日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


性能緒元(M113A2)
重量11.343トン
全長5.296m
全幅2.6861m
全高2.521m
エンジンデトロイト・ディーゼル6V-53ディーゼル 212hp
最高速度64km/h
浮航速度5.8km/h
航続距離483km
武装12.7mm重機関銃M2×1(2,000発)
装甲28.58〜44.5mm(防弾アルミニウム装甲)
乗員2+11名

M113はアメリカで開発された装甲兵員輸送車。その淵源は1954年に技術開発が開始された軽量戦闘車両計画に遡り、運用開始は1960年という古い車両であるが、8万両を超える累計生産数を誇り、アメリカや西側諸国で広く使用され、豊富な実戦経験とそれを反映した改良が続けられたことで、現在でも第一線での任務を遂行可能な能力を備えており、西側を代表する装甲兵員輸送車の地位を獲得している[1][2]。

【性能】
M113の車体構造は直線的な箱型で、車体右部にパワーパック、左型に操縦手席を配置、車体中央部に車長用ハッチを設け、車体後方を兵員室とした。この配置は、その後各国で開発される装甲兵員輸送車の手本となる優れたものであった[1][3]。

エンジンは、クライスラー75M 4ストロークV型8気筒液冷ガソリン・エンジン[3]。最大出力は215hpで、64.4km/hの路上最高速度を発揮する[3]。浮航能力も有しており、水上での推力は履帯の回転によって発生させ5.64km/hの速度で航行可能[3]。

M113は装甲板として防弾アルミニウム装甲を採用[1][3]。同車はアルミを装甲として採用して生産された初のAFVとなった。防御能力は至近距離で炸裂した野砲弾の弾片や小銃弾を想定したもので、重機関銃や携行式対戦車兵器などに対する防御は考えられていない[1]。武装は車長用ハッチにピントルマウント式に取り付けられた12.7mm重機関銃M2を搭載[3]。

1964年にはエンジンをデトロイト・ディーゼル社製の6V-53 V型6気筒液冷ディーゼル・エンジンに換装したM113A1に生産を移行[4]。その後も生産と改良が続けられ、1979年からはM113A2が生産開始[1]。これらの改修に伴い重量が増加して機動力が低下したことで、大出力のエンジンと新型変速機で構成されたパワーパックを採用して機動性の改善を図ったのがM113A3[1]。M113A3は、既存のM113A1/A2をA3仕様に改修する近代化改装キットであり、新規生産はされなかった[1]。

本稿では極々簡単な紹介に留めたが、前述の通りM113は世界各国で採用され、その長い運用期間の中で多種多様な派生型や能力向上型を生み出しており、現在でも多くの国々で運用が続いている傑作AFVである。

【台湾におけるM113】
台湾では1964年からM113の調達を開始した[2]。最初に調達されたのはM113A1で、資料によって調達数には異同があるが、参考資料[5]では1968年から69年にかけて146両が調達されたとしている。一方、参考資料[2]では約600両のM113A1が導入されたとしている。アメリカが台湾にM113A1を提供した目的は、台湾軍で歩兵輸送を担っていた二次大戦期に製造されたM2/M3ハーフトラックを更新するのが目的であった[6]。M2/M3は旧式化が進んでいただけでなく、当時兵力60万を有していた台湾軍に普及させるには到底足りない台数であったとされる[6]。台湾陸軍では機械化歩兵師と装甲旅歩兵営にM113A1を配備して歩兵部隊の機械化が進められた[2]。M113A1は同じくアメリカから提供されたM41軽戦車と共に、1960〜70年代の台湾陸軍の機械化部隊の中核戦力を構成することになる[6]。

その後、1984年から86年にかけてアメリカから267両のM113A2が輸入された。この中にはM125 81mm自走迫撃砲72両、M577(もしくはM577A1)コマンドポスト31両、装甲救護車型24両が含まれている[5]。

【台湾独自の派生型】
台湾陸軍では、1964年から「雄獅計画」と称して軽型AFVの開発製造を意図し、防弾アルミニウム合金の国産化を計画[7]。そのための実証試験として、台湾鋁業公司に対して、M113の車体装甲を3両分生産することが要求された[7]。台湾ではヴェトナム戦争に投入された米軍のM113を千両近く修理してきた経験があり、これによって台湾ではAFVの装甲板の製造ノウハウの蓄積に成功していたのである[7]。1975年には、聯勤総司令部が立案したAFV開発計画が「万乗計画」の名称を付与され、陸軍戦車基地勤務処によって計画が実行に移された[7]。陸軍戦車基地勤務処では、台灣鋁業公司から提供されたM113の装甲板を使って三両のM113の車体を製造することに成功[7]。これを基にして、三種類の派生型を試作した。三種類の派生型については以下の通り[7]。なお、「万乗計画」には「万乗四号車」も存在するが、これはM113の派生型ではなく既存のM48A1「パットン」中戦車をM48A5水準にアップグレードする計画[7]。詳しくはCM12戦車(M48A3改)の項を参照されたし。
万乗一号装甲車台湾製M113の車体に台湾製の63式120mm迫撃砲を搭載した自走迫撃砲。これはアメリカの107mm自走迫撃砲M106に範を取ったもの。車体左側には底盤と脚部が取り付けられており、必要に応じて迫撃砲を地上に下ろして射撃が可能。これは2000年代に生産されたCM22A1 120mm自走迫撃砲の源流となる存在。
万乗二号装甲車退役したM24「チャーフィー」軽戦車の砲塔を台湾製M113の車体に搭載した軽戦車型。戦車の砲塔を搭載するため、車体中央部の高さを原型より25cm減ずる、エンジンを車体後部に移設するなどかなりの設計変更が施されている。重量がM113A1より1.5t増加したが機動力はM113A1と遜色なく、M24と比較すると出力/重量比が12.5から18になったことで、停車状態からの加速時間が短縮されるなど機動力の面でも能力を向上させている。試作のみ。
万乗三号装甲車台湾が開発した「工蜂四式」126mm40連装ロケットを搭載した火力支援型。パワーパックや車内構造、足回りなどはM113A1と変化なし。多連装ロケットの高い瞬間投射能力と装軌車両の機動性を組み合わせたことが評価され、1976年には6両のアメリカ製M113A1が「万乗三号」に準じた自走多連装ロケット車両に改造され1977年に化学兵群火箭連に配備された。

「万乗計画」の実行でM113装甲車の製造ノウハウを得ることに成功した台湾では、次の段階としてM113に搭乗歩兵による乗車戦闘能力を付与した発展型の開発に着手[6]。これはCM21装甲兵員輸送車(AIFV)の名称で国産化され、約1000両が生産され台湾陸軍の装軌式装甲兵員輸送車の中核戦力としての地位を占めることになる。CM21に至る流れを作ったという点でM113の国産化と「万乗計画」の果たした意義は大きなものがあると評価し得る。

台湾における上記以外のM113の派生型としては、M113A1にアメリカ製BGM-71対戦車ミサイル「TOW」のM220発射機を搭載した戦車駆逐車型も存在する[6]。M220を搭載して自走対戦車ミサイル車両化する方法は後にCM21の派生型としても登場し、こちらの車両はCM25の型式名で制式化された。

【近年の動向】
長らく台湾陸軍で運用されてきたM113であるが、CM32装輪装甲車「雲豹」の配備に伴い2019年にはM113A1の退役が決定された[2]。これにより、台湾陸軍で運用されているM113は1980年代に導入された267両のM113A2を残すのみとなった。

M113を現在でも運用している国の中には、現代戦に対応するため付加装甲の装着による防御力改善、兵装の更新、重量増に対応したエンジン出力向上により機動性能を改善するなどのアップグレード改修を行っているところも少なくないが、台湾陸軍のM113A2は導入当時の原型を保ったまま運用されている。すでに長期間就役していることに加え、近代化改修の費用対効果を考えると、今後も大幅なアップグレードは施されずに現役を退くことになるだろう。

2020年、台湾国防部は後備戦力(予備戦力)の強化のため、アメリカから調達するM1A2T戦車、既存のM60A3戦車の近代化改修、CM34装輪歩兵戦闘車「雲豹」やその派生型である装輪対戦車自走砲の配備が進んだ段階で、CM11戦車「勇虎」(M48H)とM113を常備部隊から後備部隊の装備に移管することを決定した[8]。これらの装備を後備部隊の打撃戦力となる後備打撃群に配備することで、常備部隊と後備部隊の戦力差を減らし、有事の際の動員戦力の底上げを図る狙いがある。

【参考資料】
[1]アルゴノート戦車年鑑編集部『世界のAFV 2021-2022』(アルゴノーツ社/2021年)100ページ
[2]NOWnews 今日新聞「軍武》服役逾一甲子 陸軍汰除M113「戰場計程車」」(記者呂炯昌/台北報導/2019年4月8日)https://today.line.me/tw/v2/article/0jr7wG
[3]戦車研究所「M113装甲兵員輸送車」http://combat1.sakura.ne.jp/M113.htm
[4]戦車研究所「M113A1装甲兵員輸送車」http://combat1.sakura.ne.jp/M113A3.htm
[5]SIPRI公式サイト-SIPRI Arms Transfers Database-Trade registers(2022年3月14日検索) https://armstrade.sipri.org/armstrade/page/trade_r...
[6]中文百科全書「M113裝甲輸送車:發展沿革,歷史背景,研製歷程,列裝入役,技術特點,總體布局,武」https://www.newton.com.tw/wiki/M113%E8%A3%9D%E7%94... 
[7]坦克贏「國軍M48戰車服役始末」『尖端科技軍事雜誌(電子版)』2014.03(第355期)24〜32ページ
[8]自由時報電子報「強化後備戰力》國防部:先撥配105榴砲 CM11、M113戰甲車逐年轉」(2020年10月21日/記者羅添斌/台北報導)https://news.ltn.com.tw/news/politics/breakingnews...

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