日本の周辺国が装備する兵器のデータベース




▼砲身を前方に向けた走行状態。

▼キャビン上部のハッチには、射撃データを表示する情報端末が設置されている。


▼「PCL-09式122毫米车载榴弹炮」 PCL-09装備部隊の訓練を記録した動画。


性能緒元(シャーシ)
重量16.5t
全長7.120m
全幅2.500m
全高  
エンジンWD615.71水冷ディーゼル 256hp
最高速度85km/h
航続距離600km
武装96式122mm榴弾砲(PL-96)×1(発射可能弾数:20発)
発射速度6〜8発/分
俯仰角度0〜+70度
方向射界左右22.5度
乗員5名

96式122俑愧橡ぁPL-96)性能緒元
口径121.92(4.8インチ)
砲身長4.785mm(マズルブレーキ込み)、4,270mm(マズルブレーキ含まず)
初速690m/秒
発射可能砲弾榴弾、HEAT弾、ERFB弾、ERFB-BB弾、ERFB-BB-RA弾、クラスター弾、発煙弾、照明弾等
最大射程15,400m(榴弾)、18,000m(ERFB弾)、22,000m(ERFB-BB弾)、27,000m(ERFB-BB-RA弾)

2007年頃からその存在が明らかになり、2009年前後に部隊配備が確認される様になった新型自走砲[1][7]。中国語記事では「122毫米卡車炮」(卡車はトラックの意味)と呼ばれている[1]。2010年9月にカザフスタンで開催された「和平使命2010」演習に派遣された中国軍部隊の砲兵部隊にも装備されており、その際の報道により制式名称が「09式122毫米車載榴弾砲」(PCL-09)であることが明らかになった[3][4]。

122mm榴弾砲を装輪車輌の荷台に搭載した自走砲としては、既に中国北方工業公司(NORINCO)が輸出向けにSH-2 122mm装輪自走榴弾砲を開発しているが、こちらは中国軍への採用は確認されていない。SH-2は専用の装甲トラックを採用しているが、新型122mm自走榴弾砲ではコスト低減のため通常の6×6式野戦トラック(SX250/SX2150)をシャーシとして使用している[1][7]。

【開発経緯】
1990年代以降、中国軍では対ソ戦争を想定した伝統的な大規模機械化作戦から、制空権下での敏捷かつ効率の高い機動作戦への転換が図られた[7]。21世紀に入ると軍の情報化がこれに加わった。このような状況に置いて、これまで陸軍の火力支援の主力を占めていた野砲についても見直しが進められた[7]。特に野砲の主力を構成していた牽引式野砲については、情報化戦争に対応した作戦需要を満たし得ないことは明らかであり、各国でも一部の部隊を覗いて牽引砲から自走砲への装備転換が進展していた[7]。中国軍でもその流れは無視できなかったが、規模の大きい中国軍にとって牽引砲の自走砲への更新は巨額の費用を要する問題であった[7]。軍近代化において、空軍と海軍が優先される中で、限られた資金でどのように陸軍装備の更新を進めるかは陸軍にとって大きな課題となった[7]。それを解決したのが、野戦トラックをシャーシとした車載式自走砲の存在であった[7]。本格的な装軌式自走砲に比べると野外走行能力や防御力において遜色があるが、取得コストの安さは魅力であり、情報化を進め高度な射撃統制システムを備えることで、旅(団)砲兵において機動力と打撃力を兼ね備えた相応の支援火力部隊となり得る点は重要であった[7]。

PCL-09は、そのような状況下で開発された車載式自走砲であり、限られた陸軍の予算の中で牽引砲を更新するという重要な役割を果たした自走砲であると評価されている[7]。

【性能−シャーシ】
PCL-09の特徴を一言で表すと、「既存のトラックと牽引砲を組み合わせて車載式自走砲化したもの」、と言い表すことが出来る。

シャーシとなった6輪トラックSX-2150KTは、、砲兵部隊で広く運用されている陝西汽車製 延安SX250(SX2150)野戦トラックのファミリー車両の1つであり、同車をシャーシとする事で取得コストを節約することに成功し、装備の共通化や整備性向上などの利点が得られた[7][8]。野外走行性を向上させるため、タイヤの空気圧の中央制御装置を搭載しており、路面の状態に合わせて空気圧を変更する[8]。

PCL-09の乗員は、操縦手、車長、発射諸元管理員、射手、装填手の計5名 [8]。更新対象である96式122mm榴弾砲の場合、操砲要員は8名だったので省力化の効果は明らかである[9]。乗員は車体前部のキャビンに乗車する。キャビン上部には丸形ハッチがあり、その裏面には制御用液晶端末が用意されており、ハッチを開けた状態でそれを用いることで戦場情報の確認や諸元入力などの作業を行える。

車体中央部は射撃統制装置や砲弾/装薬搭載スペースとされている[1]。搭載されている弾薬箱には合計40発の砲弾/装薬を収納可能で、一両当たり最大20発の砲撃を行うことが出来る[7]。砲架の真下には油気圧ジャッキで上下する底板が、車体中央底部両側面には伸縮式の駐鋤が装備されており、射撃時には底板と駐鍬を接地させて砲の発射による車体の揺れを抑制する[1][7]。

【性能−砲システム】
榴弾砲が搭載されているのは車体後部であり、96式122mm榴弾砲(PL-96/D-30)をベースとした榴弾砲が搭載されている。96式122mm榴弾砲は多数が生産された中国軍の主力野砲の一つであり、既存の砲を自走砲化することで取得コストの低減を実現できた[7]。

榴弾砲には爆風避けの防盾が装備されており、砲尾左側には直接照準器が配置されている。砲尾右側には装填補助装置があり、この装填ラックに砲弾を載せてハンドルを引くと砲弾が自動的に装填されること装填手の負担を軽減する。ただし、この装置は本格的な装填補助装置と比べると簡易的なもので能力は限定されているとの事[7]。装薬の装填は装填手が主導で行い射撃準備が整う。砲弾の発射速度は毎分8発[7]。

砲身は全周旋回が可能で、走行状態では砲身は前方に向けて固定される。射撃の際は、砲身を車体後方に向けて射撃を実施する。122mm砲の俯仰角は0度〜70度。方向射界は左右各22.5度で全周射撃は出来ない。使用可能な砲弾は、榴弾、ERFB(Extend Range Full Bore:低抵抗)弾、ERFB-BB(Extend Range Full Bore-Bass Bleed:低抵抗ベースブリード)弾、ERFB-BB-RA(Extend Range Full Bore-Bass Bleed Rocket Assisted:低抵抗ベースブリード/ロケット推進)弾、発煙弾、照明弾、誘導砲弾など各種122mm砲弾の射撃が可能。最大射程は、通常榴弾で15,400m、ERFB弾で18,000m、ERFB-BB弾で22,000m、ERFB-BB-RA弾で27,000m[1]。

射撃統制装置は、車輌位置測定装置、統合型データリンクシステム、弾道計算機、「北斗」衛星位置測定システム、電動制御システムなどで構成されており、自動モード、半自動モード、手動モードの3種類の射撃方式が用意されている[1]。車長は、自車で独自に照準・砲撃を行うことも可能だが、データリンクを活用して上級の砲兵指揮所と連携して砲撃を行うことで、その打撃力を十全に発揮することができる[7][8]。

牽引砲に比べて大幅な省力化が達成されているのが、本自走砲の特徴。走行状態から射撃開始に要する時間は45〜50秒に過ぎず、2分間で目標に6発の射撃を行った上で陣地転換のための移動を開始し得るとされる[1]。頻繁な陣地転換が可能となった事で、敵の対砲兵射撃に対する生存性は牽引砲とは比べ物にならないほど改善されている[9]。

本自走砲は、その車体規模から中国空軍のIL-76MD輸送機Y-8輸送機(運輸8/An-12)による空輸が可能である[10]。

【総括】
09式122mm車載榴弾砲は、本格的な自走榴弾砲と牽引式榴弾砲の中間に位置する車輌という事が出来る。89式122mm自走榴弾砲(PLZ-89)などの装軌式自走砲と比較すると、全周射撃が不可能、路外機動性に劣る、車体後部にオープントップで122mm榴弾砲を搭載しているため乗員の防護性に限界がある等自走砲としての性能では及ばない部分も多い。これ以外に、運用中に指摘された問題点としては、下記のような問題があった。
携行弾数が少なく持続的な砲撃が困難[8]
乗員は荷台の狭い面積で操砲作業を強いられるため、各隊員の動線が重複してしまう[8]
車載式自走榴弾砲に最適化された設計ではない野戦トラックをシャーシに用いたことによる問題で、連続して射撃を行った場合、車体の金属疲労をまねく危険性が存在し、車体への負担を抑えるため砲撃可能な射角が制約される[11]
急速に進む中国軍の情報化の進展にPCL-09の装備では追いつかなくなってきた[11]

しかし、これらの問題点を差し置いても、比較的安価に中国軍の野砲部隊の自走砲化を進めることが出来たという点でPCL-09果たした役割は大きなものがある。既存の車両と野砲を組み合わせて開発したことで、装軌式自走砲よりも調達費用や運用コストを抑える事が可能となった。また、牽引砲と比較すると自走化により陣地展開の迅速化が図られ戦術的機動性が向上、牽引車両が不要になり、操作要員を削減する事で部隊の省力化・コンパクト化を実現し得る、など数多くのメリットがあった。

本車は安価に調達できる自走砲として、軽型合成旅と山岳合成旅の主力支援火砲として配備が進み、牽引式の96式122mm榴弾砲(PL-96/D-30)の多くを更新することに成功した[11]。PCL-09の運用実績を基にして、その後継車両であるPCL-161型122mm装輪自走榴弾砲PCL-171型122mm装輪自走榴弾砲に至る基盤を築いた意義も大きい。

また、PCL-09はCS/SH-1の輸出名称で各国への売り込みが図られており、2018年にはラオスへの輸出が実現[5]。同年にはアフリカのルワンダ陸軍への配備が行われていることが明らかになった[6]。

【参考資料】
[1]大旗網「好消息、国産我軍自用型122毫米卡車炮列装成都軍区149師[鉄拳師]炮兵团!!!!!!!!!!!!!!」(2010年8月3日)
[2]ChineseDefenceToday「SX2150 Truck」
[3]新浪網「上合军演中方04式弹炮结合系统可打超低空目标」(2010年9月25日)
[4]超级大本营「我军最新型122毫米车载榴弹炮名为PCL-09式」(2011年5月17日)https://lt.cjdby.net/thread-1138990-1-1.html (2018年4月15日閲覧)
[5]bmpd「Лаос получил китайские самоходные гаубицы и интересуется модернизированными танками Т-72」(2018年4月14日)https://bmpd.livejournal.com/3158263.html(2018年4月15日閲覧)
[6]新浪网-军事「中国车载榴弹炮畅销卢旺达陆军 助其成中非最强军团」(2019年01月06日)https://mil.news.sina.com.cn/jssd/2019-01-06/doc-i...
[7]知乎「车载战神传奇——PCL-09式122mm车载榴弹炮」(2022年5月1日) https://zhuanlan.zhihu.com/p/507990104
[8]知乎「中国装备志——PCL-09式122毫米车载榴弹炮」(2022年12月7日) https://zhuanlan.zhihu.com/p/589900431
[9]鼎盛中华论坛-军事天地「还是PLC171-122mm车载榴弹炮好!」https://top81.ws/show.php?f=1&t=2055134&m=17939847
[10]Military-Today.com「PCL-09 Self-Propelled Howitzer」http://www.military-today.com/artillery/pcl_09.htm
[11]新浪网「我军新型122卡车炮疑似亮相开训仪式 采用4X4底盘」(2020年01月21日) https://mil.news.sina.com.cn/jssd/2020-01-21/doc-i...

【関連項目】
96式122mm榴弾砲(PL-96/D-30)

中国陸軍

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