日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼2018年に開催された珠海航空ショーに出展されたCM-401のランチャー(著者撮影。以下同)

▼ランチャーに収納されたCM-401ミサイルのカットモデル。先端部のフェイズド・アレイ・レーダーを見ることが出来る

▼陝西汽車公司製SX4400八輪トラックを用いた自走ミサイル発射機


性能緒元(ミサイル性能)
全長
直径600〜750mm
推進装置固体燃料ロケットモーター
最大射程15〜290km
誘導システム(終末)アクティブレーダー誘導
速度マッハ4〜6
弾頭重量300kg

CM-401対艦弾道ミサイル(anti-ship ballistic missile:ASBM)は、2018年に開催された珠海航空ショーで初公開された輸出向けの対艦弾道ミサイル[1]。開発元は、中国航天科工集団公司(CASIC)[1]。

メーカーによるとCM-401は艦艇や艦隊、洋上施設に対する迅速で精密な打撃手段として開発された[1][2]。ASBMが輸出向け兵器として国際市場に提示されるのはこれが最初のケースとされる[2]。なお、CASICが開発したBP-12A短距離弾道ミサイルも限定的な対艦攻撃能力を有するが、それは射程50km以内を航行中の低速の艦艇にしか有効ではなく、現実的なASBMであるとは言い難かった[3]。

【性能】
CM-401は、同じくCACICが開発した輸出用の短距離戦術弾道ミサイルBP-12Aなどと同クラスのミサイル。

ミサイルは箱型キャニスターに収納され、連装発射機に搭載されており、トラックや艦艇など任意のプラットフォームに搭載することが可能。珠海航空ショーでは陝西汽車公司製SX4400八輪重トラックにCM-401を搭載した自走ミサイル発射機が公開されている[4]。艦艇搭載の際には、車載式と同じ傾斜式ランチャー、もしくはVLS(Vertical Launch System:
垂直発射システム)への搭載を選択でき、VLSについてはホットローンチとコールドローンチ式のどちらの打ち上げ方式にも対応している[4]。2021年の珠海航空ショーで登場したCM-401は、HT-1Eホット/コールドローンチ兼用型VLSの模型に収納された状態で公開されており、VLS発射に対応するため大型ブースターを装着する設計変更が成されている[8]。この点から、VLS対応CM-401はホットローンチ方式を用いると推測される。

CM-401の飛行速度は平均マッハ4、最高マッハ6に達する[2]。射程は15kmから290km[1]。最大射程については、大量破壊兵器の拡散防止を目的とした国際規制であるMTCR(Missile Technology Control Regime:ミサイル技術管理レジーム)の存在が強い影響を与えている。MTCRでは、搭載能力500kg以上、射程300km以上のミサイルは輸出が厳しく制限されており、CM-401の290kmの射程はMTCRの規制を前提として、それに抵触しないぎりぎりの水準にまで向上されたものであった[6][7]。

CM-401の推進装置は固体式ロケットモーターを採用[5]。ミサイルの飛行制御はロケットモーターの推力偏向装置と尾部の制御翼とを用いて行われる。前者は打ち上げ段階での飛行制御に用いられ、後者は大気圏突入後の降下中のミサイルの制御に使われる[1]。

CM-401は、飛翔の全工程をマッハ4以上の超音速で飛行して、その高い機動性能と相まって、既存の対ミサイル防御システムでの迎撃は難しく、スタンダードSM-3とイージスシステムのベースライン9.1以上のミサイル迎撃システムでないと迎撃は出来ないと見られている[2][3]。ミサイルは打ち上げ後、弾道飛翔を描いて急上昇、頂点に達すると急降下に移り、一定高度まで加工すると水平飛行コースに移り、意図的に上下動を繰り返す変則的な軌道を描きながら目標に接近し、終末段階に入ると目標直上から急降下してマッハ6の最高速度で目標を打撃する[1][2][5]。さらに迎撃網の突破可能性を高めるため、複数のミサイルによる同時攻撃や、異なる飛行コースを選択することで迎撃側の負担を増すことも行われる[2]。

誘導システムは弾頭部のフェイズド・アレイ・レーダーを用いる[1]。フェイズド・アレイ・レーダーのサイズはかなり大きく、探知範囲が広くとられていることが推測されている[5]。レーダーを用いて、艦艇の探知・追尾を行うほか、合成開口機能を活用して艦艇や地上目標の識別を行い、艦艇のみならず地上や港湾の固定目標への打撃能力も兼ね備えている[1][5]。

【今後の展望】
ASBMは中国ロケット軍で既に実戦配備されているが、これらは西太平洋の米軍を対象としたもので射程は1,000km〜5,000kmを超える準中距離/中距離弾道弾にカテゴライズされる大型ミサイルであり、外国への輸出は国際条約の縛りにより困難であり、システムとしても大柄なため導入できる国も限定されてしまう。これに対してCM-401は輸出向けのASBMとして、射程をMTCRの制限内に収めて、ミサイルのサイズも通常の対艦ミサイルと大差ないものに抑えることで、シャーシを弾道ミサイル輸送用の専用のTEL(transporter erector launcher)車輛ではなく、通常の八輪トラックに搭載することを可能として第三国が導入しやすくなるようにするための配慮が施されている[3]。

CM-401の潜在的なユーザーとしては、圧倒的に優勢なインド海軍と対峙するパキスタン、過去にも中国から弾道ミサイルを購入した経験があり、紅海やペルシャ湾といった狭く交通量の多い海域が身近に存在するサウジアラビアなどが考えられている[2]。これらの国にとっては、CM-401を導入することで速やかにA2/AD能力(Anti-Access/Area Denial接近阻止・領域拒否)能力を高めることに繋がるため、購入する潜在性があると認識されている。

【参考資料】
[1]Nikolai Novichkov「Airshow China 2018: CASIC unveils CM-401 anti-ship missile system」(2018年11月8日)元記事https://www.janes.com/article/84372/airshow-china-...  WebArchive  https://web.archive.org/web/20181108224851/https:/...
[2]GlobalSecurity.org「CM-401 anti-ship ballistic missile」https://www.globalsecurity.org/military/world/chin...
[3] 新浪网-新浪军事「中国3款反舰弹道导弹同时亮相 可全程高超音速飞行」(2018年11月11日)https://mil.news.sina.com.cn/china/2018-11-11/doc-...
[4]黄国志「航天科工参观纪实」『现代兵器』2022年12月号 No.524 (中国兵器工业集团有限公司) 22〜59頁。40頁
[5] 捜狐「055落选型号?CM-401导弹低调亮相,全球首款外贸型高超音速导弹」(佐罗军事/2021年9月29日)https://www.sohu.com/a/492787491_99913295
[6]远林「珠海航展中国对地打击体系」(『兵器知识2011 1A』/《兵器知识》杂志社/36-37頁)
[7]外務省公式サイト「ミサイル技術管理レジーム(MTCR:Missile Technology Control Regime、大量破壊兵器の運搬手段であるミサイル及び関連汎用品・技術の輸出管理体制)」
[8]MDC軍武狂人夢「中國反艦彈道導彈/鄰近空間高超聲速反艦導彈」http://www.mdc.idv.tw/mdc/navy/china/china-asbm.ht...

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