日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼動画「China Launches New Type 054B Frigate - More Are Coming!」一番艦が進水を迎えた054B型フリゲイトについて紹介と分析を行う動画


【建造までの経緯】
054B型フリゲイトは、2022年前後から上海の黄埔江河畔の滬東中華造船廠で建造が確認された054A型フリゲイト(ジャンカイII型/江凱II型)に続く中国海軍最新のフリゲイト[1]。2023年8月24日に進水、その全容が明らかにされた[1]。

中国海軍では2000年代の終わりごろから054A型に続く時機フリゲイトに関するスタディを開始した[3]。2012年には総合的な議論審査を通過し、その後、設計作業に移行した[5]。

054B型の設計では、中国海軍の大型水上戦闘艦では初となる競争入札が実施された[3][5]。中国船舶工業集団の708研究所は先進的なトリマラン式の設計案を提示。それに対して長年フリゲイトの設計に携わってきた中国船舶重工集団公司の701研究所は在来型のモノハル船体を提案した[5]。最終的に中国船舶工業集団のトリマラン案は、建造に要する手間の増加、高い安定性が得られる半面で湾曲時の強度問題の不安、広い船体が入港時に問題になる、モノハル船体に対して操縦性で難があるなどの要因から採用を得られなかった[5]。採用を勝ち得たのは701研究所案で、708研究所は兵器システムを担当することとなった[3]。

設計が進む054B型であったが、2010年代の中国海軍は空母艦隊の編制に注力しており、055型駆逐艦(レンハイ型)052D型駆逐艦(ルヤンIII型/旅洋III型)の量産を重視したことで、054B型の建造計画は後回しにならざるを得なかった[3]。

054B型の建造が確認されたのは2022年4月中旬であり、中国船舶集団傘下の広州黄埔文沖造船廠が発行した文書で、「XX4B艦」に用いる「H1201通用CCS-B」鋼板を調達したとの記述が発見され、これが054B型に用いる鋼板の調達に関する内容であることが考えられた[3]。その後、同年5月には広州黄埔造船廠において054B型一番艦の起工式が挙行され、正式な建造段階に入った[3]。2023年一月下旬には、上海の滬東中華造船廠のドックの衛星写真で建造中の054B型が確認され、そのサイズが054A型よりも大型化していることが判明した[3]。前述の通り、同年8月26日に夜には上海の054B型が進水を行ってその全容が明らかになった[3]。広州で建造中の二番艦は2023年10月29日に進水式を挙行した[11]。

【船体構造】
054A型フリゲイトは中央船楼型船体を採用していたが、054B型では055型駆逐艦(レンハイ型)を小型化したような長船楼型船体に変更されている[7]。艦首部分はステルス性に配慮した密閉式となり、054A型では露出していた錨の鎖についても艦内収納に改められている[7]。

054B型のサイズは衛星写真での分析では、全長は145〜147m、全幅17〜17.5m程度と算出されており、これは054A型(全長約135m、全幅約16m)と比べてと比べてかなり大型化されており、052B型駆逐艦(ルヤンI型/旅洋I型) (全長約154m、全幅約17m)に近い規模になっている[4]。船体の大型化は、艦内で使用できる空間の拡大につながり、各種兵器や電子装備の搭載、、長期の外洋航海に必要な居住性の改善、搭載物資スペースの確保に有利となる[1][4]。満載排水量については、資料[3]では5,000tに迫るとし、資料[4]では最大5,500t、資料[1]では6,000t程度と見積もられており、これは054A型の約4,000〜4,500tから1,000tからそれ以上に増加していることになる。

大幅な排水量の増大は、アデン湾での国際護衛任務など長期間の外洋航行任務が増加した中国海軍において、従来の中国海軍フリゲイトよりも外洋航行性能を重視した054A型をもってしても不十分な点が生じたことに起因する[1]。これを受けて、次期フリゲイトでは、外洋での航行性能のさらなる改善、航続距離の増大船体の大型化につながった[1]。無論、船体の大型化は、兵装や電子機器の搭載にも有利に働き、多用途フリゲイトとしての054B型の能力を支える基盤にもなっている[1][4]。

船体設計については、054A型を基本としつつ、さらなるステルス性改善措置が随所に施されている[1]。対レーダー・ステルスのためにV字型に傾斜した舷側、艦首から艦尾まで全通するナックル・ラインを設けているのは054A型と共通している。上部構造物についても、各部にレーダー反射率を低減させるための工夫が施されている。上部構造物における外観上の大きな変更箇所としては前後のマストをあげることが出来る。詳しくは電子装備の項でも触れるが、054A型では前後のマストに各種レーダーや電子装備が搭載されていたのに対して、054B型では統合マストを採用しており、レーダー波反射率の高いアンテナ類の大半は姿を消している[1]。

【機関】
054A型はフランスのピールスティック16PA6ディーゼルエンジンとそのライセンス生産品を搭載している。最高速度は27〜28ktsと従来の中国海軍のフリゲイトと同レベルの速度であるが、30kts以上の速度を発揮可能な中国海軍の航空母艦や駆逐艦と比べると低速であり、空母艦隊に随伴しての運用を行うには制限がある[1][2]。また、振動の大きいディーゼルエンジンは対潜作戦において不利に働くことが懸念されていた[1]。

054B型は054A型と比較して排水量が1,000t以上増えていることから、速力向上のためには出力を増やす必要が生じる。

054B型の機関については確実な情報はなく、統合電気推進でガスタービン機関とディーゼル機関の組み合わせという説[3]、統合電気推進でディーゼルのみという説、統合電気推進は採用しておらずガスタービンとディーゼルの組み合わせ、もしくはディーゼルのみと、様々な可能性が考えられている[1][3][4]。

統合電気推進方式が採用されたとすると、同方式は中国の大型水上戦闘艦艇としては初の事例となる[3]。統合電気推進には様々なメリットがあるが、注目されるのは静粛性改善であり、これは対潜水艦作戦において重要なファクターとなるものであり、054B型調達の目的と密接に関係してくる事項であり、今後の情報が注目される。

機関の配置については、衛星写真の分析や一本煙突であることから、主機の分離配置は十分ではなく、損害を受けた際の生残性について懸念されている[3]。これは船体の小型化を優先した措置だと考えられる。

【兵装】
054B型は、054A型と同じく32セルのVLS(Vartical Lunch System:垂直発射システム)を搭載しているが、船体が大型化していることから、052D型駆逐艦など搭載している直径850mmの汎用VLSに変更されている可能性が指摘されている[1]。直径650mmの054A型のVLSは、HQ-16艦対空ミサイル(紅旗16)と|CY-3対潜ミサイル(長纓3号)の二種類のミサイルを積んでいたが、駆逐艦向けの直径850mmの汎用VLSが採用された場合、それ以外の各種艦対空、艦対地、艦対艦ミサイルの搭載が可能となり、054B型の多用途性能を大きく広げることが可能となる[1]。

054B型の艦対空ミサイルとしては、054A型で使われているHQ-16がVSL(垂直発射システム)に搭載される。HQ-16は原型のHQ-16(射程40km)と、現在の主力である射程70kmのHQ-16B(同ミサイルの型式名はHQ-16Cであるとの説もあり[12])、そして今後は2022年の珠海航空ショーで展示されたHQ-16FE(輸出名称)の本国版も用いられると見られている[4]。HQ-16FEはミサイル本体の設計を一新し、ロケットモーターの固体燃料を二種類搭載する二重推力方法を採用するなどの改良により、最大射程を160kmにまで延伸することに成功した[7]。HQ-16FEは最大35Gの機動が可能で、戦術弾道ミサイルや超音速巡航ミサイルの迎撃能力を有しており、同ミサイルがラインナップに加われば054B型のエリア・ディフェンス防空能力は054A型をはるかに上回るものになる[7]。

054B型は、上部構造物の中心部にYJ-12艦対艦ミサイル(鷹撃12)対艦ミサイル4連装発射機もしくはYJ-83(鷹撃83/C-803)を2基搭載[4]。YJ-12は射程400〜500kmクラスの超音速艦対艦ミサイルであり、054A型が搭載する射程200km台のYJ-83に比べて水上艦艇への打撃力を大きく伸ばしている。どちらが採用されているか今後の新情報が待たれる。

054B型の存在が明らかになった後、まず注目されたのは艦首艦載砲が054A型のH/PJ-26型76.2mm単装砲(AK-176)から、100mm単装砲に替わっていたことである[1]。この100mm艦載砲は、1990年代にフランスから輸入したクルーゾ・ロワールT-100C 55口径100mm単装砲をリバースエンジニアリングにより国産化した87式55口径100mm単装砲(H/PJ-87)に酷似している。87式は、2000年代に054型フリゲイトや、051C型駆逐艦(ルージョウ型/旅洲型)052C型駆逐艦(ルヤンII型/旅洋II型)052B型駆逐艦(ルヤンI型/旅洋I型)といった駆逐艦の艦載砲として生産されたが、その後、駆逐艦はより口径の大きい130mm単装砲を艦載砲として採用し、054A型フリゲイトや056型コルベット76.2mm単装砲を採用したことで、100mm艦載砲は姿を消していた。

052C型駆逐艦への搭載を最後に、10年以上姿を消していた100mm艦載砲が復活した理由については、76.2mm艦載砲に比べて大口径であり、射程と威力に勝ることで対地・対艦攻撃において優位に立つ。87式100mm艦載砲の発射速度は毎分90発と、76.2mm砲の120発よりは下回るものの対空砲として十分な能力を有している。という性能面での改善を図ったと見られている[6]。艦載砲の威力強化を意図した理由としては、日本や韓国といった周辺諸国の護衛艦やフリゲイトが米国由来の127mm艦載砲MK45を搭載する流れに対抗して、フリゲイトの艦載砲の口径拡大が図られたものと推測されている[6]。100mm砲よりも大口径の130mm単装砲を採用しなかった件については、130mm砲のコストの高さ、∨載排水量5,000〜6,00tの054B型に搭載するには大きすぎる、もしくは軽量化が必要、などの理由により搭載を見送った可能性が考えられている[6]。

054A型ではCIWS(Close-In-Weapon System:近接防御システム)として、 730型CIWSもしくは1130型30mmCIWS(H/PJ-11)2基を煙突をはさんだ両舷に搭載しているが、054B型ではこれについても大きな変更が施された。

054B型では、艦橋前に1130型30mmCIWS(H/PJ-11)1基、ヘリコプター格納庫上にHQ-10近接対空ミサイルの24連装発射機1基を搭載する[4]。これは055型駆逐艦(レンハイ型)052D型駆逐艦(ルヤンIII型/旅洋III型)といった艦と同一の配置であり、054A型の配置ではカバーできなかった艦首と艦尾方向の死角を無くすと共に、射程10km台のHQ-10と、射程5km台の1130型を組み合わせることで、重層的な迎撃態勢を確立することが目されている[7]。

対潜兵器としては、VLSに搭載されるCY-3A対潜ミサイル(長纓3A)と、中央船楼部にB515 324mm3連装魚雷発射管2基を装備している[4]。CY-3A対潜ミサイルは、CY-3の改良型であり、発射後も常時指令を更新することが可能であり、命中精度の向上を実現している[3]。短魚雷発射機は普段は艦内に収納されており外部から確認する事はできない。使用時には、舷側部の開口部を開いて投射する[4]。054A型フリゲイトは、艦首部に87式250mm6連装対潜ロケット発射機(FQF-3200)2基を搭載していたが、054B型では対潜ロケット発射機は廃止されている。

上部構造物後端は艦載ヘリコプター格納庫となっているが、Ka-28対潜ヘリコプター(ヘリックス)の搭載を前提としていた054A型フリゲイトのように天井が一段高い構造にはされておらず、この点から054B型の艦載ヘリコプターはKa-28ではないことが判明している[7]。艦尾は着艦拘束装置を内蔵したヘリコプター甲板となっているが、その甲板長は054A型よりも長くとられている。これは052D型駆逐艦(ルヤンIII型/旅洋III型)の後期建造艦と共通した変更であり、052D型後期建造艦と同じく054B型も中国海軍の次世代対潜ヘリコプターであるZ-20F対潜ヘリコプターの運用を前提としていることが分かる[7]。Z-20F以外の艦載機としては、UAVの搭載も想定されていると見られている[7]。

【電子装備】
054B型の設計では、先行する055型駆逐艦(レンハイ型)の開発で得られた、統合作戦能力、統合マスト、システムや電子装備の小型化・汎用化・集積化・標準化、統合管制、機器の統合と合理化などの方法が盛り込まれた[3]。電子装備はその影響がはっきりと出た分野となっている。

054A型では、前後の塔型マストに各種電子装備を搭載していたが、前述の通り054B型ではアンテナやレドームの大半が姿を消して、平面アンテナ化やマスト内部に収納されることでレーダー波反射断面積の抑制に努めている。

前部マストの頂部には二面構成のアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダーが搭載されている。中国では駆逐艦向けに四面構成のアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダーを使用しているが、より小型のフリゲイトに搭載するにはシステムのコンパクト化が不可欠であった。そのため、2010年前後から中型水上戦闘艦への搭載を前提としたフェイズド・アレイ・レーダーシステムの開発に着手。いくつかの方法を試した後、2018年頃から二面構成のフェイズド・アレイ・レーダーの開発を進め、これが054B型のレーダーとして採用されることとなった[4]。

このレーダーは、二面構成のアンテナ・アレイを前後に張り合わせたような構造になっており、これを回転させることで全周の捜索・探知を行う[4]。同レーダーの面積から、使用されているアンテナ素子数は3,000個前後と見積もられている[4]。中国海軍ではレーダーの探知距離の長さを重視していることからSバンドのマイクロ波を用いたSバンドレーダーであると考えられている[4]。新型レーダーは、数百の目標の同時処理が可能であり、対空・対水上捜索、目標追尾、誘導、ミサイルイルミネーター、電子戦など多用途での運用を想定していると見られている[4]。

二面構成のフェイズド・アレイ・レーダーの真下には、これとは別に四面構成の平面アンテナが配置されている。これは055型駆逐艦(レンハイ型)が搭載しているXバンドのフェイズド・アレイ・レーダーの簡易版と推測されており、Xバンドのマイクロ波を用いることから低空・中〜近距離で精度の高い探知能力を発揮することを期待されていると分析されている[4]。もしくは、後述する後部アンテナのAESAレーダーが低空域の探知を担当し、この四面構成の平面アンテナは艦対空ミサイルのイルミネータ―である可能性もあり、今後の情報が待たれる。いずれにせよ、054B型は、SバンドとXバンドの異なるマイクロ波を用いたフェイズド・アレイ・レーダーを組み合わせたデュアルバンドレーダーとしての活用を意図していると見られ、これもは055型駆逐艦(レンハイ型)と共通した手法である。

なお、055型駆逐艦(レンハイ型)では艦載砲の管制もフェイズド・アレイ・レーダーを用いているが、054B型では、054A型から引き続いて従来型のTR47C(LR-66)型火器管制レーダーを前部マスト直前に搭載している[1][8]。これは費用対効果や所得費用を勘案した結果、従来型レーダーで良いと判断したのであろう。一方で、054A型が搭載していたH/LJQ-366型(MR-331)火器管制レーダーは搭載されていない。同レーダーは超水平線(OTH)レーダー機能を有しており、水平線外の目標の探知と目標識別、ミサイルの目標への誘導が可能。H/LJQ-366型が搭載されなかったことについては、フェイズド・アレイ・レーダーの探知距離の長さに加えて、中国軍におけるAEW&C機の普及や三軍統合データリンクの標準化に伴い、単艦の探知手段に頼らずとも、水平線外の目標の諸元獲得が容易になったことが背景にあると分析されている[1]。

前部マスト側面には平面アンテナとは異なる突起物も確認できるが、これは複数の機能を統合した電子戦用アンテナであると推測されている[7][8]。

後部マストについてもステルス性への高い配慮が見られ、空中線や網状アンテナはほとんど姿を消しており、各種電子装備を内蔵した統合マストとなっている。後部マストは下部は四角形の角を面取りした形状で、途中から円錐形になっている[3]。[3]ではこの円錐形マストの中にXバンドの捜索レーダーが収納されている可能性を指摘していたが、広州黄埔造船廠で建造中の二番艦が、円錐型マストを搭載前の状態で撮影され、後部マストに旋回式のフェイズド・アレイ・レーダーと見られる装備を搭載していることが確認されたことで[13]、[3]の推測が裏付けられた形となった。アンテナ頂部は統合電子マストとして通信や電子戦装備を内蔵、中央には数少ない在来式レーダーである航海レーダーを配し、マスト基部には前部マストのものは異なる形状の突起物があり、これも電子戦用アンテナであると推測されている[7]。

煙突をはさんで両舷には多連装デゴイ発射機を配置しており、これは055型駆逐艦(レンハイ型)で搭載が初確認されたものと同じで、ランチャーにカバーをかけてステルス性の改善を図っているのが特徴[3]。煙突直後には衛星通信用レドームが搭載されている[8]。

これらの兵器や各種センサーを統制する戦闘システムについての情報は現時点では明らかになっていないが、当然ながら上記の探知システムを十分に活用し得るだけの高い情報処理能力を有しているものと推測される。

対潜水艦用センサーについては、艦首のバウ・ソナーと艦尾の曳航アレイソナー(TASS)と可変深度ソナー(VDS)を装備する。バウ・ソナーについては、前級054A型は中国第三世代の水上戦闘艦艇の標準的装備であるSJD-9を搭載している[9]。SJD-09はもともと052型駆逐艦(ルフ型/旅滬型)の二番艦用にフランスから導入したDUBV-23バウ・ソナーを国産化したものでアクティブモードでの有効探知距離は12km。ただし、原型のDUBV-23は1960年代位に実用化されたソナーであり、1980年代の低周波パッシブアレイソナーよりも前時代の産物であった[10]。中国海軍でもバウ・ソナーの能力については問題視しており、最新の駆逐艦である055型駆逐艦(レンハイ型)では従来のより倍以上に大型化したソナー・アレイを備えた新型バウ・ソナーを採用している。054B型のバウ・ソナーは、サイズとしては054A型のSDJ-09と同程度でありソナー・アレイも同規模に留まっているものと見られる[9]。そのため、能力については055型駆逐艦(レンハイ型)には及ばないだろうが、055型に採用された先進技術が盛り込まれることでその性能を大きく向上させているものと推測されている[9]。

艦尾に収納されているTASSとVDSは、「SJG-311低周波アクティブ/パッシブ複合曳航ソナー」の型式名が付与されている[9]。SJG-311は、低周波パッシブTASSと低周波VDSを組み合わせたシステムで、TASSとVDSを同時に用いて単独でアクティブ/パッシブ探知を行う[9]。SJG-311は潜水艦探知のほか、接近する魚雷の発見、水上目標の追跡など多用途での任務に使用できる[9]。SJG-311は、前級の054A型後期建造艦、052D型駆逐艦(ルヤンIII型/旅洋III型)056A型コルベットにも採用されており、標準的ソナーの地位を占めている[9]。

054B型については、艦固有の探知システムに加えて、対潜ヘリコプターが新型のZ-20Fになることで、その対潜水艦能力は054A型と比べて大きな向上が見込まれている[9]。このほか、魚雷攻撃を想定した水中デゴイ発射機や妨害音声発生装置など対魚雷装備も充実しているとの事[3]。

【今後の展望】
054A型は、沿岸防備艦艇としての性格が強い従来の中国海軍のフリゲイトの枠を超える能力を有しており、中国海軍の外洋艦隊化を象徴する艦の1つであった。中国のフリゲイトとしては初めてエリア・ディフェンス防空能力を獲得し、対空・対水上・対潜にバランスの取れた兵装を備えており、長期間の外洋航行能力を備えた艦として、40隻に及ぶ大量建造が行われたことが同級に対する評価の高さを裏付けている。

しかし、2010年代以降は、052D型駆逐艦(ルヤンIII型/旅洋III型)が新しい艦隊のワークホースとして大量建造が行われ、さらなる高性能防空駆逐艦である055型駆逐艦(レンハイ型)も第一バッチ8隻が建造されて空母艦隊の防空の主軸となって行った。これらの大型艦と比較すると、排水量4,000t級の054A型では長期間の外洋航行能力で遜色があり、27ノットという最高速力も30ノット以上の空母と駆逐艦に比べて低速であり、艦隊行動についていけなくなる懸念が生じるのは止むを得ない所であった。2020年代以降の054A型の任務は、056/056A型コルベット(ジャンダオ型) と共に中国領海とその周辺海域における防衛・警戒活動を主任務とし、新型駆逐艦戦力を外洋での活動に傾注できるようにする役割へと移行しており、並行して今後建造が進む強襲揚陸艦の護衛艦艇としての役割も与えられるものと考えられている。

054A型は、21世紀の中国海軍の急成長を象徴する艦艇の一つであった。最初は中国海軍の外洋海軍化の象徴的存在の一つだったのが、急速な発展に取り残されてしまい、それでも優れた多用途性能と安価な取得コストを生かして、近海防衛戦力を支える水上戦闘艦艇としての役割を期待されて大量建造が継続されるという一連の過程そのものが、中国海軍の成長を如実に表していると言えよう。

その054A型に続く次世代フリゲイトとなる054B型が、どのような役割を与えられるかについては現時点ではまだ明らかになっていない。

空母部隊に随伴可能な速力を確保できるのであれば、Z-20F対潜ヘリコプターと連携して空母艦隊の対潜護衛任務に従事し得ると推測されている[7]。とはいえ船体の大型化に伴い、外洋航行性能や航続距離については054A型を上回るのは確実であるとの推測から、平時における領海警備や遠隔地での国際平和活動や邦人保護といった任務、戦時における船団護衛、今後建造が進む強襲揚陸艦から構成される両様作戦艦隊の護衛艦艇としての運用が成されるのは合理的な解釈であると見られている[5]。

054B型の運用について、中国海軍の弱点である対潜作戦能力の改善という観点に着目する意見も存在する[5]。中国海軍では中国近海におけるアメリカ海軍の活動を抑制するいわゆる「接近阻止・領域拒否」戦略において、米海軍に対する打撃能力の向上に努めてきた[5]。しかし、それが逆説的に「接近阻止・領域拒否」を打破し得る潜水艦の価値を高めることに繋がり、アメリカのみならず中国周辺諸国もこぞって潜水艦戦力の近代化を図る事態を引き起こしている[5]。

中国海軍でも対潜作戦能力の向上は重要な課題となっており、Y-8Q対潜哨戒機(運輸8Q)の配備を進めると共に、駆逐艦やフリゲイトのみならず53隻が建造された056A型コルベットにまで曳航アレイソナー(TASS)と可変深度ソナー(VDS)を標準装備することで、対潜プラットフォームの増加に勤めている[5]。

ただし、中国沿岸から第一列島線付近での対潜作戦に用いるには056A型コルベットは小型なため持続的な対潜任務の遂行には難があり、対潜ヘリコプターの格納庫を有しておらずヘリコプター甲板のみであることから、ヘリコプターと連携して対潜作戦を行うのは困難[5]。054A型フリゲイトであれば、艦載ヘリとの連携が可能となるが、同艦はもともと艦対空任務を主眼に建造された艦であること、新型のZ-20F対潜ヘリコプターに対応していないなど、解決を要する課題が少なくない[5]。ゆえに今後ますます重要性を増すことが確実な対潜作戦任務に最適化した次世代フリゲイトとして054B型が開発されることとなったという推測も成されている[5]。

054B型は現在のところ二隻の建造が確認されている。同級が、今後速やかに量産化されるのか、それともかつての054型フリゲイト(ジャンカイI型/江凱I型)のように初期建造艦については技術実証を行う試験艦的な立ち位置になるのか現状では不明であり、今後の動向が注目される[1]。

性能緒元(推定あり)
満載排水量約5,500〜6,000t
全長約147m
全幅約17m
主機 
  
速力  
航続距離 
乗員 

【兵装】
対空ミサイルHQ-16艦対空ミサイル(紅旗16) / VLS(32セル)(CY-3Aと混載)
HQ-10艦対空ミサイル(紅旗10)/24連装発射機1基
対艦ミサイルYJ-12艦対艦ミサイル(鷹撃12)もしくはYJ-83(鷹撃83/C-803)/ 4連装発射筒2基
対潜ミサイルCY-3対潜ミサイル(長纓3号)/ VLS(HQ-16と混載)
魚雷YU-7 324mm短魚雷/B515 324mm3連装魚雷発射管2基
100mm単装砲1基
近接防御1130型30mmCIWS(H/PJ-11)1基
搭載機Z-20F対潜ヘリコプター1機

【電子兵装】
多用途レーダー二面式AESAレーダー1基
対空/水上レーダー四面式AESAレーダー1基
火器管制レーダーTR47C(LR-66)砲用1基
光学電子/赤外線照準装置GDG-775砲用1基
航海レーダー2基
戦闘システム 
電子戦システム
チャフ/フレア発射装置24連装デゴイ発射機2基
ソナーバウ・ソナー1基
 可変深度ソナー/曳航ソナーSJG-3111基
衛星通信用レドーム1基
データリンク 

【同型艦】
1番艦---上海滬東中華造船廠で建造中。2023年8月24日進水。
2番艦---広州黄埔造船廠で建造中。2023年10月29日進水[11]。

【参考資料】
[1]王笑梦「千呼万唤始出来—国产054B型新一代护卫舰首舰下水」『兵工科技』2023/18(兵工科技杂志社)18〜24ページ
[2]漢和防務評論2014年2月号「054A導弾駆護艦改変中国海軍」(加拿大漢和信息中心)38〜41頁
[3]MDC軍武狂人夢「054B導彈護衛艦」http://www.mdc.idv.tw/mdc/navy/china/054b.htm
[4]银河「专题 砺剑深蓝-解析中国海军新一代护卫舰054B型是技术跨越还是小步快跑(下部)」『舰载武器』2023.10/No.419(中国船舶重工集团有限公司)19〜31頁
[5]呜镝「中国海军新一轮“造船潮”规划初探」『舰载武器-军事评论』2023.10下半月刊/No.420(中国船舶重工集团有限公司)9〜17頁
[6]唐易「054B护卫舰为什么会选择100毫米舰炮」『兵工科技』2023/18(兵工科技杂志社)35〜44ページ
[7]温雨「人民海军新护问世-054B型的设计特点与未来任务」『舰载知识』2023.11/No.530(舰载知识杂志社)52〜61頁
[8]天一(製図)「砺剑深蓝-解析中国海军新一代护卫舰」『舰载武器』2023.10/No.419(中国船舶重工集团有限公司)4〜7頁
[9]秦凤「可搭载直-20F反潜直升机—浅析054B护卫舰的反潜能力」『兵工科技』2023/18(兵工科技杂志社)25〜34頁
[10]荒木雅也「中国海軍総論」『現代中国人民解放軍総覧』(アルゴノーツ社/2023年9月10日)121〜1441頁)142頁
[11]6park.com「第二艘054B护卫舰昨天下水」(送交者: 笑鸠/2023年10月30日)https://club.6parkbbs.com/finance/index.php?app=fo...
[12]「红旗16发生4阶段变化,射程3次倍瓠げ鯤军的054A,也能客串盾舰」(捜狐/2023年10月25日)https://www.sohu.com/a/731168598_121451128?scm=110...
[13]微博-@種花家的小姐姐2的微博 2023年10月31日の記事https://weibo.com/7540019112/NqrquhxY4 

054A型フリゲイト(ジャンカイII型/江凱II型)
中国海軍

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