日本の周辺国が装備する兵器のデータベース






▼「成功」(PFG-1101)に搭載された「雄風3」SSM発射筒。既存の「雄風2型」SSM 4連装発射筒のうち2発分が雄風3のランチャーに換装されている



性能緒元
満載排水量4,105t
全長138.1m
全幅14.3m
喫水4.9m
主機COGAG 1軸
 LM2500ガスタービン 2基(40,200馬力)
速力30kts
航続距離4,500nm/20kts
乗員217名

【兵装】
対空ミサイルRIM-66艦対空ミサイル「スタンダードSM-1MR」 / Mk13 mod4単装発射機1基
対艦ミサイル雄風II型 / 4連装発射筒2基(※1)
魚雷Mk46 324mm短魚雷 / Mk32 3連装発射管2基
オットー・メララ Mk75 62口径76mm単装砲1基
近接防御Mk15 ファランクスBlock1A 20mmCIWS1基
 ボフォース 350PX 70口径40mm単装機関砲2基(※2)
 12.7mm重機関銃2基
搭載機S-70C(M)-1/2対潜哨戒ヘリコプター2機
※1:2006年以降、4連装発射機の内2つのランチャーを「雄風3型」艦対艦ミサイルに換装する改修が逐次施されている[5]。
※2:PFG-1110「田單」は40mm機関砲を装備せず。後日、T75S 20mm機関砲2基を追加装備[2]。

【電子兵装】
2次元対空レーダーAN/SPS-49(v)51基
対水上レーダーAN/SPS-551基
火器管制レーダーSTIR-2401基
戦闘システムJTDS 
データ・リンク・システム大成(台湾型Link-11/14) 
 Link-16 JTIDS 
電子戦システムAN/SLQ-32(v)5 
チャフ・フレアMk36 SBROC2基
ハル・ソナーAN/SQS-56 

基隆級駆逐艦(キッド級)が配備されるまで台湾海軍の最優秀艦であり、また主力として運用されたミサイル・フリゲート。アメリカ海軍のオリヴァー・ハザード・ペリー級を台湾造船公司高雄工廠でライセンス生産したものである。ペリー級はノックス級フリゲートに続いて建造され、1977〜89年にかけて51隻がアメリカ海軍に就役、現在も約30隻が現役に留まっている。ノックス級が対潜専門艦として建造されたのに対し、ペリー級は対空戦を重視して前部にスタンダードSAM/ハープーンSSM用のMK13単装発射機を備えている。但しVLSが一般化した今日では整備効率が悪いとして、アメリカ海軍のペリー級ではMk13発射機は撤去されている。ペリー級はアメリカ海軍以外では、オーストラリアとスペインで一部改定型がライセンス生産され、米海軍を退役した同級の一部は、ポーランド、エジプト、バーレーン、トルコなどに輸出されており、各国で運用が行われている。

台湾海軍の劉和謙上将は1984年に、次世代の海軍主力艦は外国で設計された優秀な艦艇を国内で建造する、という方針を発表した。この方針に沿って計画されたのが3,000トン級のミサイル護衛艦「光華1号」と、1,500トン級の安価な小型護衛艦「光華2号」である。光華1号計画艦は8隻建造して富陽級(ギアリング級)駆逐艦を代替し、光華2号計画艦は16隻建造して天山級(バックレイ級)護衛駆逐艦を代替する事を予定していた。台湾海軍は光華1号計画艦の候補として独MEKO360型とブレーメン級(F122型)、伊マエストラーレ級、韓HDF3500型(ウルサン級の拡大型)、米ペリー級などを検討し、モジュール設計で共通部分の多い独MEKO360型とMEKO140型を光華1号・2号として採用するのが最適という報告を行った。しかし当時の台湾はドイツとの国交がなく中国の圧力もあるために、正式なルートでMEKO型の発注を行う事はほとんど不可能だった。アルゼンチンやインドネシアなどの第三国を通して交渉を行う事も検討されたが、アルゼンチンが公然とリベートを要求してくるなど事態は混迷し、結局MEKO型の導入は諦められた(ドイツから永豐型掃海艇を購入する時も税関で差し止められるなど問題が起きている)。

その後、光華1号計画艦は台湾科学院がアメリカの協力を得て、新型戦闘システム(イージス・システムに準じるもの)とアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダー、VLS(垂直発射機)を装備する強力なミニ・イージス艦として国内建造される事になった。しかしこのような新技術を満載した艦を建造するのはリスクが大き過ぎるとして、1986年に計画8隻のうち4隻のみミニ・イージス艦とされた。さらに1989年には新任の葉昌桐上将が4隻でもリスクが大きいとして最後の2隻のみにし、6隻はアメリカからペリー級を輸入する事を決定した。その後、再び光華1号計画艦の建造数は変更になった。当初8隻の予定だったのを12隻まで増やし、前期型の7隻(成功級)のうち最初の2隻をアメリカとの共同生産、後の5隻を台湾でライセンス生産し、同時に台湾独自の戦闘システムの開発を進め、後期型の5隻(田單級)はペリー級を元に大幅に改造を施してミニ・イージス艦とする計画になった。しかし紆余曲折を経て決定されたこの計画も「大海軍主義」に反対する郝柏村参謀総長の横槍を受け、後期型(田單級)は1隻のみとされた。ミニ・イージス艦として予定されていた田單級だが、新型戦闘システムの開発に手間取って開発経費が高騰、またベースとなるペリー級の船体が小さすぎて武装が搭載できないなどの問題が続出した。このため田單級の建造は1995年に中止され、単に成功級の8番艦として建造された。

台湾がライセンス生産したのはペリー級の最後期型(着艦支援装置/RASTを搭載して艦尾を延長したタイプ)。しかしペリー級と成功級には幾つかの違いがある。ペリー級はMk13発射機とRASTの為に艦の前後が重く、逆に中央部は軽いために船体が歪む欠陥があった。この問題に対してアメリカ海軍は中央部に150トンのバラストを搭載する事で解決したが、台湾の成功級は新造時から中央部の鋼板の厚みを増して対応している。またペリー級はMk13発射機をハープーンSSMとスタンダードSAMで兼用していたが、成功級は雄風II型SSMを別に搭載したためにスタンダードSAM専用としており、そのためスタンダードSAMの搭載数が40発に増えている。ファンネルの前、76mm速射砲の下に小型艦迎撃用のボフォース製350PX 70口径40mm機関砲を2基装備しており、これもペリー級にはない成功級独自の装備である。火器管制レーダーはタレス社製のSTIR-240で、これも成功級のオリジナル。逆にペリー級に装備されていたAN/SQR-19曳航ソナーとAN/SQQ-89対潜戦闘システムは、アメリカが売却を拒否したために成功級には装備されていない。

台湾海軍では中国との「八・六海鮮」の戦訓から中口径の機関砲を主力艦に必ず装備してきた。成功級もこの例に漏れず、上部構造物中央部に2基の40mm機関砲を装備している。しかしアメリカ海軍の専門家は、機関砲の直上に装備されている76mm速射砲が発砲すると、その衝撃波で機関砲の砲員は失神するか、最悪の場合死亡すると警告している。この機関砲は戦闘システムにより自動的にコントロールされるが、給弾は砲員が人力で行わなければならない。台湾科学院は1番艦「成功」就工時に機関砲内部にウサギを放して76mm砲を発砲するテストを行ったが、試験終了後に見てみるとウサギは見事に(?)血を流して死んでいたという。機関砲の上部に防護板を取り付けて対応したが、あまり効果は無かったようで後に撤去されている。機関砲を降ろす事も提案されたが海軍上層部はこれを拒否し、結局76mm発砲時は機関砲員は艦内部に退避する事とされた。つまり成功級は戦闘時に76mm砲と機関砲を同時に使えないのである。8番艦の田單は40mm機関砲の搭載をあきらめた。40mm機関砲の装備は重心の上昇を招き、艦の安定性を損ねているという指摘もある。これに輪をかけているのが雄風II型対艦ミサイルのランチャーで、このランチャーは艦橋とマストの間の上部構造物に装備されており、見るからにトップヘビーだ。このため台湾はMk13発射機で運用できるハープーンの購入をアメリカに打診したが、立法院で成功級へのハープーン搭載関連予算が認められなかったために断念された[5](購入されたハープーンは済陽級フリゲイトに搭載された)。

様々な問題がある成功級だが、海軍関係者によれば乗組員の評判はすこぶる良いようだ。建造されて50年以上経つ富陽級(ギアリング)駆逐艦と比べると船内環境は大きく改善されていた[5]。寝辛いハンモッグではなく堅くて広いベッドが用意されているし、士官用の個室も完備されている。主機は管制室から制御するために、蒸気タービン艦の用に缶室で熱さと蒸気に耐える必要もない。また船底にはフィン・スタビライザーが装備されているので「食事をしてはゲロを吐く(吃一餐吐一餐)」と乗組員を嘆かせた船体の動揺も抑えられている[5]。綺麗な食堂できちんとした食事が提供されるし、全艦に冷房も備えられている。また武装も他の艦艇に比べれば優秀で、対艦・対空・対潜と様々な任務に対応できる能力を有しているし、康定級(ラファイエット級)フリゲートのように稼働率が低いわけでもない。ミニ・イージスを導入できなかったのは痛手であったが、成功級は基隆級駆逐艦を補佐する水上戦闘艦艇として今後も台湾海軍の重要な一翼を担っていく事になるであろう。

成功級は就役後も能力維持のため装備の改善や近代化が継続的に施されている。2000年には「博勝計画」と呼ばれるアメリカ四軍の統合戦術情報分配システム(JTIDS:Joint Tactical Infomation Distribution System)のデータリンクであるLink-16を装備するデジタル化改修が行われた。アメリカから50セット分のLinK-16関連機材を導入、成功級や康定級、基隆級に順次配備が進められている。同年には近接防空火器のMk15ファランクスをBlock1A水準にアップグレードする改修も実施され、命中精度を向上させている。2004年8月にアメリカ議会は台湾へSLQ-25A対魚雷用デコイの売却を認めた。台湾はこのデコイ・システムを成功級と基隆級に装備する考え。2006年からは対水上戦闘における能力向上を意図して、対艦ミサイルの半分を「雄風3型」超音速艦対艦ミサイルに換装する改装に着手、2012年5月段階で5隻が改装済みと伝えられている[5][6]。

現在成功級は全艦が第124駆逐艦戦隊に配備されており、洋上での艦隊防空を主任務としている。

なおPFG-1101成功は1994年9月の漢光演習中に誤って標的曳航機を撃墜し、乗っていた4人全員が死亡するという事件を起こしている。また1995年3月には遠洋航海訓練中のPFG-1103鄭和が港内で漂流物と衝突し、動力を完全に喪失したため曳航されて台湾に帰還している。この事件で1軸推進艦である本級の弱点が問題にされた(緊急用の補助推進器を2基装備しているが、出せる速力は4ノットに過ぎない)。

1番艦成功(Cheng kung)PFG-11011993年3月就役
2番艦鄭和(Cheng Ho)PFG-11031994年3月就役
3番艦繼光(Chi Kuang)PFG-11051995年5月就役
4番艦岳飛(Yueh Fei)PFG-11061996年2月就役
5番艦子儀(Tzu I)PFG-11071997年1月就役
6番艦班超(Pan Chao)PFG-11081997年12月就役
7番艦張騫(Chang Chien)PFG-11091998年11月就役
8番艦田單(Tian Dan)PFG-11102004年3月就役

【参考資料】
[1]世界の艦船別冊 中国/台湾海軍ハンドブック 改定第2版(2003年4月/海人社)124-125頁。
[2]中国軍艦博物館「PFG/FF:1101成功 1103鄭和 1105繼光 1106岳飛  1107子儀 1108班超 1109張騫 1110田單」
[3]Global Security「PFG-2 Cheng Kung [Perry] Frigate」
[4]Naval Technology
[5]軍武狂人夢「成功級飛彈巡防艦」
[6]Defence News「Taiwan Boosts Number of Anti-Ship Missiles」(2012年5月14日)

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