日本の周辺国が装備する兵器のデータベース



*131型35mm狙撃擲弾銃(131式/QLU-131/11式/GLU-11)
▼動画:「PLA共軍 解放軍 武警 11式狙擊榴彈發射器 China QLU-11 sniper grenade launcher」武装警察特戦隊の射撃訓練。QLU-131(動画タイトルはQLU-11)の装弾、射撃、命中までの一連の過程を見ることが出来る。


性能緒元
口径35mm
弾種35×32mmSR擲弾
全長1.200mm[3]もしくは1225mm[6]
銃身長  
重量9kg(本体のみ、弾倉未装着)/13kg(4発入り弾倉装着時)
弾倉3発入り、4発入り、5発入り、6発入り、7発入り
作動方式ボルトアクション式
砲口初速245m/秒
射程直射800m+/曲射1750m(有効射程)

131型35mm狙撃擲弾銃(QLU-131)は、湖南兵器軽武器研究所有限公司が中国軍向けに開発した歩兵携行式の擲弾発射機[1][2]。中国語では「狙撃榴弾発射機」と呼称される[3]。当初は11式/QLU-11の名称が流布していたが、後にQLU-131の名称が登場して用いられるようになった[4]。「131」は2010年代に導入された新しい型式名表記法で「2013年に制式化された第一番目の狙撃擲弾銃」という意味になる。表記は131式と131型の二種類があるが、使用頻度は131型の方が多いように見うけられる。

QLU-131は、輸出市場向けに開発されたLG-5型40mm狙撃擲弾銃と同時期に開発が行われており、どちらも35mmや40mm擲弾を1,000mの距離で直射させる「狙撃擲弾銃」という新ジャンルの支援火器。

狙撃擲弾銃は2004年に登場したアメリカのバレットXM109を嚆矢とする[1][2]。XM209は25mm擲弾をエアバーストさせることで従来の40mm擲弾に匹敵する威力の確保を目指した新世代の支援火器であったが、部隊での試験運用に留まり制式化はされなかった。QLU-131/LG-5の開発は、このXM209に触発されたとの指摘もある[2]。ただし、既存の35mm/40mm擲弾を用いるようにして、開発当初はエアバースト機能は盛り込まれないなど、開発費用と開発リスクを抑える工夫が凝らされている点は注目される[5]。

同社は2008年から狙撃擲弾銃の研究開発に着手し、相次いでQLU-131/LG-5といった狙撃擲弾銃を実用化することに成功[1]。QLU-131は、2013年3月に制式化され中国軍への配備が開始された[3]。

【性能】
QLU-131/LG-5を開発した湖南兵器軽武器研究所によると「狙撃擲弾銃」は、破壊力の高い擲弾を、高い精度で命中させることが可能な、軽量化され歩兵による携行搬送が可能な兵器システムであるとしている[1]

世界各国で使用されている擲弾発射機は、初速が低く弾道は低い弾道を描いて飛翔するため命中精度は低く、射程距離も限られてしまう[1]。QLU-131/LG-5はその問題に対処するための装備であり、擲弾銃を遠距離の点目標を確実に打撃できるだけの高い命中精度を持たせることが目標とされている[1]。威力のある擲弾を確実に命中させられる能力を得たことで、QLU-131/LG-5は陣地、装甲車両、ヘリコプター、レーダーサイト、通信拠点といった高価値目標に対して、浸透した狙撃兵により遠距離から撃破を狙え、従来の擲弾発射機の枠を超えた兵器となった[1]。

兵器システムとしてのQLU-131は、発射機本体、光学電子照準器、微光増幅式暗視装置、弾薬などで構成され、これらは専用の背負い式バックに収納して歩兵一名での搬送が可能[4]。コンパクトに収納できるので、装甲兵員輸送車や航空機に登場する際にも邪魔にならず、戦場でも迅速に動くことが出来る[4]。

QLU-131は歩兵による携行を前提として、軽量で強度の高いアルミ合金やプラスチック素材が多用されている。銃本体の重量は9kg以下で、暗視装置を兼ねた照準器を装着しても11kg以下、四発入りの弾倉を装着した状態で13kgとされる[4][6]。全長は1,200mm[3]、もしくは1225mm[6]の数値が伝えられている。、銃身は搬送の際には分離して長さを抑えることが出来る[4]。各部品には黒色の防錆皮膜処理が施されている[6]。

QLU-1331は射程と精度を確保するため、通常の擲弾発射機よりも長い銃身を備えており、反動を抑えるため銃身先端には二重式マズルブレーキを配置しており、肩に当てる銃床には反動吸収に有効な素材を組わせて製造されている[4]。銃身は機関部以外どこにも接触していないフリーフローティング式の取り付け方法を採用することで銃身の振動抑制と反動軽減効果が得られ、命中精度を向上させる[4]ただし、これだけの措置を施してもQLU-131の射撃時の反動は強烈で、射手の肩には相応の力がかかる[6]。

装弾・排莢機構はボルトアクション式を採用。発射速度は毎分12〜15発[4]。本体中央には搬送用のキャリングハンドルが設けられている[1][2]。機関部にはバックアップ用のアイアンサイトと各種装備品を装着可能なピカティニー・レールを設けている[2]。狙撃時に銃を安定させる二脚は、銃の銃身の中心になるところに取り付けられている[4]。二脚は八段階で長さを調整するが、これは細かな調整を可能とすることで、射手にとって最適な高さを確保できるようにすることと、複雑な地形に対処できるようにして戦場における使い勝手を改善する意図がある[4]。

QLU-131のQMD131型光学電子照準器は、昼間光学照準器、光学電子照準器、簡易弾道計算機で構成されている[4]。(資料[8]ではY/MJL-11-005の型式名が用いられている)。これは10式12.7mm対物ライフル(QUB-10)の照準器を流用して所定の改良を実施したもので、開発費抑制を目的とした措置であった[7]。QMD131は、内蔵するレーザー測遠器と簡易弾道計算機を用いて、目標を捉えて装置を作動させると、迅速に距離、弾種、温度、角度、傾き、風向きなどの各種データをもとに必要な諸元を算出して照準器に写る目標にスポッティングポイントを投影するという高い自動性を備えている[1]。必要に応じて諸元を手動入力して算出するモードも併用されている[1]。照準器の位置は左側のピカティニー・レールに取り付けられており、前後の位置を射手の体型に合わせて調整できる[4]。これにより射撃後の後座の際に照準器に顔をぶつける危険を減らすことが出来る[4]。照準器の位置は銃の中心線からやや左側にずれているが、これも後座時に照準器とぶつかるリスクを軽減する措置の一つとされる[6]。なお、これとは別に銃本体にアイアンサイトも用意されており、こちらを用いて照準を行うことも可能[6]。夜間戦闘の際には、QMV131型微光増幅式照準器が使用される[4]。これは800mまでの有効視認距離を有しており、これを活用することで夜間における作戦能力を確保している[4]。

QLU-131は400m離れた位置の銃眼に対して80%以上の命中率を、600m離れた距離で1m以下の散布界を確保している[4]。なので、600m先の窓を直撃したり、800m先の軽装甲車に対して有効打を与えることが可能[4]。その命中精度を生かして、敵地後方に浸透して、装甲指揮車両、レーダーサイト、飛行場、低速で飛行中の航空機などの重要目標を無力化することも想定されている[4]。

【弾薬】
QLU-131は中国軍の標準的な擲弾である35×32mmSR擲弾を用いる[4]。ただし、通常の擲弾発射機よりも遠距離に対して高い命中精度が要求されたことから、特別設計された弾薬が開発・使用されている[4]。設計変更の効果もあり、新型弾薬を用いた場合の初速は従来の190m/秒から、245m/秒にまで向上している[5]。通常の35mm擲弾を使うことも可能であるが、その場合には命中率の低下を許容する必要が生じる。

QLU-131は、直射であれば800m以上、曲射射撃であれば1,750mの有効射程を有する[4][10]。対人榴弾は、400mの距離で30cmの集弾率を備え、爆発すると300個以上の弾片を生成し、9mの有効殺傷半径を有する[4]。HEDP弾を用いると、600mの距離で45cmの集弾率で、垂直の均質圧延鋼装甲(Rolled Homogeneous Armour:RHA)を70mm貫徹する能力を備えており、大多数の軽装甲車両を撃破することが可能[4]。そのほか、既存の35×32mm口径の焼夷榴弾、発煙榴弾、照明弾、訓練弾など各種弾薬を利用することも可能[9]。QLU-131の弾倉は、3発入り、4発入り、5発入り、6発入り、7発入りの五種類が存在する[6]。

【運用】
GLU-131は近距離での擲弾投射、もしくは曲射射撃での面制圧を主任務とする従来の擲弾発射機とは異なり、800m以上の距離で精密射撃が可能という点で、大口径機銃弾を用いた対物ライフルに近い特性を備えるようになった。さらに、曲射射撃であれば1,750mの有効射程を確保することも可能である[10]。

中国軍でも大口径対物ライフルは部隊配備されているが、なぜそれと並行して35mm擲弾を用いた火力支援火器を開発したのか。その原因については、対物ライフルは大口径化すればするほど反動や取り回しが厄介になり、現実的には14.5mm口径が限度に近くなる点が指摘されている[9]。その結果として、擲弾発射機に狙撃能力を付与するという方向性で開発されたのがQLU-131/LG-5となったとする見解が提示されており、これは一考に値すると考えられる[9]。

本銃は、軽量かつ高い命中精度を有する特性を生かして、海軍陸戦隊、陸軍特殊部隊、山地歩兵、空軍空降兵、武装警察特戦隊といった軽装備部隊の歩兵分隊に配備が進められている[1][9][3]。これらの部隊では、火力支援用の火砲が制約されるため、QLU-131は歩兵部隊が自前で活用できる火力支援火器として活用されている。直射による目標撃破、間接射撃により遠距離目標に対する制圧射撃も可能な汎用性は、軽装備部隊にとっては重火器の不足を補う貴重な存在と言える。

また、歩兵により携行搬送できる点を生かして、特殊部隊や偵察部隊の装備として活用され、敵地後方に浸透した上で破壊工作や重要目標の無力化、装甲車両への攻撃など、多様な用途に用いられることも想定されている[1][4][3]。

【派生型】
QLU-131の派生型としては、エアバースト制圧を可能としたQLU-131Aが存在する[11]。QLU-131と相前後して開発されたLG-5型40mm狙撃擲弾銃も同じ機能を付与したLG-5Aが存在しており、両者は共通の技術を基にして開発されたものと推測される[1]。

QLU-131Aの外観上の変化としては、銃身が原型より太くなり、マズルブレーキも全く異なる形状のものに換装されたため、識別は容易[10]。それ以外の改良ポイントとしては、エアバースト可能な新型弾薬の運用能力の付与と、弾道計算機のソフトウェアにエアバースト射撃モードを追加することが挙げられている[11]。

LG-5Aと同じくQLU-131Aも内蔵された調整型信管を用いることで、任意の距離・時間で榴弾をエアバーストさせることが可能となり、暴露状態の敵兵のみならず、塹壕に避難した敵兵士を制圧することも容易となった[1]。

これはQLU-131Aを装備する山地部隊にとって特に有効な機能であり、汎用機関銃と迫撃砲の中間的な自前の支援火器としてQLU-131Aを用いることでその戦闘力をさらに向上させることが出来ると目されている[11]。

【参考資料】
[1]世红「取得轻武器出口大单—访湖南轻武器研究所有限责任公司讲解员吴海岸」『兵工科技2022.24―2022珠海航展(下)』(兵工科技杂志社)105-109頁
[2]Modern Firearms「LG5 / QLU11 Sniper Grenade Launcher」http://modernfirearms.net/en/grenade-launchers/chi...
[3]风闻「为山地战打造的我军超轻“步兵大炮”,差点在高原前线打响第一炮」(2020年6月25日)https://user.guancha.cn/main/content?id=334520
[4]凤凰网「震慑敌胆的狙击“榴弹炮”,国产131型狙击榴弹发射器_」(兵工科技/2022年6月20日)https://mil.ifeng.com/c/8GzrxbRM4iV
[5]手机新浪网「朝鲜八大阅兵首次曝光的"狙击榴" 更像中式还是美式」(2021年1月18日)https://mil.sina.cn/zm/2021-01-18/detail-ikftssan7...
[6]火器百科「QLU11式35毫米狙击榴弹发射器」https://huoqibaike.club/wiki/QLU11%E5%BC%8F35%E6%A...
[7]手机新浪网「QLU11这款我军独创的武器 当真是“狙击榴”吗?」(2022年6月16日)https://mil.sina.cn/zm/2020-06-16/detail-iircuyvi8...
[8]手机新浪网「既然我们中国有了狙击榴,那为什么还要研发狙击步枪?」https://k.sina.cn/article_5941687237_16226f3c50190...
[9]每日头条「中国不讲理超级单兵武器:在敌方头顶爆炸 千米内让敌军尸骨无存」(2017年6月4日/航天君)https://kknews.cc/military/ma6pv9z.html
[10]总参第六十研究所・南京模拟技术研究所「实兵交战系统产品规格书」19頁http://www.nrist.com/files/20201119095916827.pdf
[11]网易新闻「国产“狙击榴”改进型亮相?编程弹出口转内销,能飞进窗户再引爆」(兵武堂/
2022年7月14日) https://c.m.163.com/news/a/HC99PMP90535I3QJ.html

LG-5型40mm狙撃擲弾銃(輸出向け)
▼動画:Army Upgrade「Different approach, comparison of the power of Carl Gustaf, RPG-7 Ovod NORINCO LG5 grenade launchers」0:53から1:18にかけて、イエメンで撮影されたLG-5の動画を見ることが出来る


性能緒元
口径40mm
弾種40×53mm
全長1.300mm
銃身長  
戦闘重量(軽タイプ)12kg未満/(重タイプ)25kg未満
弾倉(軽タイプ)4発入り/(重タイプ)15発入り
作動方式ボルトアクション式
砲口初速240m/秒
最大射程(榴弾)直射1,000m/曲射2,000m(注:弾種により性能は異なる)

LG-5型40mm狙撃擲弾銃は、湖南兵器軽武器研究所有限公司が輸出市場を意識して開発した歩兵携行式の擲弾発射機[1]。国際市場での販売活動は中国北方工業公司(NORINCO)が担当している[2]。中国陸軍で採用されている131式35mm狙撃擲弾銃(QLU-131)と同じく、35mmや40mm擲弾を1,000mの距離で直射させる「狙撃擲弾銃」という新ジャンルの支援火器。

狙撃擲弾銃は2004年に登場したアメリカのバレットXM109を嚆矢とする[1][2]。XM209は25mm擲弾をエアバーストさせることで従来の40mm擲弾に匹敵する威力の確保を目指した新世代の支援火器であったが、部隊での試験運用に留まり制式化はされなかった。LG-5/QLU-131の開発は、このXM209に触発されたとの指摘もある[2]。ただし、XM209と異なる点は、既存の40mm擲弾と35mm擲弾の規格に沿った狙撃擲弾銃を開発する方針が採られた点にある。これは既存の弾薬体系を生かす形での導入が可能となるので採用のハードルを下げる効果が期待できる(詳しくは後述するが、実際には互換性はあるが既存の弾薬だと命中精度が低下する問題が生じることになる。)また、開発当初はエアバースト機能を盛り込まないようにしたことも、開発リスクを下げる試みであると見なし得る[4]。

同社は2008年から狙撃擲弾銃の研究開発に着手し、相次いでLG-5、QLU-131といった狙撃擲弾銃を実用化することに成功[1]。改良にも積極的に取り組んでおり、2022年に開催された珠海航空ショーでは発展型であるLG-5Aの存在を明らかにしている[1]。

【性能】
LG-5を開発した湖南兵器軽武器研究所によると「狙撃擲弾銃」は、破壊力の高い擲弾を、高い精度で命中させることが可能な、軽量化され歩兵による携行搬送が可能な兵器システムであるとしている[1]

世界各国で使用されている擲弾発射機は、初速が低く弾道は低い弾道を描いて飛翔するため命中精度は低く、射程距離も限られてしまう[1]。LG-5はその問題に対処するための装備であり、擲弾銃を遠距離の点目標を確実に打撃できるだけの高い命中精度を持たせることが目標とされている[1]。威力のある擲弾を確実に命中させられる能力を得たことで、LG-5は陣地、装甲車両、ヘリコプター、レーダーサイト、通信拠点といった高価値目標に対して、浸透した狙撃兵により遠距離から撃破を狙え、従来の擲弾発射機の枠を超えた兵器となった[1]。

LG-5は軽量化のため、本体にアルミ合金やプラスチックといった軽量素材を多用して重量軽減を図っている[1]。設計においては人間工学への配慮を加え、長い運用寿命を備え、多様な環境下での運用を想定して信頼性を確保することが目指されている[1]。装弾・排莢機構はボルトアクション式を採用しており、本体中央には搬送用のキャリングハンドルが設けられている[1][2]。機関部にはバックアップ用のアイアンサイトと各種装備品を装着可能なピカティニー・レールを設けている[2]。

開発において、汎用機関銃のように二脚と三脚を使い分ける方式が用いられることが決まり、歩兵一名で搬送する軽タイプと、銃架に据えて用いる重タイプの二タイプが用意され、ユーザーの要望に応えるようにされた。これは中国軍で採用されている第一世代の擲弾発射機である87式35mm擲弾発射機(QLZ-87)でも採用された手法である。

軽タイプでは二脚を展開・接地させ、銃床を肩に付けた状態で射撃を行う。四発入り弾倉を装着した状態の全備重量は12kg未満に抑えられている[1]。重タイプでは、二脚はそのままとされ、別途用意された三脚に装着して通常の擲弾発射機に近い運用が行われる[1]。重量は三脚と15発入り弾倉を付けた状態で25kg未満。これはQLZ-87の重タイプの20kgよりは重いが、車載式擲弾発射機であるQLZ-04の36kgよりは軽い。

LG-5は高初速を発揮するため、通常の擲弾発射機よりも長い銃身が採用されており、発射機の全長は1,300mmになる[1]。砲口初速は240m/秒であり、最大射程は2,200m以上になり、有効射程も1,200m以上になるとされる[1]。銃身命数は2,000発を確保している[1]。

照準器はOS14昼間光学照準器、OS10光学電子照準器、そして簡易弾道計算機で構成されている[3]。照準器は遠距離狙撃を想定して、レーザー測遠器と簡易弾道計算機を組み込んだ照準器が採用されている。これは目標を捉えて装置を作動させると、迅速に諸元を算出して照準器に写る目標にスポッティングポイントを投影するという高い自動性を備えている[1]。必要に応じて諸元を手動入力して算出するモードも併用されている[1]。上記照準器はオプション装備であり、ユーザーの要望に応じて低いコストの照準器の選択肢が用意されている[2]。

LG-5は西側規格になる40×53mm弾薬を用いている。これは中国軍では運用されておらず、もっぱら輸出市場向けに生産されている。弾種としてはBGJ5型多用途榴弾、BGL3型対人榴弾、BGR-1型/BGH-1型焼夷榴弾など多種多様な弾薬がラインナップに加えられている。これらの弾薬は命中精度が高く射程の長いLG-5に最適化した設計が施されている[2]。通常の40×53mm弾を使用することも可能だが、その場合には命中精度に悪影響が生じる[2]

BGJ5は多用途榴弾であり、装甲目標に対しては最大で均質圧延鋼装甲(Rolled Homogeneous Armour:RHA)76mmの貫徹力を備え、榴弾としての殺傷半径は7m[1]。射程800mの距離で3発を発射した場合、その散布界は直径70cmの円内に収束する高い集弾性を発揮する[1]。、開発元は400〜600mの距離にある陣地の外部視認用開口部を狙撃できるレベルを達成していると主張する[1]。

BGL3は主に対人攻撃に用いられ、BGJ5と比べると装甲貫徹力は遜色がある。BGR-1/BGH-1は焼夷榴弾であり、153平方メートルの面積を燃焼させることが出来る(注:これに必要な弾数が何発になるかの記載は[1]には無し)。

【発展型:LG-5A】
2022年の珠海航空ショーではLG-5の発展型であるLG-5Aが公開された[1]。LG-5AとLG-5の最大の相違点は、LG-5には無かった弾薬の空中炸裂能力を付与したことにある。LG-5Aは、新たに開発したBGL3A型調整型空中炸裂殺傷弾を用いることでこの能力を得ることに成功した[1]。

BGL3Aは、弾長112mm、重量340gで、有効殺傷半径は8m以上[1]。内蔵された調整型信管を用いることで、任意の距離・時間で榴弾をエアバーストさせることが可能となった[1]。この能力を得たことで、暴露状態の敵兵のみならず、塹壕に避難した敵兵士を制圧することも容易となった[1]。既存のLG-5についてもアップグレードキットを適応することでLG-5Aにすることも可能[3]。

【運用】
LG-5は近距離での擲弾投射、もしくは曲射射撃での面制圧を主任務とする従来の擲弾発射機とは異なり、1,000〜2,000m以上の距離で精密射撃が可能という点で、大口径機銃弾を用いた対物ライフルに近い特性を備えるようになった。本銃は、軽量かつ高い命中精度を有する特性を生かして、特殊部隊や偵察部隊の装備として活用され、敵地後方に浸透した上で破壊工作や重要目標の無力化、装甲車両への攻撃など、多様な用途に用いられることが想定されている[1]。

LG-5はサウジアラビアが購入し、2019年11月には、同国が介入したイエメンにおけるフーシ派武装勢力との戦闘に投入されているのが明らかになっている。信頼性は良好だが、イエメンでの運用では、銃身や給弾機構に砂塵が溜まらない様に整備に留意する必要があるとの事[3]。

【参考資料】
[1]世红「取得轻武器出口大单—访湖南轻武器研究所有限责任公司讲解员吴海岸」『兵工科技2022.24―2022珠海航展(下)』(兵工科技杂志社)105-109頁
[2]Modern Firearms「LG5 / QLU11 Sniper Grenade Launcher」http://modernfirearms.net/en/grenade-launchers/chi...
[3]CHINA-ARMS「Saudi army uses China’s LG5/QLU-11 40mm grenade launcher to hit bunkers」(2019年11月4日)https://www.china-arms.com/2019/11/saudi-lg5-40mm-...
[4]手机新浪网「朝鲜八大阅兵首次曝光的"狙击榴" 更像中式还是美式」(2021年1月18日)https://mil.sina.cn/zm/2021-01-18/detail-ikftssan7...

04式35mm自動擲弾銃(QLZ-04)

▼動画:讲堂军库·Weapons Aresenal Channel「讲堂600期 | 边防利器,中国QLZ-04式自动榴弹发射器/QLZ-04 automatic grenade launcher」QLZ-04の性能紹介動画


性能緒元
口径35mm
弾種35×32mm
全長1028mm
銃身長380mm
重量5kg(発射機)/24kg(発射機+照準器+三脚銃架)/36kg(発射機+照準器+三脚銃架+30発入り弾倉)
弾倉30発
砲口初速190m/秒
最大発射速度350〜400発/分(理論値)
有効射程800m/1,750m

04式35mm自動擲弾発射機(QLZ-04)は、87式35mm自動擲弾発射機(QLZ-87)に続いて開発された中国第二世代の自動擲弾発射機。中国名では「04式35毫米自動榴弾発射器」と呼称されている。

【開発経緯】
中国軍ではアメリカやソ連での自動擲弾発射機配備の動きを踏まえて、1990年代後半には87式35mm自動擲弾銃(以下QLZ-87と表記)の部隊配備を開始[1]。QLZ-87の開発では、構造の簡素化と軽量化が追及されたが、これは当時の中国軍で歩兵部隊の機械化が進んでいないため、歩兵による携行輸送を容易にするための措置であった[1]。

QLZ-87の部隊配備開始後、部隊の機械化が進展したことにより、各種車両による自動擲弾発射機の輸送も一般化した[1]。しかし、歩兵による輸送を前提として開発されたQLZ-87は、弾倉が小型で(6発/15発の二種類)、持続的に支援射撃を行うには頻繁な弾倉交換が必要であった[1]。さらに、軽量化のため連射時の反動抑制機能が十分ではなく、銃身の振動が大きいことで命中精度の低下を招いていた[1]。

中国軍では、車載運用を前提とした自動擲弾発射機の必要性を認識しており、QLZ-87の部隊配備開始から間もない1999年には次世代自動擲弾発射機の開発に着手している[1]。開発は湖南省軽武器研究所を中心として行われ、車両輸送を前提として軽量化よりも持続的な連続射撃能力や命中精度向上に設計の主眼が置かれた。2004年には設計案の最終的な批准にこぎつけ、「04式35毫米自動榴弾発射器(QLZ-04)」の制式名称が付与された[1]。QLZ-04は中国とイランで運用されている[5]。

【特徴】
QLZ-87では、歩兵一名による携行が可能であったが、QLZ-04は車載運用を前提として歩兵一名での搬送は考慮されていない。三脚銃架込みの重量は24kgで30発入り弾倉を装着した状態だと36kgになることから分かるように、基本的に、車輛、艦載、ヘリコプターなどの機内搭載を想定して開発され、自動擲弾発射機としての射撃性能を追求したのが特徴[1][4][5]。QLZ-04を歩兵により搬送する場合は、通常は発射機と三脚とマガジンに分けて、歩兵三名により輸送を行う[3]。緊急事態には、歩兵二名が三脚を持って25kgのQLZ-04を搬送するが、これは近距離に限られる。

QLZ-04とQLZ-87の変更点は以下の通り。

まず、QLZ-87で問題になった持続的な火力支援能力の低さを解消するため、ドラム弾倉方式をベルト給弾式に変更し、弾倉の装填数を30発にまで増加させた[1][2]。これにより、弾薬数はQLZ-87の倍になり、持続射撃能力を大きく向上させることに成功した。QLZ-87は弾倉を本体下部に装着していたが、実際の運用では装填時の振動で弾倉が落下するトラブルも発生していた[1]。QLZ-04では、給弾機構や機関部などのコンポーネントのほとんどを左右対称に設計することで、部品の方向を変えるだけで給弾機構の左右どちらにも弾倉を装着出来るようになった。これにより、プラットフォームの容積などに応じて都合のいい方に弾倉を積めるようになり、弾倉が落下するという問題も解消された[1]。排莢は弾倉と反対側から行われる[5]。発射モードは単発と連発を選択できる[5]。連発時の実用発射速度は毎分60発で、30発の擲弾を30秒前後で打ち尽くす連続射撃が可能[3]。これは、QLZ-87の連続射撃性能の低さを解消した優れた連射能力を確保したと評価されている[3]。

作動方式は、QLZ-87のシンプルブローバック方式からオープンボルト方式に変更された[1]。これは装置の重量とコストの増加は招くが、ベルト給弾方式化に対応して給弾系統の能力向上が求められたための変更であり、構造の単純化と信頼性の改善が追及された[1]。QLZ-87では軽量化のため反動低減用の油圧式緩衝器を備えておらず、射撃時の振動増加を招いていたが、QLZ-04ではその教訓から油圧式緩衝器が採用され、マズルブレーキの設計変更(マズルブレーキを4穴式から6穴式にして、さらに上向きの2穴を用意して銃身の跳ね上がりを抑制[5])と相まって、射撃時の反動や跳ね上がりが抑えられ、命中精度の改善に資している[2]。

QLZ-87では引き金式のトリガーを使用していたが、QLZ-04では親指で押す押鉄式に改められ機関部尾部に取り回し用の握把、安全装置と纏めて配置され、操作性を向上させている[1]。QLZ-04の照準装置としては、機関部上部にある取っ手を兼ねたアイアンサイトと、機関部後端の照準用スコープ(視野11度/倍率三倍)の二種類が配置されている[3]。直射の場合、アイアンサイトで最大600m、照準用スコープで最大800mまでの測距が可能。アイアンサイト基部には距離表尺が、機関部上面には射程表が刻まれており、これは間接照準射撃の際に用いることが出来る[2][5]。しかし、この方法に習熟するには兵員の経験が不可欠であり、射撃精度もそこまで高くなく、距離が長くなればなるほど横風の影響で命中率が下がってしまうデメリットも指摘されている[2]。QLZ-04は、赤外線暗視装置がないため夜間運用は出来ない[3]。

【運用】
QLZ-04は歩兵小隊の火力支援兵器として用いられ、直射であれば800mまで、歩兵部隊や基地、ソフトスキン車輛などの制圧射撃であれば1700mまでの有効射程を有する[2]。最大有効射程1700mは、40mm擲弾を用いるアメリカのMk19と比べると500mほど短いが、これは40mm弾と35mm弾の違いに起因するもの[3]。射程距離ではQLZ-04とQLZ-87はほとんど変わらず、弾薬についても共通して35×32mm口径の擲弾を使用する。新型の35mm高速擲弾を用いると砲口初速190m/秒で最大射程は750mとなる[5]。榴弾を用いた場合、一発当たりの殺傷半径は12m前後になり、30秒程度で30発の榴弾を投射できるので、優れた面制圧能力を有していると言える[3]。

QLZ-04はもっぱら三脚に据え付けた状態で射撃を行う。左右の射角が150度、付仰角が±10度、左右各30度の水平射角を調整可能[5]。

破壊力については、四輪駆動車であれば一発で乗員を制圧可能で、3発も打ち込めば横転させることが出来る。92式装輪装甲車のような軽装甲車両であれば、一、二発で足回りを破壊できるとされる[3]。

QLZ-04の運用上の問題としては、この35mm擲弾の信頼性が指摘されている。約5%の確率で発射後に炸裂しない弾薬が存在するとの事で、これは弾倉一つにつき、1発から2発の不発弾が発生するということになる。また、給弾時にはまず装填ハンドルを後方に引く必要があるが、内臓バネに負けないように40kgの力をかけて引かなければいけない。これは伏せ打ちの状態では困難なので、給弾開始時には座った姿勢で三脚に足を付け、全力でハンドルを引っ張らなければならない。 これは男性の新兵でも困難で、女性兵士には基本的に不可能であるとされている[3]。そして、擲弾を発射するには両手の親指で押し鉄を押し込まないといけないが、それに要する力は9〜18kgに達するとされ、新兵がこれを習得するには、長期間の訓練が必要となる[3]。

QLZ-04を配備した部隊では、まず「猛士」四輪駆動車に、そしてさまざまな車両にQLZ-04の搭載を広げていった。QLZ-04は車載化に適しており、多くの車両に搭載されていく事になった。また、小型艦艇やヘリコプターの搭載火器としても用いられている[3]。また、15式軽戦車(ZTQ-15)CSK-131/141「猛士」装輪装甲車に搭載されたRWS(Remote Weapon System) の35mm擲弾発射機もQLZ-04の派生型と考えられる。

QLZ-04を配備した歩兵部隊では、二通りの使用方法が用いられている。まず機械化歩兵部隊では、行軍時には装甲車に格納しておき、作戦時に車両から降ろして運用する手法を採用している。QLZ-04は車載運用を前提としており、通常の歩兵では携行搬送は短距離に限られている。

一方で、部隊の任務の都合上、重装備を施すのが困難な、海軍陸戦隊や空軍の空降兵部隊でもQLZ-04の配備が広がっていった。これらの部隊では、QLZ-04を歩兵部隊が直接使うことができる火力支援火器として、軽武装を補う貴重な存在となっている[3]。QLZ-04は、小型の「山猫」全地形車の車載兵装、もしくは車両から降ろして用いるなどの手法が採られる。海軍陸戦隊の演習ではQLZ-04を装備した部隊は、対抗部隊の兵力が多数でも、その差を連射性能の高いQLZ-04の制圧射撃により圧倒することが出来、対抗部隊が投入した水陸両用装甲車もQLZ-04のHAET弾により撃破に成功したことで、海軍陸戦隊はQLZ-04を高く評価したとの事[3]。ただし、車載を前提とするQLZ-04の重量がこれらの軽装備部隊にとって負担が大きいのは間違いなく、それが後に歩兵一名での携行が可能な131式35mm狙撃擲弾銃(QLU-131)の採用に繋がることになる。

総じてQLZ-04は、徒歩歩兵から機械化歩兵へと変化する中国陸軍の要望を受けて開発され、その要求に見合った装備として配備が進められていると評価することが出来るだろう。今後は、照準装置の能力向上、夜間戦闘能力の付与、弾薬の改良といった諸改良が加えられ、断続的にその性能や実用性を向上させていくものと考えられる。

【参考資料】
[1]刘达伦 吴海岸 邓振军「国产新QLZ04式自动榴掸发射器」所載『兵器知识』2016年4期 (閲覧)
https://web.archive.org/web/20160916235745/http://...
[2]搜论文「步兵分队的轻型“榴弹炮”」(陈志奇、张力永、孙宇光)
https://www.xzbu.com/1/view-5644804.htm
[3]捜狐「解放军的超轻型火炮可以车载可以便携:解放军04式自动榴弹发射器」(2023年9月15日/作者:萨沙)
[4]Weaponsystems.net「QLZ04」https://old.weaponsystems.net/weaponsystem/BB02%20...
[5]動画:讲堂军库·Weapons Aresenal Channel「讲堂600期 | 边防利器,中国QLZ-04式自动榴弹发射器/QLZ-04 automatic grenade launcher」https://www.youtube.com/watch?v=VWK1yajw0zY

87式35mm擲弾発射機(QLZ-87)

▼動画:讲堂军库·Weapons Aresenal Channel「讲堂594期 | 边防利器,中国QLZ-04式自动榴弹发射器QLZ-87 Automatic Grenade Launcher」QLZ-87の説明動画


性能緒元
全長970mm(発射機)/1060mm(軽タイプ)/1300m(重タイプ)
重量12kg(発射機+照準器)/20kg(三脚装着時重量)
弾倉6発/15発
口径35mm
弾種35×32mm弾
>榴弾、HEAT弾、焼夷弾、焼夷榴弾、煙幕弾など
最大発射速度480〜500発/分(理論値)
実用発射速度15〜20発/分(単発モード時)/30〜40発/分(連射時)
砲口初速190m/秒
俯仰角-10〜+75度(三脚装着時)
有効射程600m(直射)/1750m(曲射)

87式35mm自動擲弾発射機(QLZ-87)は、1995年に制式化された中国第一世代の自動擲弾発射機。中国名は「87式35毫米自動榴弾発射器」で、型式名のQLZはQ=軽武器、L=榴弾、Z=自動武器の中国語発音の頭文字を取ったもの[1]。QLZ-87は、輸出用兵器として1987年に実用化されたW-87式35mm自動擲弾発射機をベースにして開発が行われた[2]。

中国軍は1979年にヴェトナムとの間で発生した中越紛争において、ヴェトナム軍歩兵小隊が装備するアメリカ製M79/M203擲弾発射機に強い印象を受けた[3]。当時の中国軍の歩兵小隊では、分隊支援火器である7.62mm軽機関銃と手榴弾が主であり、必要に応じて歩兵中隊以上で装備する迫撃砲の支援を受けていた。それに対して、ヴェトナム軍歩兵小隊は、小隊固有の「小型砲」ともいうべきM79/M203擲弾発射機を保有していたことで火力において中国軍を上回っていた。

歩兵小隊火力でヴェトナム軍の後塵を拝したことは中国軍にとって大きな教訓となり、まず81式7.62mm自動小銃(QBZ-81)に装着するアタッチメント式擲弾発射機を開発すると共に、アメリカやソ連での自動擲弾発射機配備の動きを踏まえて、本格的な自動擲弾発射機の開発に踏み切った[3]。開発は南京に拠点を置く民間企業の華東工業院機器研究院が担当し、輸出用として開発されていたW-87自動擲弾発射機をベースとして1987年に開発作業に着手[4][8]。1995年には実用化に漕ぎつけ、「87式35毫米自動榴弾発射器(QLZ-87)」の制式名が与えられ、部隊配備が開始された[4]。

【性能】
QLZ-87の特徴はその軽量さにある。二脚装備の軽タイプは6発入りの弾倉を含めた全備重量が12kg、三脚と15発入りの大型弾倉を装備した重タイプでも全備重量20kgに抑えられている[3]。これは同クラスの自動擲弾発射機である米Mk19 Mod3よりも70%も軽量であり、ソ連/ロシアのAGS-17よりも35%軽い重量である[3]。この差は、米ソに比べて陸軍部隊の機械化で立ち遅れていた当時の中国軍にとっては、歩兵自身により携行搬送可能な重量に抑えることが要求されたことによるもの[4]。米Mk19やソAGS-17が車両運搬を基本として三脚銃架に据え付けて運用されたのに対して、軽量化を優先したQLZ-87は二脚装備の軽タイプであれば歩兵一名での携行搬送が携行可能となった。

ただし、軽量化を優先したことは、擲弾発射機の性能にとってはマイナスに働いたことは否めない。
【米Mk19-mod3とQLZ-87の性能比較】
砲口初速実用発射速度有効射程最大射程
米Mk19 mod3244m/秒50発/分1.6km2.2km
中QLZ-87200m/秒45発/分1.2km1.75km
砲口初速、発射速度、射程のいずれにおいても米Mk19 mod3が優位に立っていることが見て取れる。初速の低さは、同じ距離でも飛翔時間が多くかかることになり、それだけ命中精度に悪影響が及ぶ[1]。また、車載運用を前提に32発もしくは48発の弾倉を使用するMk19に対して、QLZ-87は6発/15発のドラム式弾倉しかなく持続的に支援射撃を行うには頻繁な弾倉交換が必要で火力の持続性でかなりの不利になる[4][5]。さらに、軽量化のため連射時の反動抑制機能は十分ではなく、銃身の振動が大きいことで命中精度の低下を招いていた[4]。上記の性能差は求められた要求の相違によって生じたもので、QLZ-87自体の欠点というのは公平さを欠くと思われるが、21世紀に入り中国軍の機械化が進んだことを受けて、車載運用を前提として砲性能を追求した04式35mm自動擲弾銃(QLZ-04)が開発されることになる[4]。

【構造】
QLZ-87は、銃身、機関部、携行用ハンドル、光学照準器、銃床、発射機(引き金+グリップ)、弾倉、脚部(二脚もしくは三脚)で構成されている[6]。QLZ-87の作動方式はブローバック式を採用しており、銃身先端には反動軽減のためマズルブレーキを装着している[6]。各部分の分解・組み立ては特別な工具は必要とせず、ロックを解除するだけでよく、整備性の向上に資している[6]。弾薬は機関部下部に装着された弾倉から給弾されるが、激しい振動に見舞われると弾倉が落下する危険性が指摘されている[4]

QLZ-87は歩兵分隊の支援火器として用いられる際には、二脚装備の軽タイプが用いられる。この際には、匍匐状態での射撃時に地面と接触しにくい小型サイズの6発入り弾倉を装着して運用される[6]。分隊支援火器として運用される場合は、射程600mまでの目標に対する直射を主とする[1]。

QLZ-87を三脚銃架と組み合わせた重タイプとして用いる時は、直接地面に設置もしくは車輛に搭載して運用される。重タイプは、安定した三脚銃架上に装備されているので、発射時の安定性が増しており命中精度が向上している。また、軽タイプよりも高い仰角での発射が可能となるので、曲射射撃により射程を延伸して1750mの最大有効射程の発揮が可能となる[1]。また、曲射射撃により、掩体に隠れた目標への打撃も出来るようになる。重タイプでは、匍匐時の射撃を考慮する必要がないので、大型の15発入り弾倉を使用する[1]。

【弾種】
QLZ-87は、中国が開発した35×32mm口径の擲弾を使用する。DFS87式榴弾、DFJ87式HEAT弾、DFR87式焼夷弾、DFN87式焼夷榴弾、DFD87式煙幕弹など各種弾薬が開発されているが、部隊で主に使われているのはDFS87式榴弾とDFJ87式HEAT弾の二種類[1]。両者は外観、寸法、重量(244g)とも全く同じで、同一の諸元で発射することが可能[1]。識別のため、DFS87は弾頭が白色に、DFJ87はオレンジ色に塗装されている。弾薬は一発ごとに独立して真空パックに収納されているが、これは過酷な環境での弾薬の性能維持を目的としたもの[1]。

DFS87式榴弾は有効殺傷半径11m。爆発時に300個程度の弾片を発生させることで殺傷効果を高めている[1]。DFJ87式HEAT弾は命中角60度で最大35mmの装甲貫徹能力を有している[1]。

【評価】
QLZ-87は、中国第一世代の自動擲弾発射機であり、中国軍における擲弾発射機の欠如という問題を解決することに成功した。歩兵による携行搬送が要求されたため、射程や命中精度、連続発射能力においては妥協を余儀なくされたが、歩兵一名での搬送が可能なサイズの自動擲弾発射機としての実用化には成功した。この特徴は、軍隊の機械化がまだあまり進んでいない国々で評価され、それらの国への輸出に成功しているとのこと[7]。これまでに、ボリビア、エチオピア、ナミビア、パキスタン、ソマリア、スーダン、タンザニア、ウガンダなどの国々へ輸出され、さらにシリア、スーダン、南スーダン、ソマリアなどの武装勢力でもQLZ-87が装備されているのが確認されている[8]。

【派生型】
“W-87式35mm自動擲弾発射機”
QLZ-87のベースとなった自動擲弾発射機。基本構造はQLZ-87と共通するところが多いが相違点も少なくない。弾薬は35×63mmRL弾を使用しており、弾倉も6発、9発、12発の三種類となっている点が異なる[2]。弾薬の供弾が機関部上部から行われる点もQLZ-87とは異なっている[7]。

輸出向けに開発され1987年に開発作業を終えている[2]。しかし、中国軍を含めて各国で採用されていないタイプの弾薬を用いていることもあってか、採用国は得られていない模様で、実際に量産されたか否かも不明[2]。

【参考資料】
[1]中国武器大全「QLZ87式35毫米自动榴弹发射器」http://www.zgjunshi.com/Article/Class38/Class88/Cl...(2019年11月10日閲覧)
[2]中国武器大全「W87式35毫米自动榴弹发射器」http://www.zgjunshi.com/Article/Class38/Class88/Cl...(2019年11月10日閲覧)
[3]腾讯网「国产特色武器:单兵装备迷你大炮 指哪打哪」(虹摄库尔斯克/2019年9月25日)https://new.qq.com/omn/20190920/20190920A0DMPY00.h...(2019年11月10日閲覧)
[4]刘达伦 吴海岸 邓振军「国产新QLZ04式自动榴掸发射器」所載『兵器知识』2016年4期 (閲覧)https://web.archive.org/web/20160916235745/http://...(閲覧2019年11月10日)
[5]槍炮世界「Mk19自动榴弹发射器」https://web.archive.org/web/20130806112934/http://...(閲覧2019年11月10日)
[6]何邓海「再创中国第一:QLZ-87式35mm自动榴弹发射器」《轻武器系列丛书》编委会『解密中国榴弾武器』(航空工惟业出版社、2015年)186〜189ページ
[7]网易号「国步兵大炮在多国参战,单兵用它能击穿装甲车」(空军世界/2016年12月21日)http://dy.163.com/v2/article/detail/C8OQ69TV051593...(閲覧2019年11月10日)
[8]Yan, Timothy (August 2014)「The Chinese QLZ87 Automatic Grenade Launcher」(Arms & Munitions Brief 1. Armament Research Services Pty. Ltd.)http://www.armamentresearch.com/wp-content/uploads...(閲覧2019年11月10日)

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