日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼中国国家博物館で開催された建国70周年記念展示会に出展された15式の模型。ここでは名称が「15式坦克」となっているのに注意(執筆者撮影)。


15式軽戦車(ZTQ-15/中国語では15式軽型坦克。15式軽型主戦坦克(主力戦車)の名称もある。)は、2017年から中国軍への配備が開始された新型の軽戦車[1][2][3]。2019年の中国建国70周年軍事パレードで初公開された。「高原小黒豹」のニックネームが与えられており、砲塔右側面の付加装甲ブロックには黒豹の浮彫があしらわれている[4]。

中国軍では62式軽戦車(WZ-131)が2011年に退役したことで「軽戦車」というジャンルそのものが空白となっていた[3]。2010年ごろから、それに代わる新型軽戦車の試作車両だと思われるAFVの写真がネット上で散見されるようになった[3]。複数の試作車が製作され評価を受けたものと思われるが、この辺りの経緯についてはまだ情報が乏しい(詳細は新型軽戦車の項を参照されたし)。內蒙古第一機械集団有限公司(617廠)と北方車輛研究所(201所)が試作戦車を開発・製造し、最終的に617廠案が制式化されたとされる[5]。

15式の生産は、開発元である內蒙古第一機械集団有限公司に加えて、湖南省にある湖南江麓機械集団も担当している[6]。同社は、86式歩兵戦闘車(WZ-501/BMP-1)05式水陸両用戦車(05式両棲突撃車/ZTD-05)の生産を行っており、戦車の生産は62式軽戦車(WZ-131)が最後であり、15式の生産により「38年ぶりに戦車生産に復帰した」とのこと[6]。

15式軽戦車は、「軽戦車」と呼ばれているがその戦闘重量は59式中戦車に相当する33〜36tに達している[1]。先代の軽戦車である62式軽戦車とは比較にならない防御力を備え、その運用についても、高原地帯での機械化装甲部隊に配備され、第一線での火力突破任務を担当するという主力戦車的な使われ方が想定されている点で、この戦車を「軽戦車」と呼ぶことの問題が指摘されており、正確には「中戦車」とするのが妥当だと言う指摘もある[1]。「軽主力戦車」という呼称を使う記事もある[2]。

【車内配置】
15式軽戦車の車内配置は、前から操縦室、車体中央に旋回砲塔を搭載し、車体後部は動力部という通常の戦車と同じ配置を採用している。

近年、各国で多数開発されている歩兵戦闘車や装輪装甲車をベースとしたフロントエンジンタイプの自走対戦車砲や火力支援車とは異なり、リアエンジン式の専用車体を用意したことについては、前者はファミリー化による開発費用の節約や、部品の共通化による運用面での利点といったメリットも多いが、共通化に伴い個別の車両ごとに性能を追求しきれないデメリットも存在する。それに対して15式軽戦車は戦車としての性能を第一に追及するため、完全な新規設計の車体を用いている[1]。

これは、15式軽戦車と同系列の技術を用いて開発されたVT-5軽戦車でも同じであり、同車の開発においても、フロントエンジンタイプでは駆動装置が前にあるため正面装甲を厚くできず、車体側面の防御範囲も増えるなどのデメリットが無視できず、戦車としての防御性能を追求しきれないとの判断がなされたとされる[7]

乗員は、自動装填装置の採用により装填種が不要となったため、車長、砲手、操縦手の三名構成となっている。操縦手席は車体前方左側に配置されて、ハッチと外部視認用ペリスコープを備えている。なお、15式をベースとして開発されたVT-5軽戦車では操縦席は車体前面中央に配置されており、両車の識別ポイントの一つとなっている。15式軽戦車はNBC防護システムを装備するほか、寒冷な高地や亜熱帯地域での乗員の居住性を考慮してエアコンを標準装備[12]。さらに高地での運用を想定して、酸素ボンベの追加や紫外線防止装置といった高地向け装備を搭載している[12]。

【防御性能】
15式軽戦車の開発において重視されたのは30t台の重量で出来る限りの防御力を追求するという課題であった。一般に防御力と重量がトレードの関係にあり、30t台の15式軽戦車では防御に割ける重量には限りがあるのは当然であった。しかし、15式は主力戦車と似た前線での突破作戦に用いることが想定されており、相応の反撃を受けることは避けられず、できる限りの防御力を施すことが追及されるに至った[1]。開発時の目標としては新型軽戦車の防御力は初期の96式主力戦車を上回ることが目指された[8]。

車体をできるだけコンパクトにすることで装甲重量を軽減する工夫が施された、砲塔高を抑制するため砲塔左右の高さを減じたのもその工夫の一つ。自動装填装置を搭載して装填手を廃したことで、装填手の動作空間を確保する必要がなくなり、車高を下げられたのも同じ工夫に属する[3]。

付加装甲未装着状態の15式の重量は33tとされる[9]。車体と砲塔は均質圧延鋼装甲の溶接構造で、車体前面と砲塔前面には複合装甲が内封されている。さらに、脅威度のレベルに応じて防御力を強化するため、数種類の付加装甲パッケージが用意された。この付加装甲パッケージは、セラミック装甲、爆発反応装甲、スラットアーマーなどから構成され、車体や砲塔各部に装着することで15式の防御力を引き上げる。付加装甲装着状態の重量は36tとなる[9]。

15式軽戦車の砲塔正面の防御能力は、2000mの距離で発射された105mmライフル砲の砲撃に耐えることが求められている[1]。また、側面や後面についての防御も重視されており、砲塔や車体側面には付加装甲やスラットアーマーを標準装備しており、必要に応じてさらに爆発反応装甲を追加することも可能。

このほか、間接的な防御力向上のため、レーザー波警報装置と連携して発煙弾を発射してミサイルの照準を妨害するソフトキルタイプのアクティブ防御システム、被弾時の二次被害を抑制するための砲弾配置の工夫とブローオフパネル、自動消火装置の搭載、NBC防護システムなどが採用されている[1][3]。将来的には、飛来するミサイルを探知して迎撃、破壊するハードキルタイプのアクティブ防御システムの搭載も可能。

上記の様な直接/間接的な防御手段に加えて、高い機動力や、充実した情報システム、高い探知能力を備えた各種センサー、高度なFCSなども総合的な戦場での生存性改善に寄与することになる。

【機動力】
15式軽戦車は、起伏が大きく標高の高い地域や、湿地帯などの低地といった主力戦車の運用が困難な地域に投入することを前提に開発されている[9]。15式の重量が33〜36tに抑えられたのも、脆弱なインフラにおいて機動力を確保するための措置であった。重量を軽くすると、トランスポーターなどの支援装備についても主力戦車よりも少なくて済むので維持費用を節約出来る利点もある[7]。

高い機動力を発揮するため、15式の開発ではエンジンとサスペンションに新技術が盛り込まれた。

15式のエンジンは132シリーズ8気筒水冷ターボチャージド・ディーゼルエンジンを搭載している[10]。「132」はシリンダ直径を指す[10]。99A式戦車や15式の輸出版VT-5軽戦車で用いられている「150HB型」(150もシリンダ直径を表す[10])ではなく、シリンダ直径の小さな「132型」を採用したのは、シリンダの小型化に伴いエンジンがコンパクトになり、重量も500kg程度軽量化されている点が評価されたと見られている[10]。15式は小型化が優先されたことから、エンジンについてもコンパクトさが追及されたが故の選択となった。エンジンの最高出力は1,000馬力で、出力重量比は28〜30kg/hpと、96B式戦車の23.8kg/hpを上回り、99A式戦車の30kg/hpと同等の数値を達成している。エンジンとトランスミッションはパワーパック化されており、迅速な換装が可能[4]。

15式の運用の中心となる高地では酸素濃度の低さによるエンジン出力の低下が大きな問題となる。海抜4500mになると空気の密度は平地の65%になり、一段式のターボチャージャーでは十分な効果をあげることが出来ない[10]。そのため15式では、二段過給ターボチャージャーを搭載することで高地での出力低下に対処している。これを用いることで15式はエンジン出力の減少を12%以下に収めることに成功した[11]

15式は、平地ではターボチャージャーを一段用いることで最高出力663KW(900馬力)前後の出力を発揮して、70km/hの最高速度を発揮する[10]。高原では二段過給ターボチャージャーを稼働させて、海抜4500mの高原でも最高速度60km/hを保持することが出来る。なお、平地で二段過給ターボチャージャーを稼働させた場合、737kW(1000馬力)の最高出力を発揮することが出来るが、これはエンジンに負荷がかかり運用寿命を縮めてしまうので、通常は一段過給のみを用いる。

一方、15式軽戦車の変速・操向機は無段階の油圧機械式自動変速・操向機が採用されているという。これにより、エンジンの出力を高い伝達効率で起動輪に伝えることが可能となる[12]。

サスペンションについては初期の段階では油気圧式を採用しているとの説が一般的だったが、実際には中国軍戦車で標準的に用いられているトーションバー式サスペンションが採用されていた。トーションバーは油気圧式に比べしなやかさで劣るため、それを補うため15式ではセミアクティブサスペンション・システムが採用されている。これは、トーションバーサスペンションをベースにした半自動制御技術であり、中国ではこの技術を20世紀末から21世紀初頭にかけて実用化して99A式戦車の開発前プロジェクトで使用して、最適化と改良を経て15式に活用した[13]。

セミアクティブサスペンション・システムを用いることで、走行状態では、センサーが車両の速度と路面状態を検知し、それを受けて制御部が最適な減衰率を算出し、その諸元に基づいて電磁比例流量弁を制御して流体貫通孔を連続的に調整し、ダンパー全体の流体の流れを変化させる[13]。これにより様々な速度と路面条件に適応する減衰率をもつサスペンションが実現する[13]。

この方法は、油気圧サスペンションと比べても遜色のない走行性能と安定性能を15式に与えた[13]。油気圧サスペンションを用いた車高を変える姿勢制御能力を与えることは困難であるが、同システムよりも製造コストと整備の省力化の面で優位に立つ。

半自動制御装置にトラブルが発生した場合や戦闘中に破損した際には、サスペンションシステム全体を通常のパッシブサスペンションに変換して、先頭に影響を与えることなく作戦を継続することが出来る[13]。この足回りを採用した15式は、高地試験において最長距離、最速、最小の故障率を達成し、軍から高い評価を受けたとの事[13]。

15式は、高い不整地機動性が付与されたことで、高原、山地、砂漠、水田地帯など、各種の多様な環境においても優れた戦術機動性を発揮することができる。特に、高地運用に特化した動力系統を採用したことと相まって、インフラが脆弱な山岳地帯において、展開できる場所が限定され、高地でのエンジン出力低下に悩まされる主力戦車に対して、15式であれば多くの場面で作戦遂行が可能となる。これは、主力戦車の投入が困難な敵軍に対して、15式と歩兵部隊が連携して作戦を遂行するという作戦上の大きな柔軟性を確保できることになる[9]。

車両や鉄道輸送以外に、Y-20輸送機であれば二輌を搭載して空中輸送することも可能な高い戦略機動性を有する[3][9]。

【砲塔部分】
15式の砲塔は、既存の中国戦車とは異なり砲塔後部に後方に張り出したバスルを形成しており、ここは自動装填装置を組み込んだ砲弾収納区画として使用されている[1]。砲塔中央部は両側面より一段高くなっている。これは、砲塔サイズを小型化しつつ105mm砲の俯仰角を確保するための工夫で、仰角をあげることは山地戦闘における高所目標への打撃や、支援射撃を行う際に有効に機能する。

砲塔も車体と同じく圧延溶接鋼装甲の溶接構造で、砲塔正面には複合装甲が内封されている。2019年の建国70周年記念軍事パレードに参加した車両は、砲塔正面と側面に付加装甲ブロックを、砲塔側面後部にスラットアーマーを装着していたが、必要に応じて正面装甲に爆発反応装甲を追加することで防御力を強化し得る。砲塔側面後部には発煙弾の連装発射機が合計6基搭載されており、砲塔の4箇所に配置されたレーザー波警告装置と連動して煙幕を展開する[1]。

15式の主兵装は英国製105mmライフル砲L7の発展型である58口径105mmライフル砲を搭載している。輸出向け軽戦車VT-5も同じ戦車砲を搭載しており、VT-5と同じく15式の105mm砲も、15式への搭載に合わせて、軽量化、反動低減などの改良が施されているものと思われる[14]。

中国軍の主力戦車が採用している125mm滑腔砲ではなく、105mmライフル砲を選定した理由については、第一に、105mmライフル砲は120mm滑腔砲よりも後座力が低く、サイズもコンパクトなので軽いプラットフォームの搭載に向いている。105mm砲の搭載により砲塔を小型化できれば、その分防御力の強化に有利に働く点があげられている[1]。第二の理由は、105mmライフル砲は中国軍で広く用いられており、長年の運用で信頼性と運用基盤が確立していること[1]。第三の理由としては、105mmライフル砲用の砲弾の開発は現在も継続しており、高い威力を備えたAPFSDS弾やHEAT弾、精密打撃が可能な砲発射ミサイルなど各種バリエーションがそろっていることが提示されている[1]。

砲弾の威力については、NORINCOが開発したBTA2型APFSDS弾の場合、2000m離れた66.42度傾斜した均質圧延鋼装甲に対して220mm貫徹する能力を備えているとされる[1]。これは2000m離れた垂直の均質圧延鋼装甲に対しては550mmの貫徹力に相当し、初期の第三世代主力戦車の正面装甲を貫通し得る能力であると評価されている[1]。また、砲発射ミサイルの運用能力も備えており、GP-2型であれば射程5,000mで600mmのRHA(均質圧延鋼装甲)の装甲貫徹能力を有し、GP-105であれば5,000mでERAで防御された650mmのRHA貫徹能力を備えている[9][12]。GP-2/GP-105は、装甲車両だけでなく、トーチカなどの防御拠点や低空でホバリング中のヘリコプターへの攻撃も可能[15]。

105mm砲弾は38発が搭載されている。15式ベースの輸出戦車VT-5では、18発は砲塔後部バスルの自動装填装置に収納され、残りは車体前面と側面にある弾薬庫に収納されており[16]、15式も同様の搭載方法を取っているものと思われる。15式は、ベルト式マガジンの自動装填装置を備えており、砲手の指示でベルトが廻り、指示された砲弾を装填ラックに供給し機械式ラマーで装填するようになっている[12]。この自動装填装置により、15式は毎分7〜9発の安定した連続発射速度を発揮することが可能[1]。砲塔後部には空薬莢の排出に用いられる開閉式ハッチを備えており、自動装填装置に給弾する際にもこのハッチを用いる[3]。なお、必要に応じて車内から自動装填装置に給弾することも可能[12]。

砲塔バスルの自動装填装置と戦闘室は隔壁で仕切られており、バスル上面には爆発時の圧力を上に逃がすブローオフパネルが用意されている。これにより、被弾誘爆時の二次被害を最小限に抑える工夫が施されている[2]。これは、西側第三世代戦車では広く採用されている方法であるが、中国戦車では15式と輸出向け軽戦車VT-5でしか採用されていない。既存の中国第三世代戦車が使用している砲塔直下に配置された回転式自動装填装置の場合、被弾後の誘爆により車内に甚大な被害が生じる危険があるのに対して、西側式の砲弾収納方式を採用した新しい方向性を示すものとして、今後ほかの戦車にも拡大するか注目される。

副武装としては、主砲同軸の7.62mm機関銃に加えて、これまでの中国戦車とは異なり、車内からの遠隔操作が可能なRWS(Remote Weapon System)が採用されている。15式のRWSは、12.7mm重機関銃と35mm擲弾発射機の連装であり、山地や市街地での戦闘に備えて大仰角での発射が可能[1]。35mm擲弾発射機は、大仰角での曲射攻撃による陣地への打撃、空中爆発モードによる広域制圧に優れた能力を備えており、連射性と直進性に優れた12.7mm重機関銃と組み合わせることで山岳戦闘や市街地での非対称戦闘といった多様な任務での活用を前提とした装備とされている[17]。

射撃統制システムについては、レーザー測遠器、暗視措置、砲安定装置、弾道計算コンピュータ、風向き検知センサー、砲手用サイト、車長用サイト、砲口初速計測レーダー、などから構成された最新式主力戦車並みのものが搭載されている。初期型では、車長用サイトは暗視装置こそ内蔵されているものの照準機能は備わっておらず、新たに脅威となる敵を発見した場合は車長が優先してその目標を照準・攻撃を行うオーバーライド機能は備えていなかった[1]。その後の改良型では、車長用サイトが大型化し赤外線暗視装置とレーザー測遠器を内蔵したタイプに更新され、車長が目標を発見後、砲手に照準を行わせ、車長は次の目標を捜索するハンター・キラー能力と、上記のオーバーライド機能を実装するに至った[4]。

近年の中国AFVと同じく、15式も戦場におけるネットワーク化に対応するための戦場情報管理システム、データリンク、「北斗」衛星位置測定システム、ミリ波レーダーを用いた敵味方識別装置といった各種装置を搭載している[1][9][12]。15式は、合成大隊内の前戦闘車両の戦場情報を統合し、連携することで、目標発見から火力発揮まで大隊レベルでの迅速な対応力を向上させ、作戦範囲の拡大を図ることが出来る[13]。車載コンピュータ制御による高速リアルタイム無線データ伝送システムを用いて、目標情報を他の15式に転送したり、他車からの情報に基づいて砲撃を実施することも可能[13]。上位部隊や他軍種とのデータリンクを活用して、見越し外目標への攻撃を行うことも可能で、直接・間接射撃を問わない火力発揮の基礎となる[13]。戦闘のみならず、補給部隊や整備部隊との情報伝達により、車両情報や燃料情報を共有し、正確な整備や燃料補給を実施することで、整備や補給の手間を省くことも想定されている[13]。

ミリ波レーダーを用いた敵味方識別装置については、99A式戦車や11式105mm装輪突撃砲などでも採用されている新装備であり、単なる敵味方識別装置だけではなく車両間連絡システムとしての機能も有しており、協同作戦を遂行するためのツールとして用いられている[4]。99式戦車ではレーザーを用いた敵味方識別装置が搭載されたが、悪天候下での利用に問題があったことで、ミリ波レーダーを利用したものが開発されたとのこと[18]。

【自走榴弾砲としての15式】
中国軍では戦車による間接照準射撃に着目して、この分野でのノウハウを積んできたが、15式もその例に漏れない。15式の火器管制システムは通常の直射照準のみならず、間接照準モードも兼ねる「直接照準/間接照準統合火器管制システム」として開発され、自走榴弾砲としての活用も可能となっている[13]。15式の105mmライフル砲であれば、最大15〜16kmの射程を有しており(高原ではさらに射程が伸びる)、一昔前の105mm榴弾砲以上の射程を確保している[13]。

15式は、優れた火器管制システムと、空地偵察システムとの連携の元で、自走榴弾砲的な運用を行い得るAFVであり、この能力を活用して戦車部隊が砲兵の支援に頼らない支援火力能力を備えることで、前線の要求に応じた柔軟な作戦遂行が可能となる[12]。また、主戦場である山岳地帯の戦闘では、見通しが利かずに直接照準射撃が困難な目標も存在するので、間接射撃はそれらに対する有効な打撃手段となる。間接照準射撃を重視したのは、山岳地帯での運用を前提に開発された15式軽戦車ならではの特性だと指摘されている[12]。

【配備状況】
15式は中国の西部高原地帯や西南部の山岳地帯における機械化合成旅向けAFVとして開発された。配備数は資料によって異なるが、250輌[3]から400輌[19]程度が2021年までに配備されたとのこと。

15式の配備が進む中国西部の高原地帯やインドと国境を接する山岳地域では、空気が薄くインフラが脆弱なことから主力戦車の投入が困難な地域であった。そこに高原運用に特化した15式が投入された場合、相手は主力戦車無しで15式と連携する中国部隊を迎え撃つ必要が生じるため、作戦遂行に支障をきたす可能性が生じる。この状況を問題視したインド陸軍は高原の過酷な環境で運用可能な重量25tで105mmライフル砲を搭載する軽戦車の調達を計画しており、2023年3月に国内開発を行う方針を決定した[20]。

15式は高原や山岳地の運用を前提に開発されたが、その特性は中国の南部の水田や湿地帯の多い地域、東部沿岸地帯、南方の熱帯の密林といった主力戦車の運用が困難な地域でも活用できるものであり、山地や高原の部隊だけでなく、陸軍の水陸両用部隊や海軍陸戦隊への配備も確認されている[3][9]。

着上陸作戦において15式が投入された場合、主力戦車よりも軽量かつコンパクトなため輸送が容易であり、上陸地点に迅速に展開できる[13]。台湾陸軍が多数配備するM60A3戦車CM11戦車「勇虎」(M48H)といった第二世代戦車に対して攻防速のいずれの面でも上回っており、歩兵の火力支援を担うのみならず、着上陸作戦において橋頭堡確保後の内陸への侵攻作戦において15式が投入された場合、その高い機動力とネットワーク能力を生かして、優位に作戦を遂行することが考えられている[13]。

【派生型】
▼VT-5軽戦車
15式戦車の派生型としては、同車の技術を基に開発された輸出向け軽戦車VT-5が存在する。同車は第三世界の国々での採用を目指して、不十分な道路インフラでも運用を制約されず、主力戦車よりも整備・維持費用を節約出来る戦車として開発された。15式の技術を活用したことで開発期間を短縮することに成功した。完全に15式と同じではなく、エンジンが132シリーズから新150型ディーゼルエンジンに換装、操縦手席が車体中央に配置、付加装甲の形状が異なるなど相違点も少なくない。

VT-5はバングラデシュ陸軍に44輌が配備されている。

▼装甲回収車型
15式のシャーシを利用して開発された装甲回収車[3]。車体前方にドーザーを装着。砲塔は撤去され、新たに車体左側に装甲キャビンを設け、その反対側にはパワーパックの換装などに用いるクレーンを配置した。牽引用ウインチ、整備用工具なども搭載する[3]。既存の装甲回収車では15式が運用される過酷な気象条件の地での運用が困難ななことから、15式と合わせて開発・配備された。

▼155mm自走榴弾砲
2020年に登場した155mm自走榴弾砲。15式のシャーシが基になっているとの事だが、開発経緯を含めて詳細は不明[3]。

▼動画「猛又准!解放军15式坦克实弹射击画面公开 新型105毫米口径钨合金穿甲弹威力十分强悍!」「威虎堂」20210210 | 军迷天下
新疆軍区の部隊に配備された15式軽戦車の射撃訓練を報じたCCTVの番組。砲弾を砲塔後部バスルの自走装填装置に給弾する様子も確認できる。

▼動画「直击演训场:战力爆棚!实拍“酩拭瀕鸛高原 一级军士长详解15式轻型坦克强大性能 国产坦克技术实现飞跃!|军迷天下」 CCVTで報じられた15式の特集番組(3:18まで)


性能緒元
重量33〜36t
全長9.2m
全幅3.3m
全高2.5m(砲塔頂部)
エンジン「132シリーズ」8気筒水冷ターボチャージド・ディーゼルエンジン(900〜1,000hp)
最高速度70km/h
航続距離450km(車内燃料のみ/燃料タンク搭載で航続距離延伸可)
渡河深度1.1m
武装58口径105mmライフル砲(38発)
 GP-2/GP-105砲発射対戦車ミサイル
 リモートウエポンシステム×1(12.7mm重機関銃+35mm擲弾発射機)
 7.62mm機関銃×1
 6連装発煙弾発射機×2
装甲均質圧延鋼装甲+複合装甲+各種付加装甲
乗員3名(車長、砲手、操縦手)

【参考資料】
[1]「陆上作战模块 第二方队—轻型装甲方队之15式轻型坦克、04A式履带式步兵战车」 『兵工科技甦 中华人民共和国成立七十周年国庆大阅兵典藏版』(兵工科技杂志社)27〜32ページ
[2]搜狐「中国新一代轻型坦克15式模型公开亮相 火力强大防护力高」(2018年12月2日」 https://www.sohu.com/a/279161429_100078044
[3]Military Today「ZTQ-15 Light tank」 http://www.military-today.com/tanks/ztq_15.htm
[4]王子瑜「从装备看发展—奋进新时代主题成就展中的武器装备」」 『兵工科技』2022.22(兵工科技杂志社)24〜37ページ
[5]手机新浪网「中国军工就是牛:轻型坦克能吊打周边地区主战坦克!」(2018年8月14日) https://jmqmil.sina.cn/ifeng/doc-ihhtfwqq9803713.d...
[6]新浪网「38年的等待!我国新型轻坦量产落户于湖南江麓厂」(2018年1月22日) http://slide.mil.news.sina.com.cn/l/slide_8_38692_...
[7]水木「轻量化的主战坦克―VT5坦克采访记」『兵器』2017.1/总212期(北京《兵器》杂志有限公司)4〜9ページ
[8]手机新浪网「高原枭雄——15式轻型坦克,一个能攻能守的强将」 (2020年6がつ18日)https://jmqmil.sina.cn/spider1/doc-iirczymk7723015...
[9]山形大介「中国の山岳地帯用の15式軽戦車「高原猛虎」『軍事研究2023年1月号別冊−2020年代世界の新戦車』(Japan Military Review)54〜57ページ
[10]新浪网「详解中国新轻型坦克发动机 比99A引温浩进适用高原」(2018年8月28日) http://mil.news.sina.com.cn/jssd/2018-08-28/doc-ih...
[11]东方网「这就是高原极驰的秘密:15式坦克吊装动力包画面首次曝光」(2020年11月5日/作者:夏阳)https://j.eastday.com/p/1604571211022536
[12]戦車研究所「15式軽戦車」http://combat1.sakura.ne.jp/15SHIKI.htm
[13]毒島刀也「終局進化中國坦克15式軽坦克―中国戦車の究極進化形15式戦車―」『月刊PANZER』2021.02/715号(アルゴノーツ社)42〜46ページ
[14]王笑梦「一脉相承两兄弟-VT5轻型主战坦克和VN17重型步兵战车解析」『兵工科技』2017.18(兵工科技杂志社)46-50ページ
[15]曹励云「中国外贸105毫米系列突击炮专题之:突击的那把利刃-段来明副部长谈GP2型外贸105毫米炮发射导弹首次出口」『现代兵器』2018.6(中国兵器工业集团有限公司)19-25ページ
[16]草莽「陆地捷豹―专访VT5外贸型轻型坦克总设计师李春明」『现代兵器』2016,12(中国兵器工业集团有限公司)11〜17ページ
[17]唐易「轻坦不“轻”―国产新型轻型坦克解析」『兵工科技』2017/22号(兵工科技杂志社)41〜44ページ
[18]新浪网「中国99A型坦克安装一部毫米波雷达 却非防御系统组件」(2018年7月20日)http://mil.news.sina.com.cn/jssd/2018-07-20/doc-ih...
[19]「15式軽戦車」『PANZER臨時増刊 WAR MACHINE REPORT No.118 現代中国人民解放軍 陸軍編』(アルゴノーツ社/2022年9月13日)38〜41ページ
[20] Business Standard「L&T gets order to build prototype of light tank for Sino-India border」(2023 年 4 月 14 日)https://www.business-standard.com/india-news/mod-o...

【関連事項】
VT-5軽戦車 【輸出用】

中国陸軍

amazon

▼特集:自衛隊機vs中国機▼


▼特集:中国の海軍力▼


▼特集:中国海軍▼


▼中国巡航ミサイル▼


























































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