日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


性能緒元
全長1,000mm未満
直径90mm
重量10kg未満
最大速度
射程150m〜1,500m
誘導方法無線指令誘導準
装甲貫通能力 

HJ-18多用途ミサイル(紅箭18/GMS-2)は、2023年にその存在が確認された新型の小型対戦車ミサイル[1]。中国語では「红箭-18单兵多用途导弹武器系统」[2]。

HJ-18は歩兵一名で携行可能なコンパクト・短射程の多用途ミサイルとして開発され、今後の中国軍の歩兵分隊の携行支援火器としての地位を占めるものと考えられている[1][2]。

HJ-18は歩兵一名で携行可能な重量に抑えられており、その代償として最大射程は1,500mに抑えされている[1]。HJ-18は軽量で操作も簡単であり、運用方法としてはロケットランチャーのものに近いと見なされている[1]。

【開発の背景】
21世紀初頭の中国軍では、HJ-9HJ-8AFT-07(HJ-73)の三種類の対戦車ミサイルを配備していた。

最も大型で射程・威力に優れたHJ-9は、WZ-551装輪装甲車に搭載して自走化した上で、集団軍砲兵旅(旅団に相当)の対戦車営(大隊に相当)に配備され、集団軍の戦対戦車兵器としての役割が与えられていた[3]。1980年代から配備が始まったHJ-8は、BJ-2020四輪駆動車に搭載されて、師(師団に相当)砲兵団(連隊に相当)の対戦車営の対戦車ミサイル連に装備されて、師団の予備的な対戦車兵器として投入される想定であった[3]。最も初期に配備されたAFT-07(HJ-73)は、歩兵による携行が可能で、歩兵団所属の砲兵営の対戦車連(中隊に相当)に配備されて歩兵部隊の対戦車兵器として運用されていた[3]。

中国陸軍では2010年代になると、上記の対戦車ミサイルの更新用に、AFT-10(HJ-10)HJ-11HJ-12と三種類の対戦車ミサイルを開発した。

大型のAFT-10は装軌車両に搭載されて集団軍のHJ-9を更新し、HJ-11とHJ-12は既存のAFT-07(HJ-73)HJ-8を更新する予定であった[1]。すでに配備開始から長い時期が経っているAFT-07(HJ-73D)であるが、その操作の簡単さ、信頼性の高さ、調達費用の安さなどから歩兵部隊での評価は高く、いまだ主力対戦車ミサイルの地位を占めている[1][2]。

HJ-11、HJ-12と共に、HJ-18もAFT-07(HJ-73D)を更新する存在となると見られているが、注意すべきことは、HJ-18は旧式ミサイルの単なる更新品ではなく、戦車への対抗手段というよりも多用途ミサイルとしての用途を中心に、歩兵分隊の対装甲/対陣地打撃手段として活用されると見られている[1]。具体的には、HJ-11やHJ-12が戦車攻撃を主任務とした従来の対戦車ミサイルの任務を担うのに対して、HJ-18の想定される攻撃目標としては、軽装甲車両、ソフトスキン車両、陣地、兵員など多岐にわたり、主力戦車については特定の条件下で攻撃可能と運用上の制限が付いている[1]。HJ-18の中国語名称「红箭-18单兵多用途导弹武器系统」からも、多用途性を強調していることが伺える[2]。

近年の戦争では、対戦車ミサイルが戦車以外の陣地、野砲、軽装甲車などの目標に対して用いられる事例が多発している[1]。例えば、アメリカではイラクとアフガニスタンで使用された7,000発以上の対戦車ミサイルの大半が戦車以外の攻撃に投入され、ロシアの専門家もソ連のアフガニスタン侵攻での戦訓を踏まえて、将来の戦争で使われる対戦車ミサイルの三分の二は戦車以外の目標に投射されるとの見解を示している[1]。これと軌を一にする動向は中国軍でも見られ、実戦経験から敵の指揮所に対する攻撃において対戦車ミサイルの有効性を認識している[1]。

各国の軍事専門家は、対戦車ミサイルが持つ長射程・高精度・高い機動性という特性が、歩兵分隊における多用途火力支援に適合していることを認めており、将来的には対戦車ミサイルの多用途攻撃能力はますます重要視されると考えられる[1]。

しかし、現在の対戦車ミサイルを多用途任務に投入するには、その誘導兵器であることに起因する高コストという問題を解消する必要がある[1]。高額な対戦車ミサイルを軽車両や拠点攻撃に用いるのは費用対効果の点で問題となる[1]。このコスト面での対応策となるのが、イギリスのNLAWやフランスのShaherのような、携行性を優先してサイズを抑え、価格高騰の主要因たる誘導システムを簡略化することでコストを抑えた小型対戦車ミサイルである[1]。これらの小型対戦車ミサイルは主要な交戦対象を戦車以外に設定しており、それらの攻撃に惜しみなく投入できる程度の調達コストに抑えているのが特徴となる[1]。

HJ-18も、この多用途性を優先した小型対戦車ミサイルのコンセプトに即して開発された[1]。

【性能】
HJ-18は歩兵携行性を重視したことから、そのサイズは全長1,000mm未満、重量も10kg未満に抑えられている[1]。弾頭直径は90mmで、有効射程は150〜1,500m[1]。これはNLAWの1,000m、Shaherの600mよりは長く、その分だけ両者よりもサイズが大きくなっている。歩兵携行式の対戦車ミサイルは敵の反撃を受けた際の脆弱性を抱えており、それに対処する方法の一つが敵の射程外からのアウトレンジ攻撃能力である。1,500mの射程があれば、重機関銃の1,000m程度の射程外からの攻撃が可能となるので、HJ-18はそれを想定して射程を決めたのではないかと推測される[1]。

HJ-18の誘導システムは、赤外線角度測定装置と無線指令送信を組み合わせた無線指令誘導システムを採用している[1]。これは射手が照準器に目標を捉え続けると、自動的に誘導システムが指令を送信することでミサイルが目標に誘導される方法で、射程内での命中率は90%とされている[1]。発射後即座に退避することが可能な打ちっぱなし機能は備えていないが、低コストで調達できる誘導システムとしてこれが選定された。無線指令誘導を採用したのは、HJ-73やHJ-8で用いられている指令送信用の誘導ワイヤーの使用を回避するためであり、ワイヤーを使わない分だけシステムの軽量化が可能となり、飛翔中のワイヤーの破損を考慮せずに済むためミサイルの飛翔速度を上げることが出来るメリットが存在する[1]。

ミサイルは使い捨てランチャーに収納されており、発射後はそのまま廃棄できるので、その点でも使い捨てランチャーを用いた対戦車ロケットとの類似性がある[1]。HJ-18の総重量は汎用機関銃と同程度なので、歩兵分隊で複数のHJ-18を携行することが可能で、その遠距離打撃能力を大きく向上させ得る存在である[1]。HJ-18はAFT-07のみならず、歩兵部隊の98A式120mm対戦車ロケットランチャー(PF-98A)の後継となる可能性も高いと思われる。

【運用方法】
HJ-18は、中国軍の歩兵分隊に1,500m以内の目標、特に歩兵の脅威となる陣地や軽装甲車両に対する有効な打撃手段となり得る存在である[1]。

2022年に勃発したロシア・ウクライナ戦争など近年の武力衝突の戦訓として、歩兵の主な脅威は機関銃や重機関銃であることが明らかになっているとの事[1]。これらの脅威は、装甲車や防御陣地から用いられることが多いため、既存の歩兵の装備する兵器では有効な打撃を与えることが困難。HJ-18は歩兵分隊にとって、上記の脅威に迅速に対応し、敵火力を抑制し、部隊が前進する経路を開くことを可能とする手段となる[1]。

中国軍では中ソ国境紛争や中越紛争の戦訓から歩兵分隊の火力不足が深刻なトラウマとなっており、その「火力不足恐怖症」から歩兵部隊の火力の底上げを強く危急するに至った。歩兵部隊に強力な火力を持たせるという志向は、従来は携行する兵器の数を増やすことで純粋な火力密度を増やすという量的追及だったのが、HJ-18の配備は「火力不足」への対応が誘導兵器や精密打撃兵器へと転換していることを表すものであると解釈されている[1]。

【参考資料】
[1]China-Arms「HJ-18: Providing Missiles to Every Foot Soldier – The PLA’s Answer to ‘Firepower Deficiency Anxiety」(2023年11月3日)https://www.china-arms.com/2023/11/hj18-missiles-f...
[2]捜狐「每一名步兵都有导弹,治好“火力不足恐惧症”,解放军有新答案」(航空知识王亚男/2023年11月4日)https://www.sohu.com/a/733821237_121451128#google_...
[3]知乎「首次亮相!中国卡车版红箭-10亮剑高原,双面打印快乐多」(
军武次位面/2020年8月21日)https://zhuanlan.zhihu.com/p/192505856

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