日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


性能緒元
重量 
車体長 
全幅 
車体高 
エンジン 
最高速度 
航続距離 
武装6銃身25mm機関砲×1(搭載弾数2000発前後)
 HN-6携帯対空ミサイル(紅纓6/FN-6/飛弩6)連装発射機×2
装甲圧延鋼板装甲
乗員  

6銃身25mm装輪自走高射機関砲は、2020年に写真がインターネットで紹介されたことでその存在が明らかになった装輪式自走対空機関砲システム[1]。型式名は不明で、ネットでは6銃身25mmガトリング機関砲を搭載していることにちなんで「625高炮」「625自行高炮」などの通称が用いられている[2]。以下では「625自走高射機関砲」と表記する。

【中型合成旅の次期対空自走砲コンペ〜35mmと25mmの選択】
中国軍では2015年の軍事改革によって編成が開始された装輪装甲車化された諸兵科連合部隊である中型合成旅の野戦防空を担う装備として、HQ-17中距離地対空ミサイル(紅旗17/トールM1)を装輪シャーシに搭載したHQ-17Aを開発・配備し、これを補完する近距離防空を担当する対空自走砲として、35mm単装機関砲を搭載した12式35mm装輪自走対空砲(PGL-12)の採用を検討した[2]。

PGL-12は装軌式車両で構成される重型合成旅で低空域の防空を担当する07式35mm自走高射機関砲(PGZ-07)とおなじ35mm機関砲を採用することで、弾薬の共通化を可能とし、高い命中精度と発射速度を備え、搭載するAESAレーダーと光学/電子センサーを活用する独立戦闘能力を有する高性能な対空自走砲となった。機動力についても中型合成旅の各種装輪車両と同等の走行性能を有する8輪装甲プラットフォームを採用したことで、高い路上走行能力を実現していた[2]。

ただし、最終的にはPGL-12は中型合成旅の対空自走砲としての地位を得ることは出来ず、防空営(大隊に相当)の自走対空砲として採用されたのは「625自走高射機関砲」になった模様である[2]。

「625自走高射機関砲」が採用された経緯についてはまだ明らかになっていないが、史料[2]によると、以下の二点が決め手となったと推測されている。

まず、低空域に飛来する経空脅威に対しては、僅かなリアクションタイムでの迎撃が求められ、同時に複数の目標が飛来する事も想定されるので、一目標を短時間で確実に撃破して迅速に次目標を指向して迎撃を行う必要性がある。この点において、大口径機関砲による一発の威力よりも多数の弾薬を瞬間的に投射し得る方が優先され、発射速度に秀でたガトリング機関砲が優位に立った[2]。PGL-12の搭載弾数が400〜500発程度なのに対して、「625自走高射機関砲」では2000発前後の搭載が可能と見られ、搭載弾数の多さはそれだけ戦闘持続性を高める要素となる[3]。


第二に、新たな経空脅威としての地位を確立しつつある小型/マイクロUAVや小型巡航ミサイルの存在である。これらによる攻撃は、従来型の対空兵器システムでは対処しきれない脅威であり、今後、複数のUAVによる群体攻撃が実用化するようになれば迎撃はさらに困難になるとみられている。多数が襲来する小型UAVやマイクロ巡航ミサイルなどへの対処としては、PGL-12の35mm機関砲弾はオーバースペックであり、出来るだけ多くの機関砲弾を搭載して、対処目標数を増やした方が有利に働く。この点で、35mm機関砲弾よりもコンパクトで、より多くの弾数を搭載し得る「625自走高射機関砲」が採用を勝ち得たと見られている[2]。

【25mmと30mm―小口径採用の要因】
実は、ガトリング機関砲を用いた対空砲システムとしては、輸出向けのCS/SA5型6銃身30mm装輪自走機関砲(輪式30毫米自行高炮武器系統)と、空軍防空部隊で運用されている拠点防空用のLD-2000近接防空システム(陸盾2000)などが存在しており、どうして、新たに25mm口径のガトリング機関砲を新たに開発せねばならなかったのか、という疑問が存在する。

これに対しては、現在、陸軍防空部隊で運用している対空機関砲は、25mmと35mmが中心であり、旧式の37mmや57mmも存在しているが、口径30mmの対空機関砲は存在しないということが回答になる。ここに新たに30mm口径の対空機関砲を付け加えると、兵站が複雑になることは明白である[2]。

無論、陸軍でも歩兵戦闘車などでは30mm機関砲を採用しているが、これらは地上目標攻撃が主任務であり対空機関砲の砲弾としては別途調達しなければならない[2]。それに対して、25mm機関砲であれば、87式25mm連装機関砲95式/2000式/04A式25mm自走高射機関砲「天戟」(PGZ-95/PGZ-2000/PGZ-04A)として大量配備が成されているので、新たに兵站を構築する必要性は無い。既存の弾薬と補給体制を活用できるというメリットが、25mm口径が選択された最大の要因であると指摘されている[2]。

【性能】
本車の開発経緯は不明な点が多いが、開発のたたき台となったのは輸出向けに開発されたCS/SA5型6銃身30mm装輪自走機関砲(輪式30毫米自行高炮武器系統)だと見られている。CS/SA5と「625自走高射機関砲」は、砲塔、各種センサー、近接地対空ミサイルなど多くの兵器コンポーネントを共有しており、異なるのはガトリング機関砲が30mm口径か25mm口径かの違いに過ぎないと評されている[2]。

「625自走高射機関砲」のシャーシに用いられている8×8装輪装甲車に関する情報は乏しいが、中型合成旅の防空営で用いられている自走対空レーダー車や装甲指揮車の6×6装輪装甲シャーシのファミリー車両である可能性が高い[2]。6×6装輪装甲シャーシは、車体正面や側面は垂直面で構成されており、避弾経始よりも車内容積の確保を優先しているとみられる。車体前方右部が動力系統、前方左部は操縦手席となっており、操縦手席配置の都合のためか一段高くされている[2]。


【武装】
本車の兵装および各種センサーは全て車体中央部の砲塔に搭載される。砲塔正面中央部には6銃身25mmガトリング機関砲が配置されている[2]。砲身基部は金属フレームの架台で支えられているが、これは射撃時の銃身の振動を抑えて命中精度を向上させるためのものと考えられる。

6銃身ガトリング機関砲は短時間で多数の弾薬を集中的に発射する事により、近距離での経空脅威に対する高い目標打撃能力を有している。ただし、その有効射程は2km程度であるので、対空機関砲の射程外からアウトレンジ攻撃を行う目標に対するため、砲塔両側面にHN-6携帯対空ミサイル(紅纓6/FN-6/飛弩6)連装発射機×2を搭載している[2]。HN-6は歩兵携行地対空ミサイルで、赤外線誘導方式を採用し、発射後が自律的に目標に飛翔していく「打ちっ放し射撃」が可能。ミサイルの射程は最小500m、最大5,500m。射撃可能高度は最小15m、最大3,800mと、25mm機関砲ではカバーできない距離の経空脅威への対処が可能となった[4]。

これにより中型合成旅の野戦防空部隊は、HQ-17Aが距離1.5kmから15kmまでの防空を担当し、「625自走高射機関砲」は、HN-6で500〜3,800mのエリアを、25mm機関砲で至近距離から2km前後までのエリアをカバーして、それぞれの担当エリアが重複する重層的な防空網を構築することになる[2][4][5]。

砲塔後部には火器管制用レーダーと、レーザー測遠器を内蔵した電子/光学サイトが搭載されている[2]。搭載レーダーは一基なので、目標追尾中は周囲の警戒は出来ない。そのため、レーダーによる警戒と電子/ 光学サイトによる追尾、もしくは他の車輌やレーダー等からの情報をデータリンクで得るなどの対策が取られているものと考えられる。

砲塔前面には4連装発煙弾発射機が2基搭載されており、車体各部に取り付けられたレーザー波照射警報装置等からの情報を基にして必要に応じて発煙弾を発射して車体を隠して敵の攻撃を回避する。

【特徴】
「625自走高射機関砲」は、装輪車輌としての高い路上機動性能を生かして、道路網を利用した迅速な展開が可能。国土の防空、要地防空、部隊に随伴して防空カバーを提供するなど各種任務への対応が可能。主な攻撃対象は低空域の航空機、ヘリコプター、UAV等を想定しているが、6銃身25mm機関砲の高い発射速度を生かした巡航ミサイルなどの空対地スタンドオフ兵器、誘導砲弾や迫撃砲などの小目標に対する迎撃も想定している。

「625自走高射機関砲」は中型合成旅の野戦防空をHQ-17Aと共に担う装備として今後配備が進められるものと思われる。今後、ますます対処が求められることになるドローンやマイクロ巡航ミサイルといった近年登場した新たな経空脅威への対応を想定した対空兵器として、同対空自走砲がどのような運用が成されるか、これからの展開が注目される。

【参考資料】
[1]风闻「解放军中型旅防空为何选择625高炮?」(2020年6月11日)https://www.163.com/dy/article/G20STOKA05158C06.ht...
[2]马克「不只是便宜−我军中型旅防空为何选择625高炮」『兵工科技』2021/03(兵工科技杂志社)30〜33ページ
[3]网易「西藏军区公开新锐利器,新“625”怎样应对新型空中威胁?」(军武次位面/2021年2月4日)https://www.163.com/dy/article/G20STOKA05158C06.ht...
[4]杨青「中国单兵便携式防空导弹发展与现状」『兵工科技』2021/03(兵工科技杂志社)48〜51ページ
[5]「防空反弹模块 第四方阵ー野战防空导弹方阵之”红旗”-16B、”红旗”-17A防空导弹」『兵工科技2019甦 中华人民共和国成立七十周年国庆大阅兵 典藏版』(兵工科技杂志社)81〜86ページ

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