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▼「阿聯酋購買中國AH4超輕榴彈炮,直升機吊運火力超強,世界唯二」UAEによるAH-4榴弾砲の調達を報じるネットニュース動画


性能緒元
口径155(39口径)
全長9.5m(牽引時)/10.2m(砲撃時)
全幅
全高
重量4,500kg(諸説あり)
最大射程25km(FRFB)、30km(FRFB-BB)、40km(FRFB-BB-RAP)
運用砲弾HE、FRFB-HE、FRFB-BB-HE、FRFB-BB-WP、FRFB-照明弾、FRFB-smoke、子爆弾搭載型、レーザー誘導砲弾、GPS誘導砲弾FRFB-BB-RAP等
発射速度(最高)4〜5発/分、(持続)2発/分
俯仰角度0〜+72度
方向射界左右各22.5度
要員7〜8名(緊急時は5名での運用も可能)

AH-4 39口径155mm軽量榴弾砲(中国語ではAH-4 155毫米超軽量火炮。AH-4は輸出用名称で、型式名はPLQ-155/39)は、中国北方工業集団公司(NORINCO)が2010年にその存在を明らかにした牽引式榴弾砲[1][2]。NORINCOでは、輸出向けの牽引式榴弾砲としてAH-1 45口径155mm牽引式榴弾砲、AH-2 52口径155mm牽引式榴弾砲を開発していたが、AH-4はこれに続くものとして登場した[1]。

【開発経緯】
中国で大口径野砲の軽量化の研究が開始されたのは1970年代末に遡る。59式130mm加農砲(M-46)の牽引時の重量を軽減する目的で、軽量化130mm加農砲の研究開発が始まり、アメリカの試作野砲XM204の原理を参考に試作砲の完成までこぎつけたが、技術的未成熟により試験段階で開発は中断された[3]。

その後、1990年代に入ると中国では、今後の大口径野砲の口径について122mmと155mmの二種類に集約し、情報化・自走化・軽量化を進め、砲兵の総合的な作戦能力を向上させる方針が採用された[3]。火砲の威力と機動力は相反する特性を持ち。一般に軽量な火砲は威力・射程・命中精度で問題が生じる傾向にある。これを解決するには、技術面、材質面など各方面で総合的な対策を取った上で、火砲の構造を見直し、砲架・反動制御技術などで新技術を取り入れ、複合材や軽合金といった素材を用いる必要がある。これは当時の中国の防衛産業にとっては重大な挑戦であった[3]。

2006年、北方工業公司と哈爾浜第一機械集団は正式に「轻型牵引式155毫米加榴炮」の研究開発を開始[3]。この段階では、M777のような超軽型榴弾砲(Ultralight - weight Field Howitzer)とは名乗っていなかった[3]。2007年には正式な開発契約書に調印した。初期案では、従来型の二脚式の砲脚、ソ連の122mm榴弾砲D-30のような3脚式で全周旋回可能な砲架など多種多様な案が検討されたが、採用されたのはM777に影響を受けた、曲線後座と砲身を挟むように設置された駐退機などの新型反動吸収システムを採用し、H型砲架を直接地面に接地させ、砲耳の位置を低くして、高効率の反動吸収システムと組み合わせたプランであった[3]。

2008年には試作砲を一年以内に製造する目標が建てられるとともに、達成すべき技術的目標も設定された[3]。それによると、新型155mm軽量砲は戦闘重量を4t前後に収めることを最優先し、それ以外の項目はM777に範を取ったものとして、砲身長39口径、榴弾砲の砲身命数2,500発、RFB-BB弾を使用した際の射程は30km、FRFB-BB-RAP弾を用いた場合の最大射程は40kmとすること、閉鎖機は螺旋式、付仰角-3度〜72度、射界左右それぞれ22.5度、油気圧装填補助装置と閉鎖機の自動閉鎖機構の採用、発射速度は毎分5発、軽量化のためチタン合金とアルミ合金を多用する、砲架はH型とする、揺架と反動吸収装置を一体化する。火線高を700mm以下に収める、東風「猛士」四輪駆動車Mi-17/Mi-171輸送ヘリコプター(ヒップH)による輸送を可能とする、などの項目が定められた[3]。

AH-4は中国で初めてチタン合金を多用した大口径火砲となった。ただし、大型の一体成型された鋳造チタン合金を使用したM777とは異なり、AH-4では開発リスクをおさえるため、鋳造と溶接を組み合わせる製造方式を採用して製造コストと開発リスクの低減が図られた。結果としてAH-4の重量はM777より300kg重いものになったとの事[3]。

2014年9月には、AH-4は輸出向け兵器としての試験に供され、同年に開催された珠海航空ショーにおいて、その存在が一般公開されることになった[3]。

【性能】
軽量155mm榴弾砲としてはイギリスで開発されアメリカ軍が1990年代に採用したM777 39口径155mm榴弾砲が存在するが、前述の通り、AH-4はその設計においてM777の強い影響を受けている。

M777は軽量化のため各部にチタン合金やアルミ合金といった軽量素材を使用して155mm榴弾砲としては大幅な軽量化を実現している[4]。総重量に占めるチタン合金の使用率は20%だが、これはM777に比べると使用範囲は限定されており、製造方式も一体鋳造ではなく鋳造と溶接の組み合わせを採用している。既存の鋼鉄製素材も多く用いられているが、これはコスト低減を図るための措置[6]。M777では軽量化のため強度不足が問題になったが、技術的問題やコスト面の配慮から材質や製造方式を安価なものに変更したAH-4でも同様の問題が生じる可能性について指摘する向きもある[7]。

AH-4については、M777よりも軽い(3,500〜3,800kg)と言う説[5]、M777と同程度(4,200kg)という説[3][6]、そしてM777よりもやや重い4,500kgに留まっているとの説もある[7]。この辺りは重量の基準をどこに置いているかによる相違の可能性もあり、判断し辛い所である。資料[3]では、AH-4の重量は4,200kgとしつつも、AH-4はM777より300kg重いとしているので、M777の重量を4,200kgとすれば、AH-4は4,500kgであるというのが近い値ではないかと考えられる。

いずれにせよ155mm榴弾砲としては軽量であり、通常では155mm野砲を牽引できないような車両での牽引が出来るだけでなく、 Mi-17/Mi-171輸送ヘリコプター(ヒップH)などの中型汎用ヘリコプターによるヴァートレップ輸送を行うことが可能[3][8](高原での運用には問題あり。後述)。

AH-4の砲身長は39口径。砲身先端には3重式のマズルブレーキが装着されており、駐退機は砲身の上下に設置されている(M777は砲身の左右に設置しており、外見上の顕著な相違点の一つ)。閉鎖機は螺旋式閉鎖機を採用[9]。AH-4は、凹型の砲耳の間に砲身が挟まっている形状をしている。砲身の上に後座装置を配置しており、さらにその上には砲口初速測定用のレーダーを積んでいる。砲耳左側は、照準器、射撃統制システム、自動操砲システムを配置、砲耳右側には、装填ラックがあり、装弾時に砲弾をおくことで装填作業を助ける役割を持つ。ただし、装填ラマーはないので、装填時には槊杖を用いる必要がある[7](これについては諸説あり、確証を得られていない)。砲架には一組の車輪が装着されており、牽引する際には砲脚を折りたたんで、車輪の位置を下げることで牽引状態になる。上から見るとH型をしている砲架には4つの脚が付いており、射撃の際には砲架を地上に設置させた後に砲脚を前後に展開して砲を安定化する[1][9]。前部砲脚は発射時の反動で砲がつんのめるのを防ぎ、後部砲脚は砲の反動を吸収する役割を果たす[3]。この方法はM777に範を取ったもの[3]。

砲の俯仰角度は、0〜72度、方向角度は左右22.5度[1][3][7]。牽引状態から射撃開始が可能になるまでは、3分、射撃体勢から牽引状態に復するまでには2〜3分を要する[1][7]。最大射程はFRFB弾で25km、FRFB-BB弾を使用した際の射程は30km、FRFB-BB-RAP弾を用いた場合の最大射程は40kmになる[3][7][9]。装薬はモジュール化された装薬を射程にあわせて増減するユニ・チャージ式で、従来の薬嚢式や薬莢式よりも装薬の調整が楽になっている[10]。AH-4は、中国製155mm砲弾に留まらず、NATO標準の155mm砲弾であればどの国の砲弾も発射可能[2]。最大発射速度は、毎分4〜5発で、持続発射の場合は毎分2発[5][6]。

AH-4には通常の照準器に加えて、精密な射撃を行うための射撃統制システムが用意されている。これは弾道計算機、射撃統制装置、砲手用制御パネル、砲手用パネル、砲口初速・方位角感知器、砲位置置測定装置、衛星位置測定システムなどで構成されている[3][7]。砲架中央右部にはこれらの機器を作動させるための発電用動力としてディーゼルエンジン一基が置かれている[5]。

【派生型-AHS-4】
AH-4の輸出において大きなネックとなると思われるのがその価格である。AH-4一門当たりの輸出価格は500万ドルを超えるとされ、これは中国がクウェートに輸出したPLZ-45A1 155mm自走榴弾砲に匹敵する価格であり、奇しくも開発の手本となったM777の価格に近いものとなっていた[3]。

この問題に対応して開発されたのが、AH-4の山岳部隊向け派生型[11]であり、廉価版と言うべきAHS-4 超軽量155mm榴弾砲であり、2016年の珠海航空ショーで公開展示された[3]。AHS-4では、旧式の照準器を装備して、駐退復座機構の設計を一部変更、装填補助装置はそのままだが、反動抑制装置の設計を簡易化、衛星位置測定システムを廃止、射撃統制システムは、砲口初速測定装置、砲手用液晶端末、簡易弾道計算機、データリンクシステムのみで構成されるものに変更された。

簡易化により、AHS-4は、独立作戦能力を失い、自己位置測定機能、自動照準機能を失い、従来型の偵察分隊の観測により位置を算定し、上級指揮所からの情報提供を受けて、操砲員により照準、修正、再照準を行う様になった。油気圧駆動システムは健在だが、これは砲の接地・撤収、閉鎖機の開閉、付仰角のみに用いられ、砲の旋回、装填は手動となったため、砲撃に要する時間や精度の面でAH-4よりも劣るのは否めなかった。なお、[3]ではASH-4、AHA-4、AHS-4と表記のブレが確認されるため、[11]を参照してAHS-4を名称として用いる。

【総評】
AH-4は、その軽量を生かしてヘリコプターによる空輸が可能であり、通常の榴弾砲の運用が困難な空挺部隊やヘリボーン部隊、山岳部隊などに追随して火力支援を与えることを可能とする装備である。

AH-4は、中国軍への採用はなされていない。これについては、当初から輸出向け装備として開発されたことに加えて、一門当たりの価格がPLZ-45A1 155mm自走榴弾砲に匹敵する高価格であること、加えて、中国軍では使われていないモジュール式装薬を使用しているため導入する場合には装薬も含めて調達する必要があることが大きい。

そして、ヘリコプターでヴァーレットプ空輸可能な野砲としては、96式122mm榴弾砲(PL-96/D-30)が既に存在しているため、あえてAH-4で更新する必要性に乏しいことなどによる。ヘリコプターによる野砲の吊り下げ輸送が求められるであろうインドと対峙するチベット高原では、高高度運用されるヘリコプターは出力低下により吊り下げ重量が制約される場合が多く、96式122mm榴弾砲より1tほど重いAH-4では、スペック上は輸送可能でも実際にはヴァーレットプ空輸は困難になる傾向がある[10]。高地での重量物の吊り下げ輸送に対処するにはアメリカのCH47チヌークのような大出力エンジンを備えた大型輸送ヘリコプターを用いる必要があるが、中国軍ではまだまだこの種の大型輸送ヘリに乏しく、その点から見てもAH-4の導入は非現実的であると指摘されている[10]。

NORINCOは、AH-4の輸出を目指して宣伝を行っており、2018年にはアラブ首長国(UAE)での採用が決定し、AH-4×6門が調達され、GP-6型155mm誘導砲弾(射程6〜25km)と合わせて導入された[12]。UAEが採用したAH-4は、砲口初速測定装置は未搭載とされる[10]。

同国が派兵しているイエメン内戦にもAH-4は投入され、2年間で1000発以上の砲弾を発射して、故障は発生しなかったとの事[10]。

【参考資料】
[1]Jane's Armour and Artillery「NORINCO AH4 155 mm-39-calibre Lightweight Gun Howitzer (China)」
http://articles.janes.com/articles/Janes-Armour-an...
[2]人民号「坦克:航展?给我开门!网友:传下去,59改首飞了」 (2021年10月4日/共青团中央)https://rmh.pdnews.cn/Pc/ArtInfoApi/article?id=238...
[3]新浪网「中国造出全球最强轻型榴弹炮 反应时间精度远超美军」(2016年11月24日)http://mil.news.sina.com.cn/jssd/2016-11-24/doc-if...
[4]Military-Today.com「M777 155 mm Lightweight Towed Howitzer」http://www.military-today.com/artillery/m777.htm
[5]今日头条「中国AH4榴弹炮减重,却不减射程,这门炮直接抢了M777的市场」(2018年12月24日/坦克世界) https://www.toutiao.com/article/663819718055533005...
[6]今日头条「中国AH4火炮获中东富国订单,性能不输美国同款,为何我军不装备」(2019年3月5日/军武次位面)https://www.toutiao.com/article/666472197579079731...
[7]Military-Today.com「AH-4 155 mm lightweight towed howitzer」http://www.military-today.com/artillery/ah4.htm
[8]捜狐「国产超轻型火炮成功出口,中国陆军为何不买账_毫米榴弹炮」(2018年8月19日)https://www.sohu.com/a/248761641_100142741
[9]今日头条「中国为何不列装AH-4轻型榴弹炮」(2022年10月16日/晋激01)https://www.toutiao.com/article/715489900969669482...
[10]今日头条「中国AH-4已实战2年,明明性能非常好,为何不取代122炮?」2020年8月22日/书剑杂谈) https://www.toutiao.com/article/686343700173186715...
[11]Strategy page「Artillery: How To Sell Against Combat Proven」(2018 年 9 月 7 日)
https://www.strategypage.com/htmw/htart/articles/2...
[12]Army Recognition「NORINCO AH4 155 mm howitzers for United Arab Emirates army」(2019年3月1日) https://www.armyrecognition.com/march_2019_global_...

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