹き飛んで爆圧を外部に逃がす戦車におけるブローオフパネルと同様の役割を担っていることが予測される。
砲弾における自動装填化の対応策の一つとして、SH-16では電子信管を採用することで、給弾直前に射撃統制システムから送られた諸元に基づいて信管調整が自動で行えるようになった。これにより、従来の機械式瞬発信管と異なり人間が事前に調整を加える必要がなくなり、かつ多種多様な砲弾・装薬に即した諸元を入力が可能となり、砲弾発射速度の改善に効果があった[b]。前述の通り、この電子信管自動入力システムは既存の誘導砲弾には対応していないが、開発陣ではSH-16で運用可能な新型誘導砲弾（衛星位置測定システムなどを利用）と誘導砲弾に対応した信管の開発を進めているとの事[b]。
SH-16の155mm榴弾砲としては、通常榴弾、射程延長弾、誘導砲弾（開発中：衛星位置測定方式）などがラインナップに加えられており、各国で生産されているNATO規格の155mm榴弾砲ならいずれも対応可能[b]。砲弾の射程は、通常榴弾で30km、射程延長弾で50km、誘導砲弾で70kmとされる[b]。
SH-16の補助武装としては、砲塔上部にRWS（Remote Weapon System）の搭載が可能であり、12.7mm重機関銃などを搭載できる[b]。ほかに砲塔前面に４連装発煙弾発射機×2を配置する[b]。
【各種制御システムについて】
SH-16の射撃統制システムは、高度な自動化が施されたことにより、専用の砲手を廃止することに成功。砲の制御、目標の照準、弾薬装填、射撃制御などの操作はすべて自動化されている[b]。省力化のため、人工知能が採用されたことで、人間がかかわる範囲を減らし、乗員の操作面での負担を軽減。さらに、人間では避けられない長時間の任務における疲労によるミスを減らし、作戦効率を大きく向上させるのにも寄与しているとされる[a]。
任務管理＋制御システムは、正確な照準を可能とし、同システムを用いることで、無人砲塔の内部を確認するための砲塔内画像、砲の電気系、車両状況のリアルタイム情報などを確認できる。このシステムの大まかな構成は、メイン制御モデル＋各プロセスの総合制御+モジュールごとの執行、からなっており、ソフトウェアの設計は開放系が用いられている[b]。制御端末についてもモジュール概念が取り入れられて、人間が関与するパートと自動制御パートがそれぞれ設けられており、完全自動操作から、一部人間の操作を噛ませた半自動操作、システムの操作を完全に人間が行う操作の三種類から選択可能。このシステムが担当している内容は、通信装置、ナビゲーションシステム、陣地展開＋撤収、行軍＋戦闘状態の転換、弾道＋照準計算、操砲＋装填＋発射制御、砲システム用の配電系統、機密度の高いデータリンク、情報管理制御、車両情況管理システムなど包括的なものとなっており、これを車長と操縦手の二名で管理可能なレベルに自動化とAIによる情報処理を施しているのが本自走砲の大きな特徴[b]。
SH-16の砲塔駆動方式は前電気駆動方式を採用しており、270ボルト/28ボルトの直流モーターを用いており、シャーシに30kW以上の270ボルト直流電気発電能力と、約3kWの28ボルト交流変換機が要求されている。シャーシと砲塔の機械、電気系統接続口は規格化・共通化されており、それを満たすプラットフォームであればさまざまな選択肢を選ぶことが出来る[b]。
【シャーシ】
前述の通り、SH-16はさまざまなシャーシへの搭載が可能。試製車両では6輪式野戦トラックをシャーシに用いている。自走砲のシャーシ化するにあたり、車体後部には射撃時の反動を地面に逃がすための油気圧駆動式の駐犂を配置。車体中央左右には射撃時にシャーシをジャッキアップしてプラットフォームとして安定化される油気圧ジャッキが装着された[b]。とはいえ装軌車両に比べて軽量で接地圧の面でも不利なトラックを使用していることで、全周旋回能力は確保できず、砲の射界は左右各30度に留まっている[a][b]。
乗員二名は、車体前部キャブに並列に着座する。キャブは装甲を施して防御性能改善が図られている。シャーシの重量は18tで、14tの砲塔を搭載した場合の総重量は32tで、A400Mなどの中型輸送機での空輸が可能[b]。エンジン出力は294kW（394馬力）で、路上最高速度は90km/hと、高速道路網を使用することで良好な戦略機動性を発揮することが可能となる。
SH-16はユーザーの要望に応じた様々なシャーシとの組み合わせが可能であり、これまでに8×8装輪装甲車搭載型と、フロントエンジン式の装軌シャーシ搭載型の二種類のCGが紹介されている。
【運用モデル】
SH-16の乗員は車長と操縦手の二名で構成される[b]。車長は従来の砲手の役割も兼務しており、通信、観測、砲塔の内部・外部情況の確認と操作、気象情報の取得管理、陣地展開と撤収、砲撃（通常、緊急射撃、持続射撃を「ワンクリック」選択可能）などを担当[b]。車長の負担軽減のため、AIの支援を受けて高い自動化を実現しており、操作の多くはスマートフォンの操作のように「ワンクリック」で操作が完了する。SH-16の半自動モードでは、目標の照準後に端末の指令ボタンを押すと「ワンクリック」で、それ以降の弾薬装填・信管調整・砲撃までの過程が実行される。車長席には液晶パネル端末が設置されており、情報は直観性を重視して、図形化、可視化することで把握しやすくなっている[b]。車長はデータリンクにより諸元を入手してから、最短で15秒で砲撃を開始することが出来る高い即応性を有している[b]。
操縦手は、車両の走行、陣地への展開から撤収の車両側動作、砲弾・装薬の補給、現場整備、火砲や車両の維持管理、日常点検などを担当[b]。
砲撃を行う際には、まず砲兵観測車や偵察用ドローンなどの情報を基に、目標情報、前線観測員からの誘導などの算出を経て、目標の脅威判断、任務の分担、（砲撃後の）戦果確認を行って、砲撃を実施する[b]。これらの過程は指揮制御システムにより管理される。SH-16の弾薬、弾道諸元、火力制御システムなどは、全てNATO規格の155mm榴弾砲のものに即しており、通信、指揮、後方支援体制なども共通化されており、同規格を用いている国での運用に適している[b]。
現代戦争では、観測手段の多様化とデータリンクによる戦場情報掌握速度の加速化により、迅速な砲撃と陣地移動を迅速かつ頻繁に行う必要性が強まっている[b]。SH-16は高い自動化と処理速度の実現により、その面での性能も高いとされる[b]。SH-16は、陣地に展開すると一分間で砲弾8発を発射、その後一分で撤収準備を完了、最初の砲弾発射後から三分以内に元陣地から500m以上離れた場所に移動できる能力を備えている[b]。これは、スウェーデンのアーチャー155mm装輪自走榴弾砲と同レベルの性能であり、現在の戦争に必要な迅速な射撃と移動の能力を付与できたとされている[b]。
SH-16部隊は、自走砲、弾薬補給車、整備車、偵察車、指揮車などで構成される。
【今後の展望】
2022年に勃発したロシア・ウクライナ戦争では、両軍ともに最新型から旧式の牽引砲まで含めて多種多様かつ大量の榴弾砲を戦場で使用しており、大量消費される砲弾の供給が両陣営の重要な課題となる状況が発生した[b]。
SH-16の設計主任の許耀峰技師は、この戦争の戦訓として以下の三点を指摘している[b]。
| ネットワーク化による戦場の可視化 | 航空・宇宙・地上の情報ネットワーク化により、火砲における情報保障体制・高機動力・快速反応能力がますます重要になる。「情報が主導し、火力が主戦力となる」「情報と火力は一体化し。迅速な反応が勝利を制す」ことになる。 |
| ドローンの脅威増大 | 低価格な低速・小型ドローンの空中脅威が増大。従来の対空システムでの対処は困難、かつ費用対効果で不利。砲兵部隊の小型ドローンに対する自衛能力の改善が求められる |
| 将来の戦争は長期戦・消耗戦になる可能性が高い | 火砲や弾薬もそれを見越した設計、生産コストの低減、砲身寿命の延伸、取得性改善、実戦における信頼性確保などをこれまで以上に追及する必要がある |
そして、今後求められる自走砲の性能として、以下の五点を挙げている[b]。
| 射程の延伸化 | 情報化戦争では、遠距離から敵を撃破する「非接触」打撃手段がさらに重視される。榴弾砲についても長砲身化、砲弾の射程延伸が今後さらに追及されるため、これを実現するための技術開発が求められる。 |
| 戦術・戦略機動性の改善 | 戦場での機動力である戦術機動性と、広域展開力である戦略機動性の双方を向上させる必要性。新素材・無人砲塔などの使用による軽量化、機動力を担保する高出力エンジンの開発などが求められる。 |
| 自力の防空能力の確保 | ロシア・ウクライナ戦争では小型ドローンの大量投入が新たな脅威として浮上。自走砲に対する攻撃も頻発。対応のため、自走砲自体の防御力改善、被発見率改善のため電波/赤外線ステルスの向上、レーザー・ミリ波レーダー警告装置などを含むパッシブ防御性能の改善に加え、小型ドローンを自力で迎撃できる能力の付与が求められる。 |
| 操作・制御システムのAI化 | 衛星・サーバー・ブロードバンド・データリンクなど多種多様な通信ネットワークを基盤とした、情報化された射撃統制・制御システムが構築され、デジタルマップ上でのナビゲート及び戦場脅威判断を行なえるようになる。AI化により、打撃と火力配分、打撃判定を可視化。デジタルモデルとデータベースにより訓練、戦術作戦のシミュレートが容易になる。情報はAIによる処理を経て直感的に認知しやすい図形化、音声化される。システムはオープンで機能追加とアップグレードに便利。これによりたった一門の火砲でも、高い機動性を備えた自律的作戦を行う「指揮砲」として作戦を遂行可能。意思決定と行動に関するOODAループを加速化するのに有効に機能する |
| 有人／無人ユニットによる統合運用 | 探知能力、識別能力、自動操縦などAI技術の急速な進歩により、装備の無人化と戦場の無人化は今後避けられない趨勢。大口径火砲も、無人砲塔化や遠隔操作が今後ますます追及され、自動運転技術の普及に伴い、移動、陣地展開、撤収までの過程でも将来的には無人化される可能性が高い。さらに有人ユニットと無人ユニットの統合運用も重要になる |
SH-16は、無人砲塔の採用、AI技術の導入などの、上記の将来自走砲に求められる要素が盛り込まれた意欲作と言える。まだ中国軍では採用されていないモジュール装薬を導入して、それを既存の155mm砲弾で使用可能とする、NATO規格に合わせた運用方式を全面的に取り入れるなど、国際市場における競争力強化を追求した自走砲と見なすことが出来、今後の売れ行きが注目される。
【参考資料】
[a]梁辉 许耀峰 王振明 王举「国产SH16型模块化155毫米无人炮塔火炮」『兵器知识』2024年5期（2024年5月1日出版/《兵器知识》杂志社/14-16頁）
[b]曹励云 黄国志 李旭［新一代战神 许耀峰总设计师谈中国外贸SH16型模块化155毫米无人炮塔火炮研制历程］『兵器知识』2024年7期（2024年7月2日出版/《兵器知识》杂志社/26-41頁）
【関連項目】
中国陸軍