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▼動画:Asian Defense | Dung Tran Military「VN22: China's Cutting-Edge IFV Ready to Conquer the Global Arms Market」VN-22の解説動画


▼動画:Asian Defense | Dung Tran Military「V Chinese VN-22B Is Being Loved In Africa - Cote D'Ivoire Becomes The Latest Customer」コートジボワールが導入したVN-22B火力支援車に関する動画


性能緒元(UW-5無人砲塔搭載装輪歩兵戦闘車型)
重量25t
全長 
全幅 
全高 
エンジン液冷ターボチャージド・ディーゼルエンジン(800hp)
最高速度120km/h
航続距離 
武装30mm機関砲×1
 7.62mm機関砲×1
 HJ-12 対戦車ミサイル連装発射機×1
 ガンポート×2〜4か所
装甲均質圧延鋼板+付加装甲(砲塔)
乗員3名(車長、砲手、操縦手)+9名

VN-22装輪装甲車は重慶鉄馬工業集団が輸出向けに自主開発した装輪装甲車で、実際の輸出事業は北方工業集団公司(NORINCO)が担当している[1][2]。初公開は2021年に開催された珠海航空ショーで、屋内での実写展示と野外走行デモンストレーションを披露した[1]。

【性能】
近年の装輪装甲車は、防御性能や搭載能力、ファミリー化といった発展性を考慮して8輪式の大型車体を用いるケースが多いが、VN-22はその流れに逆行するように比較的小型の6輪装甲車として纏められた[1]。これは6輪装甲車の方が生産・維持コストの面で有利になるための措置[3]。なお、ユーザーの要望に応じてそれに適した車体を提供することが意図されており、必要であればより大型の8輪式のVN-22もラインナップに加えることが出来るとしている[3]。6輪型の場合、8輪型に比べて車内容積の面で不利になるが、その問題に対する対応策としてVN-22では車内に砲塔バスケットを置く必要がない無人砲塔を採用することで、車内容積を有効活用する方法を採っている[1]。

車内配置は、前方右側が機関室、左側が操縦席で、砲手がその後方に配置。操縦席ハッチは昇降可能で、ハッチ前方は視認窓となっており、平時や脅威度が低い状況ではハッチを上げた状態で操縦を行い、高脅威度状況ではハッチを下げてペリスコープを用いて操縦を行う。その後ろは兵員室で10名分の座席が用意されている[2]。車長1名と9名の歩兵を乗車可能なのは、車内に砲塔バスケットがないことで兵員室の容積を広く取れたことの恩恵。兵員室の両側面には外部視認窓とガンポートが各一基ずつ設けられている(初期の試作型は二基装備しているものもあり[2])。車体後部には油気圧駆動式のランプが設けられている。

無人砲塔の場合は外部視認性の低下が問題になるが、それについては新技術の導入によってカバーする方針。VN-22は車体各部にテレビカメラが装着されており、操縦手は随時モニターを使って車体前部・後部の状況を確認しながら操縦を行うことが出来る[1]。車長と砲手はそれぞれ独立サイトを有しており、その映像は大画面の液晶パネルで確認できる。さらに、無人砲塔後部からドローンを発信させることが可能であり、これにより戦場状況認識力を大きく向上させることが意図されている[4]。

【防御力】
VN-22は、車体の正面・側面・後面には基本装甲の上に付加装甲を装着して防御力を高めている[1]。エンジンをフロント式に搭載したのも、被弾時にエンジンルームが防御区画として機能することを意図したものとされる。VN-22の正面装甲は25mm機関砲弾に対する防御力と、全周からの14.5mm重機関銃の徹甲弾に対する抗湛性を備えている[1][4][5]。

対地雷・IED対策についても重視されており、車体底部は爆風を逃がすV字型に成形されており、乗員の座席も地雷の衝撃に対応して上から吊り下げて床板とは接触しない設計が施されている[1]。これにより2kgの地雷の爆発に対する防御力が確保されている[4]。

直接的な防御力向上に加えて、アクティブ防御システムによるミサイルやロケット弾の迎撃をおこなうハードキル、発煙弾発射機により車体を隠蔽するソフトキルによる防御力改善措置も図られている[1]。VN-22のアクティブ防御システムは無人砲塔上部に二基設置されている。全周旋回可能な連装発射機に擲弾二発を収納しており、センサーがミサイルやロケット弾の接近を探知すると飛来する方向に擲弾を射出。擲弾には精密な時限信管が内蔵されており、適切な距離に達すると爆発して弾片と衝撃波によって目標を破壊、もしくは飛翔コースを歪めて無効化を図る仕組みになっている[6]。

【機動力】
VN-22は800馬力の液冷ターボチャージド・ディーゼルエンジンを搭載して、25tの車体を120km/hの路上最高速度で走らせる能力を有している[4][7]。変速機はオートマチック方式[7]。

VN-22は、装輪装甲車としては贅沢ともいえるセミ・アクティブ油気圧サスペンションを採用しているのが特徴。これは、良好な走行性能を確保するとともに、サスペンションを外装式に出来るので車体底部の容積を喰うトーションバー方式に比べて車内空間を広く確保できるメリットがある[1]。

VN-22の油気圧サスペンション最長600mm、最短200mmと、その差400mmの上下動長を確保している[4]。VN-22の油気圧サスペンションは姿勢制御機能が付与されており、車高の上下・左右の高さ調整が可能であり、車体の隠蔽、付仰角を大きくとりたい時などに活用できる[1]。6輪タイヤは全てに操舵機能が付与されており、装輪装甲車の課題である旋回面積の大きさを抑制することに資している。これは市街地での戦闘において有効に機能する能力として付与された[1]。

水上航行能力を備えており、ユーザーの要望に応じて車体後部にスクリューを装着することが出来る[2]。

【攻撃力】
VN-22は、ユーザーの要望に応じて多種多様な武装を選択可能で、これは近年開発された多くの装輪装甲車と同じ特徴を備えている[1]。

2021年の初公開時には、30mm機関砲と対戦車ミサイルを装備したUW-5型無人砲塔を搭載[1][8]。砲塔の操作は車内の車長と砲手用の二枚の多機能大型液晶パネルを用いて行われる[1]。

30mm機関砲は、従来のソ連系30mm機関砲2A72から一新された新型が搭載され、性能を向上させている[1]。同軸機関銃としては中国で標準的に使用されている86式7.62mm機関銃が用いられている[1]。

砲塔右部には引き込み式の対戦車ミサイル発射機が装備されており、2発のHJ-12対戦車ミサイルを搭載している[1][4]。発射機を引き込み式にしたことで、砲塔サイズをコンパクトにするとともに、不慮の事故によるミサイルや誘導装置の破損のリスクを軽減することに繋がっている[1]。HJ-12は赤外線画像誘導方式の対戦車ミサイルで、発射後の誘導が必要な「撃ちっ放し」を実現している[1]。目標に応じて、直撃コースとトップアタックコースを選択可能であり、重装甲の目標に対しても高い攻撃能力を備えている[1]。

FCSは第3世代主力戦車並みの豪華なもので、砲手サイトとは別に車長用サイトが併設され、それぞれ赤外線センサーとレーザー測距機を内蔵し、砲手の照準と並行して車長が目標を捜索するハンター&キラー能力、必要に応じて脅威度の高い目標に照準を切り替えるオーバーライド機能、走行しながら攻撃を行う行進間射撃能力を備えている[1]。

【派生型】
近年開発された6輪/8輪装甲車と同じく、VN-22もユーザーの要望に応じた各種派生型への発展が前提となっている。設計でモジュール化が追及されたことで、派生型の開発を容易にしている[4]。これまで存在が明らかになった派生型は以下の通り。
VN-22装輪歩兵戦闘車初公開時のタイプ。UW-5無人砲塔を搭載。中国国連派遣部隊で試験運用された[8]。
装輪歩兵戦闘車型(背負い式砲塔搭載型)30mm機関砲を背負い式に積んだ無人砲塔を搭載したタイプ。武装は30mm機関砲×1、7.62mm機関銃×1、40mm擲弾発射機×1[2]。
歩兵戦闘車型(有人砲塔搭載型)NORINCO製GCTWM砲塔(一人用)を搭載。武装は30mm機関砲×1、7.62mm機関銃×1、HJ-73C ATM×1。有人砲塔のため車内容積は減ずるが、無人砲塔よりも簡易かつ低コストな選択肢として用意されたとみられる。
VN-22B 105mm火力支援車105mmライフル砲を搭載した火力支援車。セネガルとコートジボワールで採用[5][9]。
装輪装甲車型イラクで採用、現地生産されるタイプ。オープントップ式銃塔にC/LM-5型3銃身12.7mmガトリング機関銃を搭載[9][10]。
装甲回収車型回収作業用のクレーンを搭載
装甲救護車型車体後部をかさ上げして車内空間を増加、救護任務に用いる。

【評価】
VN-22は、新技術を多用してユーザーの多様な要望に対処可能な高レベルな装輪装甲車として、特に中東産油国といった豊かな第三世界の国々への売り込みを図っているのが特徴[1]。戦車並みのFCS、姿勢制御可能な油気圧サスペンション、無人砲塔、アクティブ防御システムといった装備は、性能追及を主眼とした開発コンセプトの表れと言える[1]。モジュール設計概念を取り入れて、ユーザーの要望に応じて低価格パッケージとして兵装などを柔軟に選択できるのも近年の装輪装甲車と共通している[1]。

VN-22の価格はNORINCOによると一両当たり200万ドルとされる[11]。これまでに、少数が中国の平和維持部隊で試験運用されたほか、コートジボワール陸軍、セネガル警察部隊、イラク警察部隊で採用され、イラクでは2024年4月から現地生産が開始された[8][10][12]。

セネガルとコートジボワールでは、VN-22の火力支援型であるVN-22Bの調達が行われている[9][13][14]。VN-22Bは、VN-22のシャーシに、105mmライフル砲を搭載した溶接砲塔を積んだ派生型であり、その形状からST-1型装輪105mm突撃砲の砲塔ないしその発展型を積んでいるものと思われる。

武装はイギリスの105mmライフル砲L7に技術的淵源を有する105mmライフル砲×1、同軸で7.62mm機関銃×1、砲手用ハッチ付近に対空/対地用の12.7mm重機関銃×1を装備。105mmライフル砲は、NATO基準の105mmライフル砲と互換性を有しており、NATO規格の各種105mm砲弾を使用することが出来る[13][14]。VN-22Bは、105mmライフル砲を用いた火力支援任務に加えて、機動性と火力を生かして対テロ・対ゲリラ戦においても重要な役割を果たす装備であり、装輪装甲車の高い路上機動性と運用コストの低さは広域の偵察・警戒活動、輸送車両護衛などと高い適合性を備えている[13]。セネガル軍では既に中国製の装輪火力支援車としてWMA-301型装輪突撃砲を調達しており、平和維持活動や域内での戦闘において、遭遇する可能性のある旧ソ連製のT-54/55やT-62戦車を撃破し得る火力を備えた車両として評価されている[13]。VN-22Bは、そのWMA-301の上位互換的な車両であり、WMA-301の高評価がVN-22Bの調達に繋がったと考えられる。

イラクでは市街地の警備や治安任務で用いられるため30mm機関砲はオーバースペックであり、兵装は武装四輪駆動車「テクニカル」の制圧を主眼とした12.7mm重機関銃に変更された[12]。イラクでは8×8装輪装甲車が市街地での運用で車体長の長さから困難が生じた経験があるので、コンパクトな6輪装甲車で、高度な足回りによる小回りの良さを備えたVN-22は、市街地任務で有効と見られている[3][12]。イラクでは米軍が残した多種多様なMRAP(対地雷装甲車)の整備に苦慮しており、VN-22を国産化することでそれらの車両を更新し、国内で整備・維持体制を確立することを目指しているとされる[3]。

【参考資料】
[1]向元烨「金龙铁马辉珠海—浅析珠海航展上的重庆铁马集团VN22型步兵战车」『兵工科技 2021.19 2021中国珠海航展专辑(下辑・室内展品)』7-9頁(兵工科技杂志社)
[4]捜狐「VN22——高性价比的新型轮式装甲战车」(2021年12月1日)https://www.sohu.com/a/504864647_121118978
[8]捜狐「VN22大六轮战车疑似装备我军!有两点比新型大八轮还强,已出口多国!」(2024年1月28日)https://www.sohu.com/a/754793221_120256540
[7]捜狐「伊拉克引进生产国产VN22装甲车 VN22已经打开国际市场」(2024年4月5日)https://www.sohu.com/a/769305368_121118978
[9]Defense Blog「Senegal receives newest Chinese-made assault vehicles」(Gu Min Chul/2023年11月3日)https://defence-blog.com/senegal-receives-newest-c...
[6]黄国志・曹励云「陆战英豪显神威—中国兵器参展纪实」『现代兵器』2021.11(中国兵器工业集团有限公司/8-21頁)10-11頁
[2]21st Century Asian Arms Race「The VN22 Is The Ultimate Wheeled APC」(2021年11月18日)https://21stcenturyasianarmsrace.com/2021/11/18/th...
[10]Army Recognition「Iraq Launches Local Production of Chinese VN22 Armored Vehicles」(2024年4月4日)https://armyrecognition.com/defense_news_april_202...
[5]Military Africa「Senegal strengthens armored inventory with Chinese and Turkish vehicles
Ekene Lionel」(Ekene Lionel/2023年11月16日)https://www.military.africa/2023/11/senegal-streng...
vehicles/
[11]Asian Defense | Dung Tran Military「VN22: China's Cutting-Edge IFV Ready to Conquer the Global Arms Market – YouTube」(2024年4月2日)https://www.youtube.com/watch?v=XQs3D6YSuiU
[12]捜狐「伊拉克引进中国VN22轮式装甲车!武器虽然减配,但数量可能很多!」(2024年4月6日)https://www.sohu.com/a/769574588_120256540
[3]捜狐「伊拉克引进生产国产VN22装甲车 VN22已经打开国际市场」(2024年4月5日)https://www.sohu.com/a/769305368_121118978
[13]腾讯网「中国最新型突击炮出口!外形帅气、火力强大,一炮能击穿主战坦克」(虹摄库尔斯克/2023年11月8日)https://new.qq.com/rain/a/20231108A0B1RK00
[14]Defense Blog「Cote D’Ivoire receives new Chinese assault vehicles」(Daisuke Sato/2024年1月10日)
https://defence-blog.com/cote-divoire-receives-new...

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